目が覚めたら異世界だったByカズマ 作:スーバル・フォン・ナッツキー2世
続きが進まなくて若干頭抱えてます。投稿頻度は相変わらずなので気長にお待ちください。
「親方、世話になりました!」
「そうか、冒険者になる決心がついたか。医者に運ばれた時に事情は聞いたさ。やっぱこんな所いるよりお前さんは冒険者として色々なところ行って見聞を深めた方が良いさ。なんかあったらまた来な。俺たちはお前のこと、待ってるからな」
「カズマこの野郎!両手に花とは羨ましいぞー!」
「カズマー!ちゃんとその2人守りなよ!」
「今度会ったら飲もうぜ!」
「なんなら今から飲もうぜ!」
「あんたら酒の事しか考えてねぇのか!?いや、変に惜しまれるよりはその方がありがたいけど!また仕事しに来ると思うんで!そん時もよろしくお願いします!」
陽気な兄ちゃん達は最初の頃会った時となんにも変わらなかった。最弱職の冒険者である俺をバカにすることも無く、共に働く仲間として接してくれた。ギルドには飯を食べに行くだけで、冒険なんて一切しなかった。何も出来ない冒険者として一部に馬鹿にされていたが、それでもこの人たちのおかげで気が楽だった。
「ふふっ!カズマ、皆さんに愛されてるんですね」
「早速「次戻ってくるのは3日後か?」なんて後ろから聞こえてくるけどな!」
「でも、カズマの事ですから、あれは冗談だって分かっているのでしょう」
「…まあな」
土方の兄ちゃん達、陽気過ぎた人達だ。
―――
「新入り文字通り職業が冒険者なんだって!最弱職じゃねぇか!この際どうだ!俺らと土方やっちゃわねぇか?見たところかなり鍛えてるみたいだからな!あっはっは!」
「おら飲め飲め!仕事終わりのグリムゾンビア!キンッキンに冷えてて最高だぜ!」
「おいカズマ!あの赤目の嬢ちゃんは彼女か!?いくらモテる自信無いからって子供は…あ?2歳差?ウッソだろお前冗談は顔だけにしろよ!……あ?お互い様?うっせぇ!」
―――
短い間だったが、色々あった気がする。
ちょっと寂しさがあるのは否定できない。
ここで1番最初の仲間と言えば彼らだから。彼らが居たから、元気にやってこれたと言うのは否定できない。俺1人、地道にカエルを狩るだけだったら、こんなにも晴れやかな気分にはならなかったし、どうせ野垂れ死にしていただろう。
命の恩人でもある彼らが、今も楽しく生きられるなら。
それなら、きっとそれは、素晴らしい世界で間違いないだろう。
何かの手違いか知らないが、俺はこの世界にやってきた。トラウマのない世界。まるでゲームの様な世界だったが、右も左もわからない、チュートリアルに入ることすら条件が必要なクソッタレな世界だった。
「やっぱり寂しいですか?」
ゆんゆんが俺の顔を覗いてくる。めぐみんもだが、彼女たちは相手の心情を機敏に察知する。
2人の心配そうな顔を見ると、寂しさが表情にも出ていたのかと、少し恥ずかしい気分になる。
「そりゃあ、な。ここに来てから、同郷の奴、ギルドの人、そして何よりも親方達にすっごい世話になったからな」
なにも今生の別れではない。なんだったら明日にでも会いに行けるくらいの距離だ。ここまでしんみりする必要は無い。
「でもまあ、今はお前たちが仲間だからな」
「カズマ…。安心してください。私は貴方の仲間ですから!」
「ねぇめぐみん?そこは私たちじゃ無いの?」
「ゆんゆん居たのですか?」
「もおぉぉぉぉ!!!」
めぐみんがゆんゆんをからかい、そこからちょっとした喧嘩、と言うか勝負というか。
ちょっとした言い争いに発展する光景が、なんだかいつもの光景になりつつある。
今までは壁を相手に汗水垂らして、ギルドで美味い飯を食べ、たまには酒を片手に大盛り上がり。それでも剣と魔法を武器に戦える事を夢見て馬小屋で天井を見上げる。
学があればしっかりとした職業にも付けていただろう。本職じゃない、日当と言う形で給与を貰う日雇い、正社員よりも安い賃金だったが、コツコツ働けば溜まっていくくらいは貰えたし、何より有り余った体力を使うのにもってこいだった。
それでも、自分は冒険者なんだと、モンスターを倒すんだと想像しても、あの時のカエルが頭を過ぎる。自分はカエル1匹倒すのがやっとだと情けないながらも分かってしまった。
素人ながら、俺はミツルギの様に魔王を倒す勇者のような素質はない、かなり能力はあるのにそれを行かせない宝の持ち腐れの様な人間だと思っていた。
それでもめぐみんと出会い、彼女の生き様を見てそれに憧れを持った。彼女にこの世界の事を少しばかりだが教わり、自分にも素質があるのだと知れた。
彼女となら、きっと冒険者としても上手くいくだろうと。根拠の無い自信も持っていた。
世話になった彼女が、今にも儚く消えそうな表情をした時は、信じられないくらい必死になった。彼女が消えるかもしれない、それが非常に怖かった。そしてその手をすぐに取れなかった自分に悔い、怒りが過ぎった。
彼女を最後まで守れなかった時は、非常に後悔した。ゆんゆんが来なかったら、今頃俺もめぐみんもあの世だったのだから。
こうして振り返ると、俺の思い出の半分近くはめぐみんが占めてるんだな。なんだよ、めぐみんの事好きすぎかよ。
でもそう考えると、あながち間違ってないのだと実感する。それが友情なのか、愛情なのかは分からないけど。
「めぐみん」
「?どうしましたか」
「ありがとな」
こう改まって言うのはなんだか恥ずかしいが、なんだか言わなければならない気がした。
「…お礼を言うのは、私の方ですよ。カズマこそありがとうございます」
「おいおい、礼を言われるような事は…色々してるな」
まあ飯をたらふく食わせた礼は既に貰っているけどな。
「えぇ、色々です。ご飯を奢ってもらえたり、一緒に爆裂魔法に付き合ってくれたり、倒れている私を助けてくれたり……なにより、私を見つけてくれた事に、お礼が言いたいのです」
ゆんゆん程ひとりぼっちでは無いですけど、と頬を掻きながら冗談交じりの照れ顔で彼女は話す。うっわはっず。こんなに真っ直ぐに思いを伝えられるなんて無かったせいで、多分俺の顔は熱くなっているのが容易に想像付く。
「ゆんゆんもな。お前が居なかったら俺たちは死んでたから」
「い、いえ!ら、ライバルの危機を見過ごすことは出来ませんから!私だってカズマさんには感謝の気持ちがいっぱいなんですよ!こんな私を仲間にしてくれたんですから!」
なんというか、年相応と言うか、ゆんゆんらしいなとも感じる。まだまだこう言う所は子供なんだなぁと。そして齢16の俺よりも年下の子が、友達作りで苦難を抱えているのを見ると放っておけない。めぐみん以上に庇護欲を感じる。これが母性……?
俺には勿体ない仲間だ。最弱の冒険者。正直まだ魔物を相手に戦うのは怖い。使える魔法や技術を手にしたところで、それで倒せたという事が証明になっても、やはり怖い。
別にミツルギたちと違って魔王を倒す使命も無ければ、俺は好き勝手に生きたってバチは当たらないはずだ。
でも、そうじゃない。
彼女たちが、俺を冒険者として求めてきた。それに答えずして何が男だと。俺は佐藤和真。日本で生まれ、ニートの穀潰し。それでも男であることを止めたことは1度もない。
良いじゃねぇか成り上がり。魔王を倒すと言う気はねぇが、放浪人が大活躍、燃える展開だ。
この世界に来た時以上に、自分の心は燃えているかもしれない。この熱がいつまで持つかは分からないが、やると決めたらやってやる。
早速カエルをシバキに『グゥゥーー』……
「取り敢えず飯にするか」
「お腹がすきました」
「そ、そうですね……」
めぐみんとゆんゆんの腹が同時になり、少し出鼻を挫くような展開になった。
この後のカエル討伐で、俺がカエルに丸呑みにされたのはここだけの話。
カエル「また来たんかワレ」
カズマ「また来たぞワイ」
カエル「ほんなら食われてまえワレ」
カズマ「あなや」
追記・私は最新話投稿前に感想を返すようにしています。そのため感想返信のタイミングが遅いだけで、内容自体は早いうちにさらっと読んでたりしますし、どれくらい閲覧されてるのかなー?と確認したりもします。
日刊ランキング入ってたのを確認して仰天しました。皆さまに読んで頂きありがたい限りです。