目が覚めたら異世界だったByカズマ   作:スーバル・フォン・ナッツキー2世

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(去年の10月には書いてた作品とか、ストックがまだあるとか言えない。筆がのらないときは兎に角遅いから、ストックを持たせておきたいとか、そんなことは言えない)


4話 蛙戦線

「ユンケル!」

 

最悪のケースだった。考えられない訳ではなかった。考えたくなかった。想像したくなかった。見たくなかった。声をかけた人間が目の前で餌になる瞬間を。 ユンケルと言う人物はたった今、デカいカエルの餌になった。なってしまった。

 

「畜生!無力な俺じゃ人1人救えねぇ…長年親方やってるのに…!」

 

「ユンケルはな。カズマ。お前と同じで真面目な奴なんだ。仕事は丁寧だし、酒だって飲み過ぎないで抑えられる。病気の父親の代わりに家計を養おうと真面目に奮闘する奴だったんだ」

 

まるでお通夜の雰囲気だ。死んだ仲間を悔やむかの様に…カエルに喰われた…。喰われた…?

 

「なあ、ひとついいか」

 

「カズマ…少しは空気を」

 

「アイツらってそんな人間をバリボリと喰うのか?」

 

「いや、歯は無いがアイツは人を丸ごと飲み込んじまう」

 

て事はまだ死んでない…!

 

「アイツらに弱点はあるのか…?」

 

「弱点って…お前アイツを倒すつもりか!?お前冒険者は冒険者でも最弱職の冒険者なんだろ!?」

 

「弱点があれば…最弱職の俺でも倒せる筈だ」

 

「弱点…アイツらの弱点って何なんだ…」

 

「金属が嫌いって学ばなかったっけか」

 

「冒険者が打撃が効かないって喋ってたっけ…」

 

「なんでもいい。情報をくれ」

 

一般人と、世間知らずの冒険者。一人一人満足な情報を持っていないが、三人寄れば文殊の知恵。日本の諺だがまさにこれを指すだろう。

 

纏めると

・打撃は効かないが、尖ったものが有効。

・金属嫌い。

・魔法も効く

 

この場で用意出来そうなのはなんだ…何がある。

 

「剣はねぇが、倉庫に鉈があるはずだ」

 

「斬れ味は」

 

「ちゃんと整えてる…でもいいのかよ。命懸けになるぞ」

 

そうだ。これは命懸けだ。雑魚相手になに弱腰になっているんだって話だが。命懸けなんだ。命は1つしかない。全員そうだ。正直怖い。だが目の前で人が死ぬほうが怖いんだ…。

 

「俺はやる…俺がやらなきゃ、誰がやるんだ」

 

「カズマ…」

 

「…分かった。あのバカを連れて来い。ちゃんと生きてな」

 

「…!あぁ!」

 

正直身体の震えは止まらない。死んでもおかしくないからだ。でも、俺は立ち向かいたいと思った。この震えは武者震いだと、自分に言い聞かせ、命を投げ出して。

 

「いいか。下につくまで土台から手を離すなよ!」

 

「分かってる」

 

安全ロープなんて、恐らくこっちにはないだろう。さっきの作業の時は誰も付けていなかった。今だってそんな物ない。落ちて死ぬなんてダサい。だからこの手はどんな揺れが来たって離してはならない。

 

「降ろすぞ」

 

20mと言えば、ビルで言うと約7階相当だ。高くてぶっちゃけ怖いし、ここからでもデカく見えるあのカエルも近付くとさらに威圧感を感じると考えると恐ろしい。

 

…そういや人を喰らったカエル、全然動かないな…人を食らってる間は動かないのか…?消化にどれだけ時間をかけるのかは分からない。ただ急がないと窒息ってのも考えられる。

 

よし、地面に着いた!

 

「行け!カズマ!」

 

…ッチ!想像以上のデカさだ。足がすくみそうになる…。気合い入れるぞと自分の頬を噛む。

 

「うおおおお!!!!」

 

全員倒す必要は無い。1人を…奴を倒せればそれでいい。だが踏みつけられたらおしまいだ。簡単に死んでしまうだろう。飛び跳ねただけでデカい振動を与えるのだから。

 

新たな餌を見つけたのか、カエルは俺を目掛けて襲いかかる。まあ、飛び跳ねて近付いているだけだが。

 

「ああああ!!!!」

 

だがまだ距離があるのが幸運だ。カエルの横腹目掛けて鉈で掻く。掻かれたところから生臭い血液が噴き出し、自分にかかるが知るもんか!

 

腹から背まで掻っ捌く位に斬りつけてやると、目に見えてカエルは弱り、ユンケルを吐き出した。

 

「ゲボっ!ゲボっ!オエッ!」

 

体液を纏っているのか、ユンケルはかなりヌメヌメしていて、噎せているが生きていたようだ。即消化じゃないのが救いだ…。

 

「立てるか!ここは危険だ!」

 

「ゲボっ!…新入り君、助けてくれたのか?」

 

「そうだ!早くしないと踏み潰されちまう!」

 

「うぅ…さっき落ちたので足を怪我して歩けないみたいなんだ…」

 

いくらカエルの身体がブヨブヨで柔らかいからと言っても、かなりの高さから落ちちゃ、それだって命が危ないんだったな…すっぽりとカエルに喰われてたから考えてなかったが。

 

「なら無理矢理背負うまでだ!」

 

「む、無茶だ…。アイツら人間よりも早いのに!」

 

「関係ない!ここから街の入口まで距離があろうと関係ない!手を伸ばした先に助けなきゃ行けない奴がいるなら、命張って助けねぇと!」

 

救命にリアルもクソもあるか!目の前で人が死なれたら俺は死んでも後悔するだろう。

もし助ける手立てがあるなら、体張ってでも助けてやる!…ライトノベルの受け売りだが。そう考えると薄っぺらいな俺。ニートやってたしそんなもんか。

 

「どんどん近付いている…ってか新入り君速くない!?人背負ってなんでジャイアントトードより少し遅い程度なの!?」

 

「少し鍛えていたのと!火事場の馬鹿力って奴だよ!」

 

本気で、死ぬ気で、逝く気で走っているのにカエルはどんどんと近づくばかり。これじゃあ2人まとめて喰われちまう…!

 

速度を上げようにもこれ以上は無理だ…今俺の出せる全力で走っているが、入口は見えない。俺だって鍛えてる言ってもひきこもり。体力だって無くなりそうな所を自分に鞭打つように走っている。いつガス欠になってもおかしくない!

 

「新入り君!俺を置いて君だけ逃げて…君だけでも助かってくれ…!」

 

「何言ってるんだよ!俺が来た意味なんだと思ってるんだ!」

 

「このままじゃ2人まとめて喰われちまう!だから、せめて君だけでも!」

 

「馬鹿言ってるんじゃねぇ!2人で助かるんだよ!っとうわ!」

 

何が幸運値は高いだ…なんでこんな所で石に躓くんだよ…畜生!

 

死ぬ間際、冒険者らしい事は出来た。カエルを倒して、喰われた奴背負って逃げた。これだけでも引きこもりの俺には大冒険だったんだ。でも、俺はやっぱり無力だったみたいだ。転生して無双できるほど、現実は甘くなかった。異世界に来た。それはまさにファンタジーだろう。だがそれだけだ。ファンタジーが現実になった瞬間、俺の力は想像のものから現実のものへと下方修正される。

 

思えばちっぽけな人生だった。

 

小さい頃は友達と遊んでいた。なんなら幼馴染みがいて、結婚の約束だってしてた。ヤンキーに寝取られちまった挙句死んじまったがな。

 

そこからショックで体調を大きく崩した。学校にも行けなくなるほどショックだった。学校に行かな過ぎて友達は消えた。次いでに厨二病も卒業…なんだよこれ、これが走馬灯って奴かよ。死ぬ間際、本当にこう言うの見るんだなぁ…。日本に帰れた所で友達は居ない。迎えてくれる家族は…多分いる。ただのひきこもりだった俺を迎えてくれるのかは分からないがな。勝手に消えてったし。

 

もうゴールしても良いよね?

 

「ライトニング!」

 

…え?

 

カエルに対して雷が飛び、そのまま黒焦げになった。一瞬だった。

 

「狙撃!」

 

遠くから声が聞こえたと思ったらカエルの脳天に矢が刺さっていた。

 

「ふん!」

 

カエルが悶えている所にすかさずに男が剣を振るうと、スっと刃が通り、カエルは一瞬にして絶命した。

 

すげぇ…これが異世界…?

 

「大丈夫?怪我は無い?」

 

「あ、あぁ…俺はちょっと擦っただけだ」

 

「お、俺は骨が折れたかもしれない」

 

いくら柔らかいカエルでも、高いところから落ちたんだ。怪我で済んだのが良かった。

 

「急いでプリーストのいる所に連れて行かないとな」

 

「俺が連れてくぜ。立てるか?」

 

「…なんとか、立つのが精一杯だよ」

 

「足は折れてなさそうだ。肋か…キース、悪いが2人で連れて行こう」

 

「そうだな。リーンは周辺の警戒を頼む」

 

「任せて!」

 

…俺は助かったのか?…生きてる。擦りむいた傷が痛いが、俺は生きているんだ…。

 

俺にも力があれば、あんな風に…。




このすばヒロインが未だに現れない…?

サブキャラしか出てないぞ?


次回【紅魔の娘】

?「ちょっとー?メインヒロインである私の出番はー?もう暇すぎてしょうがないんだけどー?」
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