スーパーロボット大戦 無限戦争 設定集&外伝 作:ダス・ライヒ
ウィルティネクスの支配から惑星トーニを解放するために現地の抵抗勢力が組織したレジスタンス。
トーニを解放するために戦うレジスタンスなのだが、その実態は連邦軍の傀儡であり、リーダーは連邦軍が現地に送り込んだ工作員。
構成員は現政権が行っているディスティニープランから爪弾きにされるか淘汰された前政権の者達が多く、トーニ出身者は無理やり徴収された者しか居ない。
そのためか、ウィルティネクスからはテロ組織と認定されている。
友軍の検問所を強引に通った捕虜と難民を満載したウィルティネクス軍の車列は、総督府がある瓦礫の山と化したトーニの首都の中を通っていた。
トーニの首都が瓦礫の山と化しているのは、侵略軍である連邦軍が味方とも言えるレジスタンスが居るにも関わらず、無差別空爆を行ったからである。
「クソっ、瓦礫が多いな。おかげで迂回せにゃあならん。連邦め、なんでこんなことを?」
荷台の隅の件の少女であるルリ・カポディストリアスが乗っているトラックの運転席にて、運転手が悪態を付いて連邦軍がなぜ無差別空爆を行ったのかと助手席に座る同僚に聞いていた。
「んなもん、俺が知るかよ。連邦にでも聞け」
「聞いて答えてくれるってか? 俺が馬鹿だったよ」
助手席の同僚は空爆の張本人である連邦軍に聞けと苛立ちながら答えれば、運転手は聞いた自分が馬鹿だったと頭を抱え、前を走る同種のトラックの後を必死に追おうとハンドルを動かすのに集中した。
揺れる荷台の中でルリは外の様子を見ようとしたが、他に乗っている難民たちから腕を掴まれ、元の位置に座らされる。ルリよりも幼い子供らも同様であり、親や保護者と言った者たちに抑えられていた。
おそらく、他の捕虜や難民たちを乗せているトラックの荷台でも行われている事だろう。
難民の方はマシだが、捕虜を乗せているトラックでは
一体、総督府の近くに隣接されている収容所に辿り着くまで、どれほどの数の捕虜が残っている事だろう。
「コンボイは予定通り目標へ進んでいる。航空機の存在は無い。道を塞いで誘導しろ」
そんな瓦礫の山と化した都市を難民と捕虜を乗せて進む車列を狙おうとする一団があった。
車列の両側面に展開するバイクに跨ったマス・ライダーや先頭を走る小型ウォーカーに見えないように瓦礫に隠れて監視している。
監視している男は目立たない服装であり、銃などの武器は一切所持していなかった。小型無線機で瓦礫で塞がった道を避けながら進んでいる車列を、確実に目標地点に向かうように指示を出し、その場から離れる。
この指示が届いていたのか、怪しまれないように武器を所持していない者達は無線機を持つ人物の指示に従い、ウィルティネクス軍の車列が確実に目的地に向かうように近道や通れそうな道を瓦礫で塞いでいた。
「どうなってんだ? 前の偵察報告では瓦礫は無かったが?」
「偵察ドローンを飛ばすか?」
「一応、飛ばしておいた方が良さそうだな」
車列の先頭を走る小型ウォーカーに跨る二人のマス・ライダーは、その一団に誘導されていると感づき始めていた。まだ確証していなかったが、偵察用ドローンを飛ばした方が良いと思い、スイッチを押してウォーカーに搭載されている小型ドローンを展開した。
ウォーカーから飛ばしたドローンが映し出す映像は、マス・ライダーのヘルメットと中継しているようで、左手の端末で操作すればドローンが映している映像を見ることが出来る。
それを見て確認しようとしていたが、小型ウォーカーを駆るマス・ライダーは移動しながら行っており、もう一団が誘導している場所へと辿り着いていることを知らなかった。
「来たぞ。先頭のウォーカーに乗った奴からやれ」
空爆で廃墟と化したビルに身を隠し、レンズ反射防止の塗料を塗り込んだ双眼鏡を覗く観測手は、大型のライフルを構える狙撃手に小型ウォーカーに跨るマス・ライダーを狙撃するように命じた。
それに応じ、大型ライフルを構えてスコープを覗く狙撃手は照準が合い次第、引き金に掛けている指を引いて標的を撃った。
「っ!? 敵襲だ!!」
飛ばしているドローンの映像を確認しているもう一方のマス・ライダーが胸を撃たれ、ウォーカーから転げ落ちた。大口径弾を使う大型ライフルを選んだのは、マス・ライダーのアーマーを貫く必要性があったからだ。
それを見たもう一人は直ぐにウォーカーの機銃を乱射し、狙撃手を倒そうとする。慌てているのか見当違いな場所を撃っており、二人組は落ち着いて直ぐに二発目を発射してウォーカーに跨ったマス・ライダーを狙撃する。
ウォーカーのマス・ライダーが倒れたのと同時に待ち伏せしていた一団は身を隠している場所から一斉に姿を見せ、持っている銃火器で車列に向かって一斉に撃ち始める。
統率の取れた軍隊らしい動きを見せているが、何名かが遅れており、完全な物ではない。どうやら、軍属ではない者が何名か含まれている様だ。
「敵襲だ! 直ちに迎撃しろ!!」
ウィルティネクス軍の将兵らは銃を持って両側面から攻撃してくる襲撃者等に撃ち返し、バイクに跨っていたマス・ライダーは直ぐに降り、背中に掛けてあるビームガンを取って撃ち返す。
「ドローン、展開!」
銃撃戦が始まる中、指揮車に乗る指揮官は戦闘型ドローンの展開を命じる。これに応じたオペレーターは起動ボタンを押し、指揮車を含める装甲車から続々と下部に機銃を備えた戦闘型ドローンを展開する。
上空に展開されたドローンの数は多いが、搭載量を重視してか小型であり、搭載している機銃も使用するのが拳銃弾であるために火力は低いが、生身の相手ならば十分である。
だが、対人特化の分に脆く、襲撃者等の機関銃班に捕捉され、機銃掃射で一掃されるばかりだ。
「伏せろ! 伏せろぉ!!」
襲撃者等の銃撃はトラックの荷台に乗る捕虜や難民らを巻き込み、何人かは流れ弾で倒れた。生き延びた者達は伏せるが、襲撃者等はウィルティネクス軍の排除に夢中になっているのか、不幸な巻き添えが発生している。
ルリが乗る難民を乗せているトラックにも流れ弾が来ており、流れ弾で何人も倒れていた。一方でルリは両耳を塞ぎ、銃撃戦が終わるまで震えていた。
「気を付けろ! 対物ライフルをあるぞ!」
高い火力を持つビームガンで次々と襲撃者等を撃ち殺していくマス・ライダーであるが、ウィーカー組を排除した大型ライフルの存在を知ってか、身を屈めるように指示を出しながら応戦する。
そのマス・ライダーに襲撃者等も銃撃を加えている様だが、身に着けているアーマーは大口径のライフル弾でも防いでしまうほど堅牢であり、ビームガンで頭を吹き飛ばされた。
「このままでは守り切れん! 本部、本部応答せよ!」
車列の戦力だけでは守り切れないと判断してか、指揮車に乗る指揮官は無線機の受話器を取り、増援を要請する。
これを襲撃者等は予期していたのか、
放たれたロケット弾は見事に指揮車に命中。乗っている指揮官を含める者たちは即死し、車列の指揮能力は低下する。
「指揮車がやられた! 本部に増援は!?」
「要請はしたが、テロリスト共の足止めを食らっている! 間に合いそうにない!」
「クソっ、このままではジリ貧だ! 撤退するしかない!」
「中尉殿! 撤退しましょう! 増援は間に合いません!」
指揮能力を失ったことで、車列部隊の戦闘力は低下していた。
増援の要請はしたが、先の襲撃者等の別動隊なのか、増援部隊は足止めを受けているらしく、自分らが生きている間に間に合いそうにない。このままでは皆殺しにされると判断してか、まだ残っている将校に撤退を進言する。
「増援が間に合わない? 捕虜と難民はどうする?」
「将校だけでも連れて行けば、十分かと! 難民の連れての撤退など、こちらの損害が増えるばかりです!」
「よし、将校だけ連れて行け! 他は捨て置け! 難民に関しては言い訳が付く!」
将校もこの状況が不利なのを理解してか、ユナイテッド軍の捕虜と難民をどうするのかと尋ねた。これに隣の副官は将校だけでも連れて行けば良いと返答すれば、それに応じて敵軍の将校のみを連れて撤退するように指示を出す。
車列の将兵らは難民たちを疎ましく思っており、難民を連れて撤退しようものならかなり被害が出ることは確実だ。押し付けられた難民を捨てるチャンスと思い、将校はそれを実行したのだ。
「正規軍でもない反乱分子如きに撤退だと? フン、俺が逆に皆殺しにしてやるぜ!」
殿を務めるマス・ライダー等にも撤退命令が出ていたが、ディスティニープランによって選ばれたことによる選民思考や戦闘でかなり興奮している所為か、一人が命令を無視して追撃を行う一団に突っ込んでいった。
仲間の一人が呼び止めるも、右手にビームソードと左手に片手で操作できる取り回しの良いサブマシンガンを持って突撃するマス・ライダーには聞こえておらず、暴走状態となって敵の殺戮に夢中になっていた。
「こんな奴ら相手に逃げるなんて、マス・ライダーの恥だぜ! オラオラ!!」
右手のビームソードで次々と敵を惨殺し、銃撃を加えようとする一団をサブマシンガンの掃射で一掃するマス・ライダーは襲撃者の一団を完全に侮っていた。
そんな暴走状態のマス・ライダーに襲撃者の一団の注意を引いているおかげか、追撃してくる戦力が少なく、車列の残存戦力の撤退は十分に進行している。
「あのスーツを敵の手に渡すわけには!」
「放っておけ! それに機密保持システムが搭載されている。我々も急いで撤退だ!」
「了解…!」
暴走状態のマス・ライダーを助けようとする同僚であるが、上官に言われてか、渋々従って自分の愛車であるバイクに跨り、エンジンを掛けて撤退する車列に加わった。
「お、おい! 置いてかないでくれ!」
難民らは自分らを見捨てて逃げるウィルティネクス軍を呼び止めるが、周りが見えずに暴走しているマス・ライダーの戦闘に巻き込まれ、何名かが命を落としていた。
「お、俺は選ばれたディスティニープランに人間だ…! こんな連中に負けるはずが…!」
選ばれた優越感と圧倒的なスーツの性能で大多数の襲撃者等を惨殺したマス・ライダーであるが、多勢に無勢なのか、全方位から何発もライフル弾を撃ち込まれ、その一発が隙間に当たったのか、瀕死の状態となっていた。どうにかサブマシンガンを再装填し、再び引き金を引いたが、更に何発も撃ち込まれて倒れる。
「畜生…! 俺が、俺がもう少し強ければ…!」
アーマーも全方位からの銃撃には耐えられないのか、ひび割れて弾くはずの小口径ライフル弾を通していた。肉体が限界を迎えていることを悟り、そのマス・ライダーは自爆装置を起動させようとしたが、再び銃撃を受けて完全に事切れた。
「何人死んだ?」
「六十人ほどが犠牲に…!」
「クソっ! これもあのルサンチマンが空爆なんてするからだ!」
眼帯を付けた襲撃団のリーダーが犠牲者の数を問えば、部下は六十名ほどが犠牲になったと答える。これにリーダーは苛立ち、都市部への無差別空爆を行った連邦軍の将軍に文句を言う。
リーダーを含め襲撃団の幹部クラスは元軍人か現役の軍人で固められていた。あの車列への襲撃は彼らの指揮による物である。だが、無差別空爆で都市部が瓦礫の山同然の廃墟と化したため、作戦の修正を余儀なくされた。臨機応変に修正を行ったが、予定外の消耗を強いられた。
襲撃団の名はトーニ解放戦線。
ウィルティネクスの支配からトーニを解放するために各地の抵抗勢力や前政権の残党らが連邦軍の支援を受けて組織したレジスタンスだ。
レジスタンスと聞こえは良いが、その実態は連邦の傀儡であり、現地のトーニの人々はディスティニープランを国策とするハイバル政権を支持し、トーニ解放戦線をレジスタンスの名を騙るテロ組織と罵倒していた。
「将校は連れ去られております。残りはシェルショックか難民ばかりで…!」
「全員、処刑しますか?」
「馬鹿者、弾薬の無駄だ。イカレタ連中は放置し、難民共は全員、地面に伏せさせろ! こちらの拠点を悟られる訳にはいかん!」
「はっ!」
将校だけを連れ去られたユナイテッド軍の捕虜や難民に対する処遇を問われたリーダーは、処刑の際に大量の弾薬を使うことを嫌ってか、シェルショックの捕虜は放置し、難民らは地面に腹這いにさせるように指示を出した。幹部は連邦軍式の敬礼をしながら応じ、部下たちに命じてトラックの荷台で震えている難民たちを引きずり出そうとする。
「や、止めてくれ! 俺たちは民間人だ!!」
「喧しい! 殺されたくなければ、腹這いになって額を地面に擦り付け、こちらを見るな!」
「腹這いになれ! 額に地面を擦り付けろ! こちらを見た者は射殺する!」
殺されると思って嫌がる難民たちであるが、トーニ解放戦線の将兵らは問答無用で荷台から引きずり出し、銃口を突き付けながら腹這いにさせ、こちらを見ないように額に地面を擦り付けろと脅す。中には後頭部を踏み付け、無理に地面に額を押し付ける兵も居た。
「子供はどうします?」
「連れて行く時間は無い! 餓鬼どもも引きずり出して、腹這いにさせろ!」
「はっ!」
難民の子供らにどうするのかと問われると、自分らが逃げた方向を知らされるのを恐れてか、子供も腹這いにさせた。
殺さないとはいえ、弾薬が勿体ないからであり、銃口で脅し付け、無理やり腹這いにした挙句、額に地面を擦り付けるという暴力を行っていた。
『このトラックの連中は生きてるか?』
「死体だらけのようだが、一応、調べてみよう」
難民らを引きずり出して地面に腹這いにさせ、こちらを見ないように地面に額を擦り付けさせる中、ルリが乗っているトラックにも解放戦線の者達が入ってきた。先の銃撃戦で全員が巻き添えを食らい、息絶えていた。
唯一生きているのはルリ一人だけで見付からないように隅に隠れているが、狭い荷台の中で見付かるのは時間の問題だろう。
「ん、居るか?」
物音を立ててしまい、調べに来た兵士に気付かれてしまった。
直ぐに隠れようとするも、狭い荷台の中で隠れる場所は無い。死体に扮しようにも、荷台に入ってきた兵士はライフルに付けている銃剣で突き刺しながら生きている者を探している。突き刺されて見付かるのがオチだ。
自身の力で目前の脅威を排除することも可能だが、派手な活動は周りの注目を集め、やがては自分の存在をこの世界に明かしてしまう。
そのこともあって、自分の事を理解した者たちから目立つなと言われ続け、先の銃撃戦では敢えて怯えるか弱い少女を演じていたルリであったが、見付かることを恐れてか、彼女は唯一緊急時において使用することを許された技を使うことにした。
「にゃあ」
「なんだ、猫か」
『おい、居たのか?』
「いや、猫一匹いただけだ。このトラックの連中は全員死亡だ。あの猫の飼い主も含めてな」
『そうか。ウィルティネクスの連中が来る前に、ズラからんとな。隊長殿、いや、リーダーが急かしているぞ』
「あぁ、いま行く」
それは変身魔法であった。
魔法を使える者から自身の存在を隠すために教わり、数日間の時を得て完璧に使えるようになった。変身できる動物はいまルリが変身している子猫を初めとする小動物に限られているが、それでも魔法が存在しない、あるいは見抜けない者なら効果的である。
ルリが子猫に変身していることを知らない兵士は同僚に報告し、血と死体まみれなトラックから降り、徒歩でアジトへ帰投する解放戦線の後を追った。
「あの人たちについて行けば、何か分かるかな?」
子猫に変身したまま荷台から降りたルリは、先の自分らを捕まえようとした解放戦線のアジトへ行けば何か分かると思い、小鳥に変身してその後を追った。
https://syosetu.org/novel/128200/98.html
この回を参考にした回だけど、銃撃戦を初めて殺し合いを始めてるし、レジスタンス(?)が美少女じゃなくて眼帯付けたいかついおっさんと黒尽くめの男たちだし、全くの別物だわ…。
これを読者応募企画にしようかと考えてる。募集するのはあの民間人を平然と巻き添えにするレジスタンス(連邦の飼い犬)の方々です。
スパルタンシリーズやマス・ライダーの募集も考えてますが、出番は少なめになるかと思います。