金なら2枚、銀でも2枚   作:凍り灯

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何故かひどく頭の悪い組み合わせを閃いてしまった結果が、これ。





プラチナでも2枚

 

 

 

間違いない。

 

 

 

私は確信した。

 

 

鳥っぽい身体。このピンク色のボディ。赤い顔、そして何よりこの大きな黄色いクチバシ。

 

長年の謎は解けた。この話を自慢したところで誰も理解できないのは非常に残念だが、あぁ間違いない。

 

小さな池に反射して映る自身の、鳥なのかワイバーンなのかよくわからない身体を再度見て確信する。

 

 

 

 

 

―――これは絶対にキョロちゃんのイチゴ味の元ネタだ―――

 

 

 

 

 

花京院の魂を賭けてもいい。誰だよ花京院って。

 

口からチョコボールじゃなくてファイヤーボールが出るけれど多分そうだ。

可愛さの欠片もない奇声じみた鳴き声だけど、きっとそうだ。

キョロちゃんの首に巻かれてる…あのなんだ、いちごのヘタっぽい…緑のあれ…それはないのだが…まぁ、きっとそうだ。

 

 

 

そうか、私はキョロちゃんだったのか…生まれてこの方気付かなんだ。このリハクの目をもってしても!!誰だよリハクって。

 

あの小さい二足歩行の生物である"人間"とやらの記憶?経験?が何故か頭に流れてきて苦節5年。

ずっと感じていた違和感が解消された。最高にハイってやつだッ!いや言うほどでもなかった。

 

ともかく私が、かの有名な…会社の名前はでてこないけれど、チョコレートと呼ばれるお菓子のマスコットキャラクターなるものだということはわかった。

 

うぅむしかし…この記憶とやらも中途半端極まりない断片的な物。それを(かえり)みてもどうも私の知ってる人間の生活と一致しない。私の回りの人間、ちょっと原始的すぎないか?

 

もしや別の遠く離れた大陸の記憶だったりするのだろうか?わからない。まぁ考えても仕方あるまい。

 

 

 

 

そうか、もしやここより遠く離れた大陸の同族たちは、人間にキャラクター化されるぐらい愛らしいと思われてるのでは?私たちと違い、そういう進化を遂げたのかもしれない。

 

…この大陸に住む私たちは?だって?

これのどこに愛らしさがある。ホァァァァァォ!キョエェェェェ!が鳴き声だぞ、ふざけるな。

 

 

 

!!!

 

まさか…そうなると遠く離れた大陸の同族たちは、本当にチョコボールを口から出せるのではないか???

 

飛躍し過ぎか。

 

チョコボールと言わずとも、それに酷似した何かの可能性はある。具体的に思い付かないが。

あり得る………じゃなきゃぁマスコットキャラクターにのモデルになんて選ばれるわけがない。きっと向こうの私たちは、人間にとって比較的無害な感じなんだ。そういう共生の形をどこかの時代で手に入れたのか…

 

 

 

なんだこの格差は。

いや、生き延びる上で強い方がいいに決まってるんだが、こうまで違うと言うならばギャップで死ぬ。なまじキョロちゃんなるものを知ってしまった故に。

 

羨ましい。

 

その知名度!私だって一目置かれたいのだ。対象が人間だったとしてもだ。どうせモンスター同士の土俵では私たちでは勝てない。どこまで言っても弱者でしかないのだから。小さいやつに威張ってでかいやつに怯えてばかりはうんざりである。

 

…それに、だ。人間はやばい。

何がやばいってそりゃぁ色々ありすぎて困るが…数も執念深さも成長性も手段を択ばない外道っぷりもぶっちぎりに超越している種族だ。特にハンターとかいうよくわからん上位種族はイカレの極み。

明らかにあの小ささに収まるはずのない筋力、動きやスタミナを持っているのだ!(これに関しては他のモンスター共にも物申したいが)

 

緑色や黄色の薬品やらでドーピングしまくっているとは言え、重力とか生物学とかの法則とかはどこにいった!?

アタリハンテイ力学?そんなとんでも力学は存在しないと"記憶"は言っているぞ。

 

ともかくハンターとか言う奴らはモンスターと同類と見ていい。人間は全員がその予備軍だ。なんであんなたくさんいるんだ…せめて半数は滅べ。80億はいるんだろう?いいじゃん半分くらい。

 

―――待て、そもそも人間たちから、マスコットのように強さとは違う方向性で一目置かれれば、今の私でもあのハンターなるものたちに狩られることはないのでは?

 

 

 

…それだ!

 

私には人間の考え方が今やちょっとわかる。今まで見て来た人間は、何故か記憶とだいぶ生活環境は違うけれど似てるとこは多いはず。

 

キョロちゃんという、一度受け入れられている実績がこのボディにあると言うのならば、それを目指せばきっと人間から敵対されない…と思う。向こうの大陸の同族たちが出来て、私が出来ないなどということはないはずだ。

 

―――人間は天災だ。抗うことのできないような大嵐、津波、雷、地震、山火事。"記憶"は言っている、古龍より(たち)が悪いこともあると。自然を平気で破壊し、汚染し、作り変え、そして二度と元に戻らないのだ。怖すぎかよ。

筋肉モリモリのマッチョマンの変態が第三次世界大戦を起こしそうになるほどだぞ、そりゃ怖いよ。

 

その矛先が向けば私などひとたまりもないだろう。逃げた所で、情報社会から逃れられないのだ。やはり半分滅んでくれ。

…だがそれは、やつらと敵対した場合、または害があると判断された場合のみ。

その判定は中々シビアだが、それでも良い方向の知名度が拡がれば手出しはしてこない…はず。情報が拡がるのが早いのなら、ある程度認知させさえすれば安全になる可能性はある。多分。

 

出来るはずだ。なれるはずだ。

だってキョロちゃんがそれを証明している。元ネタは私たちなのだから。

 

 

 

そう、今日から私は…キョロちゃん(イチゴ味)だ!

 

 

 

…となると。今までの私のイメージが定着しているこの地ではだめだ、打算がばれてしまうかもしれない。全く別の場所に行くべきだ。

 

まずは新たな…そう、同族が住まない新たな大陸を探そう。そうすれば物珍しさから最初から注目される。そこが狙い目ッ。

 

待っていろよ人類。キョロちゃんが今、行くぞ。

 

 

 

………一先ず鳴き声を改めなければ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある現地調査員の走り書きより抜粋。

 

報告書とされる以前、調査中にて書かれたその走り書きは個人の人間関係、感情を含む内容があるも、現場の雰囲気を感じ取るにはこれぐらいがいいだろう。

 

尚、本人たちの意向により名前は伏せられている。

 

 

"調査記録001"

 

新大陸にて今まで確認されていなかったモンスターが発見された。

 

新たにこの地に渡ってきたそのモンスターは「イャンクック」と断定。

誰もが知るモンスターではあるがこの地では異端。現在までの目撃情報からほぼ間違いなく新大陸で産まれた個体ではないと判断されたために、今回我々三期団を主な構成員として専門の調査隊を設立。

 

さっそくハンターより"古大樹の森"にてその存在を確認したと新たな報告あり。

 

大海を越えてここまで渡った理由等、多くが不明瞭。それを解き明かすために、本調査隊による長期を想定した調査を開始。

 

今回の調査隊員のメンバーを確認する。

四期団から参加のハンター1名。我々より後の期団とは言え、高齢で実績のある古参ハンターだ。そして9年前から"アイルーフェイク"を愛用している、変わり者だ。今更何も言うまい。

次いで三期団が主な構成員である「生態研究所」の現地調査員である私を含めた3名。

仮拠点より外へ行動することはないが同じく「生態研究所」から2名の研究者、合わせて6名にて行われる。

 

当然、いつものように期団長お手製の香は没収した。これはもはや20年前からの恒例行事である。匂いを振りまいては、調査の邪魔になると何度言えばいいのか。「古参ハンター」も呆れているではないか。

「やれやれだニャ」

 

それでは調査対象であるイャンクックと接触を試みる。

 

隊員のハンターの姿を見ても敵対的ではなく、また危機感を感じられないことからハンターとの交戦経験のない個体の可能性あり。

 

その後の長時間の生態観察によって如何なる時も特徴的である「耳」を開かない、或いは開くことができないために我々は個体名「耳なし」と仮称した。

 

加えて頭部がやや赤みがかっており、「特異個体」の可能性も示唆されている。そうであればこの大陸へ渡ってこれたことも納得がいくか。古龍ですら道半ばで命を落とす程なのだ、並外れた生命力を持っていると見ていいだろう。

 

しかし総じて温厚であり、イャンクックとの相対歴もある「古参ハンター」も思わず首を捻った。

 

イャンクックは本来は非常に臆病な性格で戦闘は好まないとされるが、ハンターなどの人間、及び小型の生物に対しては攻撃的な傾向が強いからだ。

 

しかしこの個体は小型のモンスターには目もくれず、大型のモンスターであろうと戦闘の姿勢を出さない限りは無視を決め込んでいる。気性の荒い生物と出会えば逃げ出すのは変わらない。

 

周囲の環境に耳を貸さないようなマイペースな態度はある意味「(聞く)耳なし」といったところか。

 

同行した研究者は興味津々。何故この「古龍渡り」の地である厳しい新大陸にこうまで温厚な、しかもイャンクックが渡って来たかは私も興味がある。

 

好物は木の実で、クチバシの中に蓄える変わった習性があることを確認。広く好物と知られているクンチュウなどの甲虫類やミミズを食べない所もまた研究者が興味を持つ理由であるようだ。

 

引き続き調査を続行する。

「いい"景色"を見るために、ラルスも頑張るニャ」

 

 

追記1:鳴き声が特徴的であると判明。今まで「耳なし」が戦闘をしないために不明だったものの、突如として鳴きだしたと現場を見た隊員から報告あり。まるで鳴き声の練習のようだとその場に居合わせたハンターは語る。

事実、何度も木々に向かって鳴いては水を飲む、を繰り返していたそうだ。

その行動は不可解だったが、一種の「遊び」のようなものだろうと研究者は言う。要調査。

「段々鳴き方を変えているように思えたニャ、やっぱり声の練習っぽくなかったかニャ?」

 

 

追記2:何度も続く鳴き声に嫌気が差した(と思われる)リオレイアに追い払われる様子を確認。そのまま「耳なし」は現在、その行方をくらませてしまっている。

我々の奮闘虚しくその足取りは途絶えてしまったため、今回の第一回目の長期観察調査を終了する。

 

 

 

『耳なしの鳴き声か?そうだな…言葉にするなら「クエ~クエ~↑クエ~↓」って感じだな』

「その顔でおっさん声でやると気持ち悪いニャご主人様。自重するニャ」

   ~古参ハンターより

 

 

 

 

 







■「耳なし」
みんな大好き我らの先生。今作の舞台でもあるMHWの新大陸には登場しなかった。

いろんな意味でイチゴ味なイャンクック。メス。生まれつき顔だけ赤っぽい。嘴部分は通常サイズ。その配色のせいで自分をキョロちゃんと信じてやまない一般怪鳥になった。耳も通常より大きいが開かないので気付きづらい。
3歳の頃にどこかの人間の記憶が入り込む。次元を超越し、尚且つ断片的なせいで人間の知識に齟齬しかないことに気づいてない。現在8歳。人間でいえば16歳くらい?モンスターの寿命がわからぬ…

実は人間の魂が輪廻転生しながら色々混じったのがこのイャンクックなのだが、脳の構造から違うせいかあくまで"記録"として覚えている感じ。結構混濁はしている。
脳含め、遺伝子に刻まれた本能など、生物としての根本的な違いがあるので価値観などが変わることもない。でもやっぱりそれなりに混濁している。
例えばキョロちゃんになりたいのか生き残りたいのか絶賛ごっちゃんになっている。意外!それは死活問題!じゃなきゃ新大陸なんていう魔境に来ないだろう。早く正気に戻れキョロちゃん。

ちなみに8歳はアニメ版キョロちゃんと同じ年齢。そもそもアニメの存在を知ってる人がどれ程いるのか作者は訝しんだ。漫画もある。

■「生態研究所」
「新大陸古龍調査団」の「第3期調査団」に設置された研究所。所長は老齢の竜人男性。本の中に埋もれてたあの人。
3期団は9割を学者が占めている。他にも「植生研究所」がある。
エンブレムは「水が溢れる杯」。その意味は「知識を湛え溢れさせ、いかなる時も冷静であるように」
期団長が普段から香を焚くので影響された研究員が多い。
「あそこは匂いがキツイニャ…」



全て書き終えているので7話で終わり予定。見返して大きなミスが無ければ毎日投降。短編程度の文字数になります。
尚、最後までツッコミが見れない。ブラウザバック!


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