規格外の風、その名はマルゼンスキー。   作:蒼井みこと

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とある休日で互いの気持ちを知ることが出来た2人。
次のレースはG1レース―重賞。
マルゼンスキーは果たしてその初の重賞を手にする事が出来るのか―。
熱き揃いし強者達のレースが、今始まる―!


第5レース.立ちはだかる強者達。

朝日杯FS―Fのフューチャリティーは英語で「未来」、「将来」を意味するG1レース。

数多の強者と思われるウマ娘達が参戦していた。

 

 

「マルゼンスキー!」

 

「あら♪トレーナーちゃん!あたしを送りに来てくれたのかしら?」

 

「ああ、初のG1だ。緊張してないかなって思ってさ!それに...」

 

 

俺だけじゃない。ゴールドシップ、秋山も一緒だ。

 

 

「あら!ゴルシちゃんに秋山ちゃんも来てくれたの!?嬉しい♪」

 

「モチのロンさ、皆でここは応援しなくちゃってな!頑張れよマルゼンちゃん!」

 

「アタシも応援するぜっ!それにコイツらも来てんだぜ!!」

 

 

俺たちの他にもスペシャルウィーク、グラスワンダーも応援に駆けつけていた。

 

「マルゼンスキーさんがG1レースに出るって聞いてトレーナーさんに無理言って応援に来ました!!」

 

「マルゼンスキーさん、走りをしっかりこの目で拝見させていただきます」

 

 

マルゼンスキーは後輩達も駆けつけて来てくれたのを見て満面な笑みを浮かべ、口に人差し指を当てて見せた。

 

 

「承知の助!皆っ!あたしの走り、見ててねっ!」

 

「ああ!いってらっしゃい、マルゼンスキー!」

 

「行ってきまぁ~す♪」

 

 

マルゼンスキーはレース場へ走っていった。

今のマルゼンスキーなら絶対イケると自信が湧いていた。

 

 

「しかし、今回はなかなかスゴいメンツ揃ってんぞ~...なんせあのナリタブライアン、サイボーグと呼ばれているミホノブルボンが出走するらしいからなぁ...」

 

「なんだよ、マルゼンスキーを信用出来ないってのか?」

 

「.....ま、心配するまでもない、か!さあ、観客席に行こうぜ。マルゼンちゃんというマシンの性能見させてもらおう」

 

「ところでさ....お前マルゼンスキーに影響されてないか?モチのロンって....」

 

 

―時を同じくしてレース場。マルゼンスキーの気持ちはもちろん決まっている。

 

(よぉし、今日もおもいっきりかっ飛ばしていくわ!)

 

「気合い入っているな、マルゼンスキー」

 

「あらっブライアンじゃない!」

 

 

シンボリルドルフにも劣らない他を圧倒させる雰囲気と草を加えている姿が特徴的なウマ娘、ナリタブライアンが腕を組んで立っている。

 

 

「なかなか素晴らしいデビューをしていると聞いている...だが私も負けるつもりはさらさらない...お互い、全身全霊でレースをしよう」

 

「あら?あたしが手加減してこの間のレースを勝ったと思ってる?あたしはいつも全力よ♪」

 

「フッ...アンタならそうだろうな。...さあ、始めるぞ」

 

 

―そしてレースが始まった。全てのウマ娘がそれぞれの夢を抱いて走っていく。

 

 

(今回気を付けないといけないのはブライアンとブルボンちゃんね...!特にブルボンちゃんは.....!!)

 

マルゼンスキーの前を走っているのはミホノブルボン。

サイボーグと呼ばれる彼女だがレースに対し情熱を持っている。

その速さは並みのウマ娘を超えている。

 

(速いっ.....!?フフッ♪少しだけ、やばいかも.....!)

 

 

『先頭はミホノブルボン、快調に飛ばしていきます!!それに続くスーパーカー、マルゼンスキー!様子を伺うナリタブライアン!!これは熾烈なレースの予感がします!』

 

『ミホノブルボン、マルゼンスキー、ナリタブライアン共にとても素晴らしいデビューを果たしていますからね。素晴らしいレースになりそうです』

 

 

(フッマルゼンスキーめ、少しだけ余裕をかましているな。私にはわかる.....アンタは自分で気付かないだけでまだ全力を出していないことを―!!)

 

(さすがマルゼンスキーさんですね...距離が離れる事がいっさい無いとは...とはいえ私もマスターにされた以上、負けるわけにはいかない....!)

 

 

『おっとミホノブルボン、ペースを上げていきます!しかしマルゼンスキーもそれに付いていくようにして後を追う!そして後方のナリタブライアンもしっかりと食いついています!!』

 

 

(ブルボンちゃんがペースを上げたわね...さすがサイボーグと言われているだけあって素晴らしい走りっぷりだわ!)

 

 

マルゼンスキーの心の中では少しだけ焦りがあった。メイクデビューでは余裕の1着を取れたが今回はデビュー戦後のいきなりのG1レース、そして前と後ろを走っているのは強者。それらに囲まれているマルゼンスキーには大きなプレッシャーがあった。

 

 

―時を同じくして観客席から。

 

 

「あぁ~やっぱミホノブルボンとナリタブライアンが前に出てるな...お前、2人の事調べたりしてんのか?」

 

 

秋山から飴をもらい、それを口に放り込んだ。

 

 

「ミホノブルボンについてはそこそこ詳しく調べたんだ。あの子もかなりスゴい子だ。...けどナリタブライアン、あの子が特にヤバイってのが分かった」

 

「ナリタブライアン...闘争心剥き出しの獰猛な走りから"怪物"と呼ばれているウマ娘だ。なんでも、トレセン学園に来る前にも競ったウマ娘がその怪物じみた走りを見て折れてレースの途中で勝負を放棄してしまう、なんて話もあるらしい」

 

 

勝負を放棄....それはゲームで言うなら捨てゲーも同然。さぞ彼女と走った娘たちの絶望は大きいものだということが嫌でも分かる。

 

 

「トレセン学園に来てもまあ、満足いくレースが出来ていないらしくてな...常にレースに飢えているようなものだ。クラシック級で獰猛な走りもあって無敗の三冠馬「皇帝」のルドルフさん、「怪物」のナリタブライアンどちらが上かって話し合いになるレベルだ」

 

 

正直話を聞いていると段々不安になってきた。そんな化け物じみたウマ娘がいるとは...ましてやあのシンボリルドルフと同格レベルの娘に勝てるのか...?

 

「だが」

 

「マルゼンちゃんだってスーパーカーと呼ばれているウマ娘。つまり今まで公に公開されていなかったスーパーエンジンを背負ったターフを駆け抜けるモンスターマシンだ」

 

「モンスターマシン、か.....!」

 

「あっちがターフを駆け抜ける"怪物"ならこっちはターフを駆け抜ける"スーパーカー"だ。相手にとって不足はない」

 

「お前の1つの応援はマルゼンちゃんをさらに加速させるオイルだ、大声で聞こえるように応援してみろ!!」

 

一方、レースも終盤に差し掛かっている頃、マルゼンスキーは戸惑っていた。

 

(まずいわね、このレース勝てるかな...?自信無くなってきた...でも......!)

 

「こんなところで後輩ちゃんやトレーナーちゃんにカッコ悪いところ、見せられないわっ!!」

 

マルゼンスキーは残りの体力を使い、さらに加速した。

 

(フッ、マルゼンスキーめ。スパートを掛けてきたな....だが!)

 

「私もそろそろ本気で行かせてもらうッ!!!」

 

『おっとマルゼンスキーがスパートを掛けるがナリタブライアンもそれに負けじとドンドン加速していく!!逃げるミホノブルボン!会場も盛り上がってきました!!』

 

 

会場の盛り上がりは地面にも響くくらいのものだった。

サイボーグ、怪物、スーパーカーと強者が揃うならそれは必然的なものだった。

 

(2人ともスパートを掛けてきたなら...私もここで沈むわけにはいかない....!)

 

「お二人方にはお気の毒ですがここで沈むわけにはいきません...ステータス『高揚』を確認。ここで一気に仕掛けます」

 

『ミホノブルボン!スパートを掛けてきた、速い!速い!!もはや独走状態です!!』

 

「は、速いっ......!?このままじゃ.......!」

 

(やっぱあたしにはG1なんて速すぎたのかしら......トレーナーちゃん、あたし...)

 

 

マルゼンスキーの心の不安は諦めへと傾きかけていた。やはり重賞レース慣れをしている2人に勝つのは無理なのか、と。

 

 

「マルゼンスキー!!」

 

「トレーナーちゃん!?」

 

 

マルゼンスキーの耳にトレーナーの声が聞こえる。

 

 

「君がなぜ走っているんだ!!勝つためじゃない!楽しく走るからだろう!!ライバルを意識するな、今自分を縛るな!全てを出しきれッ!!!」

 

「マルゼン先輩けっぱれーーー!!」

 

「マルゼンスキーさん負けないでっ...!!」

 

「トレーナーちゃん......!スペちゃん...グラスちゃん...!分かったわ!!.....ウフッ♪」

 

『残り200!!マルゼンスキー!いや、これはターフを駆け抜けるスーパーカー!!フルスロットルだ!!速い!?これは...独走していたミホノブルボンとの距離があっという間に縮まっていきます!!』

 

「なんだとっ......!?まだ加速するのか........!!」

 

 

 

「「"規格外のスピード"に....ついてこられるかしら!!」」

 

 

 

「マルゼンスキーさんが加速していく...ステータス『焦燥』を確認....このままでは...!!」

 

 

(あたしは他の娘とは違う...楽しく走るからこそいまのあたしがいる......!!)

 

「アクセル全開!もう今のあたしを止められないわッ!!」

 

「クッ.....離されていく......これが......!!」

 

「これがっ......あの...」

 

 

"スーパーカー".......!!

 

 

『マルゼンスキー!ミホノブルボンを追い抜いたぞ!!しかしその加速は留まることを知りません!!どんどん距離を引き離していきます!!』

 

『その馬身は....4...5...速い!速い!!驚異の末脚です!!』

 

 

マルゼンスキーのその走る姿はウマ娘ではなくマルゼンスキーが乗っていたあのカウンタックそのもの。その速さは未知の領域だ。

 

 

『圧倒的な速さを見せてマルゼンスキー!今、ゴールイン!!あのスーパーカーを抑えるウマ娘は存在するのか!?2着はミホノブルボン、3着はナリタブライアン!!今回の朝日杯FSは歴史に名を刻むウマ娘が揃った素晴らしいレースでした!!』

 

「私が....負けたッ......?今までこんな悔しい思いをしたことは無かったのに....!」

 

「ブライアン...ホントに最高のレースだったわ!レースする時あったら...お互いまた全身全霊かけたレースをしましょっ♪」

 

「フン...そういうところ、アンタらしいよ。マルゼンスキー!」

 

「ブルボンちゃんも...あなたのあの速さには正直焦ったわ。...冗談抜きで負けるって思ったわ」

 

「マルゼンスキーさん...今回は負けましたが...今回の敗北を糧にマスターとまたトレーニングに専念します。...とても楽しかったです、またお会いしましょう」

 

「ええ!次にまたレースすることになったらよろしくね♪」

 

 

今回の朝日杯FSは歴史に残るような形となった。

スーパーカー、怪物、サイボーグ...この異名はますます人間、ウマ娘に広まっていった。

 

 

―そしてレースとウィニングライブが終わった後のこと。

 

 

「お疲れ様、マルゼンスキー。最高のレースだったよ!」

 

「ホント...マルゼン先輩、なまらすごいです!!」

 

「素晴らしかったです...ウマ娘とは思えないくらい驚きました」

 

「最っ高だなマルゼンちゃん!さすがスーパーカーだな...イデデデデデデデデ!!」

 

 

スペシャルウィークとマルゼンスキーの後に続いて感想を言った秋山にまたヘッドロックをゴールドシップが決めていた。

 

 

「ホントにオメーすげーよ!!...さあてあーちゃんよそろそろゴルシちゃんもメイクデビュー戦だぜ!気合い入れろよ!?」

 

「んなこと言ってお前ほとんどトレーニングっつうよりも遊んでるようなもんじゃねえかっ!!」

 

「あら!ゴルシちゃんもメイクデビュー決めちゃう?トレーナーちゃん、今度はあたし達がレース観に行きましょ!」

 

「そうだな...ゴールドシップ、楽しみにしているよ」

 

「おうよ!ゴルシちゃんがあっと驚くようなもん見せてやるからな!」

 

 

―次回へ続く。




今回の朝日杯FS戦、いかがだったでしょうか?蒼井みことです!
対戦相手にミホノブルボン、ナリタブライアンを選んだのはゲームの対戦相手として出てきたからです(笑)
他の候補としてはアイネスフウジン、ビワハヤヒデがいたのですが個人的に彼女にふさわしいのは異名を持つ者同士かなって思ったんです!サイボーグに怪物、どれもやばさを引き出してますからね!
さて次回の主役はあの「黙れば美人、喋れば奇人、走る姿は不沈艦」のゴルシのメイクデビュー戦です!
彼女の驚異の走りを、その目に焼き付けてくださいな!
それでは、次回もお楽しみに!
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