まだ新しい生活に慣れてないので安定はしませんがゆっくり更新していきたいと思います……
ある日の朝、朝のルーティンであるランニングを終えで朝ごはんをしようとカフェテリアを訪れた。
「おはようございます、ライスさん!」
「あ、アリスちゃんおはよう!」
丁度朝食にライスさんも来ていたようだ。朝からパン派とはいえ結構量取ってるな……あの小さな身体のどこにそんな入るのですかね……
「そういえばライスさん、今度の天皇賞・春出走しますか?」
ライスさんは今年からシニア期に入る。特に菊花賞を制しステイヤーとして資質を見せつけたライスさんにとってこれ以上の舞台はないだろう。
「天皇賞かぁ……確かマックイーンさん出るよね? 次の天皇賞で三連覇みたいだしライスが出てまた皆を悲しませたら……」
「おや、ライスさん? 誰が悲しむですって?」
そこにひょこっとマックイーン登場。どうやら朝食の時間がめずらしく被ったようだ。
「ひゃい!? マ、マックイーンさん……?」
「私は負けるつもりはありませんわよ? それが例え同じチームの仲間だとしても!」
「そうだよライス? マックイーンはボクと去年走ったときもこんな感じだったよ」
これまた珍しい、テイオーさんではないですか。テイオーとマックイーンが一緒に朝食を取ろうとしたところ私達が丁度ここにいた……って感じなのかな?
「あ、ちなみに今年もボク天皇賞・春に出るつもりだよ! このままマックイーンに長距離で勝ち逃げされるわけには行かないからね!」
「ふふっ、前回の秋天では負けてしまいましたが今度は負けませんわよ!」
この世界のテイオーはマックイーンと対決後も骨折をせずにそのまま走り続けることができた。その後、二人はテイオーの得意な中距離である天皇賞・秋で競い合い今度はテイオーが勝利を収めた。
でもテイオーにとっては長距離である天皇賞・春で負けたのが悔しく今年の天皇賞・春でも戦おうとしている。
「私もテイオーも出ますのにライスさんももちろん出走してくれますよね?」
「えっ? ……でもライスなんかが一緒に出ても……」
「私はライスが二人と競い合ってる姿が見たいなぁ〜」
「アリスちゃん?」
私はライスさん、マックイーン、テイオー……この三人が走っているところを見たい。本来なら出走が叶わないテイオーが、骨折をせずここまで来てくれた。
ある意味この世代最強のステイヤーを決める戦いになる。もちろん全員頑張ってほしいが私の魂に刻まれているライスさん推しがあるので心の中の一番人気はライスさんである。
「ライスさんが二人に勝って最強のステイヤーはライスだってところを見せてほしいです!」
「ふぇっ!?」
「あら? アリスは私が負けるとでも?」
「ちょっとぉ〜! ボクだって負けないよ!!」
「あはは、もちろん二人の実力は知ってるよ。でもね、今度の天皇賞は絶対にライスさんが勝つよ……!」
正直なところもう私の知っている史実とかなり異なっている。なので必ずライスさんが勝つという保証はない。だけど私の中での最強のステイヤーはライスさんだと信じている。
「そんなに持ち上げられても……恥ずかしいよぉ〜……」
「ふふっ、本当に仲が良いのですわね」
「そりゃあ私にとっての憧れのウマ娘だし? 当たり前だと思うけどなぁ〜」
「分かるよその気持ち! ボクもカイチョーが最強のウマ娘だと思ってるし!」
「ルドルフさんは名実共に最強なのは間違いないよ……」
「おっ? アリスも分かってるじゃん!」
いつの間にか憧れのウマ娘の自慢大会になってしまい隣に居るライスさんが顔を真っ赤にしているのに気づいたのはライスさんが天皇賞・春に出走することを決めた後だった。
◆
「さて、次の天皇賞・春だが……知っての通りうちのチームからメジロマックイーン、トウカイテイオー……そしてライスシャワーの三人が出走することになった。天皇賞にうちのチームから三人も出るなんてな……」
トレーナーよ、それを言うなら去年の天皇賞もマックイーンとテイオーの対決だっただろ……とツッコミたくなった。
しかし、今回の天皇賞・春はもう私の知る世界の天皇賞・春ではない。本来ならマックイーンとライスさんの二人のはずがテイオーも居る。怪我をせずにここまで来たテイオーだ。確実に強くなっている。ただし今回のレースは3200mだ。いくら去年経験済とはいえテイオーの距離適性的には長いだろう。
「それと今年もそれぞれに分かれてトレーニングをしてもらおうと思ってる。まあ、内訳は去年と一緒でマックイーンにはスペ、ゴールドシップ、テイオーにはスカーレットとウオッカだ。そしてライスは……まあお前が一番の適任だろう。任せたぞ、アリス」
つまり天皇賞まで私とライスさんはつきっきりでトレーニングできると? ご褒美かな?
「それぞれのトレーニングメニューは既に作ってあるからそれに沿ってトレーニングしてくれ」
ということなのでトレーナーからライスさん(と私の分)のトレーニングメニューを預かった。
内容は……『ライスシャワーのことならお前が一番知ってるはずだ。トレーニングの内容はお前に任せる』……は? いや、さすがにそれは放任主義にも程がありませんかね!?
「あのトレーナー……この内容は?」
「ん? 書いてあるとおりだ。正直なところ俺よりお前のほうが間違いなくライスについて詳しいから一任させてもらったよ」
本当か? めんどくて私に投げたのではないのか??
いや、このトレーナーのことだからしっかりとした考えはあるとは思うが……
「まあ……なんていうかこればかりはお前に任せたほうがいいと俺の直感がそういったんだ。誰よりもウマ娘を見て、そのウマ娘に一番必要なアドバイスができるお前だからこそ任せたんだ」
「……なるほど……ただの責任放棄ってわけじゃないんですね」
「えっ? そう思われてたの?」
「そりゃこんなこと書かれてたら誰だってそう思いますよ」
「そうかすまなかった。一応なんだがトレーニングの内容について後日でいいから教えてほしい。もし何かあったら責任取れるようにしとくから」
「はい!」
というわけで次の天皇賞・春までの期間のトレーニングを練ることにした。
まずはどのようなトレーニングにするか……だ。本来の史実通りに徹底的に追いこむ。ライスさんなら多少の厳しい内容でも平気で耐えそうだけどあまり無理はさせたくない。
既にスタミナ面は京都の3200mを走り切るだけはあるはずだ。それならば他の面を伸ばすのはどうだろうか?
ライスさんは一度マークしたら誰よりも強い。今回のレースならばマックイーンが一番の強敵だ。もちろん、テイオーも強いが彼女の距離適性的に3200mは長いと感じるのでマックイーンほどのマークはしなくていいだろう。
ある程度メニューを作り上げ、トレーナー室に向った。
⏰
「という内容ですが、トレーナー的にはどうですかねぇ?」
「うむ……前にブルボン相手にしたときのトレーニングに近いな」
「ですね、ライスさんの基礎能力なら既に十分と判断したのであの二人に対しての対策をと……」
ライスさんの実力を大きく引き出すなら相手をマークして最後に一気に差すやり方が手っ取り早い。レース中のライスさんの気迫は物凄いものだ。それによりプレッシャーを与えてペースを崩しスタミナ切れを狙う。
「分かった。しかし、最後のこの一週間は別の場所で泊りがけでトレーニングするのか?」
「はい、マックイーンにお願いしてメジロ家の所有地の一部を借りました。安全性は保証されてますよ!」
史実のライスシャワーでもこの時はとにかく追い込みのトレーニングをしてきたと覚えている。また、アニメでもライスさんは一人で特訓していた。ならば、ここは史実に基づいてトレーニングをしようとしたのだ。
「そうか……うむ、少しトレーニングメニューで気になるところを修正しておくからまた後日来てくれ」
「はい、分かりました!」
そして私はトレーナー室を退出した。
「……あいつ案外トレーナー向きなのかもな……ここまでしっかり練ってきたし他のウマ娘のことも俺以上に見てる……トレーナーになったあいつの姿、見てみたいな」
◆
────天皇賞・春一週間前
今、私達はメジロ家の所有するとある場所に来ていた。トレセン学園からそこまで離れていない。そのためトレーニングがてらに走ってきた。周りにはなにもないのでキャンプ用品を一通り用意し、メジロ家の方々に協力してもらってここまで運んでもらった。マックイーンには感謝しかない。
「それではライスさん、天皇賞まで一週間を切りました。やることは唯一、徹底的に追い込みますよ!」
「うん! 頑張るぞ〜、おー!」
「おー!」
元々私は後ろから追いかけられるのは苦手だ。しかし、ライスさんの為ならばと思い彼女の前を走る。
「ついてく……ついてく……」
後ろから迫るその気配はまるで鬼のようだった。ライスさんにマークされるのに慣れてしまえば他の子が相手でも大丈夫になれそうだ。
普段のグラウンドより狭いのでとてもじゃないが3200mを走れる状態ではない。だが、本番に備えて何周もグラウンドを周る。
「はぁ……はぁ……さすがですね、ライスさん」
「アリスちゃんもいい走りだよ!」
とにかく走る。殆どの時間をトレーニングに費やす。予備のシューズも沢山持ってきている。殆どの時間走っているので一日で数足は履き潰していた。そして日が経つにつれてシューズの山ができてきた。
数日後……
「ここがあの二人が居るところか……」
トレーナーはアリスとライスの様子を見に来ていた。もちろん二人には見つからないように少し離れたところにいる。
「うわ……このシューズの山、あの二人が履き潰したものかよ……どれだけ走っているんだ?」
遠くからでも分かる二人の覇気。特にライスシャワーの気配がものすごい。先日マックイーンのトレーニング中に何かを感じとったようだがもしかしてだが……いや、そんなことはない……よな?
二人の様子を確認したトレーナーは気づかれる前にその場を立ち去ることにしたのだった。
◆
「蹄鉄よーし……その他の準備もよーし……うん! 大丈夫!」
控室で最後の確認をするライスさん。このレースは負けられないのでいつも以上に気合が入っているようだ。なら、私から伝えることは一つだけだろう。
「ライスさん……私、待ってますので必ず先頭で帰ってきてくださいね!」
「……! うん! マックイーンさんにもテイオーさんにも負けないよ!」
マックイーン、テイオー、ライスさん。本来ならば絶対にあり得なかったそのレースが始まろうとしている。チームメイトであるマックイーンもテイオーももちろん応援している。だが、私にとっての一番はライスさんただ一人だ。
大丈夫、必ずライスさんが先頭で帰ってくる。そうなると私は信じている。
そして、天皇賞のゲートが開いた。