規格外の風、その名はマルゼンスキー。   作:蒼井みこと

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マルゼンスキーを発見したものの、彼女の心は折れかけていた。
それを知らずに会話をし決裂寸前となってしまった。
しかし、彼はマルゼンスキーがたくさんの人々に支持されているかを知る。
一方トレーナーを突き放すような事を言い悔やむマルゼンスキー。
果たして彼らはまたお互い分かり合い、レースの舞台に立つことが出来るのか-。


第13レース.復活のスーパーカー。

翌日、俺は理事長から許可を得て休暇をもらった。

後に理事長、シンボリルドルフから話を聞いたところ出走には運営側から「マルゼンスキーがどれだけ支持されているかを知りたい」とのこと。

......しかし、そんなことクリアするにはどうすればいいものか......そのことよりもマルゼンスキーの気持ちを分からずにあんなことを言ってしまったことが引っ掛かってしまっている。

 

 

「トレーナーとして.......失格だな、俺...」

 

 

俺は辞職願を書いていた。担当のウマ娘の気持ちのことも考えられないのならトレーナーをする資格がない...そう思いながら書いていた。

―そんな時、携帯に電話がかかった。

 

 

 

―一方、トレーナーがそう思っている違う場所でマルゼンスキーもまた悔やみ、母親に電話をかけていた。

 

 

『あら、あなたから電話かけてくるなんて珍しいじゃない。どうしたの?』

 

「お母さん.....あのさ.............あたし......」

 

『......その様子だと今のあなたの気持ち、お母さんよく分かるわ。思いきって話なさいな』

 

「あたし......うっ........くっ........トレーナーちゃんに........」

 

 

あたしはトレーナーちゃんに言った事に悔やんでいた。

トレーナーちゃんは何も悪くないのに....大好きな人を悲しませてしまった。

 

 

「酷いこと.......奇跡を........信じる....バ、カだ.......て言っちゃった.............うぅっ......」

 

『奇跡を信じるバカ、ねぇ......ねえマルゼンスキー、どうしてトレーナーちゃんが奇跡を信じているか、分かる?』

 

「え......?」

 

『確かに"奇跡"って信じれないかもしれないけど...あるものなのよ?』

 

『今、あなたはなぜそこにいるの?なぜ、あなたは今のトレーナーちゃんと出会ったの?』

 

 

あたしはお母さんの言葉を聞いて気付いたものがあった。...あたし、今まで気付いてなかったんだ。

 

 

『分かったみたいね。...そうよ。あなたが今まで断ってきたトレーナーさんと違う、あなたを理想なステージに立たせてくれるトレーナーと出会ったこと......それが"奇跡"っていうのよ。マルゼンスキー』

 

「トレーナーちゃんとの出会いが......そう、そうなんだ......!あたしみたいなターフを楽しく走ること...後輩ちゃんの夢を背負って来たあたしを支えてくれたのも......!!」

 

『そう。自分では気付かないうちにたくさんの"奇跡"に恵まれてるのよ♪だから必ずまた"奇跡"は起こる......トレーナーちゃんとしっかり頑張って、後輩達だけじゃなくあなたの活躍......お母さんにも見せて!』

 

「ありがとう....お母さん.......!......よぉし!!さっそくトレーナーちゃんとまた頑張らなくちゃ!」

 

 

あたしは学園へと走る。......トレーナーちゃん、あたしよりあなたの方がずーっと大人なんだね....!!

 

 

―一方、時を同じくして学園屋上。

 

 

「正気かお前......トレーナー辞めるって...!」

 

「ああ......担当ウマ娘の気持ちを分かってやれない、ライバルのウマ娘に勝つために無茶させるようなやつにはトレーナーの資格は無いって思ったんだ。.....だから.....」

 

「はあ......お前っていらねぇとこにバカ真面目だよなぁ...」

 

 

その時俺の頬に拳が飛んできた。...それは秋山のものだ。だが、その痛みは怒りからのものではない。そんな気がした。

 

 

「お前、マルゼンちゃんとなんで契約したんだ?お前の覚悟ってそんな生易しいもんなのかよッ!!お前があの娘と契約をした以上、お前も背負わなきゃいけねぇものがあんだよッ!!それが何か分かっか?あぁ!?」

 

「っ.......!!」

 

 

背負わなきゃいけないもの.......?

 

 

「お前が契約したってことはな、あの娘がこの学園に背負って来た"夢"をお前も叶えなきゃいけねぇッ!!ウマ娘とトレーナーは一心同体だってこと、わかんねえのか!?それもわかんねぇで"奇跡"だ?ふざけんのも大概にしろよ、なぁ!?」

 

「夢......そうだ......そうだったんだ......俺はそれに気付いて......!!」

 

「便乗ッ!秋山君の言う通り、ウマ娘とトレーナーは一心同体だッ!」

 

「そう、その"夢"は彼女だけのものじゃない。君もそれを共に叶える事...」

 

「"夢"を叶えるウマ娘、トレーナーこそが学園の...理想なんですっ!!」

 

 

その声を聞き、振り返ると秋川理事長、シンボリルドルフ、たづなさんが立っていた。

 

 

「俺......バカでした......そうなんだよな......マルゼンスキーの夢は...俺にとっても叶えなきゃいけない夢なんですよね.......!!」

 

「やっと分かったか、バカ!!」

 

 

そうだ、あの娘の背負って来た"夢"は俺は叶えなきゃいけないんだ.......!!

 

 

「トレーナーちゃあぁぁんッ!!!」

 

「えっ....?うわっ!!!」

 

 

俺に向かってマルゼンスキーが飛びかかり、俺に覆い被さった。

 

 

「マルゼンスキー!?どうして...!」

 

「ごめんねトレーナーちゃん、昨日あなたの事バカ呼ばわりして......!!」

 

「俺こそごめん....気付くべき事に気付けなくて....」

 

「お母さんに教えてもらったの......あなたのような最高のトレーナーに会えた事こそが"奇跡"なんだって!!」

 

 

マルゼンスキーの顔は昨日のようなものじゃなくいつもの......いや、それ以上に見たことのない今広がる青空のように優しい笑顔だった。

 

 

「俺もさ、ここにいる皆に教えてもらったんだ。君が.....ウマ娘とトレーナーは一心同体...背負って来た君の夢は俺の夢、一緒に叶えなきゃならない"夢"なんだって!!」

 

「あたしと.........夢、叶えてくれるの?」

 

「もちろん......俺もその夢を叶えたい......もし、出走出来たら一緒に叶えよう!!」

 

「フフ.....ではさっそく!朗報ッ!!」

 

 

理事長は持っている扇子を広げ、満面な笑顔を浮かべ高らかに笑う。

 

 

「運営側から、マルゼンスキーさんのレースの出走許可が下りたんです!!そして運営側からも『これからも頑張ってほしい』とお声をいただきました!」

 

「やった.....!!やったわトレーナーちゃんっ!!」

 

「あ......ありがとうございます!!理事長っ...!!」

 

「いいやっ!感謝すべき相手は私じゃないんだッ!!シンボリルドルフ君、頼むッ!!」

 

 

シンボリルドルフはスマホを操作し、俺たちにウマチューブの1つの動画を見せた。

 

 

『ハァイ♪皆さん!毎日楽しいデスか?タイキシャトルでぇす!!』

 

 

「この娘確かウチの学園の......!!」

 

「タイキちゃん!!タイキちゃんよっ!!」

 

「彼女が人気ウマチューバーだったことが運営を動かす決定打になったんだ。動画を最後まで見てほしい...」

 

 

『今、ニュースでもスゴいお話になってるマルゼンさんのお話!皆さんはどう思ってマスか?』

 

『私は嫌デス!だってマルゼンさんはスゴい人なんデスよ!負けたことが無い!とってもナイスなスーパーカーさんなんデス!!』

 

『皆さんもそう思いまセンカ?これからもまた負けることがないビッグなウマ娘として頑張って欲しくないデスか!?だからこそ、私は皆さんにお願いしたいことがありマァス!!』

 

 

タイキシャトルの同じウマ娘としての仲間思いなところがとても伝わる。流れているコメントを見ると...

 

『マルゼンスキーにもっと頑張ってほしい!』

 

『スーパーカー、 またあの速さを見せてくれ』

 

『無敗伝説をもっと見たい』

 

『マルゼンスキーがレースにいないとつまらないやん!!』

 

『Maruzensky Good luck!!』

 

『I want to see Maruzensky again!!』

 

そのコメントはマルゼンスキーを応援しているのは外国のものもあった。

 

『ワタシだけの力じゃマルゼンさんをまた走らせるのは無理デス...だからこそ、皆さんのサポートも必要なんデス!!』

 

『マルゼンさんを応援する声をいろんなところに住んでいる皆さんの声が聞こえればまた走れるはずだと思いマス!!』

 

『皆さん!フォローミーーー!!!』

 

 

そうして動画が終わった。再生数は億を越え、コメント数も1000は軽くあった。

 

 

「ウマッターの運営のアカウントを見てくれ」

 

「ええっと.....な、なんだこりゃ!!?」

 

「コメント数が.......スゴい.........!!」

 

 

タイキシャトルの声がいろんな人に届いたのか運営へマルゼンスキーの出走を促すコメントが読みきれないほどにあった。

 

 

『マルゼンを日本ダービーに出走させろ!理由もまともに知らせてないのにふざけんな!』

 

『マルゼンスキーを見たくていつもいろんな地方に飛んで応援に駆けつけてます』

 

『マルゼンスキーがいない日本ダービーは盛り上がりに欠けると思うぞ』

 

『マルゼンスキー日本ダービー出走不可避』

 

 

「タイキシャトルさんはとても仲間思いのウマ娘なんです、きっと彼女の声がここまでの影響を与えたのでしょうね!」

 

「感動ッ!彼女には礼をせねばならんなッ!!...しかし、だッ!!」

 

「日本ダービーを含むこれからのレースの出走許可が下りたがマルゼンスキーは今回の日本ダービー...大外枠出走が条件、だそうだ」

 

 

大外枠―それはおそらくマルゼンスキーにとってはかなり不利になる。...そもそも全ての距離のロスは相当なもの。そうなれば逃げを特化とするマルゼンスキーの負担もまた大きい。

 

 

「大外枠かぁ~......ウフッ♪大外枠でも構わないわ!!だって、また楽しいレースに出ることが出来るんだもの!それに......あたしには最高のトレーナーちゃんがついてるんだものっ♪」

 

「マルゼンスキー...!!」

 

「感激ッ!ウマ娘とトレーナーとの熱い絆ッ!これこそがトゥインクル・シリーズに必要なものだッ!!活躍を期待してるぞ!マルゼンスキー君ッ!そしてトレーナー君ッ!!」

 

 

こうしてまた俺とマルゼンスキーのトゥインクル・シリーズへの挑戦、"夢"を叶えるための戦いの幕が上がった。今度の俺たちは......前とは違うッ!!

 

次回へ続く-。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回のお話はいかがでしたでしょうか?蒼井みことです!
とうとう、マルゼンスキーがまたレースの舞台に立つことが出来ることになりました。
この物語をにあたっていろいろ考えましたがなかなかアイディアが浮かばないなかドラマ『マイボスマイヒーロー』のBGMを聞いて閃き、このストーリーが出来上がりました!
さて、次回は史実を超えた日本ダービー戦!!はたしてマルゼンスキーは勝利を掴むことができるのか!?
それでは、次回もお楽しみに!
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