たわけはいつもそうだな、私のことなんだと思ってるんだ!?   作:織葉 黎旺

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馬の字の誤字報告ありがとうございます。アレどう出すのか未だによくわかってない(情弱)


シニア級一月『理想的だぜ』

 

 

 

「あけおめことよろ」

 

 トレーナー室に入るなり、部屋の主はあけすけにそう伝えた。

 

「貴様、一年の計は元旦にあるのだから、挨拶の一つを取っても真面目にだな──」

 

「俺は至って真面目だぜ。挨拶を簡略化したのは、今年はエアグルーヴに無駄な時間を使わせないようにしよう、という意識の表れだからな」

 

 彼はキメ顔で言った。どちらかといえば、トレーナー自身が無駄な時間を割きたくないだけなのは明白だった。

 

「まあいい……あけましておめでとう。今年もご指導ご鞭撻のほど、よろしく頼む」

 

「うむ、ビシバシいくから覚悟しておけ」

 

 甚平の袖を交差させるように腕組みをして、トレーナーは頷いた。

 

「と──そんな前置きは置いといて」

 

 傍らから炬燵机の上へと、野菜の入った鍋とその他の材料を置く。続けて無数に出てくる調味料の山。

 

「とりあえず、お雑煮食うか。今年は時短のために、予め材料を切っておいた」

 

 エアグルーヴは一度きょとんとした表情を浮かべ、それから鞄に手を伸ばした。

 

「まさか同じことを考えていたとはな」

 

 少しだけ微笑んで、机の上にカット済みの具材が並べられていく。顔を見合わせた二人は、とりあえず鍋に半分の具材を入れた。容量的に、全部は普通に無理。

 

 

「美味しいけど三が日毎日お雑煮食わんと消化しきれなさそうだよな……」

 

「残り半分は味変するか」

 

「じゃあ次は味噌ベースだな!」

 

 関西風と関東風、両方の味を制覇して東西統一を成し遂げようと目論むトレーナー。食い意地が張っていた。

 

「……さて、そろそろ例年通りアレやっとくか?」

 

 一鍋分の食材を空にしたところで、トレーナーがそう切り出した。

 

「例年も何も、まだ二回目の正月だというのに」

 

「こーゆーのは習慣化した方がいいだろ。お前の好きな季節行事って奴だ」

 

 去年もやったこと──すなわち、新年の抱負。本年の目標決めである。

 

「去年はトリプルティアラだったろ? それを達成した今、次に願うのはなんじゃらほい──と思ってな」

 

「ふむ──」

 

 少しだけ悩む素振りをしたエアグルーヴは、空の鍋をちらりと見つめてから答えた。

 

「──今年、初めて開催される、選ばれたウマ娘だけが集える大型レース」

 

「……URAファイナルズか」

 

「そこで、初代優勝の栄誉を飾る」

 

「大きく出たな。この前の有のヤツら、全員倒すことになるぞ?」

 

「無論だ」

 

 その程度できなくて何が女帝か──藍の双眸が、そう物語っていた。

 

「フッ、理想的だぜ」

 

 破顔したトレーナーは「なら早速行くぞ」と立ち上がった。

 

「どこにだ?」

 

「んなの決まってるだろ──初詣だ! 困った時は神頼みだからな!」

 

「挑む前から困るな、たわけ!」

 

「神様! 重賞総嘗めお願いします!」

 

 総嘗めどころか、お雑煮のごとく全部平らげる──そうあろうと、二人は思った。

 

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