規格外の風、その名はマルゼンスキー。   作:蒼井みこと

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日本ダービーへの招待券は渡された。
だがその参加条件は大外枠という、あまりに過酷なものであり、マルゼンスキーには圧倒的不利なものである-。
そして始まる日本ダービー。しかしその出走ウマ娘の中にいままでとは比にならないような存在-"皇帝"がいた。


第14レース.カケル、日本ダービー。

あれからマルゼンスキーと新たにトレーニングを重ねてきた。

しかし、今回の日本ダービー出走条件は逃げでありながら大外枠......運営側はマルゼンスキーが大外枠でもあの走りを出来るかを見たいらしい。

そしてなによりも驚異なのは"皇帝"シンボリルドルフが出走することである。

 

―私もこの日本ダービーに出走するんだ。マルゼンスキー、トレーナー君。君たちの活躍を期待するよ―

 

マルゼンスキーはいつもよりも元気にトレーニングに励んだ。1日にするトレーニングを終えても追加のトレーニングを願うほどだった。

 

―前日の夕方。

 

 

「よし、明日は大事なレースだし今日はそろそろ終わろう」

 

「ふぅ~♪今日も頑張ったわね、あたしたち!」

 

 

マルゼンスキーは疲れているにも関わらず笑顔を決して絶やさない。だが一目見れば分かるほど疲れが溜まっているようにも見える。

 

 

「マルゼンスキー、今日はもうゆっくり休みなよ。最近無茶してないかい?」

 

「全ッ然平気よ!...あら、もしかしてお姉さんのこと心配してくれてるのかしら?」

 

「そりゃ.....俺は君には万全な状態で頑張ってほしいんだ」

 

「だって.....叶えたいのよ、あたしの...いえ、あたし達の最高の"夢"を、ね?」

 

 

そうだ。彼女の夢は......俺の夢でもある。そして俺もまた彼女と共に叶えたい夢だ。彼女と俺の夢はもっと大きなものになった。

 

"後輩だけじゃない、全ての人たちに最高の走りを見せること―"

 

「この間はごめんなさい、実はあの後後輩ちゃんからも怒られたの。"そんなことで終わる先輩じゃない"ってね......でもまた走れることが出来て嬉しいわ」

 

「俺もさ......もし、あのとき出走許可下りなかったらここのトレーナー辞めようって考えてたんだ。どうせなら、ここを離れる君と一緒に君の前の学校でやってこうっても思ったんだ」

 

「あらあら、嬉しいこと言ってくれるわね♪そこまであたしに力を尽くしてくれるなんて......正直、自分でも分からないけどあたし...あなたといるとなんか自信が湧くの。その...ドキドキするって言えば良いのかしら?」

 

「え、それってどういう.....?」

 

 

マルゼンスキーは俺の唇に指を当てる。

 

 

「あたしを知るのはここまでっ!もっと知りたいなら......最高の走りを皆に見せてから、ね?」

 

 

―そしてレース前の控え室。

 

 

「とうとう......この時が来たわね!!」

 

「ああ......そうだな!」

 

 

ニュースでもマルゼンスキーの出走が決定したと報道され、ウマッター、ウマチューブでも大盛り上がりだった。

そしてそれと同時にシンボリルドルフの出走も話題になっていた。

 

『あの皇帝も出走するんだろ?スーパーカーと皇帝がやり合うとか最高すぎだろ!』

 

『どっちが勝つだろうなぁ。皇帝の走りは今まで他のウマ娘に勝ちを譲ったことないからさすがのスーパーカーでも難しいよ』

 

『いやマルゼンも結構やばいぞ?今まで無敗、さらにスプリングSのときとか測るのが馬鹿馬鹿しくなるような距離離して勝つ強さだぞ?』

 

『最強と最強...どっちが勝つか気になるッ!!』

 

どれだけマルゼンスキーとシンボリルドルフが支持されているかがよく分かる。

 

 

「ねえトレーナーちゃん。今回は何か作戦とか、無い?」

 

「いや、もう作戦とかはいらないよ。君が......君が好きなだけ楽しんで走ってくれる事が...俺としても嬉しいんだ」

 

「あらあら........分かったわ、でもあたしだって負ける気なんて毛頭ないわ。必ず1着を取ってみせる...あたし達のためにも......後輩ちゃんやお母さんのためにも.....!!それじゃ、行ってくるわ♪」

 

 

マルゼンスキーは嬉しそうにレース会場へ向かっていった。

 

 

そして観客席。パドックでの盛り上がりは凄まじいものだった....実況もマルゼンスキーの出走にテンションが上がっていた。

俺と秋山は合流してレース場の方を見ていると思いもしない人物が現れる。

 

「よく復帰できたな、マルゼンスキー」

 

「尾崎先輩...来てたんですか」

 

 

俺の横に並んだのはあのエリートトレーナー、尾崎だ。

 

 

「スカウト失敗したウマ娘にまだ未練でもあるんすか?」

 

「おい秋山....口が悪すぎだろ。そんな挑発的なこと言わなくても....」

 

「何を言っている?このレースは私にとっても重要なものなんでね。......しかし、君はスゴいな。新人でありながら担当ウマ娘を日本ダービーの舞台に立たせるとはトレーナーとしてのスゴい才能を持っているのがよく分かるよ」

 

「ありがとうございます。先輩にそう言ってもらえて光栄です」

 

 

さすがエリートトレーナーと呼ばれるだけある。

雰囲気もそうだが、エリートといえど他社を見下さない姿には憧れを抱く。

 

 

「相手にとって不足はない。といったところか......」

 

「え........?」

 

 

俺は先輩のその一言に予感がした。まさかシンボリルドルフの担当トレーナーって...

 

 

「私もシンボリルドルフと共にここまで歩んできた身だ。あの2人の作る伝説を見届けようじゃないか.....!」

 

「まさか会長の担当トレーナーって....!?」

 

「彼女の担当は私だ。驚くほどの彼女達の才能......"皇帝"と呼ばれたシンボリルドルフと君と共に歩んだ規格外の才能を持つ"スーパーカー"マルゼンスキー...お互い最強のウマ娘担当トレーナーとしてのプライドを掛けた勝負だ」

 

「......望むところです!!」

 

 

 

時を同じくレース場。

 

(とうとう......日本ダービーに立つことが出来たのね.....!!)

 

 

マルゼンスキーは日本ダービーに出走出来ること-そして観客席からの歓声に心を踊らせていた。

 

 

「マルゼンスキー、気分はどうだ?」

 

「あら、ルドルフ!あなたも調子どう?」

 

 

話し掛けてきたのはシンボリルドルフ。その姿はまさに強者の雰囲気を醸し出している。

 

 

「私は最高な気分だ......!いろいろなことがあったが、こうして君とこの大舞台でレースが出来るんだ。君の素晴らしい走り...この目と体にしっかりと焼き付けさせてもらうよ」

 

「フフッ♪あなたもそうなのね!あたしも......夢にも見なかったわ。たくさんの仲間に......トレーナーちゃんがいなかったらあたしあの時折れて前の学校に帰っちゃってたかもしれないわ。それにそもそもトゥインクル・シリーズにすらも出てないかも、ね?」

 

「フッ...君のその仲間に感謝を忘れぬ気持ち、ぜひ他の生徒たちにも教えてやりたいものだ。.......さあ、始めようか!!」

 

 

彼女たちはそれぞれの枠に並んだ-。

 

 

『晴れ渡る空が広がる東京レース場芝2400、18人のウマ娘が挑みます!』

 

『3番人気箱の娘です、14番ソードラマティック、2番人気はこの娘です。グランプリを制し数多のファンから出走を望まれこの地に立つ"スーパーカー"マルゼンスキー!!』

 

『そしてスタンドに押しかけたファンの期待を背負って三冠ウマ娘..."皇帝"シンボリルドルフ!!1番人気です!』

 

『火花散らすデッドヒートに期待しましょう!!』

 

『各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました』

 

 

(さあ、マルゼンスキー。私と君、"皇帝"と"スーパーカー".....どちらが速いか-)

 

(勝負よ、お互い不敗のプライドを賭けて-!!)

 

 

そしてゲートが開き、各々の思いを胸に走り始める。

 

『今スタートが切られました、各ウマ娘揃ってキレイなスタートを切りました!』

 

『これは位置取りが熾烈になりそうですッ!!』

 

 

時を同じく観客席-。

 

 

「始まったな...マルゼンちゃん大外枠っつっても18番はちと厳しすぎだよな~....」

 

「逃げの娘にとって18番はさぞキツいものであろうな......逃げの場合先頭を取ってからが真のスタートラインだからな」

 

確かに今回の大外枠はかなりのハンデになる。前に出れたとしたも体力は相当使うが大丈夫だろうか-?

 

 

『先行争いはマルゼンスキー、トンボロ、ポルカステップ!』

 

『期待どおりの結果を出せるか?1番人気シンボリルドルフ!』

 

『マルゼンスキー、大外枠だが前へと出ることが出来るか!?』

 

(確かにマルゼンスキーみたいに逃げのウマ娘には大外枠はあまりに不利だよな......)

 

「マルゼン君に大外枠は不利だ、そういう顔をしているな」

 

「先輩、顔でわかるんスか!?」

 

 

なんと、俺が考えていたことを当てた。...秋山、お前がなぜ驚くのかこっちが逆に驚きたい。

 

 

「分かるさ。なんといっても彼女は逃げ特化のウマ娘......本来ならば圧倒的に不利と思われる。逃げは前を取らなければならない......出遅れ、なんてことがあれば命取りになるといっても過言ではない」

 

「だが、彼女は別だ。"規格外"、"スーパーカー"の異名を持つ娘だ......スピードだけを取ればいま走っているウマ娘のなかで別格。シンボリルドルフでもさすがに勝てないかもしれない。...一般では『逃げの外枠は不利だ』という考えが多いかもしれないが外枠の方が有利ということもある」

 

 

時を同じくマルゼンスキー―。

 

 

(やっぱり大外枠で前を取るのは大変ね......あれ?でも、なんか走りやすいんじゃ......?)

 

 

マルゼンスキーにはなにかに気づいた。大外枠は前を取るのは体力を使う。しかし、彼女は違和感に気づいていた。

 

(そうか........分かったわ!!外枠って意外と......!!)

 

 

―トレーナー視点。

 

 

『マルゼンスキー!!大外枠でありながら驀進ッ!!先頭へと躍り出た!!』

 

「前に出ていった...!?それも簡単に......!」

 

 

マルゼンスキーのその顔はまさに強者と呼べる自信に満ち溢れたものだった-。

 

 

次回へ続く-。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回のお話いかがだったでしょうか!?蒼井 みことです!
気づいたらもう10話以上書いてたことに気付いておったまげ!(笑)
ここで皆さんにお詫びをしたいと思います。
現在、私蒼井 みことはYouTubeの活動と小説を書くことを両立してるのですが中々それが難しく投稿が少し遅くなったりします......とはいえど、投稿時間は毎度19時予定なのでこれからも見てくださればなと思います!
それでは、次回もお楽しみに!
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