スーパーロボット大戦 無限戦争 設定集&外伝 作:ダス・ライヒ
グールベレーが白い魔女が召喚した英霊とディバイン・ドゥアーズの者たちとの戦いで全滅した頃、早乙女アルトのバルキリーであるYF-29ディランダルは、メガストームの令呪でヘルスクリームとマックスBBと激しい空戦を繰り広げていた。
「お前ら、なんで俺たちを攻撃する!?」
いきなり攻撃してきた戦闘機にトランスフォームしているヘルスクリームに対し、アルトは攻撃を避けつつ、ファイター形態のYF-29の旋回ビーム砲で反撃しながら問う。
「マスターがメガストームの奴に変わっちゃってね。マックスBBも右に同じよ」
「マックスBB、現在のマスターはメガストーム」
その問いに、ヘルスクリームはマックスBBと共にレーザーやミサイルで攻撃しながら答える。返答の雨あられの攻撃にアルトのYF-29は高速のジグザグ機動で躱し、ガウォーク形態に変形して右手に持ったビームガンポッドの掃射で反撃した。
「マスターが変わったからって、それで俺を殺そうとするのか!?」
「あんたのそのバルキリーてやつが元から気に食わないからよ! それに、あんたのその甘ちゃんぶりも気に入らなかったし。それを含めて壊せるなんて、あのメガストームの下についても良いわ」
「嫉妬で俺とディランダルを落とすのか!?」
「嫉妬ですって? あんたみたいな肉ケラに興味は無いわ! そのディランダルってのが、一番気に入らないのよ! BB,続きなさい!」
「BB、ラジャー! ラジャー!」
反撃しながら嫉妬なのかと問うてくるクルトに対し、ヘルスクリームはYF-29ディランダルが一番気に入らないから破壊すると答え、マックスBBとの連携攻撃を仕掛けてくる。
そのYF-29のフォルムはヘルスクリームが嫉むほど美しく、ファイターやガウォーク形態でも魅了するほどだ。
このYF-29を一目見たヘルスクリームはそれを嫉み、背後から撃ってやろうかと何度も思っていたが、味方であるために撃てなかった。
が、同じ令呪を持つマスター、それもトランスフォーマーであるメガストームに誘われたヘルスクリームは、YF-29を破壊できるならと承諾し、マックスBBと共に彼の英霊となる。
「うわぁぁぁっ! この攻撃は、激し過ぎる! 避け切れねぇ!!」
その阿吽の呼吸の如きヘルスクリームとマックスBBの連携攻撃は苛烈であり、アルトの操縦技術やYF-29の場所をえばらない高い機動力でも躱し切れず、被弾してしまった。
「お前の嫉妬で、殺されて、たまるかぁーっ!」
火力と機動力のみならず、防御力を向上させるスーパーパックを装備していたおかげか、撃墜は免れた。爆発寸前の増加装甲を直ぐにパージし、機体をバトロイド形態に変形させながら、ビームガンポッドやミサイルを発射しながら反撃する。
超可変戦闘機の名の如く、アルトの前の搭乗機であるVF-25メサイアや後継機のVF-31カイロスとは比較にならない弾幕であるが、TFであるヘルスクリームは、ビームの弾幕を躱しつつ、ミサイルを迎撃しながら接近してくる。
「あれを避け切っただと…!?」
「馬鹿ね、肉ケラの作った戦闘機と私たちトランスフォーマーは全く違うのよ」
渾身の弾幕を躱し切り、自分の目の前まで迫ったヘルスクリームに、アルトは驚愕する。彼のYF-29の目前に迫るヘルスクリームは、自分らTFとバルキリーは全く違うことを告げながら、手刀で貫こうとしていた。
が、真上から来たビーム攻撃にヘルスクリームが気付き、済んでのところで下がって躱し切る。
「誰よ!? 私の邪魔をするなんて!」
『YF-29に乗ってながら、その体たらくかよ! 先輩!』
「VF-31カイロスプラス! そのカラーは、ハヤテ・インメルマンか!」
アルトの窮地を救ったのは、VF-31AⅩカイロスプラスを駆るハヤテ・インメルマンであった。
ハヤテ機だとアルトが気付いたのは、そのパーソナルカラーと黒のラインマーキング、メッサー・イーレフェルトの死神のパーソナルマークを模したVF-31Jの横顔だ。それにハヤテの独特の飛び方もある。
「まぁ、VF-25のパーツを使ってるから仕方ないか!」
『そっちも、カイロスとジークフリードの組み合わせだろ!』
アルトのYF-29の傍に来たハヤテのカイロスプラスは、両腕のビームガンポッドとミサイルを掃射し、ヘルスクリームとマックスBBを追い払う。
その際にハヤテは、アルトのYF-29がVF-25メサイアのパーツを使っているから、本来の仕様ではないと冗談ながら言えば、相手もカイロスプラスが、カイロスとジークフリードの混成パーツの改造バルキリーであると指摘する。
「まぁ、そんなことは置いておき」
『あぁ、まずはこいつ等を!』
「太ってる方は俺が!」
『ヘルスクリームは俺が倒す!』
二人は言い争いをしている場合ではないと分かっており、それぞれが対処する敵を決めた。
ハヤテは乗機のカイロスプラスの重武装を活かし、マックスBBの対処をすると伝えれば、アルトはYF-29の機動力を活かし、高速戦闘を得意とするヘルスクリームの対処に回る。
「ふざけちゃって…! 幾ら肉ケラが重武装で来たところで、私たちトランスフォーマーには勝てないのよ!」
「マックスBB! 肉ケラは、敵じゃない!」
ハヤテの増援を得たところで、攻勢に出ようとするアルトに苛立ったヘルスクリームは、マックスBBと共に二機の高性能バルキリーを迎撃した。
一方、仮面ライダーティーガーの変身者であるベンヤミン・デニス・バルテンと対峙する白い魔女ことマリ・ヴァセレートは、苦戦を強いられていた。
「俺に肘打ちや膝蹴りは効かんぞ!」
白い魔女は物理法則を活かした肘や膝による打撃の格闘術で挑むが、ティーガーの変身者であるベンヤミンは様々な軍隊格闘術を身に着けており、物理法則を応用した格闘術は通じなかった。
肘の打撃を行えば流されて顔面にチョップを叩き込まれ、膝蹴りをすればそれも流されて強烈なキックとパンチを叩き込まれて地面に叩き付けられる。
「ちっ、無駄に抵抗しおって!」
地面に叩き付けた白い魔女に、ティーガーはトドメの踏み付けを行おうとしたが、魔法攻撃を避けるために後退った。これにティーガーは苛立ちながらも、ティーガーガンを即座に抜いて銃撃してくる。
この銃撃に白い魔女は魔法障壁で防ぎつつ魔法攻撃で反撃するも、ティーガーの攻撃で強い魔法攻撃は行えず、膠着状態の撃ち合いとなる。
「所詮は魔法以外に取り柄が無い仮面ライダー! ならば、この大剣で一気に決めてくれる!」
撃ち合いでは膠着状態となったが、ティーガーは白い魔女が魔法主体の仮面ライダーであると見抜いており、リーチの長い大剣を有効と判断し、西洋剣のロングソードのような大剣を抜いて接近してくる。
これに白い魔女は魔法で攻撃しようとするも、片手でティーガーガンの射撃で妨害して、大剣の剣先を突き立ててくる。この槍のような突きに、白い魔女は躱しつつ、同じく得物である大杖の打撃で対処した。
「馬鹿め! 杖で大剣と戦おうなどと!」
大杖は打撃による攻撃は可能だが、相手の大剣で打ち合いには向いていない。直ぐに打ち負け、大剣の斬撃を胴体に叩き込まれて吹き飛ばされる。
ティーガーの変身者であるベンヤミンは、軍隊格闘術や射撃、兵器技能のみならず、大剣の剣術にも長けていた。斬りや突きのみならず、ボールのように丸い鍔による打撃を行ってくる。
これに白い魔女は反撃できず、一方的にティーガーに追い込まれていた。
「お前、俺を紛い物とアイアンメイデンの強姦魔と同じと思っているな?」
「はぁ…?」
勝利でも確信したのか、ティーガーは大剣による斬撃と打撃で倒れ込んでいる白い魔女に向け、自分をアナザーティーガーや仮面ライダーアイアンメイデンの変身者とと同類と思っているのかと聞いてくる。
この問いに、白い魔女は反撃の魔法を使おうとしたが、右手をティーガーガンに撃たれて防がれた。一見隙だらけに見えたが、警戒はしていたらしく、左手に持つガンを常に撃てるように引き金に指を掛けていた。その狙いも、ずっと白い魔女に向いている。
「俺は先の当て馬や捨て駒にしか使えん二人とは違い、選ばれた者なのだ」
「それ、自慢?」
「そこまで追い込まれても尚、軽口を叩けるとは」
自分の攻撃を防いだ直後、自分は選ばれし存在であると聞いてもいないのに宣い始めた。これを自慢だと問う白い魔女に、ティーガーはもう一度銃を撃ち込み、倒れ込んだ後に続ける。
「同じ国や人種と言うだけで、何の取り柄も無い奴が何もしてない癖して、まるで自分がやったかの如く自慢する。やれと言えば、失敗するなどとほざき、逃げようとする。そういう奴らを見ていると、俺は無性に腹が立つタイプでな。殴るか殺したくなってくる。いじめられて排斥されるのも納得だな。母親も生んだことを後悔してるだろう」
「何の話を…?」
「お前も苛立つだろ? 匿名性を盾に、好き放題する奴が。そいつ等は注意しようが、訴えようが誹謗中傷や政治主張を止めやしない。やるのは、パソコンを取り上げ、直接身体で分からせることだ」
気分が高揚しているのか、ティーガーは自分の考えを宣い始める。白い魔女はそれをただ聞いているフリをし、逆転の策を考えていた。
その考えを見透かしてか、怒りで思考を乱そうと、ティーガーは侮辱的な言葉を告げた。
「まぁ、お前に言っても分からんか? 俺をここまで苛立たせたお前には敬意を表してやろう。だが、所詮お前は女なのだ。女は男には勝てん。卑劣な弱い奴や力だけの莫迦には技術や知性に勝てても、俺のような技術も体力に知力も備わっているプロの軍人には決して敵わんのだ。即ち、貴様は俺に勝てる通りは無いと言う事だ」
お前は俺に勝てない。
そう敬意を表すると言いながらも、侮辱的な態度で告げるティーガーに、白い魔女は怒りを覚えたが、これが自分を自滅させる挑発であると分かり、怒りを滲ませながらも思考を続ける。
が、ティーガーの言う通り、今の白い魔女ことマリに勝てる手段は無い。
誇り高き軍人と言いながらも、自分の思い通りに行かなければ苛立ち、思い込みが激しくて味方にさえ攻撃するほどだが、実力は自慢する通り、技術も知性もプロの軍人と名乗るだけあって本物であった。事前に対策を取ってから行動を取る辺り、慎重なタイプであることが分かる。
唯一白い魔女が勝っているのは魔法のみであるが、相手はそれを分析し、封じてくる。まさに八方塞がりだ。
「ベルトを渡せば、命だけは見逃してやろう」
ティーガーは勝利を目前にして慢心しきっているのか、ライダーベルトを渡せば見逃してやると告げる。最後まで任務を全うするとまで宣っていたが、どうやら自分の上司であるバルトルト・フォン・ファルツに、白い魔女の変身ベルトを献上するか、その力を使って下克上を挑むつもりらしい。ベルトを渡せと言ったことで、白い魔女は二つの選択肢に気付く。
これが逆転の機会ではないかと思い、そこを突こうとした。
「渡した後、そのファルツって奴に渡すか、変身して下克上するの?」
「貴様、ふざけているのか?」
「その反応、下克上する気?」
「っ!?」
自分が予想した二択を問えば、図星だったのか、少し動揺していた。倒すのに時間が掛かり過ぎた挙句、与えられた戦力を壊滅させているので、死を免れるため、バルトルトを殺し、ファルツ師団を乗っ取る気なのかと聞いてみると、ティーガーの変身者であるベンヤミンはなぜ分かったと言うような反応を見せた。下克上が正解のようだ。
「当たりのようね」
「それが分かったところで、貴様が俺に勝つことは不可能だ! 死ね!!」
上官に対する下克上を見抜かれたティーガーは口封じのため、白い魔女を攻撃し始めた。慌てた攻撃なので、狙いはやや甘く、反撃の隙が見えた。そのチャンスを見逃さず、白い魔女はまだ使ったことが無い騎士のような仮面ライダーの顔が刻まれた指輪を取り、ベルトに翳して使用した。
『チェンジ、ナウ!』
「しまった!?」
その指輪の魔法を使えば、白い魔女の全身が眩い光に包まれた。反撃の機会を与えてしまったティーガーは眩い光に阻まれ、白い魔女の強化フォームへの変化を許してしまった。
「ぬぁぁぁっ!!」
グールズ・ブレアㇾオスとなるべく、アビス・ランバルツァーは過酷な試練で命を落とした無数の死体を自身に集めた。
敗者は強者の血の一部となって生き続ける。
そのアビスの新たな概念で、数百名の犠牲者たちの遺体はこうしてグールズ・ブレアㇾオスとなっていくのだ。
「まさか…!? グールベレーの死体は爆破したはず…!」
無数の死体が合体し、人の形となっていく中、スパルタン・ゾルダはグールベレーの死体は殆ど爆破して出来ないはずだと口にする。
ゾルダがグールベレーの死体を爆破したのは、アビスがグールズ・ブレアㇾオスとなるのを阻止するためであったが、まさか試験の犠牲者たちの死体を保管し、合体に使用するとは思わなかった。
が、形成されていくグールズ・ブレアㇾオスの姿は、エンデバーランドの戦いで見せた破壊衝動だけの醜い怪物の姿ではなく、完全な、それも屈強な肉体を持つヒーローの如く戦士の姿であった。
「違う…! 明らかに、エンデバーランドの姿じゃ…!?」
そのグールズ・ブレアㇾオスの姿を見たゾルダは、激しく動揺する。意思の無い破壊衝動だけの醜い怪物の姿ではなく、何処かの巨大なヒーローのような戦士の姿だ。が、あのアビスなので、戦闘力は通常時よりも段違いだろう。
「フン、ウルトラマンみたいになったところで! 怪物如きが仮面ライダーに、勝てるわけがないんだよ!」
仮面ライダーネクストカイザはその強大な力故に慢心しきっており、グールズ・ブレアㇾオスすら容易く屠れると思い、単身で挑もうとしていた。
「お止しなさい! 敵は未知数なのよ!!」
「待つんだ! こいつは占いでもどうにかなる…!?」
単身でグールズ・ブレアㇾオスに挑むネクストカイザを止めようとする仮面ライダーブラーボとライアであったが、目立つくらい巨大すぎるあの死体融合巨人の姿が突如となく消えた。
「居ない!? 何処へ…!?」
見失ったことに一同が動揺する中、グールズ・ブレアㇾオスは既に仮面ライダーたちの背後に回っていた。
「うし…」
背後に回ったことに気付いた頃には、グールズ・ブレアㇾオスの攻撃は始まっており、ブラーボとライアが巨大な蹴りで炸裂していた。
「ノワァァァッ!!」
「たったの一撃で、このワタクシがァァァ!?」
「か、仮面ライダーが一撃で!?」
二人の仮面ライダーが一撃で倒されたことに、ゾルダは激しく動揺する。そのグールズ・ブレアㇾオスは、エンデバーランドの戦いの破壊衝動だけの醜い怪物では無かった。暴走するだけで本能のままに暴れ回る怪物そのものであったが、今のブレアㇾオスはアビスの意思があり、攻撃も正確、速度も段違いだ。
背後へ瞬間移動の如く現れたブレアㇾオスの蹴りの一撃で、ライアとブラーボが倒されてしまった。特にブラーボは信じられず、叫びながらライアと共に消滅する。
「仮面ライダーを一撃で…!? これが、究極体の力か…!」
グールズ・ブレアㇾオスとなったアビスも、この力に驚いていた。仮面ライダーを一撃で倒せ、そればかりか巨体に似合わず、光の如く速さで移動もできる。
「これならスパルタンライダーなど、物の数では無い! シェードの始祖レベルの連中もだ! 仮面ライダーとで一撃で倒して見せた! これなら、ハンの拳が見えるぞ!」
その力を実感したアビスは、総力を挙げてパーツが欠けて不完全だったグールズ・ブレアㇾオスを倒したスパルタンシリーズのマルコシアス隊、シェードの改造人間、仮面ライダーが物の数では無いと口にし、羅将ハンの目に捉えられない拳も見えると豪語する。
「強化フォームを持たない仮面ライダーを二体倒したくらいで、調子に乗るなよ木偶の坊!!」
そんな自分の力に自惚れるグールズ・ブレアㇾオスに、仮面ライダーネクストカイザはエクシードチャージのアプリを押し込み、ゴルデントスマッシュを食らわせようとする。マーカーがブレアㇾオスに射出される中、ネクストカイザは空中高く飛翔し、巨大な怪人に向けて両足蹴りによるライダーキックを食らわせる。
「なにッ!?」
「フフフ。今の貴様の動き、手に取るように分かるぞ」
「うわぁぁぁっ!!」
その渾身の必殺技はグールズ・ブレアㇾオスに容易く受け止められ、強い拳で叩き落された。殴られて地面に叩き込まれたネクストカイザの変身は解け、変身者である草加雅人の姿に戻る。
「馬鹿な…!? この、この俺が…!?」
瀕死の状態である草加に対し、グールズ・ブレアㇾオスは容赦なく人差し指を向け、その指を伸ばして彼の背中を貫いた。身体を貫かれた草加は、死亡したのか消滅した。
「あれほど強大な力を持つ仮面ライダーを、こうもあっさりと倒せてしまうとはな。シェードの改造技術と比べ物にならんな、この世界は」
指を元の長さに戻したグールズ・ブレアㇾオスは、強化フォームの仮面ライダーですら容易く屠れる力に、祖国を裏切って下ったシェードの改造技術より、この世界の方が優れてるとさえ口にした。
「か、勝てるのか…!?」
余りにも、予想を遥かに上回る力を持つグールズ・ブレアㇾオスに、ゾルダは絶望した。
強くし過ぎたかな…?