C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話 作:QAAM_M1911
「…4人は地球に行ったか。俺はどうなるんだよ。」
隊長からの作戦書を読みながら、俺は外で遊ぶ子どもたちの面倒を見る。聞き分けが良い子ばかりなので、少し目を離しても大丈夫なのが本当に助かる。
「…俺は地上用に改修したジンHMASで単独出撃か。…っておい、大気圏突入してそのまま戦線に参加ぁ!?ハードスケジュールにも程があるぞ!?」
やりたい事は分かるのだが、そこまでやる必要は無いだろう。
「新型SFSの試験、か。まぁ3回無人試験やって大丈夫だったから大丈夫なんだろう。冷却剤もあるし。」
こんなハードスケジュールだが、まぁ赤服の5人が早く揃ってくれって話なんだろう。で、あれば俺も一緒に戦った方が良いのは明白。作戦書を仕舞い、時計を見るともう5時。
「よーし、もう時間だ!戻ろうか!」
「「はーい!」」
俺は子どもたちを連れて、孤児院に戻った。
「レイお兄さん、今日のお話しはー?」
「そうだね…なら姫君の青い鳥、なんてどうだろうか。」
「慣れて来たな。」
「はい。」
「…俺もそろそろ参戦復帰する。夜に話そう。」
「ヘキサ兄!ゲームしよ!」
「ははっ、良いぜ。何するんだ?」
「こら、ヘキサ兄ちゃん今日の食事当番でしょうが。どさくさに紛れてサボるんじゃないわよ。」
「バレたか。じゃなシュウ、代わりにアリーと遊んでやってくれ。」
「うん!」
「遊んでやってって…まぉ良いわ。ボッコボコにしたげるから!」
俺が帰ってきてからの2週間というものは本当に早いものだ。皆としっかり話も出来ない内に復帰とは。
「どうだレイ、2週間ここで皆と過ごした感想は。」
「…すごく疲れています。けど…軍人の戦う理由、という物が何となく分かってきた気がします。」
「そりゃ良かった。隊長はな、お前に隊長の様になって欲しくないと思ってこの機会を作った。隊長の出生は聞いたからお前の出自も知っているということになる。…聞くが人類に絶望、してるか?」
「そんな事は今も昔もない、と言えます。」
「ギルバート博士の育て方は本当に良かったみたいだな。ま、僥倖だな。でもな、確かに博士はそんなつもりはないのかも知れない。しかし、見聞を広めなければ君はたった1人の大人の価値観に従って動く人形になってしまう。隊長はそれを嫌っている、と言えばわかるかな?」
「…はい。色んな人々の価値観を学んで、自分の考えに従って動く。それをラウは教えたかった。」
「そうだ、隊長は人類の可能性を見たいと言う願いを持っている…と思う。そんな可能性を、君にも見せたいんだと思う。君の様な生まれ方をしても、幸せになれると言うことを証明したい。と言うのが俺の見解だ。」
「俺の憎しみを、ラウは全部引き受けてくれてるんです。まさか、その為に…?」
「とにかく、だ。君は自分の道を歩まねばならない。俺らが出来るのはその手助けまでだ。隊長とは違う生き方、探してみろよ。」
そう言って俺は報告書を取り出した。
「俺は2日後にもう出発する。残りの体験期間、頑張れよ。色んな意味でな。」
「はい。ありがとうございました。」
「任務さ、問題ない。ま、寝るとしようぜ。明日は早いからな。」
そうして、残りの2日間を過ごした。心も身体も本当に休まったんだ、これから休暇に見合った戦果を挙げなければな。
「シスター、皆とレイを頼むぜ。」
「はいっ、ヘキサくんもお元気で!」
「終戦になったら、また皆でなんか食おうぜ。」
「コーヒー飲んでけば良かったのに…」
「コーヒーは腹壊すからぶっちゃけ苦手なんだ、済まないな。時間がまっとある時に頼むぜ。」
「…これがあなたの機体か。」
「まーたなんか改造されてっけどな。今度は…あー、地上用にサブスラスターがウィングに換装されてんのか。空中飛べる様にハルコンネンをショットガンに換装して魔改造…いやどんだけ金掛かってるよ。」
「相当期待が掛かっている証ですよ。でも無理だけはしないでください!」
「分かってますよ、シスター。寝てる皆にもよろしく言っといて下さい。」
まだ夜明け、そんな中で俺は出撃するのだ。搬入した軍人に敬礼し、パイロットスーツを受け取る。
「じゃあな!また会おう!」
そう言うと、俺はジンへと乗り込んだ。
「ジンHMAS/
「こちら管制塔、了解した。食料や水はストラトスに搬入されている。」
「了解。なんつーか、ストラトスって人間も長時間運用する為のプロペラントタンクだな。」
「元は計画が頓挫した大気圏突入が出来る輸送機だ。それを流用して作られたのだから、まぁその最低限の生活スペースはあったと言う訳だな。」
「なるほど、使い捨てって訳か。」
「出来れば、持ち帰って欲しいとの通達だ。」
「出来れば、な。」
そう言って俺はストラトスの座席に乗る。操縦桿を握り、エンジンに火を入れる。
「ヘキサ・ラプトリオ、ジンHMAS/AA。出撃!」
港の展望室に孤児院の大人とレイが見える。見えていないだろうが、手を振ってみた。すると何故だが皆が手を振りかえした。見えていなくとも、やはり過ごした月日は長いものだ、と感じたのだった。
「…1人って辛い。」
孤児院にいたからかより1人が寂しい。あと1日はここに鮨詰め、辛い。
「デブリは全部自動で避けてくれるから良いが…はぁ。」
『ヘキサ、聞こえるかね?』
「あ…はい。隊長、わざわざご苦労様です。」
『気を抜くなとは言わんが、戦闘態勢にいつでも入れる様にはしておけよ。地球周辺に敵が潜んでいるかもしれないからな。』
「遭遇した場合は?」
『始末して構わんよ。ブラックボックスにも記録は残るからね。ストラトスの乗り心地はどうだ?』
「1人が辛いっすね。けどそれを除けば良い機体ですよ。地上に出た後は作戦通りに?」
『あぁ、母艦にストラトスを送れば良い。お前はそのまま戦闘に参加だ。』
「了解です。」
敬礼すると、隊長との回線は切れた。
「…一眠りするか。」
けたたましい警報に俺は飛び起き、パイロットスーツを急いで着用する。
「ったく艦隊が展開してんのか!通報される前に撃破だな。」
そう言って俺はジンのコックピットに乗り込んだ。
「…つかハルコンネン無くなったから狙撃センサー無くなったんだったな。そん代わり、ストラトスの方に狙撃用ライフルあんのか。」
そう言って俺はライフルを一発ずつ旗艦に向かってぶっ放す。狙いは過たず、四発のライフルは等間隔で戦艦に穴を開けた。
「っし!一気に詰める!」
そう言うと、俺はストラトスからジンを離れさせて戦艦にガトリングをぶっ放す。一発が艦橋に着弾し、他もエンジンなどに多く当たって致命弾。もう一つの艦にはショットガンで艦橋ごと周辺を潰し、これまた頑丈になったシェーレで潰す。まだ生き残ってる旗艦もエンジンやらに引火したか爆発した。メビウスの残骸もあるためもし発進されていたら面倒で迂回せざるを得ない状況になっていただろう。
…いや、旗艦にはメビウスの残骸がやたら少ない気がする。と、なれば…
「ッやっぱ来たか!」
恐らく索敵に出ていたであろうメビウス3機が戻り、俺に向かって攻撃を仕掛けて来た。手練れか、そう思って俺はシェーレを盾にして左手にショットガンを持つ。左腕はガトリングのおかげで動きは重いが、別にショットガンを持ったところで更に鈍くなるなんて事はない。動転せずに、リーダー機をショットガンで蜂の巣にする。
「撃墜、さぁ次!」
肉薄してきたメビウスを潰そうと右腕を動かす、がもう一機がこちらを向いている事に気付き、後退してガトリングを放つ。
「やっぱ手練れだな!だが!」
遠距離でショットガンを放ち、機体のコントロールを奪う。
「二つ!」
ガトリングを放つと同時に背後から放たれたリニアガンをシェーレで防御し、横回転してショットガンを二連射。爆発したのはほぼ同時か。
「敵勢力の全滅を確認。先は長いな。」
止めておいたストラトスにジンをドッキングし、再びエンジンに火を入れた。