目が覚めたら異世界だったByカズマ   作:スーバル・フォン・ナッツキー2世

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「おい地獄さ行ぐんだで!」

借金のカタに生身連れ出し北の海で蟹を得る。仲間は1人1人と消えて行く。花札を嗜んだ仙台の奴は前の週、丁半博打を楽しんだ長州の奴は一昨日海に落ちた。助けは出来なかった。

そんな地獄から帰って来た。机に向かって続きを続きをと筆を進めて…その筆を手にしてこう言ったのさ。

「おい地獄さ行ぐんだで!」


※投稿遅くなって申し訳ありません。別に借金も抱えてなければベーリング海にも行ってません。異能力手にしたので1つ街を救う職員やってました。今年の9月で一応の任務を解かれましたが。


19話 子鬼の軍団

 

新たなスキルを習得した俺たちは、何かクエストを受けようと掲示板の前で吟味していた。

 

「ホワイトウルフの討伐などいかがでしょ!群れに爆裂魔法を放つなんて絶対に爽快ですよ!」

 

「うーむ。俺がもっと強ければありなんだが、さすがに厳しい…」

 

「それなら一撃熊の討伐なんかどうだ?奴の一撃は非常に重く喰らったらどうなることか!?」

 

「落ち着け。リーチを取れればなんとかなるかもしれんがもう少し簡単なのにして欲しい。俺の装備は軽めのものだから喰らえば本当に一撃だぞ」

 

間違いなく俺が冒険者であることを忘れているし、俺の装備の防御力がそんな無いことを忘れている。

 

「それならゴブリンの討伐クエストなんかどうですか?ゴブリンはそこまで強いモンスターでは無いですし、カズマさんくらいの強さならば苦労する事は無いと思います!」

 

「おぉ、流石ゆんゆん。ウチのパーティーの頭脳なだけある」

 

「ふふーん!」

 

「ちょ!?紅魔族随一の頭脳を持つ私を差し置くなどどういうことですか!?」

 

爆裂魔法の為に上級者向けのクエストを取ってくるやつが頭脳を名乗ってはいけない。いけない。

 

「カズマ、群れについては任せてくれ!私が一身に引き受ける!」

 

「攻撃が当たるならば頼んでもいいんだけどなぁ…」

 

「そんな!?」

 

…今から本当に気が重い。俺このパーティーでやって行けるのだろうか。本当にゆんゆんと稀のクリスが癒しだ…。

 

「取り敢えず、ゴブリン狩り行くか。いくつかモンスターについての書籍は読み漁ったが、実物を見たことがある訳じゃない。あんま詳しい訳では無いから、実際に見てみないと作戦は練れない。」

 

ある程度学び齧った程度の知識。やや人型。亜人にあたる種類なのでカエル以上にやり辛い相手なのは間違いないだろう。知性はそれほど高くは無いが、人里に現れては略奪に暴力にと厄介なのは間違いない。偶に変異種が現れるのが気がかりだ。

 

「ゴブリン相手なら苦労することはないだろうな」

 

…うーん。なんだか妙に嫌な予感がしてきたぞ。

 

確かゴブリンやコボルトとかのそれほど強くない魔物のクエストの裏には『初心者殺し』って猛獣が居たよな。某狩猟ゲームだって環境不安定は相当手練を相手に取ってきたか、時間制限採集クエストで初めて出てくるのに。つくづく思う。現実って厳しいんだなと。モンスターと言うか、生物が逞しいぜ。

 

「カズマさん!一緒に頑張りましょう!」

 

ゆんゆんがここまで張り切っているのだから、俺も漢見せねぇとな。

 

「カズマカズマ!私の爆裂魔法!とくとご覧下さい!」

 

…この年下っ子たち本当に張り切ってるなぁ。俺も頑張んねぇと。

 

「うし、行くか。装備整えてようやく形になったからな。俺たちの冒険者パーティー」

 

―――

 

街から離れた小丘の林道中。ダクネスの先導で細い獣道を進む。こうして見るとダクネスもちゃんと騎士なんだなと思ってしまう。逆に普段のダクネスを見るととても聖騎士には見えない。あれは性騎士だ。煩悩まみれのド変態って意味で。

 

「んん!なんだか激しく罵られている気がする!」

 

…本当、どこで道を誤ったんだろうなこの子は…。

 

「カズマ。ゴブリンは確かこの辺りに生息していたと依頼書には書かれています。どうにか姿を確認できないでしょうか」

 

「うーん。遠くを見るスキルとかは持ってないからなぁ。何かそんなスキルがあればいいんだが」

 

「確かアーチャーのスキルに『千里眼』があったはずだが」

 

「うーん…習得してないな。危険は伴うが少しばかり住処に近付くか」

 

ウチの盾要員と言えばダクネスしか居ないため、一抹の不安を払う事が出来ない。ただ、攻撃がからっきしなダクネスは反対に守りが硬い。火力は寧ろオーバー気味はパーティーだからそれを信じよう。

 

「カズマ、ここで1つ敵感知を使ってみてはいかがですか?カズマならば多少遠くの敵も見通す事が出来るはずです」

 

「…それもそうだな。『敵感知』」

 

周囲の外敵、そのシルエットが浮かび上がる。…11時の方向に多数。距離はおおよそ400と言ったところか?…流石に遠くまで見通すと魔力が一気に持ってかれるな。

 

「11時の方向、およそ400か。この近くに丘は無いだろうか」

 

「地図を見る限りは、この辺りの土地に高低差が出来てるな」

 

「カズマの言っていた方角を考慮すると、ゴブリンの巣から丁度西側…ここなら良いのでは無いでしょうか?」

 

「ただゴブリンの巣が目と鼻の先になりそうですね…。高いところから低いところなら魔法や弓が届きやすいのと、相手の動きが見えやすい。それを踏まえれば悪くない土地だと思います」

 

多少知恵はあると言っても、人間の知恵には届かないか…。不安定な足場ならまだしも、しっかりと地が這ってる土地ならば高いところの方が戦いでは有利に働く。うちの頭脳担当達が太鼓判を押し、メリットデメリットを挙げるのだ。守備に富んだダクネスもいる事だ。多少のリスクはあるがなんとかなるかもしれない。

 

しかし拭い切れない不安、それも飛び切り大きいのがある。

高いところ…。こっちは勿論相手からの格好の的になる。相手に遠距離攻撃の術があると一気に窮地へと陥る。これは避けたい。ゴブリンは基本棍棒や斧、剣など基本的には接近武器を使うが、ある程度大きい群れだと弓矢を使う器用なゴブリンも、ある程度の文明があれば投射機を使う群れもあると聞く。今回の群れはさほど大きい訳では無いので、後者については頭の片隅程度で良いかもしれない。

 

でもそれだけじゃない。それ以上に、俺の本能が警鐘を鳴らしている厄介な奴がいる。

 

『初心者殺し』

 

同じ群れでは無くとも、実質的に共存関係にいる両者。狡猾な手口で多くの冒険者を葬ったそいつ。もしゴブリンと初心者殺しが手を結び、意図的にこう言う状態を作り出していたら…。そう考えると悪寒が止まらない。しかし現状そう言った手段しか無いのも事実。正直引くに引けないところに来てしまっている。パーティーメンバーは俄然やる気を出している。ここで帰還を告げてしまえば、これからのクエスト進行にも影響が出るだろう。

 

今使える術を使い果たしたら、潔く犠牲になる。パーティーメンバーを生きて帰すのはリーダーである俺の使命だ。

 

「…相手はゴブリン。俺たちは初心者。いくら弱いモンスターと言っても俺たちは警戒を怠る訳には行かない。裏には常に初心者殺しがいる。それを考えながら動く。これは忘れては行けない。分かったか?」

 

「…分かった。頭の回るカズマの事だ。リスクを考えてこその発言だろう。私は初心者とはいえクルセイダーの端くれ。不器用さが祟って攻撃はからっきしだが、守りには自信がある。だから安心して頼って欲しい」

 

…そこまで言われちゃ、やるっきゃ無いな本当に。口にこそ出さずとも、めぐみんもゆんゆんも。誰も目に不安を宿しては居ないのだから。本当、無謀だよお前ら。怖気付いていたのは俺だけか。こんだけ信用されちゃあな。

 

「……しゃーねぇな。…そんじゃ作戦伝えるからな」

 

―――

 

俺の考えた作戦だ。

基本的にはダクネスがパーティーの守りに入る。俺とゆんゆんで遠距離攻撃を当てつつ、状況を見て相手の動きを封じる。そして巣諸共めぐみんの爆裂魔法で葬る。初心者殺し、ダクネスは守りに自信があるから耐えてみせると言うが…1番の鬼門はそこだろう。出てくる保証は無いのだから、来てもいいよう心構えしておくしかない。素人の作戦だから穴ばかりな作戦だ。果たして上手く行くのだろうか。

 

潜伏スキルを発動させた俺たちは目的地へと辿り着く。

 

視界は良好とまではいかずとも、ある程度敵の姿が見える。…見たところ弓兵は2体ほど。投射機は無さそうだ。スラムのように築かれた集落で武器を片手に闊歩するゴブリン。こっちの気配には気付いて居なさそうだ。

 

「クリエイトウォーター」

 

自陣を守ることは戦で大切なことだ。塹壕を掘ったり城を築いたりと過去の人間は必ず自陣に守備を設けた。現代では既に築かれた市街地で戦う事が多くなり、既にある遮蔽物を駆使して争いあう。だがここは少し木々が散らばっただけの山中。城もなければ塹壕を掘るほど人はいない。

 

今ある手段は魔法のみ。

 

「フリーズ」

 

自陣を守るためには相手を近付けない事が1つ。

航空機と言ったハイテクな物など無いからこの場で空を心配することは無い。

 

足元を見ろ。足をすくわれたらたまったもんじゃない。

 

ならこっちが転ばせれば良い。即席のスケートリンク。しかも斜面に作れば滑って登ることも儘ならない。

 

「弓兵さえどうにか出来ればこっちのもんだ。ゆんゆん、準備は良いか?」

 

「はい、勿論です!」

 

「よっしゃ行くぞ!」

 

『ライトニング』

 

放った雷が弓兵相手に直撃すると、闘いの鐘が響き出した。

 

 




【気休め】偽予告集

『Re:この素晴らしい世界に祝福を!』

『貴様に呪いをかけた。死んで楽になりたいくらいの呪いをな』

「カズマ…。どうしたのですか?そんなに酷い顔をして」

繰り返される朝、繰り返し起こる死

「俺は…戻ってきたのか?」

――――

「めぐみん…めぐみん!?」

目の前で繰り返し起こる惨劇



「いっそのこと、一緒に逃げる?1から…いや、ゼロからさ!」


――めぐみん。俺は……俺は君を――

「必ず、救ってみせる!」

『Re:この素晴らしい世界に祝福を!』

NEXT 約束した朝は遠く


次回の投稿予定【未定】

1年以内に出せると良いね(遠い目)
平和な海を取り戻しに行ってきます。
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