しかし、マルゼンスキーはその黒星が付いたレースを次のレースの糧としトレーニングに励む。
そんななかクリスマス、トレーナーはマルゼンスキーの誘いでクリスマスパーティーに参加する―。
日本ダービーを終え、12月後半。
有馬記念にも出走はしたものの結果は3着。彼女は笑顔で「大きな舞台で楽しく走れたんだから、勝ち負けは気にしてないわ♪」と喜んでいた。
その負けを糧にし、マルゼンスキーと3月にある大阪杯に向けてトレーニングに励んでいた。
マルゼン「ねね、トレーナーちゃん?」
トレーナー「ん?どうした?」
マルゼン「いやその...トレーナーちゃん、クリスマス暇かなぁって.......いや、忙しいのなら気にしないでっ!」
珍しくマルゼンスキーがおどおどとしている。
トレーナー「いや、特に予定はないよ。秋山はゴルシとなんか過ごす約束してるみたいだしなおさらさ」
マルゼン「そうなの!?」
トレーナー「いやマルゼンスキー近い近いっ!?」
マルゼン「それならさ、あたしスペちゃん達と一緒にクリスマスパーティーやろうってことになってるんだけどどう!?トレーナーちゃんも一緒に!」
クリスマスパーティーか。なんやかんやで子供の時からずっとやったことなかったな―。
トレーナー「いいのか?君たちのパーティーに俺みたいなトレーナーが一緒になっても...」
マルゼン「問題ナッシング♪大歓迎よっ!スペちゃん達もクリスマスだけは寮も門限無いからあたしの部屋でやる予定なのよ~、ちゃ~んと予定開けといてね?」
ウマ娘のなかにトレーナー一人だけってのもなかなか違和感があるものだが、この際だ。ありがたく参加させてもらおうかな。
クリスマス前日―。俺はマルゼンスキー達のクリスマスプレゼントを求め出掛けている。
トレーナー「う~ん...イマイチ分からないな。女の子にプレゼントなんてしたことないぞ.....?」
一応、この間秋山にこの事を聞いてみたものの...
秋山『んなこと聞かれてもなぁ.....そうだ、ブランド物の財布とかどうよ?多分喜ぶはずだぞ!あ、俺はゴルシになにをって?.......そういやあいつに何あげればいいんだろうな...』
トレーナー「あまりアテになる情報が無かったな...どうすればいいんだ...?」
???「そこのお兄ちゃん、もしかしてクリスマスプレゼントで迷ったりしてるのかな?」
その声に振り向くとその声主は小柄で並大抵の人間では敵わないほどに可愛らしいウマ娘だった。
トレーナー「君は?」
???「私はカレンだよ!カレンチャン!あなたトレセンのトレーナーさんでしょ!確かぁ....そう、マルゼン先輩の!」
俺もまあ有名になったもんだなまだまだひよっこ新人トレーナーだってのに......いや、今こうなのもマルゼンスキーがいたからこそなのかな。
カレン「やっぱそうだよね!お兄ちゃん、結構有名なんだよ!新人トレーナーと思えないくらいすごいって!あぁ~、カレンもお兄ちゃんの担当ウマ娘になりたいなぁ~」
トレーナー「お、お兄ちゃん....!?」
カレン「あ、ごめん!気にしないでよっ!あの、もしよかったら...マルゼン先輩の次でもいいからカレンのトレーナーになってよ!」
トレーナー「ま、まあいいけど...まだ先になるけどそれでもいいなら」
カレン「やったぁっ!...それで、お兄ちゃんは何を探してたの?」
俺はカレンチャンにクリスマスのプレゼントの事について話した―。
カレン「なるほどねぇ~、クリスマスのプレゼントかぁ....分かった!カレンに任せてっ!」
そして俺はカレンチャンのアドバイスを聞きながらクリスマスプレゼントを集めた。
そしてクリスマス当日―。
秋山「しかし寒くなったな~おい..これじゃカイロ何個あっても足りねぇぞ...?てか、お前寒くねえのかよ!?」
トレーナー「まあ元はといえば俺は雪国出身だからな、慣れてるよ。......お前が寒がりなんだよ」
雪の予報が出ているものの、さすがは東京。極端に冷えるが雪が降らない。
秋山「さて、今日はゴルシにクリスマスだからトレーニング休みにしたけど.....イデデデデデデ!!」
秋山の腕をガッシリ掴んでいるその先はいつの間にかゴールドシップがいた。
ゴルシ「なにやってんだよオメー!今日はアタシとデートの約束だろ!!」
秋山「誰もデートなんて言ってねぇだろっ!頼むからその腕を離せ!!」
マルゼン「ちゃお☆秋山ちゃん、トレーナーちゃん!」
ゴールドシップの横にはマルゼンスキーも立っている。
ゴルシ「さあ四の五の言ってねぇで行くぞッ!!宇宙の果てまでな!」
秋山「んなとこに行けるわけねぇだろうが!!と、とにかくじゃあな!いいクリスマス過ごせよ~ッ!!」
ゴールドシップに引っ張られるようにして秋山は連れ去られて行った―。
マルゼン「さて、と。そろそろあたし達も行きましょっか♪」
トレーナー「ああ......そうだな」
俺はマルゼンスキーに連れられマルゼンスキーが住むマンションに辿り着いた。
トレーナー「で、でかい......!」
そのマンションは明らかに一般のものじゃなく高級マンションそのものだった...正直地元にそんな大きなマンションが無かったから驚いた。
そしてなんやかんやでマルゼンスキーの部屋まで辿り着いた。
マルゼン「さ、あがってあがって!こんなかわゆいお姉さんの部屋に入れるなんて滅多にないぞっ♪」
その部屋はさすが女の子、というよりは大人っぽさがある雰囲気のものだ。そしてその部屋にはクリスマスツリーや装飾がされている。
トレーナー「これ、全部君が部屋を作ったの?」
マルゼン「そうよ、ナウいでしょっ♪」
トレーナー「スゴいな、地元にいたころ友達とよくクリスマスに集まったことあったけど女の子とは一回も無いから新鮮だなって」
マルゼン「あら、そうなの?てっきり彼女とかいるのかなって思ったけど......よかった」
トレーナー「え?何が??」
マルゼン「な、なんでもないわっ!と、トレーナーちゃんはゆっくりしてて♪そろそろスペちゃん達来ると思うから!」
そしてしばらくするとインターホンが鳴った。
マルゼン「あら、来たわね♪ハーイ、今行くわね!」
スペ「おじゃましま~す!あっ、トレーナーさんも来てたんですねっ!」
スペシャルウィークに続きグラスワンダー、エルコンドルパサー、セイウンスカイ、キングヘイローが部屋に入ってきた
トレーナー「うん、マルゼンスキーに誘われてね」
セイ「おやっ、これってトレーナーさん両手に花ってやつじゃない?トレーナーさんもまたこんな可愛い子達に囲まれてハッピーでしょ!?」
トレーナー「なっ...!?」
セイウンスカイはいたずらっぽく笑う。...まあ、事実なのは事実だけど。
キング「両手にって、もしそうならトレーナー持ちきれないわよ...」
ナイス、キングヘイロー....まあそう思ってる俺も変だな。
エル「でもでも、トレーナーさんホントはマルゼン先輩の事が好きなんじゃ...イタタタタタタ!!」
グラス「エ~ル~?トレーナーさんをからかったりしちゃいけませんよぉ~?」
ふと視線を感じるなと思い、見てみるとそこにはマルゼンスキーが少し頬を赤らめてボーッとしていた。
トレーナー「マルゼンスキー...?」
マルゼン「......あっ、ごめんなさい!ボーッとしてたわ!!」
今日のマルゼンスキーはいつもと違って慌ただしい感じが目立つ。
(皆来たこともあって上がってるのかな...?)
―そしてクリスマスパーティーが始まり、大盛り上がりだった。
スペ「へぇ、トレーナーさんも地元雪国だったんですね!」
トレーナー「うん、だから寒さには少しだけ慣れてるんだ」
マルゼン「へぇ~、トレーナーちゃんスペちゃんと同じ出身なのねぇ♪てっきりシティーボーイかと思っちゃった!」
トレーナー「俺は本当の田舎出身だよ。東京と違って無いものだらけだったしね。......さてと」
俺はそれぞれのクリスマスプレゼントを渡した。
キング「あらっ!私にくれるのかしら!?ありがとう、トレーナー....!」
グラス「ウフフ.....ありがとうございます、トレーナーさん♪」
エル「今年のクリスマスは本当にいいことばかりデース♪センキューデース、トレーナーさん!」
スペ「わあっ!ありがとうございますトレーナーさん!何が入ってるか楽しみです♪」
トレーナー「マルゼンスキー、君には後で渡すからね」
マルゼン「あら♪お姉さんにもあるのかしら!子供の時依頼ねぇ......うふ、楽しみにしてるわ♪」
21時―。
スペシャルウィーク達は帰っていき、部屋にはマルゼンスキーとおれだけになった。
トレーナー「さて、そろそろいいかな?」
俺はカレンチャンからのアドバイスで買ったマルゼンスキーへのプレゼントを取り出す。
マルゼン「あら、サンタさんがあたしにプレゼントをくれるのねっ!いつぶりかしら...!」
俺はマルゼンスキーに小さな手のひらサイズのケースに入ったプレゼントを渡す。
マルゼン「えっ、これって...!?」
トレーナー「開けてごらん。俺からの日頃の感謝の気持ちだよ」
少し時間をさかのぼって―。
カレン「トレーナーさんってさ~、先輩のことどう思ってるの?」
トレーナー「どうって言われてもなぁ......」
俺にとってマルゼンスキーはとても大切な存在だ。
生徒、を越えてるかもしれない。
よく俺の部屋に来てカップ麺ばかりだと体に悪いからって料理を作ってくれたりしてくれる。
カレン「先輩、たまになんか変わった行動とかしてない?トレーナーさんを待ち受けにしてる、とか...?」
トレーナー「いやいやそれはないって.....ん?」
とある日、マルゼンスキーが部屋にスマホを忘れていた時があった。
トレーナー「あ、マルゼンスキーのやつスマホ忘れてったな...」
ワイングレーのスマホカバーが目印...そんなスマホが着信があったとき画面が映った。
トレーナー「ん?.....あ、これって......」
その画面は俺とマルゼンスキーが2人で遊園地の観覧車で撮ったものだったな。
カレン「えーっ!?それって先輩トレーナーさんのこと好きってことじゃん!!」
トレーナー「いや、それはちょっと早まった考えじゃないかな?」
するとカレンチャンは大きなため息をつく。
カレン「トレーナーさんったら乙女心分かってなさすぎぃ~!いい?女の子がツーショット欲しがるのは好きな人の写真が欲し
いってこともあるの!!それに、トレーナーさんに料理を作ってくれてるとかもう夫婦みたいなもんだしっ!」
トレーナー「ふ、夫婦っ...!?」
カレン「分かった、先輩のプレゼントなにがいいか選んであげる!!」
ーそしてマルゼンスキーはそのケースを開けた。
マルゼン「これっ......指輪じゃないっ!?」
そう、カレンチャンが彼女にたいして選んだもの...それはそこそこ高価な指輪だ。
トレーナー「本当は皆と一緒のタイミングで渡したかったけど恥ずかしくてさ...」
マルゼン「トレーナーちゃん......」
マルゼンスキーの顔が少し赤くなっていた。いつもとは違うような『お姉さん』ではなく『女の子』の顔だ。
トレーナー「ご、ごめんなんかあれだよな、その...さ、さてそろそろ帰ろうかなっ...!」
何をやってるんだ俺は。相手はあくまでも学生だぞ?告白してるわけでもないしこうなる必要もないのに体が勝手に現状から逃げようとしている。
マルゼン「......待って!」
細い腕が俺の事を抱きしめる。
マルゼン「今日だけ......ずっと一緒にいてよ。1人じゃ......嫌なの」
マルゼンスキーはさらに強く抱きしめる。...俺は一度も経験したことのない感覚に動揺する。
トレーナー「でも......いいのか?」
マルゼン「あなたの事......もっと好きになりたいから......」
マルゼン「あたし...あなたと最初に会ったときはとても面白い人だなって思ったの。でも今は違うわ......こんなあたしを大切にしてくれるしここまで連れてきてくれた...あたしも知らないうちにあなたの事が好きになってた。男の子に恋をしたのは...初めてなの。ねえ、こっち向いて...!」
トレーナー「えっ、ちょっ.............っ!?」
俺が振り向いて顔を合わせたとたん、俺の唇にマルゼンスキーの唇が重なった。
マルゼン「言わせてちょうだい、トレーナーちゃん.....好きよ、走ることよりも、なによりもずっと...!」
トレーナー「......まいったな、先越されちゃったね。......俺も好きだよ。......マルゼンスキー」
マルゼン「フフッこれからもよろしくね、あなた♪なーんちゃって!」
後日、トレーニングに来たマルゼンスキーの左手の薬指にあの指輪がついていることでしばらくの間ある噂が流れたのはまた別の話―。
次回へ続く―。
今回の物語、いかかでしたか?蒼井 みことです!
今回のお話は恋愛寄りに作ってみました!
TwitterでたまにDMにて恋愛要素が欲しいという意見がありまして...元からこの物語は作る予定だったのでいい機会だったかなって思います。次回は大阪杯、マルゼンスキーははたして勝利を掴むことが出来るのか―!
次回も、お楽しみに!