最悪な結末を回避するための100の方法   作:やなぎのまい

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感想をいただけたので初投稿です。


その3 計画の第一段階へ踏み出そう

 

ようするに私が与えてやれるのは個性という現状では治すことのできない症状に対する対症療法だ。

 

特に死柄木のような、いや言霊ってあるしな。転弧と呼ぼう。

 

転弧の個性はかなりわかりやすい。発動型の個性として破格の性能を持つ反面、発動の条件がはっきりとしている。

 

転弧の個性は【崩壊】。5本の指で触ったものを有機物無機物問わずボロボロに崩壊させる個性だ。触れただけで崩壊、破壊できるというのは少なくとも5歳の男の子に持たせていいものではない。

 

今の転弧は触れたものをすべて破壊してしまうと恐怖している。まあ実際触れたものをすべて崩壊させてしまうのだけれども。

 

現時点で壊すことに意義を見出してしまっているのであれば、死柄木弔ルート一直線なのだが。どうやらまだそうとは決まったわけではなさそうだ。肘のあたりが血でにじむほど固く組まれた腕が、今の彼が破壊を進んでしてしまいたいと思っているわけではないと証明している。

 

であれば彼に取り入るスキは十分に存在している。計画の第一段階の勝算も十分にあると考えていいだろう。

 

つまり私が彼にもの、人に触れることができる術を与えてやればいいのだ。

 

「君の名前を聞いてもいいかな?」

 

「あの...えっと...」

 

視線がぶれる。今まで誰も自分を見てくれなかった反動か、急に話しかけてくるだけではなく、あれ程願ってやまなかった救いの言葉が目前に降ってきたことを受け入れ切れていないのだろう。

 

私の体の上から下まで視線がいったり来たりしている。

 

まぁいきなり名乗れというのも無茶な話か。まずはこちらから名乗るとしよう。

 

「いやすまない、こちらから名乗るべきだったね。私は逸見佳擦、小学4年生の11歳だ。やけに大人びて見えるって?それは私が大人のレディーだからね」

 

..........

 

もしかしてミスっただろうか。

 

変にキャラを作ってるわけでもなく、今世の私の素なんだが。いや少し怪しい奴くらいの立ち位置のほうがいいか。いきなり都合がいいような優しすぎるやつだったら怪しまれる可能性だってあるだろう。

 

「コホン、さて私は名を名乗ったぞ。次は君の番だ」

 

「.....し、むら...てんこ」

 

知っている。

 

生存プラン(仮)のためとはいえ、幼い子供を利用していることに今更若干の罪悪感が湧いて出るが心の底に押し込める。

 

彼だって救いを求めていたのだ。

 

原作ではその救いを与えたのがAll for oneで与えたものが最悪だったってだけだ。

 

「志村転弧...実にいい名前だ」

 

「えっと..お姉さんは?」

 

おっと

 

ショタコンの毛はないはずだったのが事幼い声でお姉さんと呼ばれるのはなんだかこそばゆいものがある。

 

やはり自己紹介には大きな意味があったようだ。

 

見てみれば震えながらもこちらをきちんと見つめる目がそこには二つあった。

 

「いい目だ。とりあえず場所を変えようか、お姉さんについておいで」

 

どうやら私はお姉さんという呼称を、自分が思っているより気に入っているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所を変えて近場の公園に向かう。

 

私は自身の半径1mの領域に向かってくるものをなんとなく知覚することができる。

 

転弧にアクセスをとってからこの公園に向かうまで、行き交う人々からこちらに向けられる視線はかなりの量があったがそれより遠くから向けられる視線はなかった。

 

All for oneのことだ、どうせ転移系の個性で遠くから遠見の個性を使って転弧を確認してから接触を図るはずだ。

 

サラリーマンや子供を送る主婦の中にあいつがいないとすれば、まず一手先に行くことができたといえるだろう。

 

公園に向かうまでも転弧には私のすぐそばについてくるように言い、こちらに向かう意識をすべてそらしておいた。

 

意識がなく記録できるカメラなどを念入りにチェックされればさすがに見つかるが、少なくとも肉眼で私たちを視認できる人間はいないはずだ。

 

そんなこんなで無事公園に到着する。

 

木陰でうまいぐらいに視線を制限できるベンチに転弧を座らせる。

 

次現れる保証はないチャンス、ここでものにできなければ死ぬと心得よ。

 

「さっきも言った通り、お姉さんは魔法使いだよ。君の悩みを解決してしんぜよう」

 

私も隣に座る。

 

「だからまず、何があったのかお姉さんに教えてくれないか?」

 

 

ぽつり、と彼は言葉をこぼす。

 

 

みっくんとともちゃんが

 

オールマイトごっこをしたんだけど

 

でもお父さんはだめだって

 

華ちゃんが写真を見せてくれて

 

でも僕が部屋に入りたいっていったんじゃないんだよ

 

そしたお父さんが

 

僕をぶつんだ

 

何度も

 

モンちゃんを抱いた時

 

壊れてなくなっちゃったの

 

華ちゃんがも

 

お母さんも

 

おじいちゃんもおばあちゃんも

 

そしてお父さんも

 

 

 

 

概ね、というか私が知っているまんまの展開だった。

 

転弧の目からは涙が。まるで悪いことがばれた子供が、叱られるのが怖くて泣いているかのような顔をしていた。

 

そして私は転弧のすべてを肯定する。

 

「大変だったね」

 

本質がどうとかじゃない。

 

「辛かったね」

 

個性のせいだとかじゃない。

 

「頑張ったね」

 

今だけ私は彼の依存先になってやるのだ。

 

「でも大丈夫」

 

 

私がいる

 

 

少年の泣き声が公園の木々に反響して消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ということでオリ主は小学4年生でした。原作で死柄木が20歳であることを考えたら最大で5歳年上ぐらいじゃないときついかなと思ってのことです。

小学生に見えないのはそりゃ中身が前世もちならあり得るでしょうということで。


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