目が覚めたら異世界だったByカズマ   作:スーバル・フォン・ナッツキー2世

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★★Let's B A K U R E T S U ! ! !★★


5話 紅魔の娘

ジャイアントトードと対峙したあの日から2週間が経った。テイラーと言うクルセイダーが率いる冒険者パーティーに助けられたあの後からモンスターとは戦ってない。カエルが着々と目を覚ましてきてはいるが、冒険者にとっては格好の獲物なのか、対峙した時を境に冒険者が続々と狩り始めていて、一般人の被害は今の所は発生していない。

 

「カズマお疲れ。今日の日当、少し色付けといたぞ」

 

「ありがとうございます!」

 

朝の9時頃から夕方の17時。間に休憩1時間の土木仕事。この国の法律は分からないが、こう言ったところは日本と変わらないみたいだ。

 

日当は1万5千エリス。実働時間7時間と考えるとかなり良いような気もするが、危険と隣り合わせと考えるとそれくらいは貰えるのかと思ったりもする。

今日はいつもより3千エリスも多く入っていた。無一文だった財布も毎日働いて気付けば18万エリス。このお金が溜まっていく感覚がなんとも言えない。

朝起きて飯食って運動して働いて飯食って働いて運動して風呂入って飯食って勉強して馬小屋に帰って寝る。

かなり健康的な生活をしている。いずれは家と家族を持って農家とか商売とかやりたいな…。

 

…って俺は冒険者なんだが…。めっちゃ人生満喫した気になってるけど、本業何もこなしてないのだが!?カエル1匹倒した物の買取で5千エリス。時間的にはたった数分でこれだ。ぼろ儲け…では無いな。完全に生きるか死ぬかの世界だったから。でも収入は普通に働くよりは良い。ちゃんと魔物を倒す力があれば。俺には無さそうだからそんな大冒険は出来ない。この初心者の街でぬるま湯に浸かり続けるだけだが、日頃の労働と運動と勉強を重ねた結果、ステータスが少しずつ上がっているのを見てそんな些細なことを忘れる。やはり筋肉が全て…。

 

この国の言語について勉強を重ねると、文字の形は違うが元いた世界と同じでローマ字の組み合わせで、文字を覚えると直ぐに理解出来た。

人生詰んだと思ってた所だから、本当に救われた。文字読めないと肉体労働しか出来ないし、本とか新聞とか何も読めずに新たな知識を付けることも自分一人じゃ出来ない。

少しずつ賢くなれた気がするから勉強は辞められない。やめない方がいいけど。

 

自分の話はこれくらいに。

 

最近街の外で大爆発が1日1回起きるようになった。誰がそんな爆弾を持ってきて発破させてるのかは分からないけど、折角修復した壁にもダメージが入っているから俺らの仕事が多くなっている。まあ、その分給与も増えてはいるが、ありがた迷惑だ。

 

いつもより忙しかったが、今日もひとっ走り行きますかね。

 

向こういた時からずっと日課にしていた。同級生とすれ違う恐怖もあったが、まあ帽子とサングラスしていたら気付かれる事は無かった。それはそれで寂しいが。

 

こっちに来てからはそんな変装する必要も無くなったがな。知ってる人誰もいないし。

 

城の外壁半周。かなり長い距離だがそれを走り続けていればモンスターからも全速力で逃げられる力が手に入りそうだ。努力すれば逃げる力を得られる。即死技や広範囲攻撃喰らったらたまったもんじゃないが、初心者の街でそんな事ないと信じている。

 

…ん?あれ?誰か倒れてる!?

 

「お、おい!あんた大丈夫か!?」

 

格好はかなり背が小さめの女の子だった。黒とんがり帽子に黒いマント。魔法使いっぽい風貌の子が地面に伏せていた。

 

「…お…」

 

「しっかりしろ!何があったんだ…」

 

「…お腹…」

 

「腹をやられたのか!?今すぐ教会に…」

 

「…お腹が空きました…カクッ」

 

…行き倒れか。でもこんな幼い子をこのまま見捨てるのも気が引ける。しゃあーねぇ。ギルドに運んで飯食わせるか…。

 

「よいしょっ…軽っ!?今まで何食ってたらこんなに軽くなるんだよ…」

 

女の子を背負うとその軽さに驚き、その後に幼くても女の子って柔らかいんだななんて邪な考えが過ぎる。流石に小学生くらいの子に手を出そうなんざ思えないがな。

 

「少しの辛抱だ。今すぐギルドに連れて行くから!」

 

「…申し訳ないです…」

 

今にも死にそうな顔をしている。ちゃんとご飯食べれないほどこの子の家は貧しいのか…?娘にちゃんとご飯を上げられないなんてなんて親なんだ…。良い親にちゃんと親孝行出来なかった俺が何を言ってるんだって話なんだが…。

ちゃんと食わせてあげよう。あんなに顔色が悪いんだ。貯金とかそんなの気にしてられない。

 

よし、ギルドに着いた。

 

「あれー?カズマさん今日は少し早い…ってどうしたんですか!?」

 

「ルナさん!この子凄いお腹空かせてるみたいだから、なにか直ぐ出せそうなのお願い!」

 

「は、はい!ただいま!」

 

いつもお世話になっている女給さんが出迎えると、こちらに気づき慌ただしく裏に戻って行った。

 

「食えないものとか無いか?」

 

「…な、なんでも食べます。連れてきてもらってありがとうございます」

 

「礼はあとで受け付ける。ほら座ってくれ」

 

席に着かせて向かいに座る。改めて見るが帽子から覗かせている黒髪に、赤い瞳、片方は眼帯を付けている。かなり可愛い子だった。

カズマさんが中学生くらいで幼馴染みが居なかったら好きになってたかもしれないが、歳の離れた子はNG。あんま邪な事考えるのは良くないが、歳の近い異性と話したのがかなり久しぶり過ぎてテンションが上がっている。

 

「お待たせしました!」

 

いつも頼んでいるカエルの唐揚げとご飯。女の子用のご飯は山盛りにされていた。こんなに食えるのかなぁ、と思っていたが、匂いが鼻までたどり着いたのか、無我夢中で食べ始めた。

 

す、すっごい食欲…。

 

「お、おいそんなにガツガツすると喉詰まらすぞ。足りないなら頼むから、もっとゆっくり食えって」

 

「ゴクン。すみません。3日も何も食べていない物ですから…助かりました。なんとお礼を申せば良いのやら…」

 

「気にすんなって。腹減ってるだろうがもう少しゆっくり食べなきゃ」

 

「…我が家の食卓はいつも早い者勝ちでしたから、どうも癖で…」

 

「よく噛んで食べると食べ過ぎないし、満腹感が出るらしいぞ」

 

「そうなんですか!いや、でも私は食べます!」

 

あぁ、そう…。山盛りだったご飯も気付けば少ししか残っていない。

 

「図々しい事言って申し訳無いのですが…」

 

「お代わりか?気にするな。満足するまで食べな」

 

「い、良いんですか?…はっ!?何か私に要求が…!?」

 

「そんな事求めてないよ。要らないなら食べないでも良いんだぞ」

 

「要ります!あと3回くらいお代わりしたいです!」

 

こいつ俺の財布を破産させるつもりなのだろうか…。

 

―――

 

「ふぅ…たっくさん食べました。こんなに食べたの初めてです…」

 

「…満足してもらえたなら、何よりだよ」

 

少なくとも1日働いた分は消え去った…。今日はシュワシュワ飲んでないのに…。この子本当に食べたなぁ…食べ尽くした?どこにそんな食べれる程の身体があるのだろうか…。

 

「そう言えば自己紹介がまだでしたね」

 

「あぁ、そうだったな」

 

女の子は立ち上がるとなんか決めポーズ取り始めた。

 

「我が名はめぐみん!紅魔族随一のアークウィザードにして爆裂魔法を極めし者!」

 

…この子中二病…?いや、彼女の言う紅魔族って言うのはこういう挨拶が主流なのだろうか…恥ずかしいが、ここは彼女に合わせる所だろう。

 

「我が名はサトウカズマ!最弱の冒険者にしてこの街の壁を護りし者!」

 

だせぇな。俺ここに来て土木作業しかやってないからな。他に説明しようがない。

 

「お、おおおおお!!カッコイイです!」

 

カッコイイんだ。なんか照れるな。これと言ったことやってないのに。

 

「里の外の人は白い目で見てくるのに…里の外の人で紅魔族の名乗りをした方はカズマが初めてです!もう1回!もう1回やって下さい!」

 

「決め台詞ってのはここだと言うタイミングでやるからこそ、カッコイイだろ?」

 

「おおお!!こんなに私のセンサーにビビっと来た人は初めてです!」

 

すっごい喜んでる。中二病なんてずっとドン引かれてたから、本当に照れくさい…。取り敢えず紅魔族ってのは中二病を患った一族と言うのは分かった。

 

「ご飯も奢ってもらい、紅魔族の私を受け入れてくれるような甲斐性のある方はこの先見つかりそうにありません!…まさに運命の出会い!」

 

「本当に照れ臭いから…。まあ、喜んでもらえて何よりだよ」

 

本当、こんなにも満面の笑みをされるとなぁ。消えたお金なんてどうでも良くなりそうだ。

 

「そう言えばカズマは冒険者なのですか?」

 

「一応な。2週間前に冒険者になってからカエルを1匹しか倒せてない」

 

「カエル…あのジャイアントトードですか?冒険者ならば小遣い稼ぎに倒しに行くレベルのモンスターですよ?」

 

えっ、あいつそんなに冒険者の中では弱いの?俺大苦戦したんだけど。確かに鉈で簡単に斬られたけど。

 

「そのカエルで間違いない。初日に対峙してからモンスターを倒しに行ってない」

 

「最弱職と言われてますが、カエルを倒すのも苦労が居るとは…それで普段はどうやって暮らして居るのですか?と言うかもしかして私は収入が無い人に集ってしまったのですか…!?」

 

「壁の修繕が俺の仕事だ。冒険者やってる時間より壁の手入れの方が遥かに長い」

 

何しろ1日8時間だからな。1日で討伐時間の16倍だ。

 

「だから壁を護りし者なのですね!」

 

「あぁ。最近は何処かの爆発魔が街の外で暴れて劣化以外の修復が多いんだけどな」

 

「…あ、あはは、一体どこの人なんですかねー」

 

「本当だよ…。あれ?確かめぐみん爆裂魔法がどうのこうの「あーっと!今日はお世話になりました!この御恩!絶対に忘れません!では!また会いましょう!」あっ、おい!」

 

あいつが犯人か…?魔法使い、そんなに強い力があるのか…。






黒より黒く、闇より暗き漆黒に 我が真紅の混交に望みたもう 覚醒の時来たれり 無謬の境界に堕ちしことわり 無業の歪みとなりて出現せよ 踊れ踊れ踊れ 我が力の奔流に望むは崩壊なり 並ぶ者なき崩壊なり 万象等しく灰燼に帰し 深淵より来たれ これが人類最大威力の攻撃手段 これこそが究極の攻撃魔法!!

次回!『エクスプロージョン!』

高橋李依さんは良いぞ
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