目が覚めたら異世界だったByカズマ   作:スーバル・フォン・ナッツキー2世

13 / 19
ワイ「転職に向けて受験中なんです」

管理「また結果分かったら教えてよ」

―――――――――――――――――

ワイ「来年もよろしくお願いします」


13話 盗賊少女とクルセイダー

「冒険に役立つスキルとは何か」

 

カエルの生臭く生暖かい粘液に包まれた、いや包まれてしまった俺は、俺から少し距離を置いている紅魔族2人に対して問いかけていた。

 

カエル5匹倒すクエスト、カエルを倒してやると意気込んでいた最中。1発放ったライトニングが命中し、簡単にカエルを仕留められて舞い上がっていたら、長い舌を伸ばした別のカエルに丸呑みにされるという悲しい目に遭ってしまった。幸いゆんゆんの『ブレード・オブ・ウインド』により救出はされたが。

 

使える手段はとにかく欲しい。それがどんなにゲスい手段だろうが関係ない。相手を縛って身動き取れない状態で斬りかかれるならそうしたいし。相手の武器を奪えるなら奪ってタコ殴りにするくらいはやりたい。口には出さないが。

 

「やはり爆裂魔法で「無理」そんな!?」

 

「やっぱり中級以上の魔法があると便利ですよ!」

 

「あると便利だけど、それを覚えるほどのスキルポイントは…あるが、全部まとめて覚えた方が都合は良いもんな…」

 

「1個ずつ覚えるよりは、纏めて取った方が楽ですからね。技1つ覚えてるだけでも十分なのを考えると、そう急いで覚える必要は無いと思います。私たちなら魔法関係はいつでも教えられます。カズマの場合は他のスキルを覚えて活用する方が合ってると思います。それよりもそのヌメヌメ落としに行きませんか?」

 

「そうだな。流石にずっとヌメヌメはキツい」

 

少しはヌメリを落としたいが…。こうすれば良いか。

 

『クリエイトウォーター』

 

水を発生させる魔法、これを全身に…うっわ!冷てぇ!キンキンに冷えてやがる…!

 

『ティンダー』『ウィンドブレス』

 

火を発生させ、そこから少し離した所で風を作る。即席ではあるがドライヤーみたいなもので水っけを軽く飛ばす。初級魔法という事もあり補助的な力しか無いが、身体を乾かすのに威力は要らないからな。

 

「これで良し」

 

「おぉー!器用に使いこなしますね」

 

「こうして見ると初級魔法も便利です!」

 

それでもお風呂が恋しいのだからゆっくりはしていられない。ヌメリは取れても臭いがまだ残っているから石鹸を使いたい…。

 

「街に戻って風呂と飯にでも行こう。今日は身体を休めようぜ」

 

―――

 

カエル狩りの翌日だが、今日はスキルを教えてくれる人を探すことから始める。

 

「なんか悪いな。手伝わせちまって」

 

「カズマは仲間で、私たちのリーダーなのですから。これくらいは良いのですよ」

 

「それにカズマさんがスキルを覚えれば、できるクエストの範囲も広がりますから!」

 

この子達の思いにお兄ちゃん泣きそう。

色々拗らせてる所があるけど、基本この子達は素直で良い子だからなぁ。

 

「そうだな。敵の位置が分かったり、相手を生け捕りにしたり、相手の武器を奪えたり。あとは相手の魔力とか生命力を奪ったりとか」

 

「便利なスキルは仲間のレベリングでも役立ちますからね。でも最後のはまず無理でしょう。そこまで来るとリッチーのスキルですし、何よりそんな存在危険過ぎます!」

 

魔法使いにとって、魔力を奪う存在は死活問題だよなぁ。それを仲間に配れるなら話は変わるが。

 

「なら前者を探すしか無いか…」

 

相手の武器を奪うって所にフォーカスすると盗みを働く職業。たしか盗賊って職業があったはずだ。生け捕りにするとなるとハンターか?でもそんな職業あったかな…?

 

「お困りの様だね」

 

「…ん?あなたは…?」

 

やけに肌の露出が多い、銀色の短髪と頬の傷が目立つ中性的な顔立ちの子がそこにはいた。その後ろには長い金髪をポニーテールでまとめている、風貌から私は騎士だと言っている様な女性が立っていた。上半身を鎧で固めているが、それでも分かる母性の象徴…。人間ってすげぇなぁ。

 

「あたしはクリス。職業は盗賊だよ。それでこっちの無愛想な子はダクネス。この子は上位職のクルセイダーをやってるよ」

 

「おぉ、盗賊…!?あぁ、俺は冒険者のカズマ、で2人がアークウィザードのめぐみんとゆんゆん」

 

盗賊は一般職ではあるものの、役立てる場面がダンジョンと言った限定された環境になり、それを生業としている人物は多くない。盗みって名前が敬遠されているのもあるだろうが。

 

でもまさか向こうから来るとは思わなかった。

 

「随分と悩んでいたみたいだけど、どうしたの?」

 

「あぁ、実は…」

 

かくかくしかじか。…最近観ないなぁ…。

 

「それならあたしの出番だね!敵感知にバインド、スティールってスキルでどれも盗賊のスキルだよ!」

 

「本当ですか!あの、虫のいい話だとは思うのですが…」

 

「あー、畏まらなくて大丈夫だから!それにスキルは教えるから安心して!」

 

うっわ、女神か?この人女神か?心が広いなぁ…。錯覚か分からないけどなんか神々しく見えるし可愛いし。

 

「ここじゃああれだしさ、裏手の広場に移動しようよ」

 

「ありがとうございます!お願いします!」

 

「良かったですねカズマ!」

 

こうして俺は盗賊の美少女、クリスの手を借り新たなスキルの習得を目指すのだった。

 

―――

 

冒険者ギルドの裏手にある広場

 

人気のないこの広場にクリスたちも含めた俺たち5人は立っていた。

 

「まずは『敵感知』と『潜伏』を同時に習得しよう。口で教えるよりも実際にやってみせるのが一番かな?ダクネスー?ちょっと向こう向いててー?」

 

「…あぁ、分かった」

 

ここまて空気になっていたダクネスさんがようやく言葉を発した。凛々しさの混ざる声だったがすごい暇そうにしている。

 

どうでも良い事を考えているとクリスはダクネスさんの向いた方向とは反対の方角にあった樽の中に隠れ、何を考えているのか石をダクネスさんに向かって投げ出し、すぐさま隠れた。

 

なあ、これ、まさか潜伏スキルとでも言うのか…?ダクネスさんは真顔の顔で、それでいて怒りの雰囲気が滲み出ている状態で足早にクリスの隠れている樽に向かい歩き出した。

 

「敵感知…!ダクネスの怒ってる気配をピリピリ感じる!ダクネス!?こ、これはスキルを覚えるため仕方なくやってる事ああああ!!!やめてえぇぇぇぇぇ!!!!」

 

樽を倒され、そのまま転がされた。む、惨い…。いや、自業自得なのか…?自分のスキルカードを見ると、新たなスキルが追加されていた。…本当に見ただけでスキルが覚えられるんだな。こっちの世界に来た時のプレゼントなのか、クリスがやって見せたように見ただけで覚えられる程度のスキルなのかは定かでは無いが、まあ便利なのには変わらない。

 

スキルをもっと理解できるようになれば役立ちそうだ。クリスの悲鳴から目を逸らす様に自分の世界に入る。

 

因みにめぐみんとゆんゆんは若干引いてた。

 

まあ、今回は目立つことをしたと言うのもあり潜伏スキルは役立ってなかったが、こう言った茶番なし(ダクネスさんはマジおこだった)の本番で使えば間違いなく役立つスキルなはずだ。

 

「う、うぅ。目が回る〜」

 

「す、すまない。やり過ぎてしまった」

 

「いえ、気にしないで下さい。寧ろこちらが頼んでいる側なので、逆に暇にさせてしまって申し訳ないです」

 

「あ、謝らないでくれ。私は大丈夫だ。寧ろ放置プレイはご褒美…!」

 

あ、これこの人も若干ヤバい人かも知れませんね。まともな人ってどこにいるんや…。

 

「そ、そうですか…」

 

「んん!それと、丁寧な言葉遣いは私には不要だ。少し距離を感じるし、あまり慣れていないみたいだからな。私もクリスと同じように気さくに話しかけてもらえると嬉しい」

 

「…それならお言葉に甘えて。あまり目上の人と話す機会が少なかったからな。知識としては持ってるがあまり使い慣れていないんだ」

 

どこかの貴族の人かなとも思い遠慮していたが、その必要は無さそうだ。

 

「…ふぅ。落ち着いた。それじゃあ続いて本日の目玉の窃盗(スティール)スキルだよ!」

 

復活したクリスによるスキル習得の続きが始まる。

 

「これは単純に相手の持っているアイテムを1つ奪うことが出来るスキルでね、運が良い人ほどより高価な物を奪う事ができるんだ!例えば…『スティール』」

 

クリスがスキルを唱えると差し出された右手が輝き、輝きが収まると右手には袋が…ってあれ俺の財布!?俺の全財産の30万エリス!?

 

「おっ、大当たり!とまあ、この様にゲット出来るわけ!それじゃあ…勝負してみない?」

 

「勝負?」

 

「そう勝負。あたしに窃盗スキルを使ってお宝を手に入れようってね。一番高価なのは…カズマって意外とお金持ってるんだね!でもあたしのタガーが何とか価値があるかな。特殊な素材を使っているから30万エリスは最低値かな?因みにハズレはさっき集めてたこの小石のどれか」

 

「そ、それは卑怯だぞ!?」

 

「奪い返せば良いのさ!と言いたいところだけど、お金は後で返すよ。一生懸命働いたお金でしょ?それとは別にチャレンジしてみよう!もちろんゲットしたものは君にプレゼント!どう、君には得しかないよ!」

 

「…後で文句を言っても遅いからな!」

 

俺はこの方運だけには恵まれた人間。こうした運試しにはとことん強い男だ。自分のスキルカードから『潜伏』『敵感知』『窃盗』スキルをそれぞれポイントを1ずつ振り分け習得する。

 

「それじゃあ…」

 

右手をクリスに向け拳を強く握る。

 

「スティール!」

 

強い輝きが辺りに広がった。これは手応えあり!

 

光が収束されると手の中には何かを掴んだ手応えがあった。取り敢えずは成功したみたいだ。

しかし、金属系にしては柔らかいし、銭の入っている財布にしては軽い。

 

握り締めた手を広げるとそこには白い布があった。そして何かに気付いたクリスが顔を真っ赤にしていた。

 

…これは当たりだろうな。さっきまで穿いていた下着。確実に当たりだろう。思春期真っ盛りな俺なら振り回してた。しかし同時に罪悪感を感じていた。ゲットした物をプレゼント、だからと言って顔見知りになった子の下着をプレゼントされたって、いくらかわいい女の子の下着だからって、後が気まずい。

 

なら俺の答えは決まっている。フリーズしてからこの間5秒。

 

「…お返しします」

 

「…お願いしましゅ」

 

恐らくこんな美少女の下着、言ってしまえばパンツ。さっきまで女の子が穿いてたパンツ。これほど希少価値のあるものは無いだろう。

 

だがどうだ。俺はやってのけてしまったが、これは猥褻行為になるのでは無いのか?

 

「か、カズマが変態になってしまいました…」

 

「こ、こんな公衆の前で…な、なんと羨ましい…」

 

俺は変態と言うレッテルを貼られることになる。

 

「ゆんゆん」

 

「あ、はい!か、カズマさんはわざとじゃ無いと分かってますから、だから気にしないで「この剣を渡すから介錯を頼む。」えぇ!?は、早まらないでください!?」

 

日本に生まれた身として、自分の粗相は自分で落とし前をつけねばならぬ。潔く腹を切ろう。これがクリスに対する究極の罪滅ぼしだ。

 

「クリス、最後に申し訳ないが小刀を貸してくれ」

 

「お、落ち着いて落ち着いて!?あ、あたしは大丈夫だから!?本当に落ち着いてよ!?そんなか、簡単に死を選んじゃダメだよ!?」

 

「自分の不徳が招いた事だ。潔く腹を切る」

 

覚悟は決めた。あとはかっ捌くだけ。粗相をし先に旅立つ息子を両親は許してくれるのだろうか。地獄で我が両親を見上げることしか出来ないだろう。

 

「だ、誰かカズマを止めて〜!?」

 

ギルドの裏ではパンツを奪われたものとは違う悲鳴が響いたのであった。

 




これが投稿された時、きっと私は職場に向かっていることでしょう。

基本的に通勤中に投稿してるので、投稿時間は基本的には朝です。出勤時間によっては前後しますが。


皆様ご愛読ありがとうございます。暇つぶし程度でも読んで頂きありがとうございます。

毎日の評価や感想(感想)を励みに頑張れてます。

裏では2、3話ほど先の話を書いていますがストックがががGAGAGA無在庫!!

なので相変わらずのんびり投稿です。気長にお待ちください。


(朝通勤のタイミングで書いてるので許して)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。