淀の坂を乗り越えて   作:krm.nc55

3 / 29
2022/01/17 文章の変更・加筆しました。


彼女達の日常、そして

 朝5時、私は起床する。なぜかって? それは朝のランニングの為だ。

 顔を洗い、寝ぐせを直しいつもの髪飾りを付けトレセン学園のジャージに着替える。

 軽くストレッチを行い走り出す。いつもの河川敷を走り、近くの商店街を走るのが日課だ。

 

 商店街では、既に仕事の準備をしている人や犬の散歩をしている人にあいさつをしながら走る。

 前世の私では少し走るだけで息が切れるほど貧弱だったので今のこの身体は理想的だ。こんなに風を感じながら走れるのはすごく嬉しいのだ。

 

 約30分ほどのランニングを終えると学食で朝ごはんをとる。同じようにジャージ姿のウマ娘も居れば既に制服に着替えている娘も居る。

 ウマ娘はエネルギーの消費が多いのか見た目以上に食べる。どんなウマ娘でも下手な成人男性より食べているのをみるとすげーなって思う。

 ……なんか凄い山を見た気がしたが、その後ろに葦毛が見える時点であの怪物だろう、多分。

 もちろん私も例外ではなく前世の自分ではこんなに食べれないだろうって量を平らげてしまう。ちなみにウマ娘になってからは人参を身体が欲してしまうようになった。

 

 朝ごはんを受け取り席を探していると一人端っこにパンを頬むる黒鹿毛のウマ娘がいた。

 

「おはようございます。ライスシャワーさん」

 

「ひゃ! ……あれ、この間の……えっと……」

 

 驚き方可愛いな。心のデジタルが倒れかけたぞ。

 

「アリスシャッハです。ここで会えるとは奇遇ですね。隣いいですか?」

 

「いいけど、ライスと一緒に居ると不幸になっちゃうよ?」

 

「大丈夫ですよ。ここで会えたのも何かの運ですしいつもみたいに逃げないでくださいね?」

 

 実はあの日以来、ライスシャワーは私の姿を見かけると逃げるようになっていた。

 

「どうしてアリス……ちゃんはライスにかかわるの?」

 

「さぁ? でも、あの日出会ったとき運命的な何かを感じたからですかね」

 

「……?」

 

 すっごい困惑してる。そりゃあそうだ。理由としてはうっすいけど前世の私がライスシャワーのことが好きだったのもあるだろうけどそれとは違うものを感じたのは本当だ。

 

「同じ寮でもありますし、今後も仲良くしていきたいと思っているんですよ?」

 

「そ、そうだね……ライス食べ終わったから先に行くね!」

 

 ……逃げるように去っていった。まだ距離はあるけど少しづつ仲良くなれたらいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝ごはんを済ませて一旦部屋に戻る。授業に向けてジャージからトレセン学園の制服に着替える。

 カバンの中身を確認して今日ある授業の教科書やノート、筆箱が入っているか指差し確認する。ヨシ! 

 

 学園の入り口には理事長の秘書としていつも忙しそうにしている駿川たづなさんがいる。門を通るウマ娘達の名前をいいながら挨拶しているのだが、もしかして彼女全員の名前を憶えているのか? って思ってしまう。

 

「おはようございます。アリスシャッハさん」

 

「おはようございます」

 

 門をくぐり、自分の教室に向かう。既に何人か来ておりその中にウオッカとスカーレットもいた。

 

「おはよう、ウオッカ、スカーレット」

 

 朝から二人が何か言い争っていたようだがリアルでこの光景を見られるとは……

 

「朝から仲良しだねぇ」

 

「「誰が仲良しだ!」」

 

「はいはい、ところで二人とももうチーム決めたの?」

 

「ああ、この間アリスから貰ったスピカってとこにしようかと思ってるんだ」

 

「あら、奇遇ね。アタシもそこにしようと思っていたところなのよ」

 

 これはほっといても来てくれそうだな。

 

「ところでアリスはどうするつもりなのよ」

 

「ん? ああ、私はもう決めてたから先週チームのところに行ったよ」

 

「あらそうなの? ならアタシも今日の放課後に行こうかしら……」

 

「俺も一緒に行くからな!? 抜け駆けはするなよスカーレット!」

 

「しないわよ!」

 

 いいライバルだよなぁ……この二人は。

 朝からこんな雑談をしていたら予鈴がなった。言い争っていた二人も一旦落ち着いて授業を受け始めたのだった。

 

 授業……とは言っても、もちろん普通の授業からレースについての授業もある。一応義務教育的な部分もあるため一般教養も大事だ。そちらの知識は最低限ではあるが持っていたがレースの授業になると案外面白いものだ。

 いずれは私もG1で走ることができるのかなぁ……とか思いながら授業を受けて一日を過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前の授業が終わり昼食の時間となった。食堂は相変わらずの大盛況である。てかここの食堂の人たちってこれだけのウマ娘の為にあれだけの量のごはんを作ってくれていると思うと感謝しかない。

 奥にあの葦毛の怪物が見えた。あれ? 確か食堂に来た時はまだ山のようにあったはずなのにもうその山がなくなっていた。……え? 早くない??? 

 規格外すぎるでしょアレは……と思いつつ、ごはんを受け取り空いてる席に座るとどこかで見たことあるウマ娘を見つけた。

 

 メジロマックイーンとゴールドシップが私が座った席の少し先にいた。そうかあれか、チームに勧誘しているのか。マックイーンの前にはコロッケがある。それを口に運ぼうとしているとゴールドシップが物凄い速さで横取りし、それを食べようとしたところをマックイーンに阻止された。

 あ、これは……って思ったのは束の間、勢いよくゴールドシップの目に箸が刺さった。

 

「うお、目がぁ!」

 

「あら……」

 

 ……知ってた。一応今は同じチームだ。助けに行こう。

 

「大丈夫すか?」

 

「あなた、ゴールドシップさんの知り合いですか?」

 

「はい、同じチームスピカに所属しているアリスシャッハです」

 

「ご丁寧にどうも……あなた、このヒトと同じチームで大丈夫ですの……? もしかして強引に……」

 

「いえ、ゴルシさんからは何もされていませんよ」

 

「そうだぞマックイーン。アタシがなんでも強引に勧誘してると思うなよ!?」

 

「説得力なさすぎですわ!」

 

 そうだぞ、ってゴールドシップに言いたいところだがマックイーンはテイオーが後々連れてくるから今は放置でもよかろう。

 

「とりあえずゴルシさんは私が保健室にでも連れていくので安心してください」

 

「おいまて、まだ話は終わってないぞ!」

 

 半ば強引に引き離した。

 

「くっそぉ……せっかくマックイーンを勧誘するチャンスだったのに……!」

 

「多分、ゴルシさんが勧誘しても来ませんよ。ほかの手を考えないと……」

 

「お? なんか考えでも?」

 

「今はありません。じきに分かりますよ」

 

「もったいぶるなよぉ~」

 

「とりあえずうちのクラスで二人加入希望者を確保しておいたので今日の放課後、部室にくると思いますので先にそっちの確保がですよ」

 

「ほんとか? てか、あんなチラシでお前以外の物好きが居るとはな……」

 

 失礼な。いや確かにこんな廃部寸前のようなところに来るなんて物好き意外なんでもないよなぁ……

 

「あんまりのんびりしていると午後に間に合わないので先に失礼しますね」

 

「おう! また放課後な!」

 

 あのアニメのシーンを生で見たのだが、よく考えたら箸が目に刺さったのにどうしてピンピンしてるんだろ……

 なんて考えながら午後のクラスでのトレーニングの準備を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トレセン学園では午前が座学、午後にトレーニングを行うことが日課である。

 チームに所属しておけばそちらでトレーニングを行っても良いのだが、まだ入学したばかりなのでほとんどのウマ娘はチームに所属していない。むしろ経った数日でチームに入った私の方が異質である。

 

「ねぇアリス今度新入生で模擬レースを行う話聞いた?」

 

「え、なにそれ」

 

 え、なにそれそんなのあるの???聞いたことないよ?

 

「一クラスで3人選出して芝2000mで行うらしいわよ」

 

「まじで? その選出っていつするんだろ……」

 

「どうやら教官が今までの練習とかを見て決めるらしくて今日発表するって言ってたわよ……聞いてなかったの?」

 

「ハイ、スミマセンデシタ」

 

 うっそやろ……そんなの聞いたことないしもしかして少しだけ世界線がずれているのか……いや、私っていう存在が居る時点で元のウマ娘の世界とは異なるのか。

 その後、いつも通りトレーニングをこなす。そして、その時が来た。

 

「今日は前から話してた今度の新入生のクラス対抗模擬レースに出場するメンバーを発表するぞ。まず一人目は……ダイワスカーレット」

 

「ふふん♪ もちろんアタシが選ばられるよね!」

 

「二人目はウオッカ」

 

「よっしゃあ! スカーレット! お前には負けないからな!!」

 

「はあ? アタシが一番になるに決まってるでしょ!」

 

 はいはい、そこ落ち着て……

 

「そして三人目は……アリスシャッハ、お前だ」

 

「ふぇ?」

 

 ちょっと情けない声が出てしまった。自分の適性はある程度理解はしている。どうしても距離が短いと本領発揮できない。練習すれば何とかなるかなぁ……トレーナーに相談してみるか。

 

「あら、アリスあなたもなのね! あなたが相手でも手を抜かないわよ」

 

「俺だって負けないからな!」

 

「あはは……よろしくね……」

 

「というわけで来週だからな、しっかり練習するんだぞ。ちなみに優勝したクラスには学食のスイーツ食べ放題がもらえるぞ」

 

「スイーツ!?」「食べ放題!?!?」

 

 皆食いつきがすごい。ウマ娘だからなのか女の子だからなのか知らないが皆スイーツが好きなのか……

 クラスの為に頑張りますか……

 

「そういうことだ。今日のトレーニングは終わるからしっかりクールダウンしておけよ」

 

「「はーい」」

 

 クラスでのトレーニングも終わり急いで着替え、スピカの部室に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部室に着くとトレーナーが居た。

 

「あ、トレーナー。お疲れ様です」

 

「おう、アリスか。どうした?」

 

「実は相談がしたいことあって……」

 

 先ほどの話をトレーナーにした。

 

「なるほど……分かった。確かにお前さんは距離が長ければ長いほど強い。だが、今回の距離だと本領発揮できなさそうだから相談したと……うむ、少し考えさせてもらえるか?」

 

「ええ、いつでもいいですよ。本番までに仕上げれれば問題ないので」

 

 コンコンコン

 部室のドアが叩かれる。例の二人かな? 

 

「すみません……あのスピカの部室はここで……あれ!? アリス!?」

 

「やあ、二人とも」

 

 めっちゃ驚かれた。

 

「アンタいつの間にチームに入っていたのよ!」

 

「ちょうど一週間前くらいかな?」

 

「つまり俺たちはアリスの勧誘の策にはまったというわけか?」

 

「一応二人にスピカ紹介したときはまだ入部前だよ。まぁ、あの後入部届だしたけど☆」

 

「なんだ、知り合いか?」

 

「はい、同じクラスのダイワスカーレットとウオッカです」

 

「てことは入部希望者か!?」

 

「は、はい」

 

 無事に二人を巻き込……スピカに入れることに成功した。

 まぁ、あの後二人に色々言われたが私的には結果オーライなので軽く流した。

 

「うげぇ、ほんとにあのチラシでアリス以外のやつが来るとはなぁ……」

 

 失礼な。ゴールドシップが少し不機嫌そうに言う。私はチラシではなく自らここに来ることを決めていたからな、二人はあのチラシに惹かれてくると思うけど……

 確かにあのチラシに惹かれる時点でなかなかやばいやつなのかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカーレットとウオッカの入部も確定し一安心して寮に戻る。

 

「お、アリスか。ちょっと時間あるか?」

 

「ヒシアマさんですか、どうしました?」

 

「確かアリスの部屋はまだ誰もいなかったよな? 実はそこに入る予定が決まったんだ」

 

 ほほう? どんな娘だろう。

 

「ドイツからの留学生が来るらしくて後日荷物とか届くらしいから早めに伝えておこうと思って。確か名前は……」

 

 ……今度留学するウマ娘の情報を聞かせてもらった。彼女は私と同世代なので親しみやすいと思ったのか元々部屋を開けていたそうだ。最初から言ってくれよぉ……

 でも、どんな娘かすごく楽しみだ。

 

「……さすがに部屋片づけとかないといけないな」

 

 物が散らばってる部屋を見ながら呟く。別に片づけが苦手なわけじゃなくて時間がなかっただけなんだからね! 

 

 そして部屋を片付けながら新しい生活を楽しみにするのであった。




途中まで書いていた話を全てリセットして作り直してたら予定より遅れた。ユルシテ……
最近1期と2期を見直してるんですけど結構時間軸ずれているので色々合わせていたら時空が歪む歪む…
キャラとかはできるだけ2期とアプリ基準にしてるけどおかしい部分もでるかもしれないけど大目に見てください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。