個性【ずらす】
自身から半径1mの領域にあるものの軌道をずらすことができる。
と、公には申請しているが私がずらすことができるのはものだけではない。
正しくは、私の半径1mの領域に向かいものや概念の軌道をそらすことができる、だ。ここでいう概念とは視線や意識である。
生存プラン(仮)で大切なのは原作知識という未来を知っている私が、超常解放戦線との全面戦争まえにどれほどの布石を打つことができるかである。この生存プラン(仮)を実現しようと思ったのは私の個性がプランにかなり向いているからだ。
さて、生存プラン(仮)は基本的に弱体化と妨害によって最悪の結末をヒーローたちに解決してもらうという計画である。
今から行うのはその第一歩、将来のラスボスこと死柄木弔を死柄木にしないことだ。
死柄木の本名は志村転弧。あのオールマイトの師匠、志村奈々の孫だ。
今ではラスボスキャラとなってしまった殺戮大好き死柄木君だが、もともとは緑谷出久と同じようなヒーローにあこがれる優しい子だったのだ。
彼を変えたのは彼を取り囲む圧倒的なストレスマックスの環境である。このストレスの原因とは転弧の父である弧太郎が家庭内に敷いたルールである。
『家の中でヒーローのことを話してはいけない』
話せば飛んでくるのは罵声と暴力。人を助けるヒーローに憧れれば憧れるほど父から忌避される。愛を欲する子供にしてはあまりにも酷だ。
ではなぜ父である弧太郎はこうなったのか。
志村奈々は自身が
自分の子供を巻き込むまいと判断し、子供であり転弧の父である弧太郎の存在を自身から切り離した。第三者から見れば子供を思っての行動に見えるだろう、しかし果たして子供はそれをそうだと認められるだろうか。
子供から見れば家族よりも世間を優先したとも見えただろう。仮にそうだと理解していたとしても、まだ幼い心では納得できるはずもない。
歪んだ。
ヒーローを正義の味方としてとらえるのではなく、誰かを犠牲にして誰かを救う偽善者としてとらえた。
歪んで
拗れた
そして家庭を持った彼は歪んだ自分なりの考えで家族を守ろうと生きる。
それが駄目だった。もしかしたら志村奈々の子供を思っての行動が拗れて歪んで、その果てに志村転弧という少年を死柄木にしてしまったのかもしれない。
まあ詳細が気になる人は原作でも読んでみればいいんじゃないか。
さて、長々と語ったがようはつまり。
今の彼は悪に転じるかどうかの分水嶺に立っている。
ストレスの果てに【崩壊】という個性を宿し、家族を家ごと破壊した。助けるなら、手を差し伸べるなら今しかないのだ。
そんなこんなで私は今ここにいる。場所はネットだよりだ。
粉々になった家があるんだがwwwみたいな記事を見つけて該当地区まで来た。
私は家族を破壊した後の転弧の行動を知っている。
家を破壊した彼に変える場所なぞない。まるで行く先が定まらない旅のようにふらふらと頼りない足取りで彼は朝の通勤でにぎわう通りを進む。
ほら、あそこだ。
「す...すぐヒーローか警察が。
きっとあのおば様は優しい人なのだろう。きっと迷子の子供くらいならば助けてあげられたはずだ。しかし彼女が対峙したのは正真正銘本物の闇。まあ早い話荷が重かったのだろう。
今だ、今なのだ。
「やぁ少年。どうやら何かあったようだね」
声をかける。
少年は私を見上げる。
こちらを見上げる彼の眼は搔きむしった荒れた皮膚も相まってまるで孔が開いているかのようだった。見ているだけで気がくるってしまいそうだ。余りにも黒すぎるそれに吞まれてしまいそうだ。
でも私には関係ない。彼の個性をしっている、ここで動かなければどちらにせよ世紀末がいずれ訪れて死ぬ。一度死んだ弊害か、どうやら私はとんでも度胸を持ち合わせているらしい。
「私は...そうだな。とりあえず君を助けに来た魔法使いとでも思ってくれたまえ」
呆けた目でこちらを除く転弧にとびっきりの笑顔を向けて私は告げる。
「私が来た、さしあたっては君の個性をどうにかしてやろう」
ちょっと調子に乗ってウィンクなんかも決めてみたりして。
時系列とかはたぶん原作キャラの年齢とかから割り出したんだと思います。久々に書いているので文字数こんなもんで。
お気に入り登録、感想ありがとうございます。頑張ります。
もろもろしてくれたら、嬉しいにゃん。
文字数は
-
もう少し多いほうがいい
-
これくらいでもいい
-
むしろ多い
-
転弧くんprpr