清洲城
信勝「姉上!兄上!此度のことは僕に非がありました!何卒、お許し下さい!」
末森城で信忠が信勝を捕らえた翌日、信勝は跪き頭を下げ謝罪した。
信奈「・・・。」
信忠「お前なあ、それ何回繰り返せば気が済むんだ、ああ?」
信勝「そ、それは・・・。」
長秀「信勝様は、如何なさいますか?」
長秀の問いに、
信奈「信勝は切腹。」
信奈はそう答えた。それに、
信勝「ええ!?そんな痛そうな死に方、嫌です!無理です、姉上!兄上も何か言って下さい!」
信勝は泣きながらそう言い、信忠にも言ったが、
信忠「・・・。」
信勝「兄上!」
信忠は腕を組み目を閉じたまま何も答えなかった。
信奈「そう、だったら私が斬るわ。」
そう言って、信奈は持ってあった刀を抜いた。
良晴「止めろ、信奈!」
それを見た良晴は止めようとしたが、
信奈「言ったはずよ、大名は個人的な感情には流されないって。皆もよく聞きなさい、今後私に逆らった者は、例え家族であろうと殺すわ。」
信忠「それが天下の為、民の為だ!異論はねーな?」
そう言って、良晴の言葉を一蹴した。
信勝「姉上・・・!兄上・・・!」
信奈・信忠「「さようなら/さらばだ」」
信奈・信忠「「勘十郎。」」
そう言い信奈と信忠は冷たい目になり、信奈はそのまま刀を振り下ろそうとした。
良晴「待て!!信奈!!信忠!!弟を殺すんじゃねえ!!」
その時、良晴が止めに入るが、信忠に押さえ込まれた。
信忠「お前・・・!?」
信奈「逆らう気!?」
良晴「ああ逆らうとも!ここで信勝を斬ったら、お前達はこれからも周りの親しい人を斬って斬って斬りまくる。魔王人生一直線だぞ!」
信奈「身内だからと許していたら、家臣達に示しが付かないでしょ?」
信忠「それに、コイツは何度も謀反を繰り返してる!!これ以上は限界だぞ!!」
良晴「よく聞け、俺はお前達によく似た戦国大名の人生を知っている。そいつは謀反した弟を殺した時から、心のどこかが壊れちまって歯止めがきかなくなった。俺はお前達を魔王にしたくない!信奈は地球儀を楽しそうに回して世界に夢を駆け巡らせて、信忠は勝家と一緒にいつまでも仲良く優しい笑顔でいて欲しいんだ!」
信忠「!?」
信奈「じゃあ、どうしろって言うのよ!?」
良晴「素直になれ!本当は信勝をどうしたいんだ!?」
信奈「殺したくないわよ!!!自分の弟を殺したい女の子がどこにいるのよ?」
その時、信奈は泣きながらそう答え、
信忠「・・・。」
信忠も少し複雑な表情をした。
良晴「だったら、そう言えよ。」
それに対し、良晴はそう言った。そして、信奈は侍女を呼びある物を持って来させ、信忠は良晴の拘束を解いた。その時信勝は、
信勝(姉上と兄上が・・・。父上の死にさえ涙を流さなかったあの姉上が涙を・・・。それにいつも冷静で優しくて強い兄上があんな表情を・・・。)
と信奈と信忠を見てそう思った。そして、信奈は信忠と一緒に侍女に持って来させた物を信勝の前に行き、
信奈「ほら、好きでしょ。」
信忠「お前、俺達にこれ貰うといつも嬉しそうだったからな。」
と言い、ういろうを信勝に渡した。
信勝(ういろう・・・。)
その時、信勝はある事を思いだした。
回想
信奈『ほーら勘十郎、餌をあげるわ。』
信勝『はい、あねうえっ!』
信忠『ふっ、勘十郎は相変わらずういろうが好きだな・・・。』
信勝『はい!だいすきです!あねうえとあにうえからもらったういろうはっ!』
信奈『そう、あはは!!』
信忠『そっか・・・ははっ。』
回想終了
信勝(僕がういろうを好きになったのは、姉上と兄上がくれるういろうがどんな褒美よりも嬉しかったからだ・・・。いつの間にかそれを忘れて、家臣団を侍らせて姉上を蔑ろにして、兄上を困らせた。気位が高い姉上を泣かせ、いつも冷静沈着な兄上をあんな表情にさせてしまった。僕はなんて愚かな事を・・・。)
信奈「どう?」
信忠「美味いか?」
すると、信勝は泣きながら
信勝「おいしい・・・おいしいです、姉上・・・兄上・・・。」
そう答えた。
信奈「バカね、男がそう簡単に泣くものじゃないわ。」
信忠「良かったな・・・勘十郎。」
そう言って、優しい顔で信奈は頭を、信忠は背中を撫でたのだった。
そして、信勝は心を入れ替え、名前を『津田信澄』に改める事を誓ったのであった。
その裏で、
林秀貞「これはどういう事だ!?」
林通具「そうじゃ、どういう事じゃ!?」
林兄弟ら謀反に加担した者達が集められていた。そして地面に着かされ顔を向けると、そこには腰に刀を差し立っていた者がいた。
林秀貞「き、貴様は・・・」
秀隆「私は織田信忠が家臣、河尻秀隆と申します。林秀貞殿、林通具殿。あなた方を信忠様の命により、謀反の罪で処刑します。」
と秀隆は淡々と答えた。それを聞いた林兄弟は、
林秀貞「ま、待て!!これからは誠心誠意仕える!!だから、信忠様にこの事をっ!!」
林通具「そ、そうじゃ!!我らは心を入れ替え忠節を尽くす!!」
と狼狽しながら秀隆にそう言った。しかし、秀隆は刀を抜いて二人に近付き、
林兄弟「「ギャーッ!!」」
二人を斬り捨てたのだった。そして、二人の死体を見て、
秀隆「愚か者が、殿に逆らうからだ。」
と呟いたのだった。そして、それ以外に謀反に加担した者を粛清したのだった。
また、この謀反に裏で糸を引いていた土田御前を城に幽閉したのであった。
その日の夜、信忠の部屋
秀隆「殿、全て終わりました。」
信忠「・・・であるか。よくやった、下がって休め。」
秀隆「はっ。」
秀隆は、謀反に加担した者を処刑した事を信忠に伝え、部屋を後にした。それと入れ違いに、
勝家「信忠様・・・。」
信忠「六か・・・入れ。」
勝家「はっ。」
勝家が信忠の部屋に入った。
信忠「何の用だ・・・!?」
すると勝家は、信忠を見るなり抱き締めたのだった。
信忠「おい、何を・・・!?」
その時、
勝家「信忠様・・・これ以上業を背負わなくても良いのですよ。」
と言った。
信忠「六・・・。」
勝家「此度の謀反で、加担した者を処刑し、裏で糸を引いていた大方様を幽閉したのでは?」
信忠「お前は相変わらず鋭いな。」
勝家「薄々そうだろうと思っていたので。それによって、ほんの一部だけかも知れませんが、信忠様の事を恐れる者が現れるやもしれません。けど、私は知っております。信忠様は本当は誰よりも皆の事を考えている優しいお方だと。だから・・・」
そう言って、勝家は信忠の頬に手を添え、口付けをした。
勝家「私は『鬼』の異名が入っている者です。だから、もし信忠様が地獄に落ちたら私も共に地獄に行きます。なので、その業を私にも背負わせて下さい。」
信忠「六・・・。」
そう言って、信忠は勝家をきつく抱き締めたのだった。そして、二人は共に寝所に向かい、一つとなった。
そして、城の者が寝静まった頃、勝家は信忠の寝顔を見て、
勝家(このお方は何があっても傍に居続け、支えてみせる!!例え姫様達を敵に回しても・・・!!)
と決意を固めたのであった。
投稿できました。
今回は、僅かにオリジナリティーを加えました。
読みづらかったら、最後の勝家の信忠に対する強い思いでお許し下さい(土下座)
また、良晴君が魔王にさせたくない理由で弟殺しを止めましたが、僕は良晴君の意見には反対ですね。
その理由ですが、現代人の感覚でしたら良晴君の言っていることは正しいです。けど、この時代は乱世です。殺さないとまた同じ事を繰り返しますし、国が一つに纏まらないからです。なので、実は今回のお話で信勝も殺す予定として入れていましたが、もし殺したらその後のお話が纏まらなかったので、助命という形にしました。
長文且つ偉そうに述べてしまい、大変申し訳ございません。皆さんはどう思いますか?
では、また!!