織田信奈の野望~うつけ姫の弟~(凍結)   作:ホークス馬鹿

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29話です。


29話

織田本陣

 

 

 

 

 

信忠「金ケ崎城は落城しました。」

 

光秀「ここから木ノ芽峠を抜ければ、越前の一乗谷城は目の前です。」

 

長秀「しかし朝倉軍は2万。そろそろ、本格的な反撃がある頃です。」

 

信奈「その前にけりを付けるわよ。信忠、頼むわよ。」

 

信忠「お任せ下さい。」

 

その時

 

良晴「信奈!!信忠!!」

 

信奈「サル!?どうしてここに・・・」

 

良晴が現れ

 

良晴「信奈!信忠!撤退しろ!浅井が裏切った!今の織田軍は、この小豆袋と同じだ。前後を閉じられ、全滅するぞ!」

 

と言い、信澄から貰った小豆袋を出した。

 

信奈「まさか・・・」

 

信忠「やはり・・・そうなったか・・・」

 

信奈「な、何言ってるのよサル。浅井が裏切るなんて・・・勘十郎だって嫁いでるのよ。」

 

信忠「その袋を届けてくれたのは勘十郎だろ?」

 

良晴「・・・そうだ。」

 

信奈「でも・・・信忠は長政に書状を送ったって・・・」

 

信忠「恐らくですが、久政に握り潰されたのでしょう。長政に届く前に・・・」

 

信奈「そんな・・・」

 

良晴「長政は幽閉された。今の浅井家は、久政に乗っ取られて・・・」

 

信奈「いくら久政が愚かでも、そんな・・・」

 

すると

 

良晴「迂闊だった。越前を攻めれば、こうなる事は分かっていた。お前の言葉に安心して・・・すまねぇ。」

 

良晴はそう言い、信奈に謝罪した。

 

信奈「いいえ、サル・・・。私が初めから本当の事を言っていれば・・・心を見透かされてるみたいで遂・・・」

 

良晴「信奈・・・」

 

これに

 

信忠「姉上。この知らせは、朝倉にも届いているかと思います。さすれば、良晴の言う通り、我らは浅井と朝倉によって挟み撃ちに遭います。」

 

信忠はそう信奈に言った。

しかし、信奈は浅井の裏切りに動揺しており、冷静ではなかった。

 

信忠「天下に織田信忠がいなくても良いが、織田信奈がいないのは断じてなりませぬ!ここは撤退し、急ぎ次に備えねばなりませぬ。ここに長居は最早無用。直ちに、引揚げの下知を!」

 

その時

 

恒興「申し上げます。朝倉勢が大軍を挙げて木ノ芽峠に進出!」

 

恒興「山崎吉家を先手に、こちらに向かってきております!」

 

朝倉勢が攻め寄せてきたとの報告が来た。

 

信忠「姉上、陣触れを!」

 

これには、織田家中皆の視線が信奈に集まった。

そして

 

信奈「・・・私達は・・・京に撤退するわ!」

 

そう信奈は言った。それを聞いて信忠は一礼し

 

信忠「敵に気付かれぬよう、旗指物はこのままで良い!百人一組ずつ、密かに陣を離れろ!」

 

皆にそう指示を出した。

 

「「「はっ!」」」」

 

信忠「殿は・・・俺がやる!」

 

これには

 

信奈「信忠!?」

 

信奈は驚き

 

良晴「信忠!ここは俺が・・・!」

 

長秀「信忠様!ここは私が・・・!」

 

他の皆も、必死に言った。

 

信忠「ならぬ!・・・お前達は、まだ織田家に必要な仲間だ。それは良晴、お前もだ!」

 

良晴「信忠・・・!」

 

長秀「信忠様・・・!」

 

信奈「駄目よ!あなたにそんな役目を命じたくない!私は誰も死なせたくないの!それは信忠、あなたもよ!」

 

すると

 

バァン!

 

信忠「姉上!天下を目指す以上、犠牲は出ます!お覚悟を!」

 

信忠は机を叩いて信奈に言った。

そして信奈は、辛い顔で

 

信奈「・・・信忠。あなたに殿を命じるわ!見事、敵を食い止めなさい!」

 

そう命じた。

 

信忠「御意!」

 

そして、信忠は勝家に振り返り

 

信忠「六・・・お前は姉上達と共に京へ撤退しろ。」

 

とそう言った。

 

勝家「っ!?」

 

これには、勝家は目を見開いた。

 

信忠「姉上と他の皆をしかと守れ。良いな。」

 

勝家「何故です!?私も、信忠様と共に!」

 

信忠「駄目だ!お前は撤退しろ!」

 

勝家「嫌です!」

 

信忠「聞け!」

 

勝家「聞けませぬ!いくら信忠様のご命令でも、こればかりは聞けませぬ!」

 

信忠「六!」

 

勝家「っ!・・・何故なのです!?何故私だけ・・・!?私の事が・・・お嫌いになったのですか!?」

 

信忠「お前の事は・・・好きだ。ずっと一緒にいたい。」

 

勝家「ならば何故・・・!?」

 

信忠「好きだからだ!!」

 

勝家「っ!」

 

信忠「お前の事が・・・好きだからだ・・・。だから・・・お前を逃がすんだ・・・頼む・・・!」

 

すると

 

ドン

 

勝家「嘘つき・・・」

 

ドン、ドン

 

勝家「約束したじゃないですか!泰平の世になったら、共に夫婦になって、沢山子供を産んで、共に白髪になるまで年を取っていき、孫に囲まれながらずっと笑顔で過ごすと!」

 

ドン

 

勝家「嘘つき!」

 

ドン

 

勝家「嘘つき!」

 

ドン

 

勝家「嘘つき!!」

 

勝家は涙を流しながら信忠の胸を叩き

 

勝家「アアアアアッ!!」

 

泣き崩れてしまった。その姿は、『鬼柴田』と恐れられし猛将柴田勝家ではなく、一人の少女柴田勝家の姿だった。

その様子見ていた他の者は、目を瞑るか、逸らしたりしていた。

泣き崩れた勝家を見た信忠は、そのまましゃがんで、頬を両手で包み額を合わせながら

 

勝家「あっ・・・」

 

信忠「約束する・・・お前を残して死なねーから。」

 

勝家「信忠様・・・。」

 

信忠「お前が姉上達と無事に戻って、そして俺が生きて戻ったら、先日約束した、一緒に堺の町を見て回ろう。なっ。」

 

彼女に優しく言い

 

信忠・勝家「「んっ・・・」」

 

口付けを交わし、木瓜紋の刺繍がされてある黄色いお守りを勝家の首に掛けた。

そして、立ち上がって

 

信忠「さあ、お前ら!急いでかかれ!無事京に戻れば、まだいくらでも打つ手はある!しかと命じたぞ!」

 

皆にそう言い、信奈に一礼をして、陣を出た。

それを見た勝家は、泣きながら後を追おうとしたが

 

勝家「三左衛門殿!!勝蔵!!与四郎!!」

 

可成達が間に立って止め

 

可成「若は・・・儂らが必ずお守りする!!」

 

長可「だから権六殿、後は俺達に任せな!!」

 

秀隆「権六殿・・・!!」

 

そう勝家に言った。

 

勝家「ならせめて・・・これを・・・信忠様に・・・」

 

すると、勝家は自身の家紋である二雁金の刺繍がされてあるお守りを託した。

 

可成「分かった・・・これを若に渡そう・・・。」

 

そして、可成達は信忠と共に去った。

 

勝家(お願いします大殿・・・。もし傍にいるのなら・・・信忠様を・・・私がこの世で最も愛するお方を・・・お守り下さい・・・!お願いします・・・!)

 

その後ろ姿を、勝家は涙で滲んだ目で見ながら信忠に貰ったお守りを抱き締めたのだった。

そして、信奈達は撤退を始めたのであった。




投稿出来ました。

この金ケ崎の退き口は、通説では秀吉が殿に名乗りをあげたになってますが、ここ最近の研究では、疑問視されているらしいです。

光秀だったのかな・・・?

まぁ、分かりませんけどね・・・。

それでは、また。
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