信忠軍本陣
秀隆「浅井・朝倉連合軍3万、再び京へ向け侵攻開始!」
秀隆は、信忠の本陣に帰還し早速可成の伝言を報告していた。
その時
信忠家臣A「信忠様!宇佐山城からまた伝令が!」
森軍の兵士がやって来て
森軍兵士A「森可成様、浅井・朝倉連合軍の猛攻により・・・」
森軍兵士A「討ち死になさいました!」
森可成討ち死にを知らせた。
「「「っ!?」」」
それを聞いた皆は、驚きと悲しみに包まれ、涙を流す者もいた。
信忠「・・・そうか。大義だった。」
しかし、それを聞いた信忠は涙を流す事無く、冷静にそう言った。
信忠「各隊に指令を送れ!全軍撤退する!」
信忠「浅井・朝倉を討ち、京を死守する!三左の死を無駄にするな!」
「「「おおーっ!」」」
信忠「六!お前に殿を命ずる!本願寺軍を防げ!」
勝家「はっ!」
そして、信忠軍は撤退を始めたのだった。
本願寺軍
本願寺軍兵士A「顕如様、信忠軍が退却を始めました!」
顕如「いよいよ大詰めじゃ。退却中の軍ほど弱い者はおらぬ。それが例え、織田信忠の兵であったとしても。」
顕如「追撃し、織田信忠を討ち取るのじゃ!」
本願寺軍兵士B「しかし、奴らを討ち取ること出来るでしょうか?」
顕如「安心せよ。すぐ近くの江口川の渡し船は全て隠した。最早、彼奴らは逃げることは出来ぬわ!」
信忠軍
秀隆「そんな!?渡し船が!」
員昌「本願寺軍に全て隠されたのだ!」
信忠「全軍暫し待てぃ!」
その時、信忠は自ら馬を走らせて川の上流と下流を見て回った。
信忠「・・・ここだ!」
そして
信忠「全軍渡れー!ここなら安心だ!」
「「「おおーっ!」」」
全軍で川を渡ったのだった。
本願寺軍
顕如「信忠に逃げられた?何故我が軍も川を渡って追わなかったのだ?」
下間頼廉「それが・・・信忠が渡った翌日から、何故か川が増水し・・・渡れぬ状態となったからです。」
それを聞いた顕如は
顕如「そんな馬鹿な!姉の信奈はおろか信忠には神仏いや、天魔の加護がついているというのか?」
頭を抱えたのだった。
その頃、浅井・朝倉連合軍は、可成が守っていた宇佐山城に攻めかかっていたが
朝倉景健「何故だ!?既に大将である森可成を討ち取ったというに!」
浅井久政「何故落ちぬのじゃ!?」
森軍の頑強な抵抗に遭った。
森軍
各務元正「城を取られたら可成様に顔向けできぬぞ!」
肥田直勝「守れー!守り抜くのだー!」
そのため、一旦城を諦めた連合軍は京に向かったが
朝倉景健「何じゃと!?」
浅井久政「信忠の本隊が京に迫っておるじゃと!?」
信忠軍が来ている知らせが入ったのだった。
山崎吉家(宇佐山城に構うべきではなかったか。本願寺軍の追撃を振り切ったというのか!)
そして、軍議を始めた。
浅井久政「どうするのじゃ!」
朝倉景健「兵力も地の利も軍才も全て向こうが上じゃ!」
浅井久政「ではどうするのじゃ!このままでは我が軍は全滅ですぞ!」
すると
朝倉景健「いや、あるぞこの近くに・・・籠もるのに最適な場所が。」
地図を見た朝倉景健がそう言い始めた。
浅井久政「それは一体・・・?」
朝倉景健「ここじゃ!」
そう言い、ある一点を指差した。
その場所は
浅井久政「比叡山?」
比叡山だった。
朝倉景健「そうじゃ!比叡山は古来より絶対不可侵領域じゃ。攻め込まれる心配もないわい!」
そして、浅井・朝倉連合軍は比叡山に籠もったのだった。
京
信忠「姫巫女様がおわすやまと御所と義元がいる将軍御所は無事か?」
信忠軍団兵士A「はっ。浅井・朝倉連合軍は、比叡山に逃げ込みました!」
それを聞いた信忠は
信忠「三左のお陰だ・・・。アイツとその家臣が時を稼いでくれたからだ・・・」
そう言い、空を見上げた。
秀隆「殿。」
信忠「んっ?」
秀隆「三左衛門殿は、殿にもう一つだけ言い遺した言葉があります。」
信忠「何だ?」
秀隆「『ウチの馬鹿娘の事・・・よろしく頼みます。』との事です。」
信忠「・・・そうか。三左・・・」
そして、信忠軍は比叡山を包囲したのだった。
員昌「信忠様。比叡山は何人たりとも攻め入る事が出来ない聖域とされています。」
信忠「・・・。」
すると
信忠軍団兵士B「信忠様。比叡山の麓の聖衆来迎寺の真雄という僧が訪ねて来ております。」
信忠「んっ?」
聖衆来迎寺の真雄が信忠の陣にやって来た。
真雄「森可成様は、私どもの寺の近くで討ち死になされました。亡骸は私どもが夜間密かに運び込み、手厚く葬りましてございます。」
信忠「そうか・・・感謝する。」
それを聞いた信忠は、頭を下げ感謝の意を示した。
信忠「三左の亡骸を持ってこれるか?」
真雄「・・・はい。それは出来ますが・・・?」
信忠「持ってきてくれ。」
真雄「・・・はっ。」
そして、真雄は聖衆来迎寺に戻り、可成の亡骸を入れた桶を持ってきた。
真雄「こちらでございます。」
信忠「ご苦労だった。皆、悪いが暫く一人にさせてくれ。」
「「「はっ。」」」
それを聞いた皆は、頭を下げ陣から出た。
そして、信忠は可成が入っている桶と向かい合った。
信忠「三左・・・よう頑張ったな。お前は俺がまだ乳飲み子の頃から傅役として俺を支え守ってくれたな。俺が初陣を果たし、元服をしても、お前は変わることなく俺を支えてくれた。」
信忠「お前がいなければ、父上は勿論、今の俺は無かった。無論、姉上もだ。」
信忠「父上の死後、色んな事があったな。尾張国内での戦・・・村木砦・・・桶狭間・・・美濃平定・・・京への上洛・・・金ケ崎・・・姉川。」
信忠「どれも全て・・・大変だったが・・・楽しかったな。」
そう言う信忠の目には、涙が溢れていた。
信忠「三左・・・爺・・・何とか言ってくれ・・・」
その涙は止まる事無く
信忠「爺・・・すまなかった・・・お前を救うことが出来なくて・・・。俺が至らねーせいで・・・お前を死なせてしまって・・・」
信忠「爺・・・!」
そのまま桶を抱き締めた。
信忠「爺・・・すまなかったな・・・お前を死なせてしまって・・・!爺・・・!爺ー!ああーっ!!」
そして、謝罪の言葉を言い続けながら泣き叫んだのだった。
勝家(信忠様・・・)
その様子を、勝家は密かに見ており、涙を流していたのであった。
投稿出来ました。
森可成が戦死した後のお話を書きました。
実際、森可成の亡骸は聖衆来迎寺の手によって手厚く葬られております。
史実、信長はこの事を非常に感謝していたと言われております。
だからか、この後起きるとある出来事で、この寺は免れたらしいです。
それでは、また。