スーパーロボット大戦 無限戦争 設定集&外伝   作:ダス・ライヒ

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前回のあらすじ

「武蔵がまた死んだ! この人でなし!」

生体兵器
本編に登場した神聖百合帝国が末期に製作した仮名666と同一系統と思われる死体を使った生体兵器。
イヴ人の死体?を使った仮名666とは違い、こちらは成人男性の死体を使っている。主な改造は頭部と身体内部。内部に加速装置でも内蔵されているのか、異常なまでに速い。それと時間停止系攻撃を無効化する能力を秘めている。
仮名666より先に製作された生体兵器であるらしく、最初に製作された生体兵器なので、仮名111と呼称する。
命令かどうかは不明だが、忘れ物が眠るバンカーを守っている。
武器は日本刀の如く切れ味抜群の短剣一本。服装はズボン。半裸でやせ細った裸足。

ちょっと不快になる台詞があるかも…。


バンカーへ

 遂に正体を現したなにかこと生体兵器は、湖のバンカーを目指そうとする冒険者らを敵対者と見なし、右手に持った短剣を構え、目に留まらぬ速さで斬りかかる。

 

「なんて速さだ! 前任者の俺が死んだことにも気付かないなんて!」

 

「あ、あんた! 死んだんじゃ!?」

 

 それと同時に武蔵がワームホールより復活し、刎ね飛ばされた自分の首よりヘルメットを回収してから驚く。無論、武蔵が復活することを知らない者たちは驚いていた。

 

「ぐぇっ!?」

 

「な、なんだこいつ!?」

 

 生体兵器は早速一人を切り裂いて殺害し、もう一人目を血塗れの短剣で殺害しようとする。だが、マリの時間止めの攻撃を受けて動きを止められてしまう。

 

「こういう厄介な奴は、速く倒さなきゃ」

 

 時間を止めたマリは、この技を使うほどの脅威である生体兵器を速めに排除するために右手に握られたP226自動拳銃で頭を撃ち抜きに向かったが、相手はそれを無効化する機能を持っていたらしく、標的を彼女に切り替える。

 

「嘘…!?」

 

 自分以外は動けないはず。

 最長で一分は止められる時止め攻撃を敢行したマリは、生体兵器がそれを無効化した事に驚き、そのまま喉を裂かれて絶命する。彼女が死んだことで、時間は再び動き出し、いつの間にかマリが死んでいることに一同は驚き、思わず逃げ出したくなる。

 

「あ、あの女! いきなり死んだぞ!?」

 

「クソっ、何がどうなってやがる!?」

 

 混乱する一同を他所に、生体兵器は排除するために光の速さの如く接近し、三人目を殺害する。三人目を殺されたところで、シモーナは九九式短小銃で狙いを定めようとするが、生体兵器はそれが分かっているかの如く躱して次なる標的をシモーナに定めた。

 

「っ!?」

 

「危ない!」

 

 リンチェは生体兵器が持つ鋭利な短刀がシモーナに触れる前にMP28短機関銃を撃ち込み、接近を阻止した。そこからメトルの小型ガトリングガン、シモーナの連続射撃も加わるが、生体兵器は銃弾が見えているかの如く全て躱し、何処かに身を隠す。

 

「はぁ! あいつなんなの!?」

 

「お、お前が何だ!? 喉を掻き切られて死んだんじゃないのか!?」

 

 死んだはずなのに、生き返ったマリに武蔵を除く一同は驚く。それを見ていたセゴーは、マリと武蔵を囮にして自分たちだけバンカーへ向かえば良いと言い始めた。

 

「なぁ、あの二人不死身だし、俺たちだけバンカーへ行けば良いんじゃないか!?」

 

「あんた馬鹿か!? 奴が何処から来るか分かんないんだぞ!?」

 

「良い提案だな! 奥底の物は俺たちの物だ!!」

 

 このセゴーの提案に、警戒するジュディはこの状況で動けばあの生体兵器に狙われると言うが、彼の提案に賛同した数名の冒険者らが一同を離れ、バンカーへと向かう。

 

「馬鹿やろう! 離れるんじゃない!!」

 

 生き返ってヘルメットを被った武蔵も呼び止めるが、その冒険者三名は聞かずにバンカーへと全力疾走で向かう。当然、生体兵器が逃すはずが無く、三人共々切り裂かれた。

 

「ちっ、言わんこっちゃない!」

 

「周囲を警戒しろ! 互いの死角をカバーだ!!」

 

 ジュディが先に向かった三名が死んだことに舌打ちする中、リーダーは周囲警戒を行えと指示する。これに他の冒険者らも応じ、互いの死角をカバーした。全方位警戒だ。近接武器を持つ者たちが前衛を務め、後衛が銃を持った者たちが務める。マリはバスタードソードを抜き、前衛に努めていた。

 これに生体兵器は一番脆い部分を探し、そこを突いた。狙われたのは盾を持たない冒険者だ。鋭利な刃で胸を突き刺された冒険者は死亡する。次第に脆い個所だけが狙われ、犠牲者は増えるばかりだ。

 この現状に、メンへはただ怯えるばかりのキナに目を付ける。

 

「これ以上は死ぬばかりだなぁ~。こういう時は、役立たずが役に立つ時だなぁ!!」

 

「痛い! あぁぁぁ!?」

 

「キナちゃん!」

 

 そう言ってメンへはキナの髪を掴み、防御陣形の外へ放り出した。これにリアは投げ飛ばされたキナを救おうとしたが、既に手の届かない距離にまで放り出されていた。躊躇もなくキナを囮に放り出したメンへにリアは正気なのかと問い詰める。

 

「あんた! 正気なの!?」

 

「煩いなぁ! これが正解なんだよ! 第一あの中古品は役立たずだろうがぁ!!」

 

「本当アンタ最っ低!」

 

「間違ってんのはお前だろうがぁ! あぁッ!? この場で殺してやろうかぁ!?」

 

 防御陣の外へ放り出されたキナにマリが救出に向かう中、この状況にも関わらず、リアとメンへは口論を始める。それを武蔵は怒鳴りつけ、殺すと脅して止めさせる。

 

「いい加減にしろぉ! 言い争っている暇があったら襲撃を警戒しろぉ! まずは貴様ら二人から殺すぞ!?」

 

 武蔵がドスの効いた声で脅して止めさせる中、マリは倒れ込んだキナの元へ駆け付けて起き上がらせる。直ぐに防御陣の中へ戻ろうとしたが、生体兵器がそれを逃すはずが無く、鋭利な刃で斬りに掛かる。

 武器を持っていようが、持っていまいが関係ない。

 標的が少女であっても、生体兵器は機密が眠るバンカーに近付く者は、例え作ったイヴ人であろうと無差別に抹殺するように命じられており、容赦なく短剣の刃を突き刺そうと迫る。自身を作り上げた帝国の元女帝であっても、バンカーへ近付く者は何者であろうが抹殺する。全く無抵抗な少女でも容赦しない。全てはバンカーに眠る帝国軍の機密を守るため。

 生まれ持った使命に従い、生体兵器はキナを庇うマリに向けて短剣を突き刺す。なぜマリが生きているか分からぬ生体兵器であるが、もう一度殺せばいい。生き返ろうとも、何度でも殺してやるまでだ。そう思って生体兵器はマリに鋭利な短刀を突き刺した。

 

「あぐっ…!?」

 

 背中を深く突き刺されたマリは、痛みに耐えながらキナを自分の胸を貫く刀身から守るために突き放し、自分を突き刺す生体兵器の腕を掴む。短剣を持つ右腕を掴まれた生体兵器は空いている細い左腕で自分の腕を掴むマリの左手を払い除けようとするが、その手は決して離れなかった。そればかりか右手も加わって抜けない。

 

「あがっ! 今よ! 直ぐにやって!!」

 

「今だ! 総員、目前の痩せっぽちに集中攻撃!!」

 

 想定外の事態に戸惑う生体兵器に対し、マリは今のうちに攻撃するように血反吐を吐きながら一同に告げる。その指示に武蔵は応じて一斉攻撃を命じた。

 シモーナの頭部への狙撃から始まり、リンチェとメトルと言った銃を持つ冒険者らの掃射。次に近接要員のリアが双剣を突き刺す。直ぐに抜けばジュディの鉤爪による切り裂き、トバイルカンのロングソードの斬撃、ビッキーのナックルバスターによる打撃、それからセゴーの片手剣、キルノートンの鎖鎌による追撃が加わる。最後に張三の強力な蹴りが生体兵器の頭部に繰り出された。

 その蹴りを受けた生体兵器は吹き飛び、マリの身体を貫いていた短剣から手を離した。あれほどの攻撃を受けたにも関わらず、生体兵器はまだ立ち上がろうとする。

 

「あいつ、まだ動くぞ!」

 

「あんだけ撃ち込んでも、まだ動くってのか!?」

 

「だったら!」

 

 まだ生体兵器が生きていることに一同は驚きの声を上げる中、武蔵はとどめの一撃を刺すべく、凄まじい速さで接近し、相手の身体を掴んだ。大雪山おろしを繰り出すのだ!

 

「大雪山、おろし!!」

 

 生体兵器の身体を掴んだ武蔵はやせ細った身体を回転させ、付近の戦車の残骸に向けて投げ飛ばした。大雪山おろしを受け、凄まじい速度で投げ飛ばされた生体兵器は戦車の残骸に激突する。激突の衝撃で生体兵器の細い手足はあらぬ方向へ曲がり、背骨も折れて悍ましい姿となる。

 

「まだ動いているぞ!?」

 

「なんと言う執念…! 奴は生まれてから与えられたたった一つの使命に従い、自らの命が尽きようとも、その使命を全うしようと立ち向かって来る…! それには敬意を表するが…」

 

 かなりの総攻撃を受けた生体兵器であるが、残る力を振り絞り、バンカーへと入ろうとする侵入者らを排除しようと立ち上がる。これには流石の武蔵でも敬意を表する。

 

「もう限界だ。五十年、よく頑張った。創造者が与えたたった一つの使命を守り、見事に番人の使命を務め果たした。創造者も鼻が高い事だろう、先に行った創造者の元へ向かうが良い」

 

 だが、もはや生体兵器には人を殺す力どころか、動ける力は残されておらず、立ち上がれぬまま地面に横たわり、遂に力尽きた。これに武蔵は動かなくなった生体兵器に五十年よく頑張ったとねぎらいの言葉を掛けた。

 他の者たちは自分らを殺しに来た相手に敬意を表す武蔵に冷たい視線を向けていたが、リアと張三は生み出され、自分の創造主の使命に従っていた生体兵器を哀れむ。もう少し、生体兵器に考えることが出来れば、仲間になっていた事だろう。マリも両名と同じく哀れんでおり、ここで倒されて良かったと思う。

 

「はぁ? んな化け物にねぎらいの言葉とか、頭湧いてんの? おっさん。俺たちを殺しに来た奴によぉ、労いもクソも無いだろぉ?」

 

「こいつに同意見なのは嫌だが、こんな存在しちゃならねぇ怪物に敬意を表すなんてどうかしてる! 奴は俺たちをただ殺すだけだぞ? 今までだって、何人も殺してる! なのにそんな怪物に労いの言葉を掛けるなんて…! 異世界の奴らはどうかしてる! あんた頭がおかしいんじゃないか!?」

 

「そうだぞ! そんな化け物なんぞ、バラバラにしちまぇ!!」

 

 この男とこの世界の者たちだけは違った。

 メンへは武蔵が自分らを殺しに来た生体兵器に敬意を表したことに対して腹を立て、挙句に死体蹴りのように近くに落ちていた石を敵の亡骸に向けて投げ付ける。そのメンへの行動に賛同するかの如く、セゴーは武蔵を罵る。現地の冒険者らもこれに続いて罵声を浴びせた。異世界組の冒険者らは敢えて黙った。現地人のキナも黙っていた。

 これにマリは何も言わず、自分の背中に突き刺さった短剣を力一杯に引き抜き、出血多量で死亡したが、彼女は不老不死だ。直ぐに蘇り、自分の血で真っ赤に染まったサーコートを見て、着替えたくなる。

 

「着替えないと…」

 

 そう呟いた後、自分の背中に刺さっていた短剣を武蔵に向けて投げる。これを武蔵は取ってだけを掴んで受け止め、足元の地面に突き刺した後、罵声を受けながら生体兵器の墓を掘った。

 それから最初に罵声したメンへに殴りに向かい、セゴー等を含めた現地の者たちの罵声を止めさせる。

 

「何すんだこのアマぁ!?」

 

「そうだぞ! なぜ殴る!?」

 

「いい加減にしろ、お前たち。これ以上はこの俺でも許さん! それよりバンカーへ行くぞ」

 

 マリが無言で殴ったところで、メンへは懐からデザートイーグル自動拳銃を取り出し、彼女を殺害しようとする。無論、リーダーもこれを了承せず、メンへの拳銃を掴んで止めさせ、バンカーへ向かうのが先だと諭する。

 メンへが危険なのは現地の者たちが良く分かっており、それぞれの得物を彼に向けていた。これにメンへはマリを射殺したところで、自分が直ぐに殺されるのを理解してか、不満気に大きな拳銃をホルスターに仕舞い、リーダーの命令に従う。

 

「はいはい、分かりましたよ。殺し合いは見付けてからだったけ? それまで我慢するよ」

 

 全く反省の意思を見せず、メンへはバンカーへと向かう一同に加わった。武蔵もあの生体兵器を埋葬し終えた頃なのか、先にバンカーへと向かおうとしている。これにマリはキナの手を繋ぎ、共にバンカーへ向かう者たちの後へ続いた。

 

「さて、この俺がバンカーへ一番乗りに…ん?」

 

 バンカーへと意気揚々と向かう武蔵は、自分が一番乗りと言いながら進んだ。一歩足を踏み入れた瞬間、何かが作動する音が聞こえた。これに武蔵は音が鳴った足元を見れば、地雷を踏んでいることに気付く。

 

「そりゃあ、そうだな…」

 

 数秒後、武蔵は地雷を踏んで死亡した。その衝撃でヘルメットは吹き飛び、一同の足元へ転がる。

 これで武蔵は死んだ…ではなく、ワームホールから再び新たな武蔵が現れ、足元に転がるヘルメットを拾い上げて被る。

 

「あんた、一体…?」

 

 流石に復活することを知らない者たちから驚かれるが、武蔵はいちいち気にしてては身が持たないぞと返し、何の警戒も無しにバンカーへと入ろうとした前任者を責める。

 

「一々気にしてたら、身が持たんぞ? それより前任者の俺は間抜けだなぁ。地雷があることに気付かないなんて」

 

「もう一回踏めば?」

 

「俺は二度と同じ間違いはせんのだ。地雷原を突破するには、こいつが適任だ」

 

 地雷を踏んで死亡した前任者を責める武蔵に対し、マリはもう一度踏めばいいと不機嫌な表情を浮かべながら告げる。これに武蔵は二度と同じ間違いはしないと答え、百合帝国軍の兵士の死体のベルトに挟んであるM24柄付手榴弾を取り、地雷原を突破するにはこれが適任と告げる。手榴弾で地雷を爆破処理するのだ。

 台尻の安全キャップを外し、紐を引っ張って作動したのを確認すれば、直ぐに地雷原へと投げる。五十年ほど前の手榴弾が作動するかどうか不安であったが、正常に作動して付近の地雷を爆風で吹き飛ばした。

 

「どうやら、ここは時の流れがおかしいようだ。今ので使い方は分かったな? 周辺に投げ込んで地雷を撤去しろ!」

 

 正常に作動することで、この辺り一帯は時の流れがおかしいことが分かった武蔵は、柄付手榴弾の使い方を理解したか確認し、二つ目を投げ込んで道を作った。

 

 こうして武蔵等は、門番である生体兵器と地雷原を退け、件のバンカーへと入ることに成功した。バンカーに侵入すれば、今度は地下のダンジョンが待ち構えている。

 まだ序盤の内であり、ここからが冒険者らにとって本番である…。




次回からはバンカー内部に入り、地下のダンジョンへ…。

ネタバレするとすれば「なんで武蔵すぐ死んでまうん?」
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