規格外の風、その名はマルゼンスキー。   作:蒼井みこと

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レースの幕が開いた。皇帝とスーパーカー、この2人のレースに観客の心は期待に満ちていた。
お互い不敗であり、おそらく最強のライバル-。
勝つのは皇帝か、それともスーパーカーか。



第15レース.皇帝とスーパーカー。

『マルゼンスキー!快調に飛ばしていきます!』

 

(最初は大丈夫かな?って思ったけど,..!)

 

『さあ、大外枠から一気に飛び出してきたのはマルゼンスキー!』

 

「これはこれで......悪くないわねっ!!」

 

マルゼンスキーはいつものようにターフを駆け抜ける。

 

(さすがマルゼンスキーだな。大外枠でありながらあの速さは目を見張るものがあるな...)

 

シンボリルドルフは後方からマルゼンスキーの様子を観察していた。

 

 

一方、観客席へ―。

 

「私は君に聞きたいんだ。君はなぜ、マルゼンスキーを選んだ?」

 

「それは......」

 

正直、理由を聞けばベテラントレーナーほどあきれるかもしれない...単純なものだから。

 

「俺、あの娘の楽しく走っている姿に惹かれたんです......トレーナーを欲しがる娘たちや成績を収めるために必死な娘たちとは違う...楽しく走ることを重視する姿こそが俺的には本来のウマ娘なんじゃないかって思うんです」

 

それを聞くと尾崎トレーナーは高らかに笑う。

 

「あの、なんか俺...変なこと言いましたか?」

 

「いやいや、失礼した。...しかし君は変わっているな。実に変わっている.....」

 

「先輩、別に俺ァおかしいことこいつが言ってるようには思えませんがねぇ?」

 

「秋山」

 

尾崎トレーナーは笑うことをスッと止める。

 

「おかしくはない。新人でありながらベテラン...いや、名トレーナーのような考えを持っていて驚いている。......むしろ尊敬するくらいだ」

 

「数多のトレーナーのスカウトを断ってきたマルゼンスキーが君を選んだ理由...分かったような気がするよ。実に興味深いな。さて、レースも中盤となったわけだが...」

 

『さあレースも中盤、相変わらず先頭はマルゼンスキー!後ろとの差は3馬身ッ!!スーパーカーのエンジンは常に他よりも優れているのかッ!!』

 

4番手で様子を伺っていたシンボリルドルフは動き出す。

 

(そろそろ仕掛けるか...)

 

「レースに絶対はない...しかし、私もまた"皇帝"と呼ばれたウマ娘。王者になる者にはそんな優しい言葉などはない........絶対というまのを見せよう!!」

 

『おおっと!シンボリルドルフッ!!一気に加速していく!!マルゼンスキーとの差が縮まっていくぞッ!!』

 

(ルドルフがスピードを上げてきた....まだ中盤なのよ...!?)

 

『逃げる!スーパーカーは粘る!!だが皇帝はそれを上回るスピードで差を縮めるッ!!』

 

(嘘っ!?こんなところでスパートなんてかけたら最後に絶対疲れが回ってくる....!!)

 

マルゼンスキーは後ろから迫る"皇帝"からのプレッシャーと心の中の焦りが混じり動揺する。

 

『シンボリルドルフ!!ここで抜け出したッ!!やはり皇帝にスーパーカーは叶わないのかッ!?』

 

「そんなっ.....!!」

 

「悪いが、このレース....勝たせてもらうぞ!」

 

―一方観客席でもこの瞬間に騒然となった。

 

「おいおいマジかよ、スーパーカーが抜かれたぞ!?」

 

「やっぱ皇帝には敵わないのか~....」

 

「いやいや、まだまだゴールまで距離はあるぞ!!」

 

「まだまだ!諦めるなマルゼンスキー!!」

 

確かにまだゴールまでは距離はある。だが、シンボリルドルフは少しずつマルゼンスキーもの距離を離していく。

 

「どうやら、勝負はついたかもしれないな」

 

「嘘だろっ!?あの規格外って言われたマルゼンちゃんがあんな簡単に抜かれちまうなんてっ!!」

 

(そろそろ終盤だ.......逃げを選んだウマ娘が抜かれたらまた抜き返すのは難しい.....!!俺にできることは...!)

 

―一方マルゼンスキーは絶望していた。シンボリルドルフがあそこまで速いとは予想もしてなかったからである。

 

(皇帝って言われてるから速いのは知ってたけどあそこまでなんて........いやよ、あたしだってまだ...!!)

 

「諦めたくないッ!!!」

 

『マルゼンスキー!規格外の末脚ッ!?さらに加速していきます!!』

 

(あたしだってスーパーカーなんてイケイケな名前付けられてるんだもの...諦めるもんですかっ!)

 

「マルゼンスキー!!」

 

「トレーナーちゃんの声...!」

 

「勝つことを重視するな!!君なりに楽しむんだ!今を!!」

 

このトレーナーの言葉はシンボリルドルフにも聞こえていた。

 

(フフッ...彼を選んだのは間違いないよ、マルゼンスキー。わたしのトレーナーとは歴が違えど同等のレベルだ!)

 

『残り400ッ!!勝負の展開が読めない!勝つのは皇帝か、スーパーカーか!?』

 

「スパートいっちゃうわよ♪ルドルフ!!」

 

「望むところだ!!そろそろ決着を付けよう!」

 

(まだ200はある...イケる!!!)

 

『残り200ッ!マルゼンスキー、シンボリルドルフと並びかけてきたッ!!先頭を走るのは皇帝か!スーパーカーか!?』

 

マルゼンスキーはシンボリルドルフと並ぶ。だが、シンボリルドルフもそれと同じ速さで走る-。

 

『マルゼンスキー、シンボリルドルフ同時にゴールッ!!これは写真判定となります』

 

会場はざわつき始める。あのゴールドシップとレースをしたときと同じような状態だ。

 

『これは.....ッ!シンボリルドルフ!シンボリルドルフがハナ差でゴオォォォォルッ!!やはり皇帝は強かった!!』

 

会場は一気に歓喜の声が上がった。シンボリルドルフを称える声の中にはマルゼンスキーの声もたくさんあった。

 

『マルゼン-!今回もすげぇレースだったぞ!!』

 

『久々にヒリヒリしたレースだった!2人とも最高だったぜ!!』

 

『これからも頑張って2人ともーっ!!』

 

「さすがね、ルドルフ♪皇帝の名は伊達じゃないって感じだったわ!」

 

「君も素晴らしいよマルゼンスキー、ウマ娘を超えた皆が言うようにスーパーカーに追われているような気分だった...!!」

 

マルゼンスキーとシンボリルドルフが握手を交わすと会場はさらに盛り上がった。

 

「どうやら今回はシンボリルドルフの勝ちだったが....だが君とマルゼンスキーの絆、よくわかった素晴らしいレースだった。もし今度また機会があればいいな」

 

「ありがとうございます。今回は負けましたがもし再戦できる時が来ることに備えてマルゼンスキーとお互いトレーニングに励みます...!」

 

「君は......素晴らしい才能を持っているよ、必ず君たちはこのトゥインクル・シリーズに伝説を残せるほどに強くなれる。頑張れよ......!」

 

 

 

-そしてウイニングライブが終わり、マルゼンスキーと合流した。

 

「お疲れ山!マルゼンちゃん!!今回もめっちゃすげぇレースだったよ!」

 

「ウフ、ありがと♪あたしもいま最高な気分だわ!

 

「あ、そうそうトレーナーちゃん!このあとちょっとあたしに付き合ってくれないかしら?」

 

「え、ああ、いいけど」

 

「げえ、マブい子とデートかようらやましいねぇ...俺もゴルシとすっかなぁ...」

 

「いいわねぇ、秋山ちゃんも楽しみなさい!せっかくの人生だものぉ~♪」

 

こうしてマルゼンスキーは今回は1着は取れなかったものの、"皇帝"シンボリルドルフとのレースはまた一つの伝説となった-。

 

次回へ続く-。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回も作品を読んでくださりありがとうございます!そして投稿が遅れてしまい申し訳ありません、蒼井みことです。
さて、今回はマルゼンスキーに初めての黒星が付いてしまうわけですが...本来なら無敗のまま引退してしまいました。
しかし、その最強クラスになる馬、もしくはウマ娘にも必ず敗北がありそれがあるからこそだと思います!

後、皆様にお知らせがあります。
次回から読みやすくするためセリフに名前を付けたいと思います。例にすると

マルゼン「」や、トレーナー「」のような感じとなります。

それでは、今回は少し話が短いですがまた!
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