リリカ・プリズムリバーと過去のお話

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東方 幻奏協

東方幻奏協

 

 ここはありとあらゆるものが住むことを許されている地―幻想郷。人間はもちろん、妖怪や吸血鬼、月の民などありとあらゆる境界を超えた人種が住んでいる。その中にはポルターガイストも例外ではない。

 

 ここはポルターガイスト達の集まる森、通称『幻奏の森』又は『孤立した音色』と呼ばれている。この場所からは日々、数多の音が鳴り響いている。そこには、いつも三人のポルターガイストの姿があった。彼女らは音楽をこよなく愛している姉妹だ。

 長女のルナサ・プリズムリバーはヴァイオリンを中心として弦楽器を愛用している。過去にやましいことがあったらしく、「鬱」の音色を演奏している。

 次女のメルラン・プリズムリバーはトランペットを中心とした管楽器を愛用している。過去のやましいことを紛らわす「躁」の音色を演奏している。

 三女のリリカ・プリズムリバーはあらゆる楽器を演奏することが出来るが、パーカッションや鍵盤楽器を愛用している。彼女は「幻奏」の音色を演奏することが出来る。彼女の音を聴いた者は、遠い幻想に引きずり込まれてしまうらしい。

 彼女らはプリズムリバー三姉妹と言われているが、彼女らは「三姉妹」という言葉を忌み、嫌っている。それはまた後のお話。

 今回のお話は彼女らの過去と企みのお話。

 

 「ねぇ、最近、音がかすんで聴こえるのだけれども・・・・。」

 長女のルナサは一番耳が良かった。そのため、音の不具合をすぐに感知し、直すように促している。彼女らは完璧な演奏を目指しているわけではない。目的としているのは「自分たちが楽しくて、透き通ったきれいな音色を響かせる」こと。だから、濁った音や、かすんでいる音は取り除かなくてはならない。

 「うん・・・・・わかった・・・・。」

 注意されたのは三女のリリカだった。リリカはどこか不満げな表情で答えた。

 「どうしたの?体調崩したの?」

 次女のメルランは常に周りに気を遣っていた。そして一番の健康者(?)だった。

彼女らは騒霊「一般的にポルターガイスト」と呼ばれているため、病気になることは無いのだが、メルランはお構いなしだった。

「いや~大丈夫だよ!ほら元気でしょ!だから心配しないでよ!メルランお姉ちゃんはいっつも心配しすぎなんだよ!」

 リリカは元気なそぶりを見せるため、立ちあがって腕を大きく縦に振った。そして、どこか悲しげな笑顔を二人に見せた。

 「そう、良かった。でも、無茶は良くないからね。」

 メルランは笑顔で返して、そういった。そして、その言葉から、やはり心配性だと誰でも分かった。

 「それじゃ、続けるよ。」

 ルナサが空気を読まないでそっけなく言い放ったが二人はコクリ、とうなずいて、再びセッションを始めた。「鬱」と「躁」と「幻想」の音色がこの森に静かに鳴り響いた。

 

 

 

 どれくらいの時が経ったのか分からないが、陽が沈むことだけは分かっていた。彼女らはいつまでも演奏をしていた。いつもは悲しい音楽も「躁」の音色で少し明るくしていたが、今日はとても悲しく聴こえた。心に宿した何かを懸命に表現していた。その音を聴いていた動物や妖怪たちはふいに立ち止まり、びくともしなかった。

 そこに空気の読めない少女が、ズカズカあるってきた。彼女は明るくて、元気で、白黒の普通の魔法使いで、過去様々な異変にかかわってきた人物だった。

 「ここら辺から、きれいな音色が聴こえるな!・・・・・・。もうちょっと近くに寄ってみるか!」

 少女は人も妖怪も入ったことのない場所へたどり着いた。そこは、音の聖域、と言ったところだろうか。とても神秘的で、色鮮やかで、色彩豊かな場所だった。

 「ふぁ~!すっげぇ~!こんな場所あったんだな!」

 少女が驚いている間、音楽は止まっていた。そして、動かなかった者達が一斉に動き始めた。

 「雑音が聴こえると思ったら、あなただったのね。霧雨 魔理沙。」

 「きれいな音楽が聴こえると思ったら、やっぱりお前たちだったのか。騒霊三姉妹!」

 その言葉を聞いたリリカはうつむいてボソッ、と言い放った。

 「そんなこと言わないでよ。」

 「なんだ?なんか文句あんのか?」

 メルランはリリカに、気持ちを抑えるように言い、リリカはコクリ、とうなずいていた。

 (何か悪いこと言ったかな?)

 そんな気まずい空気の中、ルナサがまた口をはさんだ。

 「魔理沙。あなた、ここに来たということは、私たちに用があるんでしょ?」

 「もちろんだぜ!遠くから聴こえる音楽を聴いてたら、お前たちの合奏を聴きたいなぁ~って思ったんだよ。それで、あるってたらここに来たってわけ。」

 「そう・・・分かったわ。二人とも、用意して。」

 リリカは少しためらっていた。が、ルナサが合図をすると、演奏を、合奏を始めた。魔理沙は目をつぶり、音楽に聴き入っていた。

 その音楽は瞬く間に、森の生物の動きを止めた。

 

 

 

 「いつの間にか夜になっていたな。」

 「そうね。」

 森に音楽が響く中、空には数多の星が浮かんでいた。静かに風が吹き、そのたび髪がなびいていた。

 「さて、私はもう帰るぞ。あっ!一つ言っておくことが、いや、二つ言っておくことがある。」

 「何かしら?」

 リリカとメルランは同時に「そこは聞き返さなくてもいいでしょ。」と、思った。

 「一つは、おまえたちの演奏、すごくきれいだったぜ!つい、聴き入っちゃったぜ。」

 「ありがとう。」

 ルナサは恥ずかしいのか、顔をあかくして、うつむいた。しかし、次の言葉に三人は驚愕した。

 「お前たちの音楽さぁ~なんか、今までと違うんだよな~。」

 「「「!!!」」」

 三人は驚きを隠せなかった。あまりの事実に衝撃を受け、震えていた。そんな中、またもやルナサが魔理沙に問いだした。

 「ど、どういう意味よ。」

 魔理沙は「どうしたんだ?」的な顔でこちらを見つめていた。そして、こう返した。

 「アレに似ていたな。アレだよ。え~っと・・・・。そうだ!私たちがおまえたちと戦ったときの音に近かったぞ!淋しいって言うか、怒っているっていうか、なんか、楽しいっ!って感じじゃなかったな。そんじゃっ!」

 魔理沙はニカッ、と笑い、飛び去っていった。三人はうつむいたままでいた。

 長い沈黙と魔理沙の言葉で三人は胸が押しつぶされそうだった。

 まだ、風がなびいていた。その優しい風も今の三人にとっては心に空いた穴を通る、邪魔な存在でしかなかった。

 

 小鳥のさえずりが聞こえてきた。陽が昇ってきた。冷たい空気が頬をつたっていった。朝になったのだろう。姉妹たちは無理やりそう思うことにした。三人の頭の中には魔理沙の言葉が残っていた。しかし、リリカは魔理沙の言葉の「三姉妹」の言葉にいらだっていた。

 (あんな奴に私たちが分かるわけない!私たちの絆が―!)

 リリカは手をグッ、と握りしめ、立ち上がった。そして、森から抜けようとした。

 「待って!リリカ!どこに行くつもり!」

 リリカは何ものかに手を掴まれた。必死にはらおうとしても、離してはくれなかった。

 「どこに行こうが私の勝手でしょ!離してよ!ルナサお姉ちゃん!」

 「いいえ!離さないわ!リリカ!私の言うことを聞いてよ!」

 ルナサは妹の腕を両手で握りしめた。リリカは相変わらず、手をはらおうとしていた。

 「なんで私だけ!いつもいつも!お姉ちゃんのバカ!」

 そう言い残して、リリカは姉の手を振りほどき、森の奥に走っていった。

 (なんで!なんで私だけなの!いつもいつも!もう!お姉ちゃん嫌い!)

 逃げるように走った。とにかく走った。どれだけ走ったが分からないが走った。

 「イタッ!」

 目の前には木があった。その木を見るなり、頭をつけて泣いた。とにかく泣いた。涙が止まらなかった。

 「うわああああああああああああん!」

 その音は森中に広がった。頬を伝う涙に吹き付ける風がとてもとても冷たかった。

                 *

 「ねぇ、ルナサ。リリカのことなんだけど・・・・・。」

 「ちょっと、甘く見ていたわ。昔は私の言うこと何でもってわけじゃないけど、ちゃんと聞いてくれたたから、今回も聞いてくれると思ったけど。」

 「聞いてくれなかった。」

 ルナサは妹を見た。少ししてコクッ、とうなずいた。

 「リリカもいい加減子供じゃないのよ。だから、ちゃんと同じ視線で話した方がいいわ。」

 「分かったわ。それにしても―。」

 「?」

 「まさか、妹に助けられるとはね。想像もつかなかったわ。」

 「ふふふ。私もお姉さまを助けるなんて思っていなかったわ。」

 「そのお姉さま、って言い方、止めてくれない?なんか、お嬢様みたいじゃない。」

 「あら、そうなの?私はこっちの方がしっくりくるんだけど。」

 「ふふふ。まあ、いいわ。それじゃあ、リリカを探しに行きましょう。」

 「はい、お姉さま。」

 こうして二人は妹を探すために別々の方向へ走っていった。それが異変に巻き込まれる前兆だと知らないまま。

                 *

 「紫様、準備が整いました。」

 九尾の妖怪が、通称スキマ妖怪に告げた。

 「御苦労さま。あと、もうひとつお願いがあるのだけど、いいかしら?」

 「はっ、おおせのままに―。」

 「それじゃあ―。」

 

 少女は泣き疲れて、木に寄りかかっていた。しばらく安静にしていた。

ふと、前を向くと、そこには見ているだけで気持ち悪くなりそうな、異常な空間があった。リリカはそれを見るなり、おぞましい気配を感じた。そして、危険だと感知し、一目散に逃げていった。

急に止まった。なんと、目の前にはスキマ妖怪がいたのだ!リリカは後ずさりした。「勝てるわけがない」と気配で感じた。逃げようとしたそのとき!スキマ妖怪が声をかけてきた。

「あなた・・・・面白そうね。私について来なさい。」

リリカは首を横に振った。もし、ついて行ったら、何をされるか分からない。そんな気がした。そして、とても怖かった。

「そう・・・残念ね・・・。でも、意地でも来てもらうわよ。」

すると突然、リリカは異常な空間に連れ込まれた。とても強い力で引っ張られ、振りほどくことが出来なかった。

「いやああああ!やめてえええええ!」

その声は誰にも届かず、スキマに吸い込まれた。

「まったく、三女は大変なのね。」

そう言い残して、自分もスキマに入っていった。

 

 

 

「・・・・っ!・・・・うん?」

 目を覚ますとそこは見たことのない光景が広がっていた。薄暗い部屋、床には多数の目の模様など人が入ることではない場所ではないことだけは分かった。一番目についたのは異常に背の高い座椅子。思うに、あれがスキマ妖怪の座っている椅子で、あそこから幻想郷を眺めているのだろう。そう考えると、見下されている感じがとてつもなく感じた。

放心と驚愕と屈辱を感じているとき、あの声が聞こえた。あの屈辱的な声が―!

「あら、起きたのね。あなた、一人だったけど、二人の姉は?」

私はちらっ、と顔を見た。目に入ってきたのは、分かっているのに聞いてくる雰囲気と、私を下に見ているような目つきだった。

(言うもんか!こんな奴に!絶対に言うもんか!)

そんな気持ちを感じ取ったのか、スキマ妖怪は指定してある座席に座った。そして手をたたいた。すると、スポットライトのように、一部分だけ明るく照らされた。そこに座っていたのは、目を疑う者がいた。

「お、お姉ちゃん!」

そこにいたのは、リリカの姉―ルナサとメルランの姿があった。そして、二人の後ろにはスキマ妖怪の式神と、スキマ妖怪の式神の式神の姿があった。そしてそれらは姉を動けないように縛っていた。

「あれが見えるでしょ。」

私はスキマ妖怪をにらんだ。しかし、あっちは完全に見下した顔で睨んでいた。そして、クスッ、と笑うと、こう言い放った。

「あなた、異変を起こして下さらない?最近、宴会も無いから退屈でしかたが無いのよ。そ・こ・で!あなたのその執念を利用しよう!ってなったわけ。だから、手伝ってよ。」

私は堪忍袋の尾が切れた。見下した顔で自分の都合のいいようにことをすすめることがとても気に食わなかった。

「ふざけないでよ!なんであんたなんかの言いなりにならなきゃいけないの!確かに、執念はあるよ!でも、でも、あんたなんかの言いなりなんて、絶対嫌よ!」

私の声はこの空間に広がり、やがて、闇に消えていった。

そのあとの沈黙の中、すきま妖怪は何か思いついたようにいきなり呟いた。

「あなたにはこの力を貸してあげる。あと、藍。催眠術やっておいて!」

(なんて軽い口調だよ!私をなんだと思ってるの!これが幻想郷の頂点に立つものなの!)

藍と呼ばれるスキマ妖怪が操る九尾の式神が私の前に現れて、催眠術をかけ始めた。

「あなたは、ゆかり様の言いなりにならなければいけない。ほ~ら。だんだん力が抜けて来るでしょ?」

わたしはそんなのにかかるわけない、って思ってたのに・・・・力が・・抜け・・・て・・・。

少女はこの催眠術の前兆と言ってもいい、眠りに堕ちてしまった。

「ふふふ、これで言いたいことがちゃんと言えるわね。おやすみなさい。」

スキマ妖怪は何もしていないのに達成感があった。そして、ゆっくりと眠りについた。

 

 

 

 

(私は、どうしてここにいるの?)

少女はゆっくりと体を起こした。

体が重い、だるい。何も思い出せない。記憶があるのは演奏会をしたときのことまで。演奏会?あのとき、あそこにいたのは私と誰だっけ?・・・・誰だっけ?

そんなことはいいや、ここはどこなんだろう?

少女が動こうとしたとき、聞き覚えのある声が聞こえた。

「あら、おはよう。ぐっすり眠れた?今日から、あなたは私の言いなりよ。」

少女は無意識に「はい。」と答えた。それを見たスキマ妖怪はにこっと笑ってどこかに行ってしまった。

 

 

 

私は虚ろになっていた。視点の合わないまま、どこかを一途に見つめていた。

そのとき、九尾の妖怪が私の所に来て、耳元で小さく話した。

「ゆかり様からのご命令です。――――――とのことです。」

私はこくん、とうなずいて外に飛び出した。

今日は満月だ。月の光が少女を照らしていた。少女もまた、月に向かって飛んでいった。

                 *

「ゆかり様。本当によろしいのですか?」

「大丈夫よ。決めるのは、気付くのはあの子なんだから。」

「そうですか・・・」

「どうしたの?何か気に障ることがある?」

「いえ、でも・・・・・想いが届いてほしいです。」

「・・・・・・そうね。」

「ゆかり様こそ、お気に召されることがあるのですか?」

「ちょっとね・・・・・。でも、大丈夫よ。さあ、私たちはあの子を見ておきましょう。」

「はあ・・・分かりました。」

 

 

 

一片の曇りのない満天の星空の中、少女は飛びまわっていた。

(このあたりでいいかな。)

そう思うと自慢のキーボードを取り出し、演奏を始めた。その音は妖怪をも苦しめる音だった。

そんななか、勇敢な二人組が少女に立ち向かうのであった。

 

通称:空飛ぶ楽園の巫女 こと、博麗霊夢はまず、東洋の西洋魔術師こと、霧雨魔理沙と合流して少女のもとへ飛んでいった。

「こんな夜中に異変とか原因人物の頭がどうかしてるわ。」

「そうだな。それにしても満月だろ?レミリアだったりして。」

「さすがにそれは無いわ。第一、月が紅くないもの。それにこの音―。」

「なんだか、悲しい音だ。胸が苦しくなる音だ。」

「まるで、誰かを求めているようね。」

「んっ?」

「ところであなた、心当たりは無いの?」

「そうだな・・・・・・音・・・まさか!プリズムリバー達か!」

「だと思うわ。しかも一人。良く耳を澄ませてみなさい。」

「分かった。・・・・・確かにそうだな。でも、これはルナサの音じゃない。」

「えっ?うそでしょ?この音は、でも、良く聴いたらキーボードね。」

「だろ?だったら、元凶はリリカだ。」

「でも、あの子が異変を起こすなんて、考えられないわ。」

「だよな。私もそう思ったんだが、思い返すと起こしそうな雰囲気は漂わせていたんだよ。(私が行った演奏会のときに気付いた。遅かったか。)」

「そうなんだ。あなた、リリカとなんかあったの?」

「っ!ま、まあな。」

「そう、じゃあ私は手を出さないから宜しく。」

「なっ!・・・・・分かったよ。」

 

 私は何を考えているわけでもなく妖怪を苦しめ、手強い妖怪を操っていった。

そこに魔法使いが現れた。突然に、流星のように―。

「リリカ!やめろ!私が悪かった!」

少女は振り向きはするものの演奏を止めることは無かった。そんな虚ろなリリカに魔理沙は思わず肩をつかんだ。

「やめろって言ってるだろ!」

少女は魔理沙を見て、突然操った妖怪をだした。少女はその妖怪を演奏により操っていた。その妖怪は有名で、魔理沙とも仲が良かった。だから、余計に手が出せなかった。

「ア、 アリス・・・うそだろ?お前が操られるなんて・・・。」

「・・・・・

アリスと呼ばれる人形遣いは少女に操られていて、魔理沙に攻撃を仕掛けてきた。隙の無いフォーメーションに隙のない攻撃で魔理沙は翻弄されていた。

(くそっ!隙が無い!さらに、相手がアリスときた。どうしよう。傷つけたくはない。)

魔理沙が葛藤してる中でもアリスは、否、少女の攻撃は続いた。

激闘の中、魔理沙はあることに気が付いた。それはほんの一瞬だったが、魔理沙にははっきりと聞こえた。

「あなたは私たちのこと分からないくせに」

「(私たち?なんかあるのか?)しまっ!ぐはっ!」

魔理沙は不覚を取られ、撃ち落とされてしまった。

(くそっ!原因が分かれば止められるのに!)

下には霊夢が待ち構えて、見事にキャッチしてくれた。

「サンキューな。霊夢。」

「別に。それで、何かわかったんでしょう?」

「ああ。だが、どうやって心を開いてくれるかが問題だ。」

「私にも手伝わせて。しょうがなくだからね。」

「なんだよ。・・・・サンキューな。作戦は――――。」

 

 

 

「リリカ!こっちだ!」

声が聴こえた方をアリスに攻撃させた。

(やっぱそうくるか!いまだ霊夢!)

魔理沙が合図した瞬間、霊夢は札を貼った。

「あああああああああ!」

少女は巫女に札を貼られ、催眠術が解かれた。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ。」

少女は魔理沙をにらんだ。魔理沙はおぞましい気配がした。

「あんたたちに私たちが分かるわけがない!」

「何があったんだよ。なんでそんなに三姉妹が気に食わないんだ?」

「それは!・・・・・それは」

「慌てることは無いわ。自分が話したいと思うときに話しなさい。」

そう言われて、少女はうつむいた。そのあと、決心して話し始めた。

「あのね!――――――。」

 

幻想郷の端にある、音の聖域、否、音楽館があった。この館は、音楽をこよなく愛する者たちが集まる場所でそのなかに、プリズムリバーと言われる、幻想郷の中でも名の知れた一族があった。

その一族には一人のお嬢様がいた。彼女は一人っ子になった少女であり、能力者でもあった。しかし、能力はだれにも見られていないところで使っていた。

少女には音楽を奏でてくれる姉妹がいた。

彼女は、音楽をこよなく愛している一族の落ちこぼれともいわれるべき存在だった。楽器は弾けない、楽譜もろくに読めない、挙句の果てには音楽のことなど、彼女が作り出す姉妹の音以外には聴いたことも無かった。

だから、彼女は外のものには知られていないし、一族は隠し通してきた。

何ものからにも隔離された少女、名をレイラ・プリズムリバーといった。彼女はここに生まれてくるべきでは無かったと、何度も悔やんで生きてきた。それでも、生きることを諦めなかったのは、三姉妹がいたからであった。音楽を奏でてくれる三人の中の良い姉妹がいたからであった。

 

 

 

あるとき、レイラは三人を区別しやすいように帽子と名前を少女らに与えた。

「あなたは、悲しい音楽を奏でてくれるから、この二人のお姉さんね。名前は、え~っと、お月さまみたいな髪の毛の色だから、ルナサね!はい、月の帽子!」

「あなたは、マーリンみたいな性格だから、メルランね!明るい音楽を奏でてくれるから、太陽の帽子ね!」

「あなたは、歌詞が浮かびそうな音楽を奏でてくれてるから、リリカね!不思議な感じだから、星の帽子!一番小さいから妹ね!」

こうして、三姉妹はそれぞれの象徴である帽子と生き別れたとは知らぬ少女の実の姉たちと同じ名前を付けた。

その日は寝るまで音楽を聴き続けていたらしい。

 

 

 

ある日音楽会が行われた。会場は不吉にもプリズムリバー家であった。少女はいつも通り部屋にこもっていた。いつもどおりに音楽を聴いていた。

夜になり、外が明るいことに気が付いた。

(なんだろう?)

窓の外を見るとそこには火が立ち上っていた。

「えっ!か、火事!火がそこまで広がってるなんて!せ、せめて!この子たちでも助けてあげなきゃ!」

レイラは力を出し切って、彼女たちを騒霊として助けた。自分の身を犠牲にして。

 

 「そうか、そんなことがあったのか・・・・・」

 リリカはコクッとうなずいた。

 「ごめん・・・・・。そんなことも知らなくて。ごめん。」

 「大丈夫。なんだか、言えてすっきりした!」

 「そうか、でも、何でこんなことしたんだ?」

 「それは・・・・・・。」

 「どうせ、紫でしょ?」

 「な、なんでわかったの?」

 「あいつのやることは大体分かっているから。」

「そ、そうなんだ・・・・」

「リリカ、明日も聴かせてくれないか?」

「・・・・・・うん!」

 

 「リリカ!よろしくな!」

 「うん!」

満天の空の中、少女の演奏は幻想郷中を響き渡り、その音色は全ての住民を魅了した。

「リリカも立派になったのね。」

最高の音楽は亡き少女にもその音色は届いていた。




あとがき
 最後の方は飛んでも無くひどくなってしまってすいませんでした。
 まずは謝っておきますね。
 さて、この本はリリカと過去のお話でしたけど、いかがでございましたでしょうか?ひどい、としか言いようがないと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございます!
 今回のきっかけは亡き妹(?)レイラのことを交えて話したいなぁ、と思いまして書きました。あとは、過去なんて自分でいくらでも作れますからね。意外と過去作りも面白いものですよ!なんて、こんなこと言うのはキチガイだからなんでしょうが、ネ。こちらなりの設定と構成でしたが喜んでいただければと思います!
 それでは、ここで締めさせていただきますね。
 この作品を読んでいただいたすべての皆様と、東方を作っていただいたZUNさんに感謝をこめて、挨拶とさせて頂きますね!

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