スーパーロボット大戦 無限戦争 設定集&外伝 作:ダス・ライヒ
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今回の企画にご参加いただき、ありがとうございました。
自己愛の怪物、メンへをゲッター線で討ち滅ぼした武蔵は、回収部隊と一戦交える覚悟の戦闘部隊を率いてマリ等の元へ戻ってきた。
目的は当然、メンへに破壊された四機のゲッターロボの回収である。
奇跡的に無事だったリア、リンチェ、ビッキーは叩き出され、シモーナが寝ている方でただ回収作業を眺めていた。無論、ゲッター軍団の兵士たちの監視の元である。マリとキナ、シモーナ、リュウにライデンもゲッター軍団に監視されていた。
ゲッター軍団が現地に送り込んだ戦闘部隊は、イスラエル軍のメルカバ戦車やAH-64戦闘ヘリと言った地球の現代兵器で構成され、歩兵が持っている火器もFN社のSCARを装備している。
この装備なら機動兵器を擁するワルキューレと戦えば一溜りも無さそうだが、彼らにはゲッター線の加護があるため、例え一個師団が来ようとも、容易く撃退せしめる事だろう。
「急げ! ゲッターロボのネジ一本も残すな! 奴らがもう来ているぞ!!」
武蔵は忘れ物の工事用ヘルメットを取り、それを被ってから回収作業を急かす。これに応じ、ゲッター軍団の回収部隊は破壊されたゲッターロボの残骸の回収を急ぐ。
「貴方、キナちゃんなの? 一体どうやって…?」
「自分の罪と向き合って、反省して、償おうと思ったらこうなった」
監視される中、アルビノ体質の為に日除けのポンチョを被っているリアは、キナが償いの戦士に変身していることに驚き、どうやって変身したかと問えば、彼女はぎこちなくありのまま変身した時のことを伝える。
「あのキナちゃんがこんな強そうな姿に…もう何言って良いのか…」
同じく驚いているリンチェは、役に立ちそうにないキナが頼り甲斐がある正義の戦士になったことに驚き、何を言って良いのか迷う。
「その姿は災厄…じゃなくて救世主って感じかしら?」
「私は、そうは思わないかな…」
ビッキーはいつも思う災厄ではなく、キナの事を救世主その物と表した。これにキナは恥ずかしくなり、両手で顔を抑える。これまで、自分が褒められたことなんて一度も無いのだ。シモーナも驚いており、何を言って良いのか分からず、ただキナを見ている。
そんなキナの変貌ぶりに花を咲かせる彼女らの元に、張三の首を持った武蔵が訪れる。
「おぅおぅ。あの怯えてばかりの嬢ちゃんが、随分と一皮剥けたと言うか、脱皮しちまったようだな。随分とたくましい姿になっちまったじゃねぇか! ハハハッ!」
「あんた、特攻したんじゃ…あぁ、復活ね」
「ご明察よ。まぁ、ここへ来たのは忘れ物を取りに来ただけだがな」
自分の特攻で償いの戦士に変身したキナを一目見て、あの震えてばかりの少女が随分と立派になったと武蔵は彼女の肩を叩く。余り驚いてない様子で、親戚のように原形を留めない程に変貌したキナと接する。
マリからの問いに関しては、復活したと答え、聞いても居ないのに忘れ物を取りに来たと、大事なヘルメットを指差しながら告げる。
本来の目的は、ワルキューレや他の勢力に、ゲッターロボの技術を渡さないためだが。
「回収が済み次第この世界から出て行くつもりだ。地元の連中と事を構える気は無いからな。それとこいつを渡して置くぞ」
それから本来の理由も告げた後、キナに張三の首を渡した。その首を渡されたキナは、利用されたとはいえ、身を挺して守ってくれたので、何処で埋葬するのかと尋ねた。
「何処で埋葬すれば…」
「おっと、そいつはまだ生きている。ゲッターライガーの残骸の中で見付けた。身体を拵えて、引っ付けてやれば元気になるさ」
「サイボーグなのか。こちらで預かろう」
「まぁ、あんたら神様なら大丈夫だ。ところで…」
張三が首だけになったにも関わらず、まだ生きていると武蔵が告げれば、ライデンはその首を預かると申し出た。これに武蔵は安心してライデンに預けた後、ゲッターロボに乗っていたリアやリンチェ、ビッキーの方を見る。
どうやらゲッターロボの特性を直ぐに掴んだ彼女らに、適性を見出してゲッター軍団に勧誘しようと言うのだ。
「お前たち、良いセンスをしているな。ゲッター軍団に入らないか? お前たちが操縦した旧式のゲッターロボよりも、現用装備のゲッターロボは遥かに凄いぞ! それに意義はある! お前たちはゲッターロボを短期間で扱い熟した! つまりゲッター線がお前たちを認め、宇宙に蔓延る悪を一掃する進化の為の聖戦に参加する条件を満たしたと言うことだッ!!」
この武蔵の熱弁染みた勧誘に、三人は互いに顔を合わせ、どうすべきか迷ったが、入らないことにした。
やたら現役のゲッターロボの凄さを強調する為、直ぐに前線送りにされるのでは無いかと思ってのことだ。それにゲッター軍団の戦士として、ゲッター線による無限の進化の為に戦うつもりは無かった。
「あの、断ります。私、戦いたいんじゃなくて冒険がしたいので」
「そうかい。まぁ、死なないようにな」
リンチェは冒険者として、色んな場所で冒険がしたいので、ゲッター軍団に参加して進化の闘争をする気は無いと告げた。リンチェとビッキーも同じ理由で勧誘を断る。
「私のクライアントはヤバいけど、なんかゲッター軍団の方もヤバそうだからやめとくわ」
「随分な好条件に見えるけど、ゲッターに乗ってるときに災厄の比じゃないのを感じたから」
「そうかい、せっかくのチャンスを不意にしちまったな。もう二度とこのチャンスは訪れんぞ。それで良いんだな?」
せっかく適合者を三人も見付けたのに、その三人に断られた事に武蔵は不機嫌になり、それで良いのかともう一度問う。彼女らはゲッター軍団に参加する気は無く、改めて武蔵の誘いを断った。これに武蔵は三人がゲッター軍団に興味が無い事を理解し、リアやリンチェ、ビッキーの勧誘を断念した。
「誘ってくれて悪いけど、進化とか聖戦とか、そういうのに興味ないから」
「右に同じく」
「災厄越えって言う理由で」
「フン、聖戦を断るか。まぁ、無理強いはせんさ」
断った理由は武蔵の言うことに狂気を感じたからだ。武蔵は自分らの戦いを、宇宙に蔓延る悪を一掃する聖戦と表した。つまり侵略や虐殺まで正当化するほど、ゲッター軍団は狂気じみた集団と三名は察してしまったのだ。
「武蔵司令官、ゲッターロボの残骸の回収を完了しました!」
「終わったか。ネジ一本も見逃してないな?」
「はっ、すべて完了です!」
適合者の勧誘に失敗した武蔵の元へ、彼の部下がゲッターロボの残骸の回収作業を終了したと報告に来る。もうこの世界に居る理由が無くなった武蔵が、部下等に撤収を命じる。
「ならばこの世界に残る理由は無いな。では、我々の世界へ帰るとしよう。お前たちとの冒険、楽しかったぜ! もう会うことは無いだろうがな!」
撤収作業を命じれば、マリやリア等に別れの言葉を告げる。ゲッター線の僕である巴武蔵とは、もう二度と会うことは無いだろう。
二度と会うことは無い彼女らに向け、武蔵は共に冒険できたことが楽しかったと返し、部下等を率いてこの世界から立ち去った。何の痕跡も残さず、最初から居なかったように武蔵たちゲッター軍団は消えた。
「ゲッターの者たちは立ち去ったか。我々も行こうか」
武蔵等ゲッター軍団がこの世界より立ち去ったことで、ライデン等も帰る場所へ帰ろうとする。
「そうですね。この者の身体も作らねばなりませんし」
「左様。では、共に行こうか」
リュウもそれに同調し、張三の首を見ながら、彼の身体を作らねばと口にする。これにライデンは頷きつつ、キナに手を差し伸べる。
彼女は償いの戦士となった時点で、神に仕える戦士となったのだ。これからは秩序の為、己の贖罪の為に戦い続ける運命にある。その意味を理解したキナは迷わずライデンの元へ向かう。
「あの、キナちゃんはそれで良いの?」
ライデンの近くへ行こうとした際、マリにそれで良いのかと呼び止められた。これにキナは償いの戦士になる際、もう覚悟を決めており、後悔は無いと返す。
「…私は凄い悪人だし、これくらいしないと、天国へ行けないから。最初に会った時、毛嫌いもせず、優しくしてくれてありがとう。それにみんなも、守ってくれてありがとう」
マリや四人に礼を言ってからキナはリュウと共にライデンも元へ向かい、別れの挨拶を行う。
「みんなに出会わなければ、私は今頃あの路地裏で殺されてたか、餓死してたかと思う。みんなと出会えたから、私は今ここに居て、償いの機会を得れた。とても感謝してるし、これからも忘れない。ありがとう」
「無報酬にも関わらず、見ず知らずのこの少女を守って頂き、感謝する。諸君らが居なければ、この星はゲッターの力に酔って滅ぼされていた事だろう」
「私も君たちの善意に感謝する。これからの冒険に、君たちに幸あらんことを」
最初にマリと出会わなければ、自分は生きていないし、リアやリンチェ、ビッキーにシモーナを始めとした冒険者たちのおかげで生き残れ、償いの機会を得れたことも感謝し、キナは皆に礼の言葉を述べ、ライデンやリュウと共にお辞儀した。
「また何処かで会いましょう。それじゃあ…!」
それから別れの言葉を述べれば、
キナがライデン等と共に秩序を守るための戦いに向かった後、五人もそれぞれの場所へと帰ろうとする。
「さぁて、次の冒険へ行きますか」
「クライアントとか来てないよね? 冒険者ギルドに戻らないと…」
「私も、次の冒険へ行こうかしら」
「ライフル探さないと」
リアこと本名テック・リ・ア・シックザールは次の冒険場所へ向かうと口にした。これに続き、リンチェは不安になりながらも、冒険者ギルドへ戻ると言ってリアと共に去って行った。
ビッキー・イザヤンもリアと同じようなことを言って何処かへ去って行く。シモーナ・ハユハは無くしたライフルを探すため、あのダンジョンへと戻っていく。
「さぁ、私も帰ろう」
一人残されたマリ・ヴァセレートは、自分の帰る場所へと帰ろうとしたが、狙ってたかのように、セゴー・アラントを始めとする現地組冒険者等が彼女を包囲した。
「クエスト失敗だが、お前を差し出せば、採算が取れるぜ!」
何を思ってか、仲間たちを使ってマリを包囲したセゴーは、彼女を差し出せばクエスト失敗の採算が取れると言い出す。
どうやらこの世界の冒険者ギルドでは、クエスト失敗は死を意味するらしい。だが、拉致した女性か子供を差し出せば、死を免れることは出来るそうで、四人が立ち去った後、彼女を拉致しにノコノコと現れたようだ。
「凄い上玉だ…! 味見と行きたいが、このままで出せば採算どころかお釣りが来るぜ!」
なんとも目の付け所が悪過ぎる。あのマリの戦いぶりを見て、彼女が自分らで抑えられるとでも思ったのだろうか?
そんなセゴー等を手っ取り早く皆殺しにしようと、マリは時間を止めようとしたが、ここでスミス等が一個師団を率いてやって来た。遅れて到着したスミス等の隊は、直ちにマリを包囲しているセゴーたちを攻撃した。
「お、おい! ワルキューレだ!!」
「な、なんだと!? さっき帰ったんじゃないのか!?」
仲間の一人が航空魔導士の攻撃で人体を切り裂かれる中、セゴー等が慌てふためく。どうやら武蔵が率いるゲッター軍団を、ワルキューレの部隊と勘違いしていたらしい。
直ぐに逃げ出すセゴー等であったが、一人、二人と最初に到着した航空魔導士のライフルとAH-64アパッチ戦闘ヘリの機関砲で引き裂かれていく。マリも巻き込んでいるようだが、彼女は魔法障壁を自分の周りだけに張り、攻撃を全て防いでいた。
「クソっ! クソったれェ!! こんな依頼受けるんじゃなかった!!」
やがて現地組冒険者はセゴー一人となる。最後の一人となったセゴーは、バンカーの探索依頼を受けるんじゃなかったと後悔したが、遅れてやって来た中型多目的ヘリコプターであるUH-60ブラックホークの兵員室に居るスミスが持つSG550突撃銃で頭部を狙撃された。
頭部を狙撃されたセゴーの頭部の上半分は無くなり、舌だけを残して胴体は地面に倒れ込んだ。邪魔者を全て排除したスミス等は広い場所へと着陸し、マリの方へ向かう。率いている師団は周辺に展開し、バンカー周辺に防衛線を構築する。
「お前たちはバンカーを捜索しろ! なにかの手がかりでも見つけろ! さて、任務失敗のようだな」
部下等に指示した後、スミスは労いの言葉も無しに任務の失敗を責めた。これにマリは無視して、スミスが乗って来たヘリに乗り込もうとする。
「フン、自分の尻拭いも出来ん女め」
何も言わず、ただ帰ろうとするマリの背中を嫌悪な目で見つつ、スミスは現場へと向かう。
ライフルを探しにダンジョンへ降りようとしていたシモーナはスミスが寄越した探索部隊に拘束され、地面に座らされていた。彼女はイヴ人であったが、要注意な武装勢力である帝国再建委員会の者では無かったので、殺されずに済んだ。
師団より借りた余剰戦力である一個歩兵連隊規模の人員と工兵大隊でバンカー周辺やダンジョンを捜索しており、直ぐに瓦礫と残骸の撤去は済み、周辺に転がる死体の回収作業に移っていた。
「この世界では、百合帝国の崩壊は五十年か」
「はっ。この世界、我々の並行世界とは違って時間の流れが四倍以上も遅いようで。ですが、今は我々と同じ時間軸となっているようです」
「ここに眠っているのがぶっ壊れた所為で、戻ったと言うわけか。これで行方不明者の戦死が確定したって事だ」
この世界では時間の流れが遅かったらしいが、メンへが吸収した装置が壊されたことで、時間軸は他の世界と同じになったとスミスは部下より報告を受けた。これにスミスは何の興味も示さず、ただ旧百合帝国軍の行方不明者となった将兵の戦死が確定したと、大量の認識票が入った箱に手を突っ込み、ある程度を取ってから口にする。
彼らの目の前では、装備を外された数千人もの百合帝国軍将兵等の死体が山のように積まれていた。軍隊手帳や認識票、その他所持品も含めて全て回収されている。後は戦闘で出来たクレーターの中に放り込み、埋めるだけだ。大帝国の将兵の死体も同じように装備や所持品を全て回収され、山のように積まれていた。
「五十年前の衣服を着ていない死体もあります」
「手駒だな。そいつ等からも所持品や装備品を取って埋めて置け」
無論、回収された死体の中には各勢力が送り込んだ冒険者や刺客、共産主義者等の死体もあった。これを部下より報告されたスミスは、手駒だと気付いて五十年前の戦死者たち同様に、山積みにしてから土に埋めるように指示する。各勢力が回収に寄越した部隊の戦死者等も同様に残骸より引きずり出され、山積みにされた。
名前が判明している死亡した冒険者並び刺客、共産主義者らは以下の通り。
キルノートン
ジェディ・フレイクス
トバルカイン
フェロン
メトル・ガラセード
以下の者たちは他の死者や先ほど殺されたセゴー等と共に装備品や所持品を取られ、山積みにされた。
「ある程度は回収しました。ですが、資料の損傷が激しく、解読するにはそれなりの時間が掛かるかと」
「上出来だな。よし、後は陸軍の奴らに任せ、我々は撤収だ!」
それから数時間、ダンジョンの奥にある資料を回収できたところで、スミス等は後の処分を陸軍に任せて撤収した。
拘束されていたシモーナは、奥で見つかった自分の得物である九九式短小銃を渡され、拘束を解かれて解放され、自分の世界へと帰って行った。
「死体の処分を! ここを前哨基地とする!」
残された陸軍の師団はここに前哨基地を作るため、山積みにされた死体の掘った壕やクレーターに向け、ブルドーザーで落として行く。あの名前が分かっている五名の死体も、大量の死体と共に壕へ落とされ、そして埋められた。彼らの持っていた所持品や装備品と言うか遺品は軍のトラックに積まれ、後方へと送られていく。
こうして、忘れられたバンカーで起きた物語は、大勢の死者と破壊をもたらして幕を下ろした。
さて、次は無限戦争だ。