淀の坂を乗り越えて   作:krm.nc55

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2042年の未来でノーパッドとして戦場走り回ってたら1週間遅れました。
反省してます。ハイ。
またちまちま進めていきますよ。


始動

 ついにこの日がきた。そう、クラス対抗の模擬レースの日だ。

 そして、この日の為にトレーナーにある作戦も作ってきてもらった。

 

「ふぅー……緊張してきたぜ……」

 

「ウオッカ、大丈夫?」

 

 まだデビュー前で大勢の前で走ることはなかった為、普段より緊張しているようだ。

 今回は各クラス3人ずつ、全部で15人だ。そして、学園内のイベントの一つとしてかなり多くの観客、まぁ学園関係者だけだけど先輩やトレーナー達が観戦に来ている。それりゃぁ緊張しますとも……

 

「今回の模擬レースは腕試しみたいな気持ちで軽い気持ちで挑めばいいと思うよ」

 

「何言ってるのよ、スイーツ食べ放題がかかっているのよ!?」

 

「わかってるって……私もできる限り全力で行くからスカーレットもウオッカも頑張ってね」

 

『さあ! やってまいりました! 新入生によるクラス対抗レース!! 実況は私、サクラバクシンオーが務めさせていただきます!!!』

 

 ……今日のレースの作戦を振り返る。

 

 ◆

 

「アリス、お前の今度の作戦だがな……」

 

「はい」

 

「最初から全力いけ」

 

「えっ?」

 

「お前の強みは、同年代、いやむしろ現在トゥインクルシリーズで走っている他のウマ娘に匹敵するレベルのスタミナだ。練習で2000m走ってる姿を何度か見せてもらったがほとんど息が切れていない。だが逆に弱点として爆発的な加速力、つまりパワーがない」

 

「まぁ……そうですね。何となくですが理解は……していました」

 

「パワーが足りない。つまりトップスピードに達するまでかなり時間がかかるからスタート直後から加速をし、最終直線の時にはお前のトップスピードになるようにするんだ」

 

「なるほど……」

 

「これはあくまで俺の感想だが、アリス、お前の脚質は差し、追込の方に向いている……だが、それを活かすだけの力強さがどうも足りていない。というよりなんかなぁ……」

 

「なんですか……?」

 

「これは確信ではないんだが……何かが足りないんだよな……お前の走りを見ていると」

 

「パワーが足りていない……というわけではなく?」

 

「ああ、何かが引っかかるんだが……んー分からん!! とりあえずだ、今度のレースではまず初めに……」

 

 ◆

 

「ふぅー……」

 

 一息つく。私もこのような大勢の前で走ることは初めてで緊張している。

 

『それでは、各ウマ娘、ゲートに入ってください!』

 

 ゲートに入る。別に私自身は狭いところに対しては何も感じなかったが、こう……実際にゲートに入ると少しそわそわしてしまう。これが本能か。

 

 落ち着け、大丈夫だ。

 

 ゲートが開く。開くと同時に飛び出るように地面を蹴る。

 

 まずは、バ群の後ろにつく。前のウマ娘達の様子をうかがいながら少しずつペースを上げる。

 

(さすがだね……皆速い!)

 

 スカーレットは先頭争いをしており、ウオッカはそれを見るように先行気味についている。私は、バ群の一番後ろにつく。

 

 だが、私は予定通りに少しずつ加速する。最初の坂を上る頃には既にバ群の中心まで順位を上げた。先頭はスカーレット、その後ろにウオッカがついている。

 

 坂を上り終え、第3コーナーに入る。私はさらに加速し、ウオッカを抜き前に居るスカーレットに詰め寄り始め、2番手の位置につく。

 ウオッカも負け時と食いついてくる。

 

(思っていたよりペースが速い……! 食いついて行けるか……?)

 

 そのまま第4コーナーを周り最終直線に入る。

 

(行ける! このまま抜き出す!!)

 

 私の全力で地面を蹴り最後の力を振り絞って限界まで加速する。

 

「うおおお! 負けるかああああ!!」

 

 一度追い抜いたウオッカが物凄い末脚で並んでくる。

 

(負けない。負けたくない!!)

 

 伸びろ、伸びろ。今までに感じたことない苦しさを感じる。

 

 スカーレット、ウオッカ、アリスシャッハ。三人が横一列に並ぶ。誰が抜き出てもおかしくない。

 

 ゴール前の坂を上る。三人が並ぶ。苦しい。胸が締め付けられるように。

 

「私が」「アタシが」「俺が」「「「一番だ!!!」」」

 

 そのまま三人が並んでゴールする。ほとんど差がない結果で写真判定となった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 ハイスピードのレース。今までに感じたことのないこの気持ち。全力を出し合って競い合うレースを行うことはこんなに楽しいことだなんて!! 

 

 判定の結果が出る。

 1着:スカーレット、2着:ウオッカ、3着:アリスシャッハ 全部ハナ差である。

 

 届かなかった……あと少し……足りかなった……

 

「ふふん♪ アタシが一番ね!」

 

「くそー! 勝てなかった!!」

 

「おめでとう、スカーレット、ウオッカ。さすがだね」

 

 あと少し距離が長ければ勝てたかもしれない。だが、それは言い訳になってしまう。最後のスカーレットの粘り強さ、ウオッカの末脚。本当に素晴らしいものだった。

 今回は勝てなかったが、もし2人とレースをする機会があれば……次は負けない。

 

「アリスもさすがね……あの位置から並んでこれるなんて……」

 

「今回は2000mだったからもう少し前についていたら結果が変わっていたかもね」

 

 実は初めはかなり縦長のバ群になっており、わざと最後尾についてしまった為最後の直線までに想像以上に体力を消耗していたのだろう。

 もっと練習が必要だと感じるいい機会だった。

 

 

 ────────────────────

 

 

 あの熱いレースから数日後の休みの日、ちょうどレースが行われる東京レース場に来ていた。

 

 何度かレースを見るためにレース場に訪れていたがあの日以降、レースに対する感情も変わっていた。走りたい。

 ここまで変わるものなのか。それともウマ娘としての本能が引き出されたのか分からない。ただ、そう思う気持ちが強くなった。ただ、本格化を迎えていない為デビューはまだ先だろう。

 

 相変わらず東京レース場、この世界の競馬はスポーツとしての人気が非常に高い。大人から子供まで多くの観客が訪れている。色々販売もしており食べ物も多く売ってあるので、とりあえず何か買うかぁ。

 

 ◆

 

 いくつかのレースを観戦してそろそろ帰ろうかと思った時、とあるウマ娘がターフに出てくるのが見えた。栗毛の髪に緑色のメンコをしていた。サイレンススズカである。

 

「サイレンススズカ……? もしかして……!」

 

 サイレンススズカが出走しているってことはもしかしたらスペシャルウィークが居るかもしれないと感じたのだ。

 確か前の方で見ていたはずだ。

 

 スペシャルウィークを探しているうちにサイレンススズカが走り出していた。アニメと同じ展開でスズカが逃げを見せる。

 つまりどこかに居るはずだ……! 

 

 人混みをかき分け、進んでいると人と人の隙間からウマ娘の耳が見えた。

 今はまだ接触するタイミングじゃないので遠くから様子をうかがう。

 

 ◆

 

 案の定スペシャルウィークの脚を触り蹴り飛ばされているトレーナー、スペシャルウィークが立ち去った後に声をかける。

 

「トレーナー……やっぱり変態だったんですね」

 

「アリス!? 違う、誤解だ!!」

 

「まぁ……貴方がウマ娘の脚触る変態なのは知っているので」

 

「まて、公共の場で言うのは勘弁してくれ!」

 

「はいはい。で、さっきの子なんですけど」

 

「ああ、素晴らしい素質を感じた。間違いなくビッグになるぞ」

 

「そうですね……スカウトしたらどうですか?」

 

「そうだな……まずはあの子について調べないとな」

 

「ですね、あとそろそろ門限も近いですし私は寮に戻りますね。あ、それとウマ娘の脚いきなり触るのは変態行為なのでほどほどにしてくださいね?」

 

 多分あの後、スペシャルウィークは門限を忘れてフジさんに怒られるだろうがそれはまた別のお話である。

 

 

 ──────────────────-

 

 

 あの後、スペシャルウィークが転入してきた。その後はアニメの流れと同じようにリギルの試験を受けるようだ。

 

 私は見つからないように遠くから双眼鏡でその試験の様子を見ていた。遠くからだがアニメやゲームと同じように皆きれいだし可愛い。個人的にはキングヘイローの不屈の精神が好きだったりする。てか、皆好き。

 

 まぁ……キングと争っているがエルコンドルパサー大敗していた。ほーん、そうなっていたのか。最後にはハルウララがゴールした。何言っているのかは分からないが、疲れているようだがとても楽しそうだ。それこそ彼女らしい。

 

 さて、この後は予定通りに動かねばな……

 既に待機していたゴルシさんとスカーレット、ウオッカと合流しあの変装をする。そうだ、サングラスとマスクをし、袋を持つ。

 あの後、4人でスペシャルウィークを拉致した。言い方が悪いかもしれないがあながち間違ってはいないだろ? 

 

「「「「ようこそチームスピカへ!」」」」」

 

 驚き気味のスペシャルウィークは困惑しているが、トレーナーに気付くと

 

「あなた、あの時の!」

 

「おいまて、それは誤解だ!」

 

「おい、トレーナー。何やらかした?」

 

 ゴールドシップが問い詰める。

 

「この間、休みの日にレース場に行ったんですけど確かその時スペシャルウィークさんの脚触ってましたよ」

 

「アリス!? それは……」

 

 他のメンバーの顔つきが厳しくなる。私として嘘は言いたくないからね☆

 

「とりあえずトレーナーを締めるのは後にしてスズカさんの紹介もした方がいいのではないですか?」

 

 そう、スペシャルウィークが入部すると同時にサイレンススズカも入部することになっている。既に部室の端の方に居た。

 

「スズカさん!? 確かチームリギル所属じゃなかったのですか?」

 

「ああ、スズカは今日付けでこのチームスピカに移籍するんだ」

 

 スズカがチームスピカに居ると分かったとたんスペシャルウィーク……スぺちゃんが入部することになった。スぺスズてぇてぇなぁ……。おっといけない、本音が少し漏れそうになった。

 

「よろしく頼むな、スペシャルウィーク。それと来週にデビュー戦出てもらうぞ」

 

「えっ……ええ────!!??」

 

 スぺちゃんの驚きの絶叫が部室に響く。それからスぺちゃんのデビュー戦に向けての練習を開始するチームスピカであった。




ついにスぺちゃん登場!
ゆっくり進めていきますよ!

ところで私がノーパッドになっている間にキタサン復刻やらメジロドーベル実装されましたね。どっちも出ませんでしたけど……ドーベル可愛いしメジロブライトなど新しいウマ娘も登場してまた楽しみが増えてやばいです。
それではまた今度!
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