スーパーロボット大戦 無限戦争 設定集&外伝 作:ダス・ライヒ
マリが目覚め、バンカー内に残った少数の共産主義者等と交戦している頃、武蔵たちは百合帝国軍の忘れ物がある部屋へと辿り着いた。
そこは忘れ物とされる装置が中央に置かれ、その周りに機器が配置されていた。それを操作していたとされる白衣を着たイヴ人の遺体が幾つか転がっている。
軍服や古めかしい銃を持った死体も、二個小隊分はあった。どうやらあの装置を起動させようとして、何らかのトラブルがあり、敵のみならず、自分たちも全滅してしまったようだ。
「なんだ、金銀財宝じゃねぇのかよ」
キルノートンがあれほど苦労したのに、そこで待っていたのが期待していた金銀財宝ではなく、奇妙な装置だったことに落胆する。武蔵は周囲の外傷の無い死体を見て、何らかのトラブルがあったと見抜いた。
そもそも帝国軍がダンジョンの上にバンカーを建てている時点で、何らかの手段でダンジョンを攻略し、金銀財宝は既に本国がある世界に持ち込まれた後であるのだが。
「この様子からして、装置に何らかのトラブルがあったようだな。外の時間の流れがおかしいのは、あの装置が原因みたいだ」
トラブルで発生した異常事態は、外の時間の流れが止まったかのような現象があの装置にあると推測する。
その問題を解決するために、一同は百合帝国軍の忘れ物である装置を破壊するのが流れであるが、それぞれの勢力に雇われた冒険者や出向者が応じるはずが無かった。
「貴様ら、なんのつもりだ?」
「なんのつもりって? 雇い主の要望さ。仲良しごっこは終わりってことだよ」
ジュディが懐から持っていないはずのワルサーP88自動拳銃を取り出し、安全装置を外して武蔵に向けた。ジュディだけではない、ビッキーは拾い上げていたMP40短機関銃を構えており、シモーナも同じ短機関銃を周辺の男たちに向けている。
銃口をなぜ向けているのかと問う武蔵に対し、ジュディは雇い主の命令で動いていると答えた。
「本性を現したな? イヴ人の手先共め。いや、一人イヴ人が混じっていたな」
「お前たちもそうなのか?」
「うん、私たちの雇い主はそいつ等とは別だけどね」
先に本性を現したイヴ人の手先、即ち帝国再建委員会の手先だと明かしたジュディ等に続き、リンチェとトバイルカンも自分らの雇用先を明かし、銃を向ける。二名が属しているのは第四帝国、即ちナチスであった。
「おいおい、どっちが優勢か分かってんのか? 俺たちだぜ」
メトルも続けて正体を明かした。何故なら、メトルが属しているのはヴィンデルの息の掛かった組織であるからだ。リーダーを初め、セゴーやメンへの現地組冒険者らもそれに属しており、バンカーで手に入れた銃を向けている。
「チビデブ野郎にナチ公、イヴ人の手先共よぉ。どっちが優勢か、見りゃあ分かるよな?」
「あぁ、無所属がキツイってことが分かるさ」
小型ガトリングガンを向けるメトルの問いに、武蔵は無所属である自分が厳しい立場にあると答える。現に同じ無所属のキルノートンが現地組に組し、自分らに銃を向けている。
「私は…どうしようかな…?」
武蔵と同じ無所属であるリアは、どっちに組しようか迷っていた。彼女はただバンカーの噂を自分の世界の冒険者ギルドで聞いて勝手に来ただけで、こんな状況になるだなんて思いもしなかった。
現地組と言うか、何らかの目的で来たキナは、自分が崇拝する神聖百合帝国を作ったのがイヴ人だと思い出し、その帝国を再建を目指す帝国再建委員会に組した。
「キナちゃん…」
「私は! 私はイヴ人さまに手を貸します! 私たちを解放してくれるのは、イヴ人さまの百合帝国だけだから!!」
リアが帝国再建委員会に組したキナに失望する中、崇拝するイヴ人が居る勢力に属した少女は、護身用に持っていたワルサーPPk自動拳銃を向けた。
これにビッキーは安心する。何せ一番の不安要素であるマリを止められる、否、利用できる手段がこちらに頼まずとも着いたのだ。マリはキナにだけは危害を加えようとしない上、そればかりか自分の身を挺して守るほどである。
「(ふぅ、良かった。これであの女は封じられるわね)」
幾ら時間を止める能力があっても、キナに殺さない程度の重傷を負わせれば、マリは彼女の治療を優先する為、自分らを攻撃しないとビッキーは読んでいた。
不安要素と言えば、現地組の誰かがキナを殺すことだが、バンカーで披露したマリが感情的になって自分らを脅したので、身に染みたのだから殺すことは無いはずだ。それにキナが居ればマリを利用できる可能性もあり、一気に形勢を逆転できるかもしれない。
そう睨んでビッキーはキナを自分らのパーティに向かえたのだ。熟練の冒険者であるジュディもそれを理解し、自分を撃った際にキナに当たるようにワザと近付いた。
「誰かの手駒なのは、お前たちだけでは無いぞ」
「っ!?」
無敵だと思われていたマリを攻略出来たと思っていた帝国再建委員会組であるが、ここで何故か黙っていた張三が口を開いた。彼もまた忘れ物を狙う勢力に属していた。凄まじい速さでキナに接近し、ジュディに右手の手刀を向ける。どうやら張三も、キナがこの状況を打破できる鍵であると見抜いたようだ。
「俺も手駒だ。俺を修理してくれた条件で受けた依頼だがな。それにお前たちはこの娘を使い、あの女を利用しようと企んでいるのだろう。気付けないと思っていたのか? これは俺の流儀に反するが、俺もあの女が怖い。だから俺もこの娘を人質に使う」
自身がこのバンカーのダンジョンに来た理由を明かせば、キナの首筋に左手の手刀を当てる。
彼はマリを恐れており、殺されたくないと思っていた。その為に流儀に反する人質を取り、受けた恩も返すことも含め、マリを利用すると言う手段に出た。
「全く、ここに来て災厄を引き寄せてしまうなんて…!」
「ちっ、サイボーグ野郎め…! 武闘家が人質を取るなんざ、恥ずかしくないのかい!?」
「何とでも言え。俺は生きてここを出て、修理してくれた者たちに恩を返す。安心しろ小娘、お前を決して殺したりはしない」
人質と言う手段に出でた武闘家である張三をジュディは責めるが、彼は生きて恩を返すためだと返し、キナには危害は加えないことを約束する。属しているグループでは、マリが敵に回ると分かったキルノートンは、節操も無く現地組から張三の方へ着く。
「畜生が! 俺たちが不利じゃねぇか!!」
張三がマリをキナと言う鎖で封じ込めたことに成功し、形勢が逆転して不利になってしまったメトル等は地団駄を踏んだ。武蔵とリアは何も出来ず、ただ動けないでいる。
だが、この場に居る一同は気付いていない。新たな参加者である共産主義者らが迫っていると言うことを。
それに現地組であるはずのメンへ・ランは、何故かほくそ笑んでいた。この状況で何を企んでいるのだろうか?
時間は数分前に遡り、バンカーで目覚め、一度殺されて生き返ったマリは、残っていた少数の共産主義者らを皆殺しにしている頃だった。
血は両手を引き千切られた現地組も冒険者一人だけだったが、今のバンカーは共産主義者らの血で真っ赤に染まり果てている。
最初の犠牲者である弾薬運搬係は眉間にナイフを突き刺されて即死し、新米男女はマリが良く使うバスタードソードで切り裂かれて絶命していた。銃眼の出入り口で死んでいる男は柄で顔面を殴られた後、腹を深く突き刺されて殺され、機関銃班は狭い場所では取り回しの悪いPK軽機関銃からMP-443自動拳銃に切り替え、何発か撃ったようだが、避けられて腕を切り裂かれるか、突き刺されて全員死んでいる。切り裂かれて飛び散った血が天井にまで届き、銃眼は真っ赤に染まっていた。
他にもバンカーに残っていた者が居たが、銃を持つ自分らに劣るはずの剣を持ったマリに敵わず、全員が切り倒されている。中には首を撥ねられた者も居た。その所為で通路は血塗れであった。
「なんだ…!? この女…」
まだ息のある者は這いずりながら通信機へ向かい、マリの存在をダンジョンに向かった本体へ知らせようとしたが、とどめの一撃を突き刺されて絶命した。
刀身から血を吹き払い、腰の鞘に戻せば、洗面所へと向かい、付いた返り血を洗い落とし、自分の血だらけな衣服を魔法で動き易い冒険者風味に着替え、ダンジョンの出入り口へ向かう。
この時、守るべきキナは張三が人質に取り、マリを利用しようとしていた。無論、そんな状況になっている事は、マリは知らない。
「あいつ等何よ、いきなり撃って来て。まぁ、そろそろ終わった頃かしら」
いきなり自分を撃ってきた共産主義者らに悪態を付きつつ、マリはそろそろ武蔵等がダンジョンの奥に辿り着いている頃だと思い、奪った携帯食を食べながらダンジョンへ入った。
一方でバンカーに待機させた少数の部下と機関銃班が全滅しているとは知らないフェロンを含める共産主義者の本隊は、武蔵等が開通した道を楽々通り、目当ての装置がある奥底で揉める一行の背後まで迫っていた。
自分らに気付かず装置がある部屋が暗い事を言い事に、リーダーはフェロンに命じ、出入り口に立つ現地組冒険者二名の殺害させる。一人目をスコップで頭部に突き刺して殺害した後、二人目をハンマーで頭部を二回ほど殴打して撲殺する。そこから闇に紛れて部下たちを展開させる。
既に包囲されていることを知らず、張三はキナを連れ、キルノートンと共に装置へと近付いていた。そこへ来たところで、共産主義者らは奇襲を仕掛けた。
「貴様…!」
現地組のリーダーが張三を睨み付ける中、銃声が鳴り響いた。リーダーは思わず振り返ったが、既に頭部を吹き飛ばされた後であった。そこから共産主義者らの奇襲攻撃が始まる。
「奇襲だ! みんな伏せろ! 伏せ…」
奇襲攻撃を受け、現地組の冒険者らは背後から来る銃撃に次々と射殺されていく。武蔵が伏せるように叫ぶが、飛んでくる銃弾で眉間を撃ち抜かれて死亡する。リアも伏せて銃撃を躱した。
「ちっ、あたい等は露払いをさせられたってことかい!」
「ここに来て災厄がまた…!」
「それは良いから、この状況に付け込んで、あの装置をかっぱらうよ!」
同じく銃撃を受けたジュディとビッキー、シモーナは床に伏せ、遮蔽物まで這って移動しつつ、この状況を利用して装置の奪取を目論んだ。
「畜生が! 誰だ!? 誰だテメェら!!」
現地組の冒険者らを次々と射殺され、セゴー等が武蔵の言う通りに伏せる中、同じく伏せていたメトルは小型ガトリングガンで奇襲を仕掛けた共産主義者らに反撃する。伏せ撃ちから来る掃射に、AK系統の突撃銃やPPS-h41短機関銃を持つ数名の共産主義者らが銃弾で引き裂かれた。
「と、トバイルカン…!?」
「狼狽えるな! 反撃しろ!!」
遮蔽物となる機器に隠れたリンチェは、震えながらトバイルカンにどうすべきかを問えば、彼女はStg44突撃銃を構え、反撃するように叫んでから一人を単発で撃ち殺す。トバイルカンの指示に応じたリンチェは遮蔽物から飛び出し、小柄な体型と身体能力を生かして手近な距離に居る共産主義者らに近付き、一気に一人、二人と射殺していく。
一番装置に近い距離に居る張三とキルノートンは、フェロンと数名より銃撃を受けていた。フェロンは分隊支援火器を持つRPKを持つ者と共にドラムマガジンのAKMSを連射し、張三とキルノートンを装置に近付けないようにしている。これに張三はマリに対する切り札であるキナを守るべく、彼女を庇っていた。キルノートンは反撃せず、ただ遮蔽物で震えている。
「どうすんだよ!?」
「あの女に奴らを始末させる! お前は奴らを近付けないように反撃するんだ!」
「無茶言うな!」
銃撃からキナを守る張三に問うキルノートンに対し、サイボーグ武闘家は手にしている銃で反撃するように告げた。これにキルノートンは旧式の短機関銃ではどうにもできないと怒鳴りながら返す。
そんな口論を続けている内に、分隊規模の共産主義者等が装置に接近しつつあった。現地組であるはずのメンへであるが、あろうことか共産主義者等と行動を共にしている。何を隠そう、彼が共産主義者等をここに手引きしたのだ。
その証拠にリーダーが近付き、現地冒険者ギルドに潜入していたメンへに労いの言葉を掛ける。
「潜入ご苦労だったラン同志。あの装置が何であれ、共産主義世界の第一歩だ」
「えぇ、同志。夢まで後一歩です。自分は装置に向かうので」
それに受け答えした後、メンへは装置へ向かうと告げた。既に数名が向かっているが、どさくさに紛れて装置の奪取を企むジュディとビッキー、シモーナの銃撃で全員が撃ち殺される。
「フェロン! 鼠が居るぞ!! 同志メンへ、数名を引き連れてお前は行け! 援護する!」
先行した分隊が全滅すれば、フェロンに帝国再建委員会組を抑えるように指示した。次にAKM突撃銃を持つリーダーは第二陣の指揮をメンへに任せ、張三らを抑えるために銃撃を行う。
「あぁ、俺を愛する世界を創るためにな」
これに聞こえない小声で本音を漏らしたメンへは中国製AK-47である56式自動歩槍を受け取り、安全装置を外して自分が潜り込んでいた現地冒険者ギルドに属する者たちを射殺しながら、数名を引き連れて装置の元へ向かう。
「野郎! ぐっ!」
属している組織を裏切っていたメンへに対し、遮蔽物に退避していたメトルは射殺しようとしたが、リーダーらの援護射撃で封じ込められる。その間にメンへは部下を引き連れ、装置に近付いていく。
「やらせるか! ぬぁっ!」
背中の真剣を抜いた武蔵がメンへに斬りかかり、奇襲の効果もあってか、コピーモデルの突撃銃を破壊することに成功した。
「ふっ!?」
「また出て来るなぁ」
だが、メンへにはデザートイーグルと言う大口径自動拳銃がある。それを直ぐに抜き、頭を撃ち抜いて武蔵を射殺した。また出て来るが、それまでに時間がある。
「きゃっ!」
リアも向かおうとしたが、メンへに続くRPK軽機関銃やAK系統の突撃銃を持つ共産主義者らに妨害され、遮蔽物へと引っ込む。
「あいつ等、装置を! 援護するから邪魔な奴らを狙撃しな!」
フェロンの制圧射撃で抑えられている帝国再建委員会組は、ジュディがメンヘラが装置に向かっていることに気付き、シモーナにフェロンの狙撃を命じた。それに応じ、シモーナは得物の九九式短小銃に切り替え、ジュディとビッキーが再装填を終えたMP40をフェロン等に向けて滅多やたらに撃ち込んで黙らせ、彼女に小銃を構えさせる。
直ぐに二人が遮蔽物へ頭を引っ込める中、シモーナは小銃を構え、身を乗り出して銃撃を再開しようとする共産主義者等を狙撃する。一人、二人とスコープ無しの小銃で撃ち抜き、ボルトを素早く動かして空薬莢を排出からの押し込んで次弾を薬室へ送り込み、一気に五人目であるフェロンを狙った。
「ちっ、銃が!」
だが、当たったのはドラムマガジンのAKMSであり、軽傷のフェロンはMP-412リボルバーをホルスターから抜く。シモーナも既に小銃の再装填を終えており、再び狙撃を再開し、更に三人の同志の頭を撃ち抜いた。
「見てろ、スナイパーめ」
今度はリーダーを狙っていたが、フェロンはそれを狙っており、シモーナが集中している所をリボルバーで狙いを定め、引き金を引いた。放たれた弾丸は頭部に当たらなかったが、シモーナの顎に命中して彼女は床に倒れる。
「シモーナ!?」
「ちっ、やられたのか! あいつめ、報酬は渡さないよ!」
大口径拳銃弾で顎を撃ち抜かれたシモーナが倒れ、ビッキーが応急処置の治療魔法を施す中、ジュディは既にメンヘ達が装置に近付いていることに気付き、短機関銃を乱射しながら接近する。
この思い切りのジュディの突撃に三人が倒れた。走りながら弾切れになった銃をすぐに捨て、得物の鉤爪を着け、自分を撃とうとする一人を放ったワイヤーで打ち倒した後、一番近い距離に居る男が持つ突撃銃の銃座による殴打を持ち前のアクロバティックな動きで躱し、鉤爪で顎を切り裂いて殺害した。
それから一人、二人と鉤爪で切り裂いて殺害していく中、メンへが振り払った手斧の斬撃を防いでから一旦距離を取り、相手の隣にいる共産主義者にワイヤーで引き寄せ、銃による反撃の盾にした。
「ま、待て同志! 撃つな!!」
ジュディの盾にされた共産主義者は同志であるはずのメンへに撃たないように告げるが、冷酷非道な彼が仲間のことなど気にするはずが無く、躊躇いも無くデザートイーグルの引き金を引いた。
「お前、正気か!?」
「正気も何も、そいつが悪いんだろうがぁ!」
盾にされた仲間を何の躊躇いも無しに射殺したメンへにジュディは正気を問えば、自分勝手な男は盾にされた奴が悪いと返し、貫通するまで何度でも大口径自動拳銃を放つ。二発ほどは耐えられるが、流石に何発も食らえば貫通し、ジュディの左肩に一発が命中した。
「このキチ野郎がぁ!!」
倒れたジュディはワルサーP88を乱れ撃って反撃するも、メンへは既に距離を取っており、装置の起動装置の方へ向かっていた。何故そちらに行くのかを、随伴する残った者たちに問われる。
「ラン同志、装置の回収が優先じゃないの…」
「これ以上は行かせんぞ!」
「うわっ、来るのかよ」
問い詰めた男は言い終える前に、飛んで来た張三の蹴りを受けてバラバラになった。これにメンへは厄介な相手が来たと判断し、デザートイーグルの再装填を終え、装置の起動装置のスイッチに触れる。
「なぜ装置を動かす? 回収が目的ではないのか?」
起動装置はまだ生きているのか、起動する音が聞こえて来る。張三はメンへになぜ起動させたのかを問うた。これにメンへは答えることなく拳銃の発砲で返し、張三と交戦を始める。
放たれた弾丸を張三が避け、一気に距離を詰める中、メンへは手斧の間合いに入れば即座に振るが、サイボーグ武闘家はそれも避け、強烈な裏拳を叩き込もうとする。これでメンへも終わりだろうと思っていたが、彼はこれに対抗する防御魔法を自身の身体に掛けていたのだ。メンへは魔法を使えることを、この状況に至るまで黙っていたのだ。
「何っ!?」
「俺さぁ、魔法が使えないとか、言ってないけど?」
裏拳を魔法で防いだメンへに対し、張三が彼が魔法を使えたことに驚愕する。そんな張三にメンへは魔力で威力を高めた蹴りを見舞い、吹き飛ばした。吹き飛ばされた張三は付近の壁に激突し、床に倒れる。
「死ねっ!!」
弾切れになった拳銃を投げ捨て、死体を退けてからワイヤーで背後を見せるメンへを捕らえようとしていたジュディであるが、既に気付かれており、右手でワイヤーを掴まれた。
「なっ、なんだと!?」
「読めちゃってるんだよねぇ!!」
「うわっ!?」
自分のワイヤーを掴んだことに驚きの声を上げるジュディに対し、メンへは強く引っ張って引き寄せ、手斧を飛んでくる彼女の身体に叩き込んだ。
「がはっ…!?」
強く手斧を腹に叩き込まれ、深く突き刺されたジュディは血反吐を吐き、叩き込まれた位置で床に落ちる。ジュディの瞳から光が失われる中、メンへは深く突き刺さった手斧を引き抜き、血を払い落としてから回収予定の装置に近付く。
「奴を装置へ近付けるな! 何が起こるか分からんぞ!!」
再びこの地に現れた新たな武蔵の指示で、リアがメンへに接近して二振りの得物で切り裂こうとするが、間合いを読まれており、腹に強烈な蹴りを入れ込まれて吹き飛ばされる。
「キャァァァ!」
「とらぁぁぁ!」
「邪魔だよなぁ」
リアが蹴飛ばされたのと同時に武蔵が飛び掛かるが、メンへには敵わず、手斧で首を跳ね飛ばされた。
「奴め、何をする気だ!?」
武蔵の首を跳ね飛ばしたメンへが装置に触れようとするのを見たトバイルカンはStg44で数名の共産主義者を射殺し、弾切れになれば捨ててからロングソードを抜いて向かう。
「これ、私一人で抑えろって事!?」
「うりゃぁぁぁ!」
一人装置の方へ向かって行くトバイルカンを見て、リンチェは自分一人で共産主義者等を抑えろと言うことなのかと動揺しながらも、フェロンのスコップとハンマーの攻撃を避ける。MP28の掃射による反撃をここ見るが、フェロンは手放さないことからそれを理解しているのか、その隙を与えずに攻撃を続ける。
「ぐぇあ!?」
「
「邪魔するな、よっ!」
フェロン等をリンチェ一人に抑えさせ、邪魔な共産主義者を斬り殺したトバイルカンはメンへに斬りかかるが、手斧で受け流され、膝蹴りを腹に食らい、デザートイーグルで頭を撃ち抜かれて即死した。
頭を撃ち抜かれたトバイルカンが完全に事切れる中、メンへは装置へと再び歩み始める。装置に近付いたところで、潜んでいたキルノートンが鎖鎌による攻撃を行う。流石のメンへでも防ぎ切れず、左腕を刺され、手斧を手放してしまう。
「死ねぇ!」
相手の左腕に鎖鎌の鎌を突き刺したキルノートンはルガーP08自動拳銃を抜き、安全装置を外してメンへを射殺しようとした。だが、メンへは痛みを感じていないかのように左腕を引き、キルノートンを引き寄せる。
「お、おわっ!?」
思わぬメンへの行動にキルノートンはバランスを崩し、誤って自分の顔を撃ってしまう。キルノートンは死体より手に入れた銃の暴発で死んでしまったのだ。これにキナはただ見ているだけであった。邪魔者排除したメンへはキナに目も暮れず、起動寸前の装置に向かう。
「何、これ…?」
ここに来て、マリが遅れて激戦区となっていたダンジョンの奥地へと辿り着いた。自分が知らぬ間に共産主義者等と武蔵等が交戦していることを知り、茫然としていた。
「なんだこの女!?」
いきなり入って来たマリに気付いた二名の共産主義者が手にしているPPS-h41で射殺しようとしたが、彼女が素早く抜いたP226自動拳銃の早撃ちで射殺される。
「おほっ、チート来た」
「う、動くな! 動くと撃つ!!」
「フフッ、イキって出て来たねぇ」
装置に近付いたメンへは出入り口を見て、マリが辿り着いたのを確認した。この状況を打破できる彼女が来たのが分かったキナは、勇気を出して遮蔽物より飛び出し、小型の自動拳銃をメンへに向けた。
だが、それはメンへの思惑通りであった。マリの目線が装置と自分に向いたのを見たメンへは不気味な笑みを浮かべ、銃口を向けて警告するキナにデザートイーグルを向け、即座に発砲した。キナは拳銃の安全装置を掛けたままであった。それを見透かされたキナは腹部に大口径拳銃弾を撃ち込まれ、床に倒れ込んだ。
これに付近に居る張三と復活した武蔵、リア、顎を撃ち抜かれたシモーナを治療するビッキー、メトル等が驚愕する。メンへがマリを怒らせるような行動に出たのだから。
「ちょっと…! 何よこれ!?」
そのキナがメンへに撃たれる光景は、乱戦越しにマリにも見えていた。なんとメンへは、ビッキーと張三がやろうとしていたマリを利用する手段を見抜いていた。キナに瀕死の重傷を負わせれば、マリは彼女の治療を優先するので、そちらに向かうことを理解していたのだ。
予想通りマリは時間を止め、キナの方へと急行する。一分以上の時間止めの解除の際に来る疲労を回避するため、五秒ごとに時間を止めてキナの元へ急ぐ。進路上に共産主義者や生き残った現地組冒険者が居たが、斬り殺されるか吹き飛ばされる。
自分らの仲間である共産主義者らが殺されるか吹き飛ばされていることを他所に、メンへは完全に起動した装置に手を振れた。
全然バトルロワイヤルじゃねぇな。
それとオリーブドライブさん、黒鷹商業組合さん、ケツアゴさん、ごめんなさい。