ようこそゲーマーの攻略教室へ 作:天才になりたい
心地のいいバスの揺れに眠気を誘われながら俺は窓の外を見ていた。
バスの行先は"高度育成高等学校"。
それを考えるだけで、
「……はぁ〜」
ため息が出てくる。
なぜって?めんどいからさ。
俺自身普通の学校が良かった。家から通える程々の距離でのびのびと出来るとこが良かった。
なのに俺の行く学校と来たら、全寮制・敷地外への外出禁止。それを3年間も。
嫌じゃん………嫌じゃない?
それなのにここに来る羽目になってしまった。
何故こんなことになっているのか、それは受験期にまで遡る。
『あんたここ行きな!就職率100%だってよ!』
『なに!?それなら今すぐそこに決めるべきだ!な!我が息子!』
『え……』
回想終わり。終了。閉廷。お疲れ様でした。
まあ、結論を言えば親の強い、もうそれは大関も真っ青な強い押しによって強行的にこうなってしまった。
なんか気が付いたら受験の申請出してるとかだったし?無理くり受験の日に連れていかれたし?
そんな感じで普通に嫌だなーって思いつつも入試になって、適当にパパパッとやるかーって思いつつ遊びながらやってたらまさかの合格。
親は大喜びだったけどワシはこの世の終わりみたいな顔してたと思う。
そんな訳で今日は初登校日。外の世界を見るのも今日で最後だね。クソッタレ。
ああ、行きたくねーよ。行きたくねー。
「……はぁ〜」
そんなため息を零しつつ背もたれへと体重を預け、
「ちょっと君」
「ん?」
何やらバスの前の方が騒がしい。
何かあったのだろうかと気になり見てみると、どうやら優先席に座る金髪の筋肉モリモリマッチョマンの変態青年が近くに立つ老婆に席を譲ろうとしない(見てすらいない)のを見てOLの女性ブチ切れ。言い争いになっているらしい。
なんともまあ……元気なようで。
朝から行きたくもないとこへ向かわされて憂鬱になっているというのにそんなとこに追い打ちとばかりにこんなシーン見せつけられたら、
「スゥーーー……あ゛ーーー」
そんな誰に聞かせるでもない嘆きを口から吐き出しつつ、
「ばっちゃん、ばっちゃん」
「え?」
「ここ座んな」
そう言って席を譲る。
初めはキョトンとしていたが次第に顔を綻ばせ、ありがと一言もらい座ってもらった。
「フッ、彼が譲ってくれたようだね」
金髪の筋肉モリモリマッチョマンの変態がキザったらしくそう言う。
うるせえ、バスぶつけんぞ。
「あのねぇ、そういう問題じゃなくて」
OLのネーチャンやめて!そこで噛みつかないで!僕が出しゃばった意味無くなっちゃう!
そんなこんなでバスは進んで行った━━
「さっきはありがとね。私櫛田桔梗、よろしくね」
やめて!話しかけないで!今次のシーンに行く流れだったじゃん!
「あ、うん……よろしく?」
「うん!」
視線を彼女、櫛田に移しつつそう言うと元気よく返事を返す彼女。
とりあえず俺はそれを確認したので彼女から目線を外すが、
「………」
すっごい見てくる。めっちゃ見つめられてる。
え?なんか顔についてる?朝ごはんに食べた白米の粒お口についてます?え?恥ずかし!死ぬ!
「………」
まだ見てくる!怖いよ!
……あ、もしかして、
「……えーと、大空大地です。よ、よしなに?」
「うん、よろしくね!」
名前待ってただけか〜、なんだぁ〜。
……いや、じゃあ見つめないで名前教えてくらい言ってよ!
そんな感じでバスは進んで行った。……今回は次のシーン行くよね?行けよ?
◇◆◇
「着いた…」
着いちゃった。
はてさて、あれから数十分。なんとか学校に着いたバス。降りてみるとそれはそれは壮観だった。
まあ、学校がデケェデケェ。
とりあえず肩にかけたスクールバッグを肩にかけ直しつつ歩き出す。
櫛田は知らん、どっか行った。
「…にしても暑いな」
この季節にしては気温が高い。俺が暑がりなこともあるけどブレザーがまじ邪魔。ワイシャツでの生活はダメですか?
てか、こんなインドアのあたしに数十分もの間揺れる車内で立たせ、さらにそこから汗を流しつつ教室まで歩けとか鬼?鬼なの?鬼か。
「ま、ひとまずクラスを確認しますかね」
クラスを確認しなきゃ何も始まらん。
学校の入口まで来た俺は早速そこに張り出されたクラス分けの用紙に目を通す。
「ふむ、Dか」
どうやら俺はDクラスらしい。
俺の勘違いで実は入学出来てなかったって可能性はここで潰えた。死にます。
「はぁ〜、行くかぁ…」
そんな愚痴を零しつつ重い足を進める。
廊下を歩いてると俺と同じような新入生たちが多い。
みんな新たな生活にドキドキワクワクしているような表情だった。俺とは真逆だね。
そんなことを思いつつ、ひとつ気になる点がある。
バス停から学校まで47個。校舎に入って13個。なんの数でしょう?
正解は監視カメラ。
いけどもいけども設置された監視カメラ。
歩く度に見える新しい監視カメラ。
カメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラカメラ…
ゲシュタルト崩壊起こすわァ!
多すぎぃ!え?なに?ここの先生って生徒たちのことこんなに見るの?
今日のあの子は昨日と違うストラップつけてるなぁ、ぐへへへへ。見たいな?
今すぐにおうち帰りたいですねぇ。
と、そんなことを考えてるうちに教室に到着。
早速入りましょ。
「お邪魔〜」
小声でそんなことを言う。
ジャマスルナラカエッテー
なんか聞こえた気がするけど多分気の所為。
さて、俺の席はー……
ふむ席は黒板に貼られたプリントから確認しろと。良かろう、見てやろうじゃない。
席は窓側の後ろから二番目でした。当たりだね、やったー。
とりあえず俺は話す相手も誰もいないので時間まで寝ることにする。
懐からアイマスクを召喚!装着!………zzz
◇◆◇
zzz
『ガラガラガラ』
……ん?この音は、
「席につけ」
ああ、先生が来たのね。
声を確認した俺はアイマスクを外しポケットへとしまう。
視線を教壇に向けると女性用スーツに身を包んだ黒髪ポニーテールのクールビューティ系の美人さんが立っていた。
あ、あなた担任?美人ですね。勝ちました。
「新入生諸君、私はDクラスを担当することになった茶柱佐枝だ。普段は日本史を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく。今から一時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校のルールについて書かれた資料を配らせてもらう。以前入学案内と一緒に配布してあるがな」
ふむ、簡潔でわかりやすい説明だ。
とりあえず今の発言も含めこの先の説明を一言一句覚えておこう。……ゲームやってる癖で人の言ったセリフを一言一句間違えずに覚える特技身に付けちゃったんだよな。
そんなことを思ってると前かの人からプリントが渡される。
「あ、ども」
それを受けとり自分の分を抜きとり後ろへと回す。
とりあえずプリントに一通り目を通す。
そこに書かれていたものは、この学校……を含むこの敷地内全体が国が管理するものだということ、そして、在学中は外部へと外出、連絡はダメーということだった。
その代わり敷地内に学生寮、学校のほかにほぼひとつの街のようなものになっていて暮らすという点に関して不自由はないらしかった。
え?ゲームできるってこと?まじ?
やったね。思わずコロンビアしてしまうね。
「また今から配る学生証カード。それを使い敷地内にあるすべての施設を利用したり、売店などで商品を購入することができるようになっている。まあクレジットカードのようなものだな。ただしポイントを消費することになるので注意が必要だ。学校内においてこのポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものならなんでも購入可能だ」
……それを聞いて俺の動きは止まった。
「施設内では機械にこのカードを通すか、提示することで使用可能だ。使い方はシンプルだから迷うことはないだろう。それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たち全員に平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある。これ以上の説明は不要だろう」
これ以上の説明は不要……つまり逆を言えばこれ以上詳しく話す気はないってことだ。
「ポイントの支給額が多いことに驚いたか? この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちにはそれだけの価値と可能性があると言うことだ。だが無理矢理カツアゲするような真似だけはするなよ。学校はいじめ問題にだけは敏感だからな。さて、質問があれば受け付けるが何かあるか?」
なるほど……だいたい
確証はないがそういうことだろう。完全なミスリード。勘違いさせること前提の話し方。これは謎解きのようなものだな。
つまんね〜と思ってた数時間前の俺を殴りたいね。こんなのゲームよりゲームしてるじゃん。
……ちょっと、ちょっとだけ楽しくなってきた。
「……質問はないようだな。では良い学生ライフを送ってくれたまえ」
そう言って茶柱先生は教室から出ていった。
まずは情報をまとめよう。
毎月一日にポイントが振り込まれる、ということ。
そして今現段階において俺たちは10万ポイントを配られる程の価値があるということ。
そして、この敷地内のものはポイントを使えばなんでも買えるということ。
んでもって、尋常じゃない数の監視カメラ。
これだけ聞けば特殊な学校で済む。ただ、裏の部分まで…それこそ俺の考えが正しかったとしたらこの学校は超特殊だ。
……これはゲームだ。リアルゲーム。コンティニュー不可という縛りプレイ有りきのクラス対抗の戦争ゲームだ。
なんだ、くそ楽しい場所じゃん。
「さて、それならそれでちょっと確かめないといけないこともあるな」
そんな誰に聞かせる訳でもない独り言を零しつつ立ち上がる。
この後入学式ということで教室待機してた方がいいんだろうが俺は今用事が出来た。それにその用事もすぐに終わる。
俺はそのまま教室を出て、茶柱先生のあとを追った。
◇◆◇
「あ、いた」
廊下を歩いて少し。目の前に茶柱先生の背中を捉えた。
「ん?お前は……大空だったな。この後入学式が始まる。教室待機のはずだ」
「ああ、そうなんすけどね。ちょっと気になることがあって」
そう言うと目を細める先生。
「ほう。して、なんだ?」
「このブレザー、脱いでてもいいんですか?」
「……?」
何を言ってるんだこいつ、そんな言葉が似合うほどのキョトン顔になる先生。だが、そんなことお構い無しに俺は言葉を続けた。
「いやー、俺暑がりなんで。ブレザー着てるとちょっと…。てなわけでワイシャツで学校生活送っても大丈夫すかね?」
「?好きにしたらいいだろう?」
頭の中がhatenaでいっぱいであろう先生。
ならここは質問を変えていこう。
「ブレザーを着ない、それって減点対象っすか?」
「━━!?」
表情が変わった。さっきまでの差、俺の妄想が現実味を帯びてきた。
「んん、ブレザーを必ず着用しなければいけない校則はない。ただ、これからの入学式を含めた大事な式などでは着ていろ。それ以外の場面では特段罰則もない」
「あ、そすか。OKです。ありがとうございました」
そう言いつつ俺は踵を返し教室へと戻って行った。
背中に先生の視線が突き刺さってたことは言うまでもないだろう。
気ままに更新していきます
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原作キャラから見た主人公への印象回
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見たい、是非とも書いていただきたい
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別に、物語を進めてくれ