目が覚めたら異世界だったByカズマ   作:スーバル・フォン・ナッツキー2世

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また次がある(二次試験)

1ヶ月ぶりです。お待たせしました。
おそらく次も時間が開きます。



何がとは言いませんが7月7日に4.5.6と縁起の良い数字を見ました。ええ。金運に恵まれているのでしょう。ええ。いや、こっちの話です。


9話 トモダチ?

爆裂魔法は捨て身の魔法だ。

並の者には発動さえできない。

上位クラスの魔法使いが初めて魔力を使い切って発動できる魔法だ。

魔法を使い切った後は地に伏す。

 

これが俺の知っている爆裂魔法だ。

俺の中ではめぐみん以外に使い手を知らない。

 

…その爆裂魔法が遠くから見えたんだ。

他のスキルを疑いたかったが、俺のスキルに爆発なんてものは追加されていなかった。

 

―――どうせ果てるなら思いっきり爆裂魔法を撃って果てたいものですが…どうしてここまで誰にも分かってもらえないのですかね―――

 

あの時めぐみんの表情は悲しそうだった。

でもそれが覚悟に変わったとするなら…

 

あいつ、魔物に喰われる覚悟で放ったのか!?

 

あんなに笑顔で出された飯を美味そうに食べ、家族の事を話している時にどこか優しい笑みを浮かべ、我が道を進もうと強い意志を持った

 

そんな女の子が、魔物に喰われて死ぬかもしれない。

 

俺の数少ない知り合いの女の子。

いや、この世界に来て1番仲良くなった女の子だ。

俺は何故、冒険者なのにチームを組んであげられなかった。彼女を取り巻く環境、俺にはわかっていたのに。

俺はただ強く後悔していた。

死んで時間が巻きもどるなら、俺はこのまま首を魔物に差し出してやる。

もし彼女を救えるなら、俺は裸でもなんでも駆け出してそのまま牢屋にぶち込まれてやる。

 

…彼女の死に様をみるなら、俺は自分の頸動脈に爪を立ててやる。

 

俺の覚悟は決まった。彼女が命を張って、自分が何をすれば良いのか初めて理解した。

 

弱音なんて吐いていられねぇ。剣がないなら拳しかない。殴る為に使ったことは無い。魔法は一つだけ。

 

まさに背水の陣だ。生きるか死ぬか。

そんなの構ってられない。

 

俺は誰かが死ぬのが怖い。

この世界は、前の世界よりも命が軽い。

自衛の手段を持たない者は魔物の餌に成り果てる。それが恐ろしく怖かった。次は自分だと言われているみたいで。自分じゃなかったら、お前の周りの人だと…。

 

…畜生!めぐみん!どこだ!?どこにいるんだ!?

 

爆発の方角的にこっちで合っているはず。

どこにいるんだ…めぐみん…。

 

…見えた!抉れた地形!爆裂魔法の痕跡…。

 

めぐみん…ッ!?

 

「グルルルル…」

 

嘘だろ…。想像したくなかった。出会いたくなかった。それでも、頭を過ぎる光景には

 

魔物の姿が居た。

 

狼の群れだった。ざっと10か…それ以上。めぐみんは倒れているままで反応は無い。…暗くて分からんが、血の匂いはしないし恐らくまだ傷は無いはず。

 

めぐみんを助けるには…俺があの群れを倒すしかない…。魔法は初級魔法とライトニングだけ。剣なんて持ってないから片手剣スキルは使えない。他は日常生活に役立つ物、ここでは使えない。

使えるのは魔法と拳、落ちている石。

それ以外は使えない。

 

「使うしかねぇ…!決まってくれ!『ライトニング!』」

 

魔法を出す感覚は水を出す時になんとなく掴んだ。このコントロールで上手く当たってくれればいい…。

 

「ギャン!?」

 

放たれた雷は1匹に命中し、絶命した。

手の中でバチバチしている。

俺の手から雷を放ち、当てた。それだけだ。

それだけだが、俺はどこかやれるなんて思った。

 

「もう1発!『ライトニング!』」

 

真っ暗闇、月明かりと爆発後の燃えカスの灯りを頼りに雷を放つ。命中したかどうかはよく見えない。耳を済ませる。ザザザっと枯葉を掻き分けるように何かが素早く動いている。正直目で負えない。

どこだ…どこにいる…?

 

「グルゥア!」

 

前ッ…!?と気付いて避けようとしたが避けきれず、静かに、そして熱く灼ける様な痛みが腕を襲う。

 

「あ、あああああああ!!!!」

 

痛い

痛い

 

今まで感じた事の無い熱さと激痛が腕を襲う。

擦り傷、なんて生易しいものでは無い。

パックリと裂かれた…ッ!

 

「はあ…はあ…ッ!ああ!痛てぇよぉ!!」

 

血が腕を伝う。裂かれたところからは血が泉の如く垂れ流され、熱いのに自分の身体が冷えていく感覚がする。

 

「ち、畜生がぁぁぁ!!!『ライトニング』『ライトニング』『ライトニングゥゥゥ!!』」

 

出せる限りの力を振り絞る。もはや空元気でしか無い。思考が落ちていく。熱い、熱い。なのに寒い、寒い。身体の底から震える寒さ。止血しないといけないが、この傷、どう止めれば良いか分からない。

血の臭いで誘えないか、と考えたが足から力が抜ける感覚がする。

冷や汗が止まらない。息も苦しい。

寒い、寒い、熱い。

人間って、血の20%を失うとやばいんだよな…。…ははっ、血が止まらねぇや…。

 

「ライトニング…ライトニング…」

 

狙いが定まれない。狙える気がしない。もはや運頼みの魔法だ。最初に全力で放ったものよりも劣っている感じがする。

 

「ライトニング…うっ…」

 

脱力感が酷い。血が無くなってるのか、魔法を使い過ぎたか…畜生。耳を澄ませばまだ4匹は残ってるのに…。畜生…ちくしょう…。

 

助けたいと思った。救ってあげたいと思った。

 

彼女の生き方が、羨ましかった。

 

目指すべき人が居て、目標を、信念を持って、周りに流されずに、自分の目指すべき姿に一途に取り組んだ。

 

俺とは大違いだった。

 

目指すべき理想像も、目標も新年も無い。結局は流され、ただ逃げるように何かに打ち込もうとした、ただの臆病者なだけだった。

 

そんな俺でも、彼女を救いたいと思った。

どこか同情してたのだと思う。

慢心もあっただろう。

彼女の事を救える。救えるのは俺だけなんだ。

自分はつくづく弱い人間だと自覚したのにこれだ。

 

笑っちまう。能力だけじゃなくて、人間としても弱かった。そりゃあ、引きこもりやってたらそうなるよな…。

 

もう力が入らない。後はめぐみんと仲良く食われて終わっちまうのだろうか。思いの外呆気ない異世界人生だった。

 

めぐみんだけでも、助けられたら、良かったのに、なぁ…。

 

俺は悔しさを胸に、意識を手放した。

その後に現れた誰かに気付くことがなく。

 

―――

 

 

 

 

―――

 

 

眩しい。目に差す光に不快感を覚え、俺は目を開ける。あんだけ血を流したのだから、ここは死後の世界と言うものか。

 

…それにしてはなんだか生活感のある部屋だ。

棚に並べられた本は、時々他の本を巻き添えに倒れている。輝いた空間で、それでいて殺風景な雰囲気を予想していたが、それは違ったみたいだ。いや、死んでないかもしれない。

奇跡が起きて、誰かが助けに来てくれて、俺の命は助かったのかもしれない。

でもそれだとめぐみんはどうなったんだ…?

 

なんて考えていると扉が開く音がした。

音のする方向を見てみると、めぐみんに似た黒髪に紅い瞳を持つ。それでいてめぐみんより大人びた雰囲気の女の子がそこにはいた。

 

…あれ?この子見たことあるぞ?

 

「君はよくギルドに一人でいる…」

 

「えええ!?そ、それは間違って無いですけど…私そんなイメージ持たれてるんですか!?」

 

大人びた雰囲気は、一瞬にして去っていった。

やっぱこの子ギルドにいるぼっちの子だ。

 

「あまり他の人と一緒にいる所見ないからさ。それでいて集団を見て羨ましそうにしている」

 

「うぐっ。み、見てたんですね…あはは…」

 

こんだけ可愛いのに…。多分、なにか悪いんだろうな…。めぐみんと同じく。…そうだめぐみんだよ!

 

「なあ、めぐみんは!めぐみんは無事か!?」

 

「お、落ち着いてください!めぐみんは無事ですよ!あなたのおかげでめぐみんは無傷です!」

 

「そうか…良かった…」

 

よく見ると俺の腕には包帯が巻かれていた。

しかし、痛みは感じない。あの時は痛みで意識が飛びそうになったと言うのに。怪我の治りが早くなったのだろうか?

 

「腕の怪我はプリーストの方がヒールをかけてるので、もう治っている筈ですよ。1歩間違えれば壊死して片腕だけってのも想像がついたみたいですが」

 

何それ怖っ。でもそうか。微生物やら寄生虫やらが体内に入り込んだらそれこそ病気や怪我に繋がるもんな…。

 

「カズマ!目を覚ましたのですね!?」

 

「めぐみん!無事だったか!」

 

「はい。カズマのおかげで私は無事でした」

 

良かった。これで救えなかったら俺は自らカエルの餌に成り果てるところだった。

 

「ただ、俺が倒れた時、まだ5匹くらい生きてた気がするんだが…」

 

「それについては私が倒しました」

 

「君が倒したのか?…君は強いな」

 

やっぱ、本職の人って強いんだなぁ。

 

「カズマさん、でしたね?」

 

「あ、うん。カズマです」

 

「私はゆんゆんと申します。めぐみんと同じく紅魔族の者です。私のライバルを…友人を助けて頂きありがとうございました」

 

「ゆんゆん…」

 

なんとなく紅魔族の子だと思っていたが、そんな魔法のエキスパートがポンポン初心者の街に来るものなのか…?

 

「…貴方私の友人だったのですか!?」

 

「もぉぉぉぉぉ!めぐみんのバカァ!!」

 

えっ?そっち?ねぇ何だったの今のしんみりとした雰囲気。全てぶち壊しじゃねぇか!

 

「折角助けてあげたのに!その仕打ち酷くない!?」

 

「わ、私はあそこで死んでも問題無かったのですからね!?」

 

あれ?それじゃあ俺骨折り損って事になるのだが。

 

「ちょ、めぐみんそれはカズマさんに対して失礼じゃ…」

 

「……あっ」

 

めぐみん…ゆんゆんに対して何故か攻撃的なのだが、一体何故…ああ、そういう事かと俺は胸元を較べて結論を出す。

 

「まあ、めぐみん。君にだって未来があるよ」

 

「おい、今私の何を見てそう言った」

 

まあ、でも

 

俺はこんな感じの

 

騒がしい日常がもう一度

欲しかったのかもしれない

 

『よしお前ら!街に出かけて冒険だ!』

 

『みんな!カズマに続けーー!』

 

ガキの頃は楽しかった。何かに追われることも、去られて傷付くことも無かった。

 

でも、傷付いて手に入る物も、あるのかもしれない。今回は物理的な傷だったが。

 

…口では友達じゃないとか言ってたが、喧嘩しているその口は笑っているじゃねぇか。

 

ったく、素直じゃねぇな。




コンビニ店員「456円でーす」
ワイ「やったぜ」


カズマさんの最強伝説はここから始まるかもしれません。魔王を倒す存在となるのか、王宮に仕える料理人になるのか。ちょっと夢のあるかもしれないお話が。


ある程度お話が進んだら章で管理しようと思います。
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