スーパーロボット大戦 無限戦争 設定集&外伝 作:ダス・ライヒ
今回はメンへばっか。
それと観覧注意かな。
メンへ・ラン。
神に見放された世界の住人で、冒険者兼共産主義系テロ組織に属する男だが、この世界では珍しくも無い大多数の男の一人だ。
何故、彼が半世紀前の異世界より責めて来た敵国の忘れ物である装置に興味を示し、それを手に入れようと思ったのは、自分を愛してもらいたいからである。
まずは、メンへが自分を愛してもらいたいかは、彼の生い立ちから語らなくてはならない。
時は彼が生まれた時代へ遡る。
世界征服を成し遂げようとしていた大帝国がワルキューレの攻撃で崩壊していたが、大帝国の残党が新たな国家と多数の諸国を無理やり併合して建国することで立て直し、異世界より来た新たな侵攻軍を食い止めていた。
この大帝国の残党が築き上げたワルキューレに対するレジスタンス国家の名は「アシュラ」。大帝国の残党が集まり、大規模な軍事力を有し、そればかりか有能な参謀らや指揮官らに指揮され、実に四十年以上もの間、ワルキューレの侵攻を食い止めたのだ。
恐るべき軍事力を誇るアシュラの国家元首は恐ろしいほど優秀であり、その男の存在の所為でワルキューレはアシュラを制圧できなかった。
だが、アシュラの国家元首は致命的な欠陥を抱えていた。自己中心的で他人のことを考えられなかった。自分以外の人間を人として見ておらず、道具として見ていない。神の領域に匹敵する能力による代償の所為か、自分の妻子ですら愛情すら抱いておらず、自分しか愛せない男だったようだ。
現在において侵略軍を四十年以上寄せ付けなかったアシュラが存在せず、広大な国土が隣国含めて無法者たちの楽園と化したのは、この自分しか愛せない国家元首の所業と言っても過言ではない。
アシュラは今から五年以上前に崩壊したのだ。ある男の手によって…。
その男の名はメンへ・ラン。
メンへはアシュラの国家元首が数十人いる妻との間に誕生した数百人の息子の一人であった。
母がメンへを生んだのは十歳。アシュラが男尊女卑思考の軍事国家であったが為に女体の体質を全く理解できておらず、偏見に塗れていた。そう言った環境を含め、多大なるストレスにさらされたメンへの母は様々な病に掛かり、挙句鬱病による疲労により、彼を生んで十年でこの世を去った。
そんな重体な母に国家元首である父は時間に余裕があるにも関わらず、全く見舞いにも来ず、挙句に死んでも顔を出さない始末だ。
母を失ったメンへのメンタルケアなど全くは無かった。アシュラは強さを美徳とする国家なのだ。母親を失くして泣きじゃくる弱い男など必要ない。何事にも冷静に力強く対処する男こそが必要とされる強者至上主義の国家なのだ。
ワルキューレの侵攻から最大規模のレジスタンスであるアシュラが四十年も世界を守り続けたのは、異世界を行き来し、武器を売り捌いて多額の利益を上げる武器商人の支援とこの力に固執する考えであり、崩壊の原因も力に固執し、一人の狂気に気付けなかった原因でもある。
そんな国家で生まれ育ったメンへの教育はもはや虐待であり、彼の歪んだ人格や思想、父に認めてもらいたいと言う拘りを形成させるには十分に良過ぎる環境だ。否、アシュラ中の少年がメンへのような虐待染みた教育を受けていた。薬物まで投与され、身体もかなり大きくされていた。
全ては一滴の涙や躊躇も見せず、力で敵を粉砕する悲しみや敵に対する慈悲も無い冷徹残忍な強者を生み出すために…。
力こそ全てなアシュラで成人を迎えた男がまず就職するのは軍隊だ。軍事国家であるアシュラで軍人になるのは、大変名誉で強い男の証だ。アシュラの偏見に満ちた殺人教育で立派に歪んだ大人へ成長したメンへも、自然な形で軍に入隊した。
彼が戦うのはもちろんのこと資源を狙う侵攻軍であるワルキューレ。女性ばかりな軍事勢力であるワルキューレが幾ら圧倒的な物量を誇ろうとも、人道に反する教育と訓練で怪物に達したアシュラ軍に大敗し続けるばかりだ。
無論ながらメンへも活躍し、まさに英雄とも言える成果を上げた。一人で一個中隊を撃退し、戦車小隊、更には戦闘ヘリ小隊まで壊滅させたのだ。そんな大戦果を挙げたメンへの理由はただ一つ、父に認めてもらい、愛してもらうこと。
それ程の後に語り継がれるような英雄的成果を上げたメンへに、国家元首である父はあり得ない仕打ちを行う。なんとそれは「女如きに男が勝って当然」と言う短い文章が記載された書類一枚を贈るだけに済ませたのだ。理由はワルキューレを舐め腐っており、これほどの成果を上げて当然と言うのが理由である。何とも酷い理由だ。
多数の敵を相手に命懸けの成果を上げたと言うのに、相手が女と言う理由だけで渡されたのが勲章でも無ければ、労いの言葉でも無く、極短い文章が書かれた紙切れ一枚が贈らない父にメンへは殺意を抱いた。
今は我慢したが、負傷するほどの激戦区で英雄を上回る鬼神の如く戦果を挙げ、戦争をアシュラ有利に進めても、父は忙しいさを理由どころか「我が国の兵士として当然」とまた紙切れ一枚を寄越すだけだ。
これはメンへに限っただけでなく、前線で戦う将兵全体に向けられた言葉である。戦死すれば女如きに殺されたクズでゴミと罵り、最悪の場合、最初から居なかったことにされる。
ワルキューレとの戦いでアシュラ側に戦死者どころか戦傷者が一人もいないのは、これが理由だ。背中を預ける戦友と祖国の為に命懸けに戦った将兵等に対し、国家元首であろう者が、あり得ない程に大変失礼な態度である。侮辱と言っても過言ではない。
命懸けで戦っていると言うのに、勲章どころか、労いの言葉一つ寄越さず勝って当然と宣う国家元首に将兵等は我慢していたが、メンへだけは違った。唯一の肉親である父親が褒めてくれないことに怒りが頂点となったメンへは、重装備で国家元首の元へ乗り込んだのだ。
アシュラの中心人物等と共に戦勝への祝杯を挙げる国家元首の元へ、単身重装備で突っ込んだメンへは、実戦経験では劣る中隊規模の近衛兵を一掃した後、戦勝会場に居た国家元首を除くアシュラの重鎮と異母兄弟、妻たちを皆殺しにした。
「ねぇ、パパ。どうして俺を認めてくれないんだい? あれだけ頑張ったのに、労いの言葉も掛けてくれないなんて俺は悲しいよ」
父である国家元首と二人きりになるため、邪魔者を全て排除したメンへは父親になぜ自分を認めないのかと銃口を向けながら問う。これに齢七十の父親は尻もちを着き、初めて感じる死の恐怖に怯えながらメンへに謝罪した。
「すまない! わしは、わしがお前を認めなかったばかりに! い、今からでもお前を認めよう! 一体どんな位が欲しいのだ?」
十年ぶりに面と向かって父が発した言葉は苦し紛れの謝罪だった。あろうことか、名前で呼ばず、自分のことを覚えてもいない。これにメンへは失望し、ゴミを見るような目で命乞いをする父を見下す。
だが、それは父とで同じ。こんな馬鹿なことをする奴に、今重大な局面において必要不可欠な自分が殺されてたまるか。国家元首はそう思いながら、メンへに見えないように利き手を隠し、隠し持っていたナイフを掴む。油断しきったところで、刺し殺すつもりだ。
自分の子供の名前すら憶えていない。むしろ覚えるつもりもない。自分の身内でさえ、国家元首は道具としか見ていないのだ。目前に立つメンへの事を、実の父親はただの狂った奴としか見ていなかった。これにメンへは実の父が利き手の右手を背中に隠したことを見抜き、自分を全く愛していないどころか、殺そうとする態度で、息子として見ていないと判断した。
「申せ! 直ぐに用意させよう! 欲しい物は何なのだ?」
「欲しい…? 違うよ、俺が欲しいのは地位でも名誉でも無いんだ。パパの命だよ。パパを滅茶苦茶に動かなくなるまで殴って、それから身体を滅茶苦茶に引き裂くんだ。あぁ、頭だけは残して置くよ。後でスイカみたいに叩き潰すんだ」
「うぅ!? こ、この、基地外めがぁぁぁ!!」
目前の息子を名乗る男が自分を生かすつもりが無いと判断した国家元首は体当たりを仕掛けたが、アシュラ一の戦士となっていたメンへは躱し、有言実行と言わんばかりに自分の父を殴り続けた。それも笑いながら。
「アハハッ! ねぇパパ。痛い? 痛いかい? 僕の心はそれよりも痛かったよ! 僕に殴られているパパのようにねぇ!!」
両目からは涙が零れていたが、愛に飢えたメンへは笑いながら自分の父親を殴っている。それに自分がどれ程に父親に愛してくれたかったと言う気持ちを、今殴り続けている父親にぶつける。何度も強く殴っていれば顔は原形を留めない程に潰れ、七十代の国家元首は瀕死であった。
そうなればメンへは人体を切断できるほどの鋭利な刃を取り出し、まだ息のある父親を解体し始める。その解体の仕方は異常なほどに滅茶苦茶だった。メンへは言った通りのことを実行しているのだ。ただし、頭部は最後に潰すために残して置く。
「さよならパパ。俺はこの国の人たちを解放するよ」
最後に残した頭部を別れの言葉を告げてからハンマーで潰した後、メンへはアシュラの人々を解放すると口にした。それから首都へ向かい、アシュラ全体に自由と解放を宣言する。
解放。アシュラの人々に自由を与えると言う意味に当たるのだが、メンへの解放と言った意味は違う。
それは国家と言う束縛から解放し、真の意味でアシュラの者たちを自由にすることであった。何者にも従わず、己の考えや力で生きていく事である。否、メンへの言う個人の自由はそうではない。己の本能や欲望に従い、その手で欲しい物を力尽くで奪い取り、逆らう者は誰であろうと殺す。
それこそ、メンへの言う自由であった。
メンへの言葉で国家と言う束縛から解放されたアシュラの人々、いや、歪んだ環境で育った男たちは胸の内に潜ませていた本能を解放させ、上官を含める自分の気に食わない者や嫌いな者を殺し、欲しい物を奪い、気に入った女を犯し、壊したい物を壊し始めた。時には徒党を組んだ集団もあったが、考えややり方の違いだけで殺し合い、幾つもの徒党が生まれては消えた。
こうして、四十五年以上も強大な異世界軍より守り続けた軍事大国アシュラは崩壊した。自らを守るため、育て上げた兵士たちの手によって滅んだのだ。アシュラが支配していた広大な地域は一気に無法地帯と化し、別の世界から来た無法者たちが持ち込んだ技術によって正規軍のワルキューレですら手を出せない程の地獄と化した。もしかすると、地獄の方が生温いかもしれない。
真の意味で自由となったアシュラの男たちは欲望や本能のままに行動し、今日もまた欲しい物を手に入れるために暴力を振るい、壊したい物を壊して女を捕まえては犯し、殺したい奴を殺した。アシュラ崩壊後に異世界より来た者たちの存在もあるが、利害が一致すれば協力して気に食わねば殺し、自由を謳歌した。
アシュラを崩壊させた張本人であるメンへはランの姓名を名乗り、異世界の技術や体術を身に着け、着々と力を蓄え続けた。全ての人々に自分を愛してもらう為、否、愛するようにする為に。
皆に愛してもらいたいがため、強大な力を欲するメンへは鍛錬に並行し、この世界にある強大な破壊力を持つ兵器の調査に乗り出す。
そして鍛錬と捜査を続け五年、かつての敵国、百合帝国軍の忘れ物である装置を見付けたのであった…。
「さぁ、どっちだぁ?」
装置を起動させ、マリの足枷であるキナを撃ったメンへは、どちらの方向へ来るのかと、時を止めながら迫る彼女を見ながら賭けに出る。
もしマリが自分の所へ来れば、確実に死ぬこととなる。何故ならキナを撃ち殺したからだ。だが、そんなことは百も承知。メンへは敢えてギリギリ死なない程度に、キナの腹部にデザートイーグルを発砲したのだ。大口径拳銃弾でも少女の身体を撃っても、心臓であらぬ限り死ぬには時間が掛かるだろう。
現にキナの手は動いている。まだ息があると言う証拠だ。キナがまだ生きていることを確認したマリは、メンへの予想通りに無視して治療を施すため、瀕死の彼女の元へ向かう。何処からともなく医療キットを取り出し、野戦治療を始めたのを見れば、メンへは自分の勝利を確証した。
「俺の勝ちだぁ!」
メンへは読み通り、マリは自分を無視して役にも立たないキナの治療を行った。勝利したメンへは叫び、装置から流れて来る不気味な力を全身に感じる。この光景に、殺し合いを行っていた者たちはそれを中断し、光るメンへの方に視線を集中させた。
「あ、あんな奴の手に、訳も分からぬ力が…! 今からその装置を壊せ! 何が起こるか分からんのだぞ!?」
起動した装置がメンへの手に渡ったところで、出て来た新しい武蔵は何が起こるか分からない為に壊すように説得するが、装置から流れて来る力に酔いしれている彼の耳には届いていない。共産主義者等もこのメンへの行動には予想がついていなかったのか、リーダーが止めるように命令する。
「何をしている同志メンへ!? 装置を止めろ! これは我らが物なんだぞ!」
銃口を向け、必死に止めるように叫ぶリーダーであるが、本性を現したメンへにはどうでも良く、共産主義を馬鹿な夢だと罵る。
「あのさ、共産主義ってみんなで共有するってことだよね? 俺はみんなに愛してもらいたいんだよ。それだと、みんなが俺のこと愛して貰えないじゃないか!!」
「な、何を言って…!?」
「つまりお前らは夢見がちな馬鹿ってことだよ。革命やら何やら自分がカッコいいこと言ってるって感じで酔い痴れやがってよ、見てるこっちが恥ずかしくなるよ」
「貴様、粛清してやる! 同志諸君、裏切り者を撃て! 撃つんだ!!」
自分らすら騙して自分らの思想を侮辱したメンへに対し、怒りを覚えたリーダーは部下らと共に一斉射撃を行う。フェロンはリンチェを蹴り飛ばした後、背中のRPG-7対戦車火器を取り出し、安全装置を外して装置に照準を定め、引き金を引いてロケット弾を撃ち込んだ。
「うわぁぁぁ!!」
射線上に居た武蔵は巻き込まれ、一気に蜂の巣にされて床の上に倒れる。起き上がった張三は射線上から退避していた為に無事で、キナの手術を行うマリは自分と彼女の周りだけに魔法のバリアを張っている為、流れ弾の心配は無かった。リアやリンチェは伏せ、ビッキーは顎を撃ち抜かれて瀕死のシモーナを庇う形で頭を伏せる。メトルとセゴーは隙を見て、現地組の生き残りたちと共にこの場から脱出していた。
「なん、だと…!?」
この場に居る共産主義者全員の一斉射と最大火力であるRPG-7の対戦車榴弾の弾頭を受けた装置であるが、メンへ共々全くの無傷であった。リーダーを含めるフェロン等がこれに驚愕する中、マリを上回るような力を得たメンへは、これでみんなが自分を愛してくれると実感し始める。
「す、凄い! 俺チートだ! チートだよぉ!! これでみんなに、これでみんなに愛してもらえるぞぉ!! アッハッハッハッ!!」
数百発の銃弾とロケット弾を装置から来る謎の力で耐え抜いたメンへは高笑いし、目前の共産主義者等に向けて攻撃を始めた。なんとメンへの背中から無数の触手が身体を貫いて生え、その全てが目前に居た共産主義者等を貫いた。
「ギャァァァ!!」
「こ、これが、装置の力だと言うのか!?」
数十人が一気にメンへの背中より生えた触手で串刺しにされる中、ワームホールより出て来た武蔵は、これが百合帝国軍が闇に葬った装置の力だと驚愕する。
「ウヒヒヒッ! しゅ、しゅげぇ! 力が溢れる…! 高まるゥゥゥ!!」
装置の力はそれだけでない。メンへの身体は見る見る内に身体は膨張し、装置を吸収して全高全長とも三十メートルはある巨大な彼の顔だけの姿を変え、その周りに十数人の共産主義者等を串刺しにした触手が手足となり、歪さと不気味さを強調した不気味な怪物へと変貌を遂げた。
「ば、化け物だ…!」
「災厄その物だわ…!」
幼子が見ればトラウマになりかねない巨大な怪物へと変貌したメンへは、自分の姿を見て驚愕する一同を他所に、一体化した装置によって内から湧き出る力に酔い、不気味な笑みを浮かべる。その笑みは怪物と化したメンへの不気味さを余計に際立たせ、見る者に恐怖を与える。
キナの手術を行うマリ以外の者たちがメンへの姿を見て畏怖する中、怪物となった彼は悲願で最大の目的である皆に愛してもらう自分を実行すべく、手始めに自分を嫌悪な眼差しで見るフェロンを含める残りの共産主義者たちの始末を行う。
「それじゃあまずはぁ…お前たちの始末だぁ!」
標的を残りの共産主義者等に定めたメンへは、全身に生えている手を触手に変えて攻撃を始める。これに共産主義者等は銃を撃ちながらこの場から脱出しようとするが、自分らを殺す触手に捕まり、引き裂かれていく。
「ワァァァ!!」
「キャァァァ!!」
「うわぁぁぁ!!」
辺り一面が引き裂かれた共産主義者等の飛び散った大量の血で辺りが真っ赤に染まる中、リーダーは触手に捕まれ、まだ捕まっていないフェロンに助けを求める。この悍ましい光景を見て、リアとリンチェは思わず嘔吐してしまい、武蔵と張三は戦慄する。
「同志フェロン! 助けてくれぇ! このままでは、奴に引き裂かれて…!」
「共産ごっこは終わりだ!」
助けを求めるリーダーであったが、フェロンは無視して自分だけ逃げた。その姿を見たリーダーは絶望し、引き裂かれるような感覚を味わいながら涙ながらメンへに命乞いする。
「同志ラン、止めてくれ! 頼む! お前を、お前を崇拝する! だから殺さないでくれ!!」
涙ぐんだ必死の命乞いをするリーダーであったが、メンへは応じず、巻き付けた触手に力を強めた。
「ダーメぇ、君の言ってることは嘘だもんねぇ!」
「や、やだ! 止めてェェェ!!」
リーダーは絶叫しながら触手に引き裂かれた。引き裂かれた肉片が内蔵と共に辺りにぶちまけられる中、メンへは逃げたフェロンに追撃の触手を放つ。誰一人逃す気は無さそうだ。
「逃がさないよォ…!」
逃げるフェロンの位置を掴んでいたメンへは、触手を高速で向かわせ、一気に大男のロシア人を引き裂こうとする。だが、相手は元特殊部隊所属の男。向かって来る触手を戦闘用スコップで切り裂き、身を守ろうとする。
「クソっ! クソォォォ!!」
だが、触手の波状攻撃が防げるわけもなく、スコップを握る右腕を鋭利な刃となった触手に切断され、挙句に両足も斬り落とされ、最後に残った左腕も切断されてしまう。メンへはフェロンを嬲り殺しにしたのだ。
「うわぁぁぁ! アァァァッ!?」
四肢を削がれたフェロンは驚いたことにまだ息があり、痛みと恐怖で絶叫していた。そんなフェロンにとどめを刺すべく、メンへは触手をギロチンの刃の形に模させ、絶叫する大男の上から振り下ろす。ギロチンの刃を振り下ろされたフェロンの身体は真っ二つに叩き割られ、大男は絶叫した表情を浮かべたまま左右に真っ二つになって息絶えた。
共産主義者を全て始末したメンへは触手を自分の身体に戻し、次なる標的を武蔵等に定める。彼らもまた、メンへにとっては邪魔者なのだ。
「次ぁ、お前たちだァ!」
「ひ、ヒィィィ!? 殺されるぅ!!」
「もう、これで…最期かもしれない」
標的が自分らに向いたことで、リンチェは絶叫して出入り口へと走り、ビッキーは絶望するあまり死を覚悟する。リアと張三も死を覚悟する中、武蔵は奥の手を使うことにした。
「無駄な保険になれば良いと思っていたが、使うほか無さそうだな…! ゲッターの力を!!」
この場に居る全員を守るため、奥の手を使う覚悟をした武蔵は褌からある端末を取り出し、そのスイッチを押す。スイッチを押されて端末が起動すれば、ワームホールから全高二十メートルの下半身がキャタピラで長い腕が特徴なロボ、ゲッター3が現れた。
この不格好な巨大ロボットの登場に、手術に夢中なマリ以外の者たちは驚愕する。だが、ゲッター線の僕であり、ゲッターの意思その物であるゲッターエンペラーの記憶によって何度でも復活する武蔵なら問題は無い!
「な、なんだぁ! このロボットはぁ!?」
流石のメンへも驚きであり、全員を殺そうとした全体攻撃を思わず中断してしまう。その隙を突いてゲッター3に乗り込んだ武蔵は乗機の伸縮する両腕でメンへを絡め取り、遠心力を付けるために書い天使、天井へ向けて投げ飛ばす。
『大雪山おろし!!』
ゲッター3に乗り込み、初っ端から怪物と化したメンへに仕掛けた技は、武蔵の必殺技である大雪山おろしだ。驚いている状態で大雪山おろしを受けたメンへは天井を突き破り、上に建っていたバンカーまで突き破って外へ放り出される。
巨大な物体が外へ放り出されたことによって、ダンジョンは崩壊し始める。これに武蔵はまだ残っている者たちを脱出させるべく、ゲッター3に捕まるように拡声器で指示する。
『全員、俺のゲッターに掴まれ! そこの女、
マリに対しては自力で脱出できると見込み、キナの治療はここを脱出してからにしろと告げた。マリとキナを除く全員がゲッター3に掴まり、それを確認した武蔵がゲッター3のスラスターを吹かせてダンジョンを脱出する。崩壊するダンジョンへ残されたマリは、ここではキナの治療は困難だと判断し、彼女を抱えて空を浮遊し、脱出した。
「クソぉ、何なんだよ! あのふざけたロボットはぁ!?」
外へ放り出されたメンへは空中を浮遊し、突如となく現れた武蔵のゲッター3に対して悪態を付く。バンカーは一度吹き飛んで地面に落ちて潰れ、湖には巨大な穴が開き、汚れ切った湖の水がその穴へ土砂と共に流れ落ちている。
吹き飛ばしたメンへによって出来た穴からゲッター3が空飛ぶマリと共に現れ、付近に着陸する。マリは安全な場所に退避してからキナの治療を続行し、武蔵のゲッター3は張三たちを降ろしてから巨大な怪物と化したメンへと交戦を開始した。
外はメンへが装置を吸収して巨大化した所為か、霧が晴れており、外と同じ時間帯に戻っていた。霧は晴れた周辺には、装置を拐取する為にそれぞれの冒険者たちを雇っていた勢力の回収部隊が展開し、互いに交戦して乱戦状態と化していた。
黒鷹商業組合さんのキャラ、全員やっちまったな…。
これは、故石川賢さんの漫画みたいな展開…?
ラスボスはキナにする予定だったけど、せっかくのイカレキャラであるメンへが勿体ないので、メンへをラスボスにした。
次回はマリ以外の者たちがロボットに乗って、巨大化したメンへと戦います。