金なら2枚、銀でも2枚   作:凍り灯

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結局一日空いてしまって申し訳ないです。





じごく絵(図)かき歌

 

 

 

 

明らかに有害そうな空気。

生物の遺骸、骨、死んだ珊瑚の大地。

 

ボッシュートされた私を出迎えたのは、地獄絵図でした。

私もしかして死んだ?

 

 

 

 

 

地獄の底からこんにちは。

「こんにちはだニャ。みんな(調査隊)より早めに来ちゃったニャー」

 

落下の時に翼をやられて止むを得なく留まっているが森へ帰りたい。この先は、私の世界ではないのよ。

クモの糸が垂れてこないか空を見上げるほど落ちぶれちゃいないが、いざ垂れてきたら飛びつく自信はある。それくらいここは環境が劣悪。

 

あの黄色いガス何?吸っちゃダメなやつでしょう?見ればわかる。というかあの黄色いガスまみれになってしまっているモンスターはどうも凶暴性が増していると思う。上層では大人しかった小型の翼竜がやたら気が立ってるし。

 

一応は飛べはするが、ベストパフォーマンスとは言い難い。この黄色いガスにあてられたモンスターに見つかれば厄介なことになるのは目に見えてるのでひっそりと隠れて身体を癒そう。

幸い比較的上の層にまでは行けたので、引きこもる。

 

―――とは行かずに、脆くなった珊瑚の大地が崩れて私はさらにボッシュートされた。

あれデジャヴュ?

「とことん運のないやつだニャ。ボクはキミの背中でくつろぐのニャ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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流石にただ落ちることは無いが、自力で上昇出来ない程度には痛めてるのだ。翼を無理のないように羽ばたかせ、緩やかに下降する。

辿り着いたのはモンスターの死骸の山だらけの洞窟。ああうん地獄だったわやっぱり。私はもう死んでるんだ!!

 

戯言は置いといて、随分な場所に来たものだ…

ここに死体が溜まってる理由からして不可解だが、まぁ共同墓地(自殺の名所とか?)みたいなものだろう。黄色いガスにやられる前にさっさと出るとしよう。上層までの道があればいいんだけど…

 

踏み出した矢先、橙色の目玉みたいなのと目が合う。

 

あ、え

「ニャ?」

 

あー

「ニャー…」

 

そっか、私は死ぬのかな。

ニャ()ーメン」

 

ゆっくりと後ずさる私を尻目に、死体の山は高く盛り上がっていき、その中から一体の龍(ヴァルハザク)が半身を現す。

 

背後をキョロり。

道はある。だがその先は?行き止まりだったら?そもそも逃げ切れるのか?勝てるか?いや本能が訴える、こいつはやばいと。やばいやつしかいねぇなこの大陸。

落ち付け、素数を数えよう。素数がわからんからハイクを詠もう。ハイクもわからんから現実に戻ろう。

 

死体の山から出て来た龍は、この前やり合った赤いやつみたいにすぐさま戦いに発展するような(たち)ではないようだ。

 

何故ならこいつは"絶対強者"。

 

間違いなく、ここら一体を総べる王。その余裕とも言える傲慢(ごうまん)が許される存在。

私は王の間に土足で入り込んだ可愛いキョロちゃん。

 

だが未だ死なず、気まぐれかわからないが生きている。

 

このままゆっくり退室すれば見逃して―――

 

 

―――王が立ち上がる。

「/(^o^)\」

 

 

やべぇ私何かやっちゃいました?動いたらまずかった?もう一度寝るまで待てばよかった?

ワダすを殺すならばどうか 軍儀で………!!それは(ハンター)違いだ。

どうする!?めっちゃ近づいてくるじゃん!?まさか珍しいから?好奇心?プレッシャー半端ないけどな!!

 

黙ったままでいいのか!?何かあるはずだ、最適解が…!黙って死ぬ!?しゃべってから死ぬ!?それとも死ぬ!?いやしゃべる!!

「頑張るニャ!」

 

一言!!

 

最初の!最期の!生き残るための!!

 

一言!!

 

 

 

 

 

……………………クエ~…?

「それはどうかと思うニャ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――王は元の位置に戻って死体に埋もれていった。

 

許された………!

「それは納得いかないニャ!?気に入らないニャ!」

 

 

キョロちゃんはやはり偉大だった…突発的な衝動で恐ろしい大陸に来てしまったと(今更)思っていたが、この地獄の閻魔様に認められた(?)ならばその運命にも感謝せねばなるまい。

 

おお運命よ、運命よ、みなが汝を浮気者だという。私もそう思う。だが今日だけは許してやる。

ありがとう浮気者。

「気に入らないニャ…でもこれって穏やかな気性で無用な争いは好まないってことニャ?顎も退化しているようニャし、捕食活動を行わないから敵意のないやつは見逃したのかも?エトセトラエトセトラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王様に見逃されてから数日、なんとか黄色いガスが充満しない上層へと帰って来れた。その道中で一応翼の調子は戻りつつあった。が、まだ本調子とは言えないか。

あの腐海も真っ青の(いやあっちのほうが凶悪か)地獄の底で解ったことはいくつかある。

 

黄色いガスは、炎を避ける。

…火炎液があって良かったと心の底から思う。火は偉大だねやっぱり。

しかし燃えて消えるのではなく、()()()のである。

私は気づいてしまった…これ微生物とか細菌とかじゃない?と。

 

うんざりである、またパラサイト的な生物か。

この瞬間私はこいつらを見る目が、魚の寄生虫を見る目に変わったのを感じる。お前らのせいで焼かなきゃ食えなくなったんだぞ?

 

”記憶”も、細菌によって人間が腐りながら理性を失って暴れ出す上に噛むことで同じような、所謂ぞんびーを増やすことがあると言っている…人間も大変だな…滅びるのは三分の一で許してやる。

「なんかキミ人間に対して間違った認識持ってないかニャ?」

 

ともかく徹底して私の歩む道を炎で埋め尽くしたのでこんなに時間がかかってしまったのだ。おかげで一応はまだ健康。

 

火を避けることがわかったので上層に戻ってからも出来るだけ周囲に焚いておくことにしている。だんだん火炎液の手加減が上手くなっている気がするな…これも今までチョコボール制作()を怠らずに続けていたおかげだろう。

 

お、例の人間たちが来た。

今回は私の回復がメインだから、あまり無茶なアピールするのは控えよう。きっと彼らも私の元気な姿を見たいだろうし。知らんけど。

 

 

 

 

 

────そうして翼もほぼ全快に近づいた。これでもうここからはおさらばできるだろう。

空を見上げれば快晴。周りの景色は最悪だが飛ぶにはいい日だ。もう一眠りしたら行くことにしよう。なんだかんだここも慣れてきたなぁ。

「ここは嫌だからさっさと次に行くニャ!」

 

…ところでたった今、二体同時に現れたモンスターは何用で?

「/(^o^)\」

 

 

地を這う…”記憶”が言うにはティラノサウルスみたいな顔したモンスター(ティガレックス)が咆哮を上げる。

地を転がる、骨を大量にまとったモンスター(ラドバルキン)も咆哮を上げる。

地で寝そべる、呑気に昼寝をしようとした私は心の中で悲鳴を上げる。

「ここまで来るともう呪いニャ…」

 

私を含めた三体の出会い、それは全く偶然の産物だったのかもしれない。或いは運命か。運命…!この浮気者がッ!?

取り合えず出会ったので死ね!の精神が蔓延してるこの世紀末で起こるのは勿論闘争。私は逃走。

しかし"赤いやつ"(オドガロン)よか遅いが、突撃の手を緩めないティラノサウルス(ティガレックス)みたいな顔のモンスターのせいでやっぱり逃げられなかった。

 

何故か紫色のオーラを幻視する二体のモンスター。なんで??間違いなく強者。もしや、王への謁見(えっけん)の帰り道に二体の縄張りを通った結果だったとか?いや何日もたってるんだぞ?でも偶然と思いたくない。呪われてるみたいじゃん。呪われてんのかなぁ!?

「…これもしかして歴戦個体じゃないのかニャ…?」

 

結局覚悟を決めて全力で挑みつつ這う這う逃げ出せたのは、日が大きく傾いてからのことだった。

全身が痛い。

「散々すぎるニャ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"調査記録005"

 

大団長より、新たに発見された龍結晶の地にてその生存を確認したと報告あり。その特徴的な鳴き声と頭部の赤みがかった体色と、木の実を吐き飛ばす行動とオドガロンによってつけられた傷跡と、その後の三つ巴の時に新たについたと思われる生々しい幾つもの傷から「耳なし」と断定。

 

ゾラ・マグダラオスの影響で発生した「大地の隙間」より先のこの地を、「耳なし」が目指したのは恐らく他のモンスターや古龍たちと同じだろうか。傷を癒すため、龍結晶由来の養分が多いこの地に目をつけたと見るのが自然ではある。

 

第五回目の長期観察調査を開始。尚、今回の調査には話題の「流れ星」こと五期団の青年ハンターが同行している。というより、私たちがおまけと言うべきだろう。

 

「イャンクックを追うためだ」と「三枚目」が(年輩のご婦人曰く)素敵な笑顔で言えば、彼は何とも言えない顔をしていた。…「三枚目」ではなく「古参ハンター」の方を見ながら。さもありなん。あのアイルーフェイクは事情があるから許してやって欲しい。

 

────しかし最初以降中々「耳なし」の姿は確認できず…打って変わって五期団の「流れ星」の進展は良好であった。

途中から大団長自ら顔を出したのも納得できる程である。彼の快進撃のおかげで我々も「耳なし」を追えるのだから感謝せねばなるまい。とは言え、「耳なし」の新しい情報は中々入ることはなかった。

「三枚目」を筆頭に、進展のない不満から研究者二名までも喧しくなる。その馬鹿三人組は速やかに鎮圧した。大団長の前くらい緊張感を持って欲しいものである。

 

拠点の環境を快適に整えたその時、ネルギガンテの出現と同時に「耳なし」も現れたのですぐに三人を叩き起こす。何を寝ているのか。

…しかし我々が直接調査することは叶わなかった。「耳なし」はネルギガンテの近くから離れず、介入できる状況ではなかったからだ。

そのため「流れ星」からその時の状況を聞くことになる。

 

「流れ星」曰く、「耳なし」は奇面族と共にネルギガンテに追われていたらしい。その慌てぶりたるや、アイルーの如く愛嬌があったと言う………彼は少々変り者のようだ。「寡黙」と気が合いそうである。

 

「耳なし」はオドガロンの時と同じく逃げ出すことはせず、最初、戦闘に参加せずに静観していたようだ。だが、ハンター側についた方がいいと判断したのか、共闘という形でネルギガンテに戦いを挑んだと言う。

 

その戦い方、積極的に前に出ることはせず、あくまで引っ掻き回す撹乱(かくらん)役として立ち回っていたらしい。やはり我々調査隊が思っていた通り、想像以上に賢い個体なのは間違いがない。そしてまた通常の個体と違い度胸も兼ね備えている。どこまでも我々の関心を引くのが上手いらしい。

 

無事、ネルギガンテは「流れ星」により討伐。彼は衝動的に「耳なし」と接触しようとするも、「耳なし」はその特徴的な鳴き声で三回鳴くと、颯爽(さっそう)とその場を後にしたと言う。

「完璧に怯えてたニャ。ネルギガンテじゃなくてハンターの方にだニャ」

 

 

『俺の邪魔をしないように立ち回っているように見えました。まるで同じハンターと戦っている気分でしたね』

『鳴き声ですか?…クエ~クエ~↑クエ~↓って感じですかね、え、似てます?』

『そういえば、陸珊瑚の台地でもレイギエナと戦ってる時にこっちの様子を物陰から見てましたよ。隠れ切れてなかったので』

「抜けてるせいで災いが降りかかってきている気がして来たニャ」

   ~流れ星より

 

 

 

追記1:どうやら痕跡と"会話"からガジャブ―と上手く共生していたことがわかった。

調査記録の内容は私と「寡黙」、「三枚目」の三名の現地調査員の証言をまとめる。尚、「寡黙」は奇面族たるガジャブ―の言語がわかるため通訳も兼ねている。

 

『~~~~!!~~~!~~~~~~~~!!!』

『彼らは何と』

『…命の恩人だそうよ。』

『恩人とはいよいよだな。何とやりあったって?』

「ヒルミーナはよくこいつらの言葉がわかるニャ~」

『特徴からおそらく、バゼルギウス』

(口笛の音)

『ほう』

「中々すごい戦いだったニャ」

『最終的には彼らが肥し玉で追い払ったそうだけれどね』

『あいつとやり合うイャンクックだって?面白いねぇ相変わらず…!こりゃぁまた驚かすための情報を持って帰れそうだぜ…待て待て、なんで後ろに回り込む。まじでやめてくれ大人しくするさ』

(溜息の音)…』

「どこでも騒ぐからそうなるんだニャ。でもボクは騒いでないのにご主人様に絞められてたニャ!気に入らないニャ!」

 

状況は陸珊瑚の台地のケルビの時と似てはいるが、異なる点はガジャブ―は「耳なし」と共に敵対モンスターに立ち向かったという所だろう。まさしく共生である。

 

しかしそのせいか、普段は逃げ出す所をガジャブ―の行動によって逃げ出すことができなくなってしまい、止むを得ず戦闘するということになっていたとも考えられる。ネルギガンテに立ち向かったのも、恐らくそういった事情からなのかもしれないが、これも確証などはない。私たちも、ガジャブ―も、かの怪鳥の心の内まではわからないからだ。

 

『何故「耳なし」はこうまで格上に立ち向かえるのか』

『気性が荒いわけでもない…守るべき子がいるわけでもないと言うのに、まるで私たち側(人間や獣人)よ』

『言い得て妙だねぇ…知能、飛び道具、協調性、突発性、ハンターに合わせた即席の連携…』

『…「耳なし」は進化の分岐点にいるのかもしれんな』

『進化とは大きく出たな』

『枠から大きく外れているのは間違いないわ』

「うニャァ…バカなだけだと思うんだけどニャァ…」

『長い時間をかけて世代を幾つも渡り、いつか新たな生物に昇華するやもしれん…どうもロマン主義が移ったかな』

『そうもなるさ、あれを見りゃぁな』

「ジェイはカッコつけるなだニャ」

 

 

追記2:「耳なし」がこの地を立ち去ることを確認。

傷が癒えたのと、自身より強力なモンスターばかりの状況から逃れるためと思われる。むしろ我々の思っていたより長くこの地に留まっていた。その側頭部には、まるでオドガロンによって付けられた傷を隠すように白い花の飾りを見ることができる。ガジャブ―からの餞別(せんべつ)なのかもしれない。

それを餞別だと「耳なし」が理解しているだろうと言うことに、私たちはもうあまり驚かなかった。

 

ハンターとの共闘やガジャブ―との関係から、「耳なし」は周囲に無関心というわけではなく、むしろ生き残るために何でも利用する狡猾(こうかつ)さをも持ち得ているのは明白である。共生関係の生物を守る程度には協調性もある。

 

今思えば陸珊瑚のオドガロンとの戦闘は周囲のケルビのために行ったと思うのは少し飛躍しているだろうか。しかし同行した「古参ハンター」も、そしてあの「リアリスト」でさえもその可能性を否定しきれていない。

それは「耳なし」を追って来た我々だからこそ理解できる信頼のようなものだろうか。やはり私も少々、「ロマンチスト」に毒されたかもしれない。

 

果たして「耳なし」が次はどこに向かうのか興味は尽きないが、ネルギガンテ討伐後も一向に古龍活動の活性化に解決の兆しは見えない現状、今はそれを追うことは叶わない。

 

再びかの変り者の怪鳥を追えることを願い、第五回目の長期観察調査を終了する。

 

 

 

『常識ではかるべきじゃないな。きっと思いもしない場所に行くと思うがね。そんな気がするよ』

「もうご主人様のそれは確定フラグだニャ」

   ~古参ハンターより

 

 

 

 

 








残り二話は問題なく投稿出来るはずです。
皆さんお気に入り登録ありがとうございます。どうぞ時間を無駄にしないようにお気に入りに登録を解除して下さい。
解除すればもれなく凶器の缶詰が届きますよ!

■「耳なし」
人間とすれ違い通信を繰り返す特異個体(+変種)の怪鳥。
進化の分岐点(笑)と思われていることに気が付いていない。

■死体の山から出て来た龍
ヴァルハザクのこと。見覚えのないモンスターなので警戒心より好奇心が勝ったのと、敵意がないので見逃した。微生物そのものをエネルギー源としており、捕食活動が不要なのもある。この後「流れ星」に狩られる。人間やばい。

■ティラノサウルスみたいな顔したモンスター
ティガレックスのこと。歴戦個体。縄張りを横切ったピンクボディをぶっ殺しにきた。

■骨を大量に纏ったモンスター
ラドバルキンのこと。歴戦個体。縄張りを横切ったピンクボディをぶっ殺しにきた。


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