織田信奈の野望~うつけ姫の弟~(凍結)   作:ホークス馬鹿

38 / 41
37話です。


37話

信奈達は近江に到着するや、虎御前山に布陣し、小谷城下を広範囲に焼き払った。しかし、浅井久政は動く気配がなく、一旦後退して小谷城とは姉川を隔てて南にある横山城を包囲した。

これに対し、浅井家にも朝倉義景の名代として朝倉景健率いる八千の援軍が到着し、浅井久政率いる一万二千と合流して、合わせて二万に膨れ上がった。

浅井・朝倉連合軍は、姉川を前にして軍を二つに分け、野村・三田村にそれぞれ布陣した。

これに対し、元康ら徳川勢は三田村へ布陣し、野村へは信奈が布陣した。その間、信忠の軍団は密かに離れ、独自行動を開始した。

そして、三田村にて徳川勢は朝倉と正面からぶつかる。

 

元康「吉姉様と勘九郎お兄様の為、朝倉を討ち取るのですー!」

 

姉川の戦いが始まった。

元康率いる徳川勢は強く、数で勝る朝倉勢をぐいぐいと押し込んでいったが、真柄直隆、真柄直澄、真柄隆基らの奮闘によって、戦線は膠着状態となった。

一方の野村の織田軍は、浅井勢に押され苦戦していた。

 

遠藤直経「うおおおっ!!一気に織田軍を突き崩すぞー!!」

 

その原因は、浅井長政と共に小谷を脱出し、信忠に仕える事になった磯野員昌と並ぶ猛将、遠藤直経によるものだった。

 

 

 

 

 

良晴「何て強さなんだ!これじゃあ持たねーぞ!」

 

五右衛門「相良氏!これ以上は・・・!」

 

良晴「くっ・・・!けど、このまま退くわけには・・・!」

 

 

 

 

 

長秀「これが磯野殿と並ぶ猛将、遠藤直経・・・。噂以上の強さです。85点。」

 

長秀「しかし、姫様の元へは決して行かせません!」

 

 

 

 

 

 

光秀「数で勝る私達が苦戦しやがるなんて・・・!遠藤直経の強さは聞いていましたが、ここまでとは・・・!」

 

光秀「けど、このままでは終わらないです!」

 

 

 

 

 

 

しかし、その中でも

 

長政「退いてはならぬぞ!ここは何としても凌ぎ、反撃するのだ!」

 

長政が奮闘していた。この戦で手柄を挙げ、自身の立場を確立させるため、彼女は必死だった。

 

 

 

 

 

 

 

信奈「思ったより苦戦してるわね・・・!」

 

久秀「遠藤直経は、信忠様に仕える事になった磯野員昌と並ぶ浅井きっての猛将。そう簡単には参りません。」

 

信奈「そうね・・・」

 

久秀「私が気になるのは、信忠様が何処に消えたのかですわ。」

 

信奈「大丈夫よ。信忠は逃げたわけじゃないわよ。」

 

久秀「それはよく分かっております。信忠様は、どこかで奇襲を掛けるのではと・・・」

 

信奈「恐らくね。頃合いを考えたらもうそろそろだと思うけど・・・」

 

その時

 

ドドドドォォォン!!

 

どこかで鉄砲の音が響いた。それに続いて

 

「「「わああああっ!!」」」

 

兵士の鬨の声が響いた。

 

信奈「この声・・・」

 

それと同時に

 

恒興「姫様!信忠様率いる軍が、浅井久政の背後を突きました!」

 

信忠奇襲の知らせが入ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻・浅井本陣

 

 

 

 

 

 

 

 

浅井軍兵士A「我が軍、遠藤殿のご活躍により、織田の軍勢を押しております!」

 

浅井軍兵士B「朝倉勢、真柄殿のご活躍によって、戦線は維持しております!」

 

それを聞いた赤尾清綱と雨森弥兵衛は

 

赤尾清綱「大殿、我が軍が織田を押しておりまする。」

 

雨森弥兵衛「朝倉勢も、徳川と対等に渡り合っておりまする。このまま乗り切れば、我が軍の勝利は確実です。」

 

浅井久政にそう言った。

 

浅井久政「うむ。」

 

その時

 

ドドドドォォォン!!

 

「「「っ!?」」」

 

どこかで鉄砲の音が響き

 

「「「わああああっ!!」」」

 

それに続いて兵士の鬨の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

同時刻・信忠軍

 

 

 

 

 

 

信忠「良し。浅井の背後に着いたぞ。」

 

勝家「見た限りじゃ、浅井の連中は気付いていない様子ですね。」

 

可成「そのようじゃのう・・・」

 

長可「そうだな・・・」

 

秀隆「これは好機ですね、殿!」

 

信忠「ああ。員昌も、その武勇を遠慮無く振るえ!」

 

員昌「御意!既に拙者の身命は、殿に預けておりまする!相手が旧主であろうとも、容赦致しませぬ!」

 

信忠「うむ!良し、鉄砲隊、構え!」

 

信忠の言葉に、鉄砲隊は一斉に構えた。

 

信忠「撃てーっ!」

 

そして、信忠軍団の鉄砲隊が一気に火を噴き

 

信忠「良し!かかれーっ!!」

 

「「「おおーっ!!!」」」

 

騎馬隊を突撃させたのだった。

 

勝家「うおおおっ!!」

 

員昌「一気に突き崩すぞー!」

 

可成「権六と員昌に遅れるでないぞ、勝蔵!」

 

長可「分かってるって、親父!」

 

秀隆「行くぞー!」

 

 

 

 

 

 

浅井久政「な、何じゃ!?彼奴ら、どこから現れたのじゃ!?」

 

赤尾清綱「分かりませぬ!」

 

浅井久政は、信忠の奇襲に狼狽えており、それは浅井の兵にも広まった。

 

雨森弥兵衛「大殿!奇襲した者の正体は、織田信忠によるものです!」

 

浅井久政「な、何じゃと!!」

 

雨森弥兵衛「先頭には柴田勝家、磯野員昌が先陣を切っており、十段ある陣のうち、九段は崩されました!」

 

雨森弥兵衛「ここに来るのも時間の問題!今すぐ退却を!」

 

これには

 

浅井久政「う・・・うむ!」

 

浅井久政はすぐに退却を始めたのだった。信忠奇襲の影響は、浅井軍に留まらず

 

朝倉景健「何!?織田信忠の奇襲じゃと!?」

 

朝倉軍兵士A「既に浅井久政殿の軍勢は混乱の極み!その混乱は、我が軍にも伝播しております!」

 

朝倉軍兵士B「申し上げます!真柄直隆様、直澄様、隆基様が討ち死に!」

 

朝倉景健「何!?」

 

朝倉軍兵士B「徳川勢が、信忠の奇襲により勢いを盛り返しました!」

 

朝倉景健「くっ・・・!」

 

朝倉勢も、窮地に追い込まれた。

 

 

 

 

 

織田軍本陣

 

 

 

 

 

信奈「信忠、やったわね!」

 

久秀「これで形勢は一気に逆転しましたわね。」

 

信奈「よーし!一気に攻めるわよ!私達も行くわよ!」

 

恒興「はっ!」

 

そう言い、信奈は本軍を一気に前に進めた。

主戦場に到着すると

 

恒興「姫様、あれを!」

 

信忠が戦場のど真ん中で

 

信忠「うおりゃあああっ!!」

 

浅井軍兵士「「「ギャアアアッ!!」」」

 

浅井軍の兵士をどんどん斬り捨てていった。

 

「「「織田信忠だ!!!織田信忠が来たぞ!!!」」」

 

それを見た浅井軍は、恐怖し、震え上がり、次々と討ち取られていった。

その様子を見た久秀は

 

久秀「・・・まるで、軍神・摩利支天の化身ですわね。」

 

そう畏怖するような声で信奈に言い

 

信奈「そうね・・・」

 

それを見た信奈も、唖然としているような顔で見ていたのだった。

そんな中でも、信忠の勢いは止まらず

 

信忠「うりゃあああっ!!」

 

浅井軍兵士「「「ギャアアアッ!!」」」

 

彼の周りは浅井軍の兵士の死体で一杯となった。

それを見た

 

良晴「スゲーな・・・信忠は・・・」

 

五右衛門「相良氏・・・?」

 

良晴「奇襲とはいえ、俺達が苦戦した相手をこうも切り崩すなんて・・・。信忠はスゲーよ・・・」

 

五右衛門「相良氏・・・」

 

良晴「けど、負けねーよ!よーし、信忠に遅れを取るなよー!」

 

五右衛門「それでこそ、相良氏でごじゃる・・・」

 

長秀「流石信忠様。この適切な時機の奇襲、98点です!」

 

織田軍は士気が一気に上がり、信忠に負けじと浅井軍を斬り捨てていった。

朝倉軍は

 

朝倉軍兵士A「お、おい!あれって、織田信忠じゃないか!!」

 

朝倉軍兵士B「ああ。間違いねー!!」

 

朝倉軍兵士C「織田信忠だ!!織田信忠が来たぞー!!」

 

信忠の姿を見るや次々と戦意を喪失していった。

 

元康「流石勘九郎お兄様ですー。」

 

半蔵「これは好機です。更に攻めまくりましょう。」

 

元康「はい!皆さん、このまま攻めて下さい!」

 

それを見た元康も攻めの姿勢を更に強め、朝倉勢を次々に討ち取っていった。

 

信忠「行けーっ!!皆殺しだーっ!!」

 

勝家「どきやがれーっ!!信忠様に遅れを取るなーっ!!浅井久政を逃がすなー!!」

 

可成「若に遅れを取るでないぞーっ!!」

 

長可「おらおらおらぁっ!死にやがれー!」

 

秀隆「殿のため、全て斬り伏せる!」

 

信忠軍団兵士A「信忠様の為、全ての敵を斬り伏せるのじゃー!」

 

信忠軍団兵士B「うおおおっ!!全ては信忠様の御為!」

 

員昌「ほぉ・・・!これが信忠様の強さか・・・噂以上じゃ!」

 

員昌「はあああっ!!」

 

「「「ギャアアアッ!!」」」

 

員昌「だが、負けはせぬぞ!」

 

その時

 

遠藤直経「磯野殿!」

 

遠藤直経が員昌の前に現れた。

 

員昌「遠藤殿か!」

 

遠藤直経「磯野殿!尋常に勝負じゃ!」

 

員昌「良かろう!いざ!」

 

そして、二人は激しくぶつかり、火花と金属音を周囲にまき散らし激しい一騎打ちを繰り広げた。

 

ガギン!ギン!

 

遠藤直経「磯野殿!相変わらずの強さじゃな!」

 

員昌「遠藤殿こそ!」

 

ガギン!ガン!

 

そうお互いに言い、激しくぶつかった。

そして

 

員昌「はあああっ!!」

 

ドシュ!

 

遠藤直経「グハッ!!」

 

員昌「御免っ!」

 

員昌が遠藤直経の胸を突いて、頸を取った。

 

員昌「遠藤直経!この磯野員昌が討ち取ったり!」

 

「「「わああああっ!!」」」

 

信忠「流石員昌だ。皆、員昌に遅れを取るな!手柄を挙げよー!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

そして、浅井・朝倉連合軍は総崩れとなり、姉川の戦いは織田・徳川連合軍の大勝利に終わった。

この戦いで、浅井家の損害は浅井政澄、弓削家澄、今村氏直、遠藤直経など浅井家で中心的役割を果たしていた重臣が戦死し、朝倉家に至っては、真柄直隆、真柄直澄、真柄隆基らが戦死した。

これにより、横山城も降伏したのだった。

 

 

 

 

 

織田軍本陣

 

 

 

 

 

信奈「皆、ご苦労だったわね!」

 

「「「ははっ!!」」」

 

信奈「信忠、今回の奇襲は見事だったわ。」

 

信忠「俺は何もしておりません。全ては皆が相手の厳しい攻めに耐えてくれたからこそ、此度の勝利に繋がったのです。皆を労ってやって下さい。」

 

信奈「そう。分かったわ。」

 

信忠「それと、此度の戦で浅井・朝倉には勝利しました。しかし、我が軍も犠牲は少なくありませんし、浅井久政と朝倉義景は生きております。油断は禁物ですよ。」

 

信奈「分かってるわ。引き続き、頼りにしてるわ。」

 

信忠「はっ!」

 

信奈「さあ、岐阜に帰るわよ!」

 

そして、信奈達は凱旋したのだった。

 

 

 

 

 

一方、浅井家では浅井久政が歯をガチガチと震わせ、小谷城に戻るとともに、ガクリと座り込んだまま暫く動けなかった。

その理由は、信忠の圧倒的な強さにまたしても敗れてしまい、恐怖に震えていたからだった。

 

浅井久政「何じゃ・・・彼奴は一体・・・何なのじゃ!」

 

赤尾清綱「お気を確かに大殿。奴とて人のはず。」

 

浅井久政「馬鹿を申すな!もはやあれは人ではない。あれは・・・皆が申すように軍神・摩利支天の化身じゃ。でなければ、あんなに強いはずがない!」

 

雨森弥兵衛「確かにそれは否定出来ませぬが・・・」

 

浅井久政「何とか・・・何とかせねば・・・何とか・・・」

 

そう言い、浅井久政はブツブツとそう言ったのだった。

これは、報告を聞いた朝倉義景も同様で

 

朝倉義景「何なのだ・・・!彼奴は人ではない・・・!これは夢だ・・・夢に決まってる・・・!」

 

精神がどんどん崩壊していった。

浅井家と朝倉家は、どんどん滅亡という名の泥沼に嵌まっていったのであった。




投稿出来ました。

今回は姉川の戦いを投稿しました。

姉川の戦いですが、この呼称は元々徳川方の呼び方らしいです。布陣した土地名から織田・浅井両氏の間では「野村合戦」、朝倉氏では「三田村合戦」と呼んでたそうです。

姉川の戦いが結構メジャーなんですけどね・・・。

ちなみに主人公信忠の無双は、今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第16話の一の谷の戦いでの菅田義経の奮戦ぶりをイメージして書きました。

それでは、また。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。