ところで皆さんは4th ExtraStage見ましたか?私は配信勢でした。2日目のささやかな祈りでガチ泣きしてしまったよ……
ある日のこと……
「もうすぐバレンタインだけど何か用意してるー?」
「あ〜……何もしてないわ……」
「それならいつもお世話になってるトレーナーさんに一緒にチョコ作ろうよ!」
「お、いいね!」
あ〜……もうそんな時期なのか。2月に入り、周りがなんかソワソワしてるな〜って思ってたけどそれが理由だったのか。
バレンタインかぁ……今まではあまり気にしてなかったから友達から貰ったらとりあえず返しとく程度しかしてこなかった。
「ふむ……トレーナーに……か」
手作りとはいかないが何か渡してあげるのもいいな。ゲームの頃も担当から3年目に必ず貰えるイベントあった……あれ、なんかなかったシナリオも……気の所為か。
トレーナーはいつも私達のことを大切にしてくれてるし、何かとお世話になりっぱなしだから偶には……いいかも。あ、折角だしライスさんにもあげようかな。
「おっ! アリスじゃん、おはよー!」
名前を呼ばれ振り返るとウオッカとスカーレットが居た。
「マーちゃんも居ますよ」
「っ!? マーちゃん……! いつの間に……」
「最初から居ましたよ?」
え、本当に?
「私の事を忘れられないようにこっそり映ってました。どやや」
あれ、これ私に言ってるんだよね……?
「何か悩んでたように見えたけどどうしたの?」
「あぁ〜……実はかくかくしかじかで……」
「なるほど〜。それはとてもいい考えだと思いますよ!」
「ちょっと待て、なんでマーちゃんそれで分かるんだ!? あとアリスもちゃんと」
「いいじゃない。アタシも一緒にやるわ!」
「スカーレット!? え、俺だけアリスの言ってることがわからないのか!?」
ちなみにその後きちんと説明した。それよりも何故二人はわかったのか……真相は闇の中である。
◆
という訳でキッチンを借りることにした。そしたらどこから情報を仕入れたのかスピカのメンバーが勢揃いしてた。……何故。
「ったく、お前らだけでやろうなんてすんなよな! アタシ達、同じチームだろ?」
「そうですね、折角ですし皆で作った方が楽しいでしょう。で、皆で一つかそれぞれで作るか……どうしますか?」
全員で作った方が負担が少なそう(特にトレーナーの胃が)だけど個人で作るのも悪くないが……
「それなら多数決取りましょう!」
スペさんの提案の元、多数決を取った結果……
「全員で一つ……これでいいですか?」
「おうよ!」
「それじゃあ何を作るかですが……」
「等身大トレーナー」
「却下で」
「早いな、このゴルシちゃんじゃなきゃ見逃してたぜ」
まあ、候補としてはいくつか考えてきてはいるが折角なので皆の意見を聞くことにしよう。
「一つの大きなものでどうでしょう。それぞれの個性を出すために担当をわけながら作るのはいかかでしょうか?」
「うん、それいいねマックイーン! ボクもそれでいいかな」
うーむ……そうなるとどんなのがいいかな。
「ねぇ、アリスちゃん。これどうかな?」
ライスさんが渡してきたスマホの画像を見るとそこにはバレンタインに開催されるイベントに出ている作品だった。
「ありがとうございます、ライスさん。……なるほど」
その画像を見ていると様々な作品があった。大きなチョコレートのタワー、様々なお菓子を使って作られたものなど……それらは制作者の想いが表現されてるようだった。
「ふぅむ……私達らしさか」
そして悩みに悩んだ結果……
「それではこの案で行きましょう」
私達全員とトレーナーを表すチョコとライブステージを模したチョコのステージを作ることになった。
最初はレース場で考えてたがどこのレース場にするか、サイズなどを考慮して『それならばライブステージの方がよくない?』となった。
そして、それぞれのモチーフとなるものは自分以外で作るようにした。他のヒトから見た印象の方がぱっと見誰を表現してるのか分かりやすいだろうと判断した。
そして、ある程度構想は決まったので今日は一旦解散することになった。本格的な制作は後日になった。
◆
「それでは特別講師として呼んだフラワーちゃん、よろしくね!」
「はい! 皆さんの役に立てるように頑張ります!」
私はこういうの詳しいであろうニシノフラワーに制作の手伝いをお願いした。そしたら快く引き受けてくれたのだ。感謝ですわ!
「時々思いますけどアリスさん、貴女ものすごく顔が広いですわね……」
「そうかな? 気付いたら色んな娘達と仲良くなってたから気にしてなかったかも。
それと実は今日、他にもフラッシュさんも呼んでたんだけど忙しくて来れなかったみたいなんだよね」
でも、フラワーちゃんが居てくれるだけで心強い。私もある程度料理はできるが、お菓子は作ったことないのでとても助かった。
「よし! それじゃあ各々予定していたモノを作っていこう!」
「「「おー!」」」
予め決めておいた役割に取り掛かる。フラワーちゃんには困ってることがあったらサポートしてもらうように頼んでおいた。ただし、まだこんなにも小さい子に全部任せるのは色々とまずいので私も一緒にサポートをする。最低限の知識は詰め込んできたので何とかなるだろうの精神だ。
その後、数日に渡り皆で協力して作る。失敗したり、何故か用意してたチョコレートが減ったり、そして時には謎の何かができたりしたが当日に向けて少しずつ完成に近づいていった。しかし、あのゴルシさんが割と真面目にやってたのは驚いた。本人曰く『トレーナーにはお前らより長く付き合ってるからな! たまにはこういうのもいいだろ?』とのことだ。
「これは……ここ。そして……うん! いい感じかな?」
最後の細かい調整を終え、ついにチームスピカ特製のバレンタインチョコが完成した。
成人男性が食べるにはデカいサイズになってしまった(もちろん私達ウマ娘にとっては余裕である)。ステージを象った上に私達のそれぞれのイメージしたチョコが並んでいる。
「さて、後はこれをどうやってトレーナーに見つからず当日持っていくか……」
「え、アリスが何とかするんじゃないのか?」
「ゴルシさんよ、私がなんでもできると思ってませんかね? 流石にこのサイズを……」
「お? 何か思いついたか」
「ゴルシちゃん、バレンタインまで後何日!?」
「急にゴルシちゃん呼びかよ! ……あと2日だよ」
「よし、それなら間に合うな」
「何がだよ」
「まあ見てなって」
◆
2月14日、当日────
「んで、結局どうしたんだ?」
「無事運び込んだよ。もちろん
「えっ」
「丁度私の知り合いが近くに来てて、ちょっとばかし便利な道具借りてきたんだよね」
元々、バレずに行動するのは得意だがこのサイズを隠せるものはデカいダンボールくらいだろう。
ならどうするか? そもそも見えなければいいじゃないか。
「アリス、お前それやばいもんじゃないだろうな?」
「悪用しないなら大丈夫だよ。それよりゴルシさん、そこにあるはずの物が無いの気付いてた?」
私が指さしたその先にはいつも置いてあるはずの物が消えていた。
「……! まさかステr」
「君のような感のいいウマ娘は好きだよ! ただし、それ以上はいけない」
普通なら移動させたと思うはずなのに僅かな空間の歪みで気付くとはさすがだ。
試作品らしいのでまだ粗があるらしいけどそれでも見ることは不可能に近い。これのお陰で何を持ってるのか気付かれずにトレーナー室に入ることで目的を終わらせたのだ。
知り合いが誰かって? ただのオタクだよ。
◆
一仕事を終え、トレーナー室に戻ると机の上に何かデカくてやばそうな物が置いてあった。
「うげ……何だこれ。またゴルシのイタズラか?」
そこには一つの箱があった。俺はなんとなくゴルシのいつものイタズラだと思った。これはフェイクで本命は別の……にあると見せかけてこの箱が本命なのだろう。
いいさ、ノッてやろう。そう考え、いざ箱を開けてみると……
「チョコのステージ……? それに……ん? これは手紙か?」
『トレーナーさんへ
ハッピーバレンタイン! いつもお世話になってるお礼としてスピカの皆で作りました。ステージ型のチョコに私達をイメージしたチョコとトレーナーさんをイメージしたチョコも配置しました!
一人だと多いかもしれませんが、私達の想い受け取ってください!
チームスピカ一同より』
「えっ……あぁ、そうか。今日はバレンタインだったな。
……俺もお前達に夢を見せてもらってるんだ。うしっ! こりゃあホワイトデーは全力で返さないと何されるかわからんしあいつらの為にもこれからも頑張らないとな!」
まさかのサプライズで驚きを隠せなかった。どうせ隠しカメラ用意して反応を見られるだろう。けれど、この作品を見ると本気で、真面目に取り組んでくれたという気持ちが伝わってくる。
「ありがとう……俺も負けられねぇな」
◆
時を同じく、三女神像前。
「あれ、アリスちゃんこんなところでどうしたの?」
「ライスさん……貴女を待っていました。この時間ならここを通ると思っていたので」
日も落ちてきてもう周りには私達以外誰もいない。ライスさんのことだから遅くまで走っていたんだろう。
「貴女に……これを」
「これ……ライスの為にわざわざ用意してくれたの?」
「えぇ、バレンタインなので。私にとって一番大切で大好きな存在である貴女に是非」
実はフラワーちゃんの協力でひっそりと作った手作りのチョコだ。中身はバラを象ったチョコだ。さすがに青色にはできなかったけどできる限り本物に近い造形にした。
「ありがとうアリスちゃん。でも、急に改まってどうしたの?」
「この際だから言いますね。私は、私として生まれる前からライスさんのことが大好きでした。これはもはや魂に刻まれてるレベルです。そして尊敬する先輩として、仲間として……ライバルでもあります。
……1年後の天皇賞・春で私と走ってください」
天皇賞・春にまだ出られるとは決まったわけではない。しかし、ステイヤーを目指す者としては出たいレースでもある。
「アリスちゃん……うん、分かった。アリスちゃんのその挑戦……受け取ったよ。ライスも絶対に負けないよ……!」
「はい……! その日までに私、もっと強くなりますから……! 待っててくださいね!」
「うんっ!」
ライバルが居ることでもっと強くなれる。それが大切なヒトなら尚更その気持ちも強くなる。
「それじゃあ帰りましょうか、ライスさん!」
「そうだね、アリスちゃん!」
私達はまだまだ走り続ける。夢を追い続ける為に。