スーパーロボット大戦 無限戦争 設定集&外伝 作:ダス・ライヒ
空を浮遊する神々しく進化したメンへは、地上に居るゲッター軍団とマリを見て笑みを浮かべた後、その姿を消した。
「逃げた?」
リンチェはメンへが姿を消したことに、もう戦いたくない彼女は逃げたと思い込んでしまう。だが、あのメンへが自分をここまでにした武蔵等を前に逃げるはずが無い。
それを理解しているマリは、念の為に治療を終えて寝ているキナとシモーナの周りに防御結界を張り、メンへが何処から攻撃してくるか確かめるべく、時間を止めた。
「嘘っ…!?」
時間を止め、メンへがどこに居るか確認すれば、自分の方へと近付き、既に攻撃の体勢を取っている所だった。進化したメンへは光の速さで移動できるようだ。それに時間を止めている自分に気付いている様子がある。
これにマリは驚きつつも、時間を動かせば確実に蹴りによる攻撃を受ける距離に居るため、罠を張ってからそこから離れる。
離れたところで時間を動かせば、進化して恐ろしい存在となったメンへはマリが放った罠を蹴る。罠は爆弾であり、通常の者なら爆弾に蹴り込んだ足が吹き飛ぶところだが、メンへが撃ち込んだ右足には一切の傷もない。
『い、いつの間に!?』
『なんて速さ!? 災厄どころじゃない!!』
「ちょっと、最悪じゃんこれ!?」
魔法の爆弾ですら傷付かないメンへにマリは驚愕し、武蔵等ゲッターロボに乗る一同はいつの間にか後方の彼女の元へ来ていた神々しい怪物に驚愕する。
それだけでない、メンへはなんと蹴り込んだ右足から斬撃を放ったのだ。それを受けたマリの身体から血飛沫が上がる。メンへの攻撃はそれだけで終わらず、神速でビッキーのゲッターポセイドンの背後に姿を現す。
『う、後ろだ!』
「えっ? キャァァァ!!」
武蔵がビッキーのゲッターポセイドンの背後に現れたメンへの存在を知らせたが、既に蹴りを打ち込まれていた。
その蹴りを受けたゲッターポセイドンは重装甲とスーパーロボット特有の重量があるにも関わらず、遥かに小さいメンへの蹴りで吹き飛び、挙句に上半身と下半身に別れて破壊された。
これ程の破壊されても、ビッキーは生きており、奇跡的に気絶した程度で済む。だが、後頭部を強く打って出血し、それにメンへの存在もあるので油断はできない。
『このぉ! ゲッタービーム!』
次にメンへが標的にしたのは、リアのゲッター1であった。自身に向けて放たれたゲッタービームを神速で躱し、一気に目前まで接近して右手を手刀にして胴体を切り裂く。通常なら全く無意味な動作であるが、神のような力を持ったメンへならゲッターロボの胴体を切り裂くほどの斬撃を撃ちだせるのだ。
「嘘ッ…!? そんなことが!?」
彼が手刀で放った斬撃でゲッター1の胴体は切り裂かれ、地面に倒れた。リアは驚愕する余り動けず、落下の衝撃で頭部を強く打って気絶する。
『こっちも速いんだよ!』
リアのゲッター1が倒れる中、リンチェのゲッター2がメンへにゲッターアームによる攻撃を仕掛けた。マッハ越えの速度を出せるゲッター2なら追い付けると思っていたリンチェであるが、メンへは高速で突き出されたアームを余裕で躱し、挙句に破壊した。
『だったら、ゲッタードリル!』
ドリルで抉り殺そうと放つリンチェであるが、メンへは不気味な笑みを浮かべながら左手の人差し指で迫るドリルを突いた。メンへの指が先にドリルの高速回転で引き千切れそうだが、逆にゲッター2のドリルが粉微塵になって潰れた。
「そんな…」
ドリルでさえ破壊するメンへにリンチェは絶望する中、神の如く進化した男はドリルを潰した左手の人差し指からビームを放ち、ゲッター2を破壊する。無論、リンチェは無事である。メンへの存在の所為で無事とは言い切れないが。
「ば、バカな…! ゲッターが、ゲッターロボがあんな訳の分からん奴に破壊されるなど…!」
立て続けに三機のゲッターロボが破壊されたことで、ゲッター線の僕である武蔵はゲッター3のコクピット内で呆けていた。無理もない、神にすら対抗できるゲッターロボが、訳の分からない存在にガラス玉のように破壊されているのだ。これを見て正気でいられるのは、かつて武蔵と共に肩を並べて戦い、ゲッター線に選ばれた流竜馬か戦闘狂くらいだ。
そんな呆けた武蔵に気にせず、あのメンへを放っておけば取り返しのつかないことになると判断し、我が身を犠牲にしてでも殺す覚悟を決めた張三は、ゲッターライガーの操縦桿を強く握って無謀にも挑んだ。
『ライガーミサイル!』
「フフッ!」
手始めに牽制としてライガーミサイルを連発する張三であるが、メンへは全て見えているように全弾を躱し切る。次にチェーンを打ち込み、メンへを拘束しようと試みるが、逆に手刀で破壊されてしまった。
『ドリルアーム!!』
だが、それらは全て動きを止めるための牽制。本命のドリルアームをメンへに叩き込んだ張三のゲッターライガーであったが、ゲッター2のドリルと同様に破壊されてしまった。
「なん、だと…!?」
「馬鹿だな、同じ攻撃はね…通じないってんだよぉ!!」
ゲッター2よりも速いゲッターライガーのドリル攻撃すらメンへに防がれたことに驚愕する張三に、メンへは嘲笑いながらゲッターライガーの懐に瞬間移動し、強烈な蹴りを入れ込んだ。
この蹴りを受けたゲッターライガーはゲッターポセイドン同様に真っ二つに叩き割られた。そこからメンへは追撃の二発目の蹴りを前に割れた胴体に叩き込み、張三を殺そうとする。
「う、うわぁぁぁ!!」
だが、そうするまでもなく、張三は修理の際に密かに仕掛けられた爆弾が爆発した。
「あれぇ、なんか爆発したぞぉ? まぁ、良いか」
ゲッターライガーの上半身が爆発したことにメンへは疑問に思うが、直接殺す手間が省けたと喜び、気にも留めなかった。
爆発して地面に落下していくライガーの残骸の中に、張三の頭部が混じっていた。無論、メンへは気付いていない。
「なんと恐ろしい奴…! もはや、この惑星諸とも破壊しなくてはならんようだな!」
四機のゲッターロボを破壊したメンへに、武蔵はこの惑星諸とも自分のゲッター戦艦「ベアー号」による主砲で破壊するしかないと判断する。ゲッター線の僕である武蔵をこれ程までに追い詰めることから、それ程にメンへは危険な存在と言うことだ。
「むっ、あれは反応弾! しかも既に発射態勢! まずは、反応兵器で消せるかどうか試そう…!」
その前に反応弾を搭載したワルキューレ空軍所属の可変戦闘機が現場に到着したのか、既に発射体制に移っていた。これに気付いた武蔵は撃墜もせず、反応兵器でメンへが消せるかどうか見定めるために母艦への転送帰還を止める。
「嘘でしょ!?」
復活したマリも気付いており、キナとシモーナの近くに向かい、反応弾を受けても守れそうな魔術防壁を周囲に張る。その頃には反応弾を搭載したミサイルが発射された後であり、今から逃げても間に合わない程だ。自分に向かって飛んでくる反応弾に対し、メンへは余裕の笑みを浮かべ、右手で向かって来るミサイルを指差す。
「奴め、何をする気だ? ここで迎撃したところで、反応弾の爆風から逃れられんぞ」
逃げることなく指差すメンへに武蔵は疑問を抱く。何故ならここで迎撃したところで、反応弾の爆風に呑み込まれてしまうからだ。そんなことも気にせず、メンへは指差しからビームを発射し、反応弾を迎撃した。
「馬鹿な奴め、自滅しろ! ゲッターシールド!」
反応弾を迎撃したメンへに対し、武蔵は死んだと断定して爆風より身を守るため、ゲッター3に搭載しているゲッターシールドを展開した。だが、爆発は起こらない。そればかりか爆発は最小限の範囲で抑え込まれてしまった。これに武蔵とマリは驚愕する。
「ば、バカな…!? 反応弾の爆発を最小限で抑えただと! 一体奴は…!」
反応弾の爆発を最小限の範囲で抑え込んだメンへの所業に武蔵が驚愕する中、そのあり得ない行為をやってのけた存在がゲッター3の目前まで瞬時に来た。
「うっ…!?」
一瞬で目前まで来たメンへに、武蔵は蛇に睨まれた蛙の如く動けなかったが、攻撃を受ける前に何とか分離するボタンを押すことは出来た。中央のイーグル号、下のジャガー号は破壊されてしまったが、武蔵が乗っているベアー号は無事に上空へと脱出していた。
これにメンへは武蔵が逃げたと判断し、負傷者らを守るために魔術防壁を張っているマリに襲い掛かる。当然、マリもバスタードソードを構えて迫り来るメンへに対処するが、幾ら時間を止められる能力を有する彼女でも、今は力が半減しており、神に近い存在となった彼には敵わなかった。一方的に攻撃を受けるだけで、マリの斬撃が躱されるばかりだ。
「どうしたぁ? 時間を止めて見ろぉ。じゃなきゃ勝てないぞ、チート女」
一方的に加減して殴って来るメンへはマリを挑発する。これにマリは空いた左手で衝撃波を地面に放ち、メンへと距離を取ってから自分の背後に無数の武器を召還させ、それを標的に向けて撃ち込む。
「面白い手品だ。でも、俺には効かない」
自分に向かって飛んでくる無数の武器に、メンへはそれを手品と表し、全てを防ぎ切った。マリがメンへに向かって放った召喚武器は、歩兵が持っていそうな飾り気のない槍や剣と言った物であり、容易く腕の振り払いで破壊されるばかりだ。これにマリは種類や数を増やして対抗するが、メンへを止めるには至らない。
「これなら!」
「ミサイルか。君、チート過ぎて学習能力が抜けたんじゃないの?」
余裕で歩きながら近付くメンへに対し、マリはミサイルなどの召還して攻撃を行ったが、先の反応弾を搭載したミサイルが迎撃されたことを知らないのかと問われる。無論、命中しても全くメンへには傷一つ付いていない。そればかりか瞬時に近付かれ、腹を右手で貫かれた。
「がぁ…!?」
「全くつまらないな。そんな中古品共を守ってるから、こうなるんだ」
メンへはマリを腹で貫きながら、彼女が全力を出していないことを見抜き、キナたちを守るのに力を割いたから負けると告げ、腹部から右手を引き抜き、更に頭を掴んで顎に膝蹴りを打ち込む。蹴られたマリが血を吐けば、更に殴り続ける。マリを殴るメンへの顔は笑っており、彼女が痛がる様を楽しんでいた。
ただメンへに殴り続けられるマリを見て、武蔵はキナとシモーナを守るのに使っている魔法障壁を解けば、勝てるかもしれないと思ったが、彼女はそれをしない辺り、もう勝ち目はないと判断する。もっとも、マリが全力を出したところで、装置を吸収して恐ろしく進化したメンへに勝てるかどうかわからないが。
「反応弾でも倒せない奴に、あの不死身が取り柄だけの女が勝てる訳も無いか。やはり、ゲッターの力を…」
『待つのだゲッター線の僕よ。あの者に勝つチャンスはある』
「神だと…? 神様が何の用だ? 今頃になって出てきやがって」
碌に反撃も出来ず、嬲り殺しにされているマリを見て、武蔵はやはりゲッターの力でこの惑星諸ともメンへを消すしかないと思ったが、その選択は出来なかった。なんと、ベアー号のコクピット内の前に神であるライデンの幻影が現れ、待ったを掛けたのだ。
神であるライデンがこの世界に来たと言うことは、それ程に究極の怪物に進化したメンへが危険な存在であると言うことだ。
まだチャンスは残っていると言うライデンに、武蔵は今さら出て来た神に苛立ち、何をしに来たのかと問い詰める。それにライデンの幻影はキナに指差し、彼女が逆転のチャンスであるとジェスチャーで告げる。
「あの嬢ちゃんが逆転の鍵だと? フン、迷っている暇は無いようだな。時間を稼いでやる」
キナが逆転のチャンスだと言うライデンの言葉に、武蔵は疑念を抱きつつも迷っている時間は無いと思い、時間稼ぎをすると言って操縦桿を動かし、メンへの方に機首を向けた。
マリを嬲り殺しにしているメンへに、武蔵は機銃掃射を仕掛けた。ベアー号の機銃掃射でマリは数十発を身体に浴びて死亡する。当然、究極の怪物に進化したメンへには全く効かず、飛び回るベアー号を睨み付ける。
「鬱陶しいなぁ」
「もっと鬱陶しくなるぞ」
「あぁん、誰だお前?」
鬱陶しいベアー号に乗る武蔵から血祭りに上げようとするメンへであったが、突如となく現れ、声を掛けてきた拳法家の男に苛立ち、誰なのかと睨み付けながら問う。
彼の名はリュウ・カン。神のライデンに仕える戦士で、炎を操る中国拳法家である。時間稼ぎをするためにメンへに挑むのだ。
「リュウ・カン。お前はこれから倒される運命にある」
「いきなり出て来てふざけたこと抜かしやがって…! 死ねぇ!!」
自己紹介をしたリュウはメンへに向け、お前は倒される運命にあると啖呵を切る。これに腹を立てたメンへは、右手を翳して強烈なビーム攻撃を見舞う。その攻撃をリュウは紙一重で躱し、龍の頭の形をした飛び道具を飛ばす。
「どうした、強いんじゃないのか?」
「てめぇ、俺を愛さない奴だなぁ…! だったら殺す!!」
放った飛び道具は全く効いていなかったが、リュウは気にすることなく挑発する。これにメンへは更に激昂し、攻撃を続ける。上空からは武蔵のベアー号が襲い、地上からはリュウの拳がメンへの動きを止める。立派に二名は時間稼ぎを果たしていた。
完全にメンへの注意が武蔵とリュウに向く中、ライデンは再生したマリを抱えてキナの方へと運ぶ。彼女が目を覚ませば、魔法障壁を解くように説得する。マリが張った魔法障壁は、神であるライデンでも解けない代物なのだ。
「ゴットスレイヤーよ、この結界を解いてもらいたい」
「一体何よ? どういうことなの?」
「あの少女が、この絶望を希望に変える力を秘めている。君ではあの怪物には勝てない」
勝てないと言うライデンの言葉に、マリは苛立ってバスタードソードの剣先を向けた。これにライデンは怖気ることなく、マリに向けて頭を下げて頼み込む。
「時間が無い。そうでなければ、この世界どころか、君も死ぬ」
神が頭を下げたことに、マリは思わず動揺を覚える。だが、ライデンは時間が無いと言うので、直ぐにマリはキナとシモーナを守る魔法障壁を解いた。
武蔵とリュウが全力でメンへを抑え込む中、ライデンは寝込んでいるキナを起こし、懐よりある物を出した。それは古めかしく、何か神秘的なデザインをした小物だ。ライデンは膝を地に着けて視線を近付け、キナに世界を救って欲しいと告げる。
「誰…?」
「唐突に済まないが、君に世界を救ってもらいたい」
「えっ? 何言ってるの?」
「…やもえんな」
起きて早々に流石に世界そ救えなどと言われ、動揺し無い者は居ないだろう。キナは動揺する中、武蔵とリュウはメンへに苦戦しているようだった。これを見たライデンは、やもえずに禁断の手を使う。
「いきなりではあるが、君は罪を犯し過ぎた。この世界で致し方ない事であるが、君の犯した数々の罪状、天界では許される事ではない」
それは、死ねば地獄行きは確実であると言う事実を突き付ける事であった。地球を守る神とは思えぬ強硬手段だ。それ程までに、メンへが危険な存在であると言うことだろう。
事実、キナはここに至るまで数々の犯罪を行っている。具体的に述べれば、窃盗、殺人、売春と言った所だろう。窃盗と売春、殺人に関しては、この地獄のような世界で生きるために仕方がないのだが、自分より幼い子供や売春の客より金品を奪ったこともある。だが、彼女は客との間に出来た子供を二人も殺している。
「君は生きるために罪を犯し続けた。この世界の境遇を考えれば、それは仕方が無い事で、誰しもが行う行為だ。だが、天界は君に同情せず、悪童として地獄へ送り込むだろう。このままではあの怪物に殺されるか、ゲッター線の意向で死ぬ。さすれば地獄行きは確定だ。これを取るか取るまいか、君次第だ」
神の力でキナの頭の中を覗き、彼女が犯してきた罪を知ったライデンは、地獄行きは確定であるとキナに突き付け、小物を取るか取らないかの選択を迫った。
この選択肢を突き付けられたキナは動揺し、どうすれば良いかマリの方を見る。だが、ライデンは彼女が介入するのを恐れてか、聞こえないように結界を張っていた。そればかりかリュウが突破され、マリはメンへの対処に追われている。キナ自身の意思で決める他ない。
「雁首揃えてそんな使い古された中古なんぞ守りやがって…! なんで俺を愛さないんだよぉ! そんなにその中古品が大事か!?」
自分が卑下するキナを必死に守る三名にメンへは理不尽に怒り、立ち上がって飛び蹴りを食らわせに来たリュウを衝撃波で吹き飛ばした。上空から武蔵が駆るベアー号が機銃掃射を仕掛けるも、躱されて指から発射されるレーザーで追い払われるだけだ。
そんな自分を愛さないと言って怒るメンへに向け、ようやく全力を出すことが出来るマリは封印魔法を唱えながら自分勝手だから愛さないと告げる。
「あんた見たいな暴力的で自分勝手な奴、好きになるわけ無いでしょ。みんなに愛されるように努力しなさいよ」
メンへの四肢を封印魔法の鎖で封じたマリは正論を告げたが、火に油を注ぐ結果となった。正論を言われたメンへは泣きじゃくりながら激怒し、可哀想な自分を愛さない奴らが悪いと喚き散らす。
「っ!? ンンンーッ! 僕ぁ! 僕は可哀想なんだよォ!! ママは僕を愛そうとしないまま死んで、パパは僕が必死に頑張ったのに褒めてくれないッ! そればかりか殺そうとしたんだッ!! こんな可哀想な僕なのに、誰も共感して慰めもしない上に愛そうともせず、挙句に嫌うなんて…! 僕を愛さない奴はクズだ! 僕を嫌う奴は生きる価値が無いゴミだ! 僕を好きにならない奴は絶対悪だ! 正義その物である僕こそがみんなに絶対的に愛される存在なんだ!! 消えろカス共ぉーッ!!」
「なんて自分勝手な!」
自分の感情と屁理屈を喚き散らしながら、メンへはマリの封印魔法の鎖を怒りの力で引き千切り、右手からビーム砲を発射した。これにマリは驚き、リュウは余りにも身勝手過ぎるメンへの言い分に驚愕する。
飛んでくるビームにマリは魔法障壁を張って防ぎ、リュウは身を挺してでも、恐ろしいほどに身勝手なメンへを殺させねばならぬと思い、
「この男、ここで殺さねばならん! ウォォォッ!
メンへに側転蹴りを喰らわせ、大男の首をも吹き飛ばすアッパーカットでトドメを刺そうとしたが、究極の怪物の首は飛ばなかった。
「何ぃっ!?」
「邪魔だァァァッ!!」
「ぬわっ!!」
全く効かなかったことに驚愕する中、メンへは怒りの拳をリュウの顔面に打ち込む。その強烈な右拳を打ち込まれたリュウの顔面の骨にヒビが入り、鼻の骨は完全に折れる。強烈なパンチを顔面に受けたリュウは、当然ながら地面に倒れた。
リュウが倒れたことで、次のメンへの標的は自分に正論を叩き付けたマリであった。恐ろしい速さで迫り、彼女が対処するよりも前に蹴りを喰らわせ、殴りの追撃を加える。マリが崩れれば、最後の砦はライデンとなる。
「退けぇ! ビッチがぁ!!」
「がぁぁ…!」
だが、マリは耐え切れず、血反吐を吐きながら吹き飛ばされた。これにキナは動揺する。ライデンも額に汗を浸らせ、焦りを見せた。
「ちっ、もうやられたか! あの嬢ちゃんは何をしてるんだ? やはり俺が腹を括るしか無いな」
リュウに続いてマリも倒されれば、ベアー号に乗る武蔵はあの手しかないと覚悟を決める。それはベアー号による特攻であった。ゲットマシンの特攻なら、キナの決断するには十分の時間は稼げると判断してのことだ。
「この俺が奴に特攻するんだ! お前も腹括れよ、嬢ちゃん!!」
覚悟を決めた武蔵は迷わずメンへにベアー号の機首を向け、特攻を仕掛ける。同時にキナに決断を迫れば、メンへの攻撃を受けながらも操縦桿を強く握り、真っ直ぐと標的を目指す。
「わ、私の為に…!」
武蔵のベアー号が特攻する光景はキナにも見えており、散々罪を犯してここに居る自分が決めるか決めないかの為に、特攻する彼を見た彼女は茫然とする。やがて武蔵のベアー号がメンへに特攻すれば、大爆発を起こし、メンへは大ダメージを受ける。尚、ヘルメットは何故か無事だった。
この武蔵の特攻のおかげでかなりの時間が稼がれ、キナの決意も固まった。生きるために他者から金品を盗み、騙し盗り、奪った。時には人を殺め、寝込みも襲って殺したこともあり、生まれたばかりの我が子を二人も殺めた事もあった。
そんな自分が出来る事はただ一つ、全ての罪を認め、罪を償うこと。死にたくないや死んで地獄へ行きたくないのが本音だが、こんな自分でも守ってくれたマリや武蔵、リュウに対する恩やチャンスをくれたライデンに報いるためでもある。
武蔵の特攻で覚悟を決めたキナはライデンが差し出した小物を取り、両手でそれを強く握った。その瞬間、キナの全身は眩い光で包まれた。
一万字越えなので、切りが良い所で投稿~。
最終話は近日中に上げる予定です。