スーパーロボット大戦 無限戦争 設定集&外伝 作:ダス・ライヒ
湖へ
ある世界、それも剣と魔法の世界。そこにはかつて巨大な軍事国家があった。
強大な軍事国家が世界の大部分を支配しており、独立国は支配されるか、抵抗するか、大人しく属国となる三択しか無い。その軍事大国は数百年前、ある転生者によって建国された。軍事大国になる前は、小国に過ぎなかったが、転生者は前世の知識を活かし、主に科学と軍事力を強化して軍事国家の支配者となる。
周辺国を高い科学力と軍事力で制圧し、やがては大国となり、最終的には全世界を半分を支配する大帝国までに至る。
なぜ軍事大国にまで至ったかは、ご都合主義の如く地下奥深くに軍事には必要な資源が大量に眠っていたからだ。剣と魔法が主流の所為で、転生者を除く誰もが不必要な物と思っていた。。それを転生者は自分の野望に必要な素材であり、その資源でこの世界では無敵の軍隊を作り上げる。
だが、皇帝となった転生者は世界制覇を見ることなく二度目の死を迎える。皇帝亡き後も大帝国の世界制覇は停滞したが、無敵の帝国として君臨し続け、更なる発展を続けた。
支配されていない諸国はいつ侵略されてもおかしくないと判断し、連合軍を結成したが、強大な軍事力を誇る大帝国にすれば烏合の衆である。
いざ戦争が始まれば、真面な連携も取れない弱小国の集まりである連合軍は成す術もなく敗北し、大帝国の名声を高めるばかりで、大帝国の領土を広げるばかりだ。
連合軍の敗北を聞き、諸国が戦わずして大帝国の支配を受け入れようとした先、救世主とも言える異世界からの侵略軍がその世界に攻めて来た。
異世界からの侵略軍の名は「神聖百合帝国」であり、女性だけの種族、イヴ人を支配者とし、二十もの異世界を支配する大帝国であった。諸国はこの異世界からの侵略者たちを快く迎えた。自分らを脅かす大帝国と戦ってくれるのだ。漁夫の利を得る狙いを潜めて…。
神聖百合帝国の異世界を行き来する科学力を有していたが、大帝国に比べれば十年も遅れていた。人口も多いはずであるが、軍事力は数にしては劣っており、二十もの世界を支配下に置いているが為に侵攻軍の兵力は大きく劣り、大帝国の抵抗により膠着状態が十年にも及んだ。
この我慢比べの大戦争で先に折れたのは、侵略軍の神聖百合帝国だ。大帝国が大規模な反抗作戦を行えば、百合帝国は耐え切れず、侵攻軍の主力は壊滅した。主力の敗北を受け、大帝国に勝つことが出来ないと判断した百合帝国は現地の支援してくれた諸国の声を無視して撤退する。
その後、この戦争が原因か、百合帝国は崩壊した。
かくして、侵略軍を追い返した大帝国は初代皇帝が果たせなかった世界制覇を目指し、裏切り者たる世界征服を行おうとしたが、百合帝国との戦争で疲弊しており、既に息切れ寸前であった。
とどめを刺すかの如く、ワルキューレと言う二つ目の異世界軍の侵攻が行われた。百合帝国とは比較にならない大規模な侵攻軍を前に大帝国は耐え切れず、諸国が願っていた大帝国崩壊が対に敵う事となった。だが、それもまた始まりに過ぎない。
ワルキューレは世界を支配し、それに対抗するレジスタンスとの争いが続いた。百合帝国やワルキューレは、小国を世界の半数を支配する大帝国へと進化させた資源を狙って攻めて来たのだ。当然ながら、この魅力的な資源を渡すほどこの世界の者たちは愚かではない。今でも絶えず、その資源を巡って争われている。
もはやこの世界では争いが耐えることは無いのか?
これ以上、語っても答えは出ないだろう。話を変えよう。
大帝国と百合帝国は現状打破の為、ありとあらゆる兵器を開発して来た。それは我々が思い掛けないような物や魔法、それにオカルト関連までを状況打破の為に兵器として使った。中には自分らにすら被害を与える物もあり、数多もの兵器が何処か人知れぬ所に封印された。
それらの兵器は危険性故にか、公式には記憶されず、それを記した資料も全て残らず焼却されたようだ。今となってはどんな威力を誇ったかは、作った本人か見た者しか知らない。知らぬからこそ、魅力は増してしまい、あらぬ所まで発展してしまう。
その因果か、湖の中央にある忘れられたバンカーの地下奥深くに眠る正体不明の兵器に魅入られた様々な野望や目的を持つ者たちが、ダンジョンへと集おうとしていた…。
大帝国が崩壊して五十年余り…。
「おいコラ、ジジイ! なんで門を開けねぇんだ!?」
正体不明の兵器が眠る忘れられたバンカーがある湖の出入り口にて、頑丈に閉ざされた門を開けない村の長老をAK-47等の銃で武装した男たちのリーダーが胸倉を掴み、睨み付けながら問う。
湖は霧で覆われて薄気味が悪い。今にも何かの怪物が出て来そうだ。昔は大帝国軍と百合帝国軍との激戦区であったらしく、双方の大量の死体と兵器の残骸が片付けられずに残されている。残されている理由は不明。その理由と薄気味悪さの所為でか、近隣の村に住む村人たちは唯一湖に続く道を頑丈な門で塞ぎ、入って来られないようにした。
門の理由は何もない事を願っての事か、それとも財宝を独り占めする為か。どちらにせよ、バンカーの噂の所為で一攫千金を企む者たちが集まってしまっている。現に銃で武装した男たちが来て、門を開けろと銃口を向けながら脅している。
「だ、駄目じゃ! ここを開けたら、開けたら怪物や悪霊共が村に入って来てしまう!」
「うるせぇぞクソジジイ! テメェら、そう言ってお宝を独占しようって魂胆だろうが!!」
脅しにも銃口にも屈しない長老に、遂に武装集団のリーダーはブチ切れた。リーダーは怒りの余り素早く抜いたコンバットナイフで、長老の腹を突き刺したのだ。そのナイフを抜き、突き刺した速度は訓練しているので早く、老いた長老を確実に始末した。
「や、やべ…! 殺しちまった…!」
リーダーのナイフを抜くのも早かったが、うっかりして手を出してしまったことを後悔する。
元々武装集団は、ちょっと脅せば村人共は直ぐに門を開き、噂のバンカーがある湖まで行けると思っていたのだ。それが頑なに、銃を持っても開けようとしないので、あそこに金銀財宝があるから抵抗しているかと思い、ついカッとなって長老を殺してしまった。
「ちょ、長老を殺しやがったぞ!」
「奴ら、俺たちも殺す気だ! そして門を開け、怪物や悪霊共を解き放つ気だ!」
「あそこを開ければ、村は、いや、この辺り一帯に怪物が!!」
「奴らを殺せ! 殺すんだ! 長老の仇を取るんだ!!」
長老を殺したことで村人たちは殺気立ち、農具や猟銃と言った武器を持って武装集団に向かって来る。男や老人だけでなく、女子供ですら長老の仇を撃とうと武装集団に襲い掛かる。
これにAK-47突撃銃やRPD軽機関銃などの小火器で武装した男たちは狼狽えつつも、自分らの掲げる信念、かつてこの世界の半数を支配していた大帝国再建の為、総出で自分らを殺しに来る村人たちを迎え撃つ。
「く、クソっ! こいつ等、俺たちを殺す気だ!」
「村中が殺しに来やがる! 女も子供も、婆さんだって殺しに来るぞッ!!」
「畜生、分からず屋共が! 我々は大帝国再建のため、活動しているんだぞ!? そんな分からず屋共など、皆殺しだ! 皆殺しにしてしまえ!!」
一丸となって自分らを殺しに来る村人たちに対し、大帝国再建を掲げる武装集団は手にしている小火器を発砲して射殺する。掲げている信念を口にしているが、本音はただ生き残りたいだけだ。彼らは軍事訓練を受け、ワルキューレの占領軍と交戦経験があり、そのおかげか雑多な武器で武装した村人たちなど相手にならなかった。
それに武装集団は五十人編成の小隊規模だ。瞬く間に村人たちは彼らが持つ小火器の掃射の前に倒れるばかりだ。数十分もしない内に、村人たちは武装集団に被害を与えられぬまま全滅してしまった。残りと言えば、幼子や赤ん坊ばかりだ。
「敵影、ありません…!」
「クソが! 貴重な弾薬を浪費させやがって! 残りの幼子や赤ん坊も殺せ! この世界の再興の為に戦う我らの邪魔をした罰だ!!」
貴重な弾薬を消耗させたことに腹を立てたリーダーは、残っている幼子や赤ん坊の始末まで命じた。流石にこれには部下が反対する。女子供まで殺しているのだ。第一にこれ以上、殺す必要性が無い。
「それは流石にやり過ぎでは…!? 第一、幼い子供や赤ん坊を殺す意味が分かりません! 再興のための人材として育成すれば…」
「黙れ! 神聖たる我らの目標を邪魔したのだ! それに貴重な弾薬を浪費させた! 根絶やしにせねば収まらん!!」
最もなことを言う部下に、リーダーは正気とは思えないことを言って銃を向けて黙らせる。この状態のリーダーに何を言っても伝わらず、殺されてしまうと判断した部下たちは彼の指示に従い、幼子や赤子まで手に掛けた。
かつて自分らの世界で栄華を誇り、一度は異世界の侵略者たちを追い返した大帝国の再興と聞き、夢と希望を胸に武装集団に参加した男たちであるが、今では単なる略奪と虐殺集団と化したことに絶望している。一応は新たに平和維持と表し、侵略しに来たワルキューレの駐屯軍と交戦はしているが、ここ最近は裏切り者狩りと補給部隊の襲撃に明け暮れているので、時より何をしているのか分からなくなる。盗賊団になってしまったのかと疑問に思うこともある。
それにリーダーがスポンサーの武器商人の言いなりになって来ていることもあり、呆れて脱退するメンバーも居たが、裏切り者扱いされ、先週では見せしめとして公開処刑が行われた。
武装集団はもう何をしているのか、分からなくなってきているのだ。あのバンカーへ行くことも、スポンサーの武器商人が命じた事だ。虐殺はリーダーの指示であるが。
「門を開きます!」
証言など真面に出来ないであろう目撃者らの始末を終えた後、大義を失った武装集団は鍵を見付け、長く閉ざされて来た門を開けた。
門が開かれたその先にあったのは、一寸先も見えない程の深い霧であった。
後日、募集する予定です。