大日帝兵、我、コノ地ニテ奮戦ス   作:敗残兵

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とても遅れてしまいました。
大変申し訳ございません。


勝者の敗北

...負けた。その一言に尽きる。

俺の不甲斐のなさが人を殺す。

あの時のように.......。

 

♢

 

そう気を落とす時間など無い。

時計は動き続ける。

 

「...!!、アイツは。」

 

脳によぎったのはあの女の顔。

助けなければ!!

 

「ガ、ガァァ!!」

 

渇を入れ無理やり立ち上がる。

サーベルを地に突き立て、足の関節動かすことが精一杯だ。

 

「はぁはぁ....。」

 

16本目のモルヒネを取り出し抉るように皮膚に刺す。

 

「ふぅ...。」

 

安堵と悔しさが混ざった溜息を吐き痛みを殺し、足を動かす。ピキピキと音が鳴り響くのがわかる。

気づいていなかったが氷柱の欠片が腕に刺さっている。

「抜いてしまおう。」

 

指でつまみ引き抜く、ジワリと血が噴き出てくる。

それを嘲笑うかのように烏が見てくる。

 

「カァァ、八宮 継一郎!! 動くな! 止まれ!!!」

 

「誰が言うこと聞くと思っているクソ鳥..。」

 

無視、して通り過ぎる。

甲高い声が響きイライラする。

 

♢

 

「おい、お前、大丈夫か....?」

 

女の隊士に声を掛ける。

 

「...今、止血する。」

 

「や...め..て、たぶん....、もう..助か...らない。」

 

傷口に目を寄越す。

助かるかどうかは5分5分くらいだろう。

 

「...俺は兵隊だ。国を守る役目がある、国民を助けるのもそれと同等だ。」

 

そう言うと笑って言葉を返してくる。

 

「そうなの。あなたは優しいのね。」

 

「俺は優しくなんてない。偽善者にすら成れないクズだ。優しい者は他人を助けるために戦う。あんたみたいな人間んだ。」

 

「ありがとう。でも自分を悪く言わないでそんな人は死にかけの人間に声を掛けない。」

 

俺は思う、一人として助けられない人間が善人なのか。

目の前で自分よりも弱い人間が戦い、死にかけている。

それを助けられない俺は弱者だ。

 

「もう行って、もうすぐで増援がくる。あなたが疑われる、逃げて。」

 

「あんたは優しいな、俺は多くに人間をを殺した。それでもか。」

 

「助けようとしてくれた人が人を殺すわけがない、殺したとしても理由がある。」

 

俺は沈黙してしまった。

俺は何のために戦争で人を殺した。

仲間の命を踏み台にして生きている俺は何だ。

 

「後、これを持って行って。」

 

渡されたのは液体が入った注射器(シリンジ)

「これは、何だ。」

 

「これは― 、あなたの大切な人のために使って。」

 

「おい、待て!!どういうことだ!説明しろ!!」

 

そう言ったが手遅れだ。

後ろから人の声が聞こえる。

 

「姉さん!!」

 

遠くから女の声が聞こえる、おそらく鬼狩りだろう。

 

「もう行って!!妹が、しのぶが来るから...。」

 

「だが!!」

 

「その傷だったら、あなたも死んでしまうかもしれない。だから...。」

 

「.....了解した。だが約束する。お前が生きてたら救えたであろう人間は俺が俺が救う。」

 

「...ありがとう。」

 

俺は帽子を深くかぶり走り去った。

 

「くそ、イッテェ。」

 

包帯で止血した肩から血液が溶け出る。

 

一旦、宿に戻る。

 

「初命、居るか。」

 

鞘(さや)で布団を突く。

 

「うっとうしいよ~。後、すごく生臭い。」

 

「鬼の癖に、そんなこと言うのか?」

 

「後、他の鬼の匂いする、頭にク(・)るするから早く洗って。」

 

殺意の籠(こも)った声でそう言ってくる。

 

「怪我人に容赦ないな。とにかく、医者に診てもらうから早く鞄に入れ。」

 

「医者ってあの女?」

 

「それは娘さんだ、何かいけないか?」

 

「いけないに決まってるでしょ、あの女は私のお兄ちゃんを奪おうとするもん。」

 

「俺はお前の者じゃ無いだろ...。」

 

目の光が無くなってきている。

 

「何言ってるの今の私ならお兄ちゃんなんて簡単に潰せるよ?それでも?」

 

「でも、このままじゃ死んじまうから仕方ないと思え。」

 

そう言うと少し初命は黙り、十くらい経って声を出した。

 

「今回だけだよ。」

 

「....はあ、分かった。」

 

「でも、すぐに出てね。」

 

「わかったわかった。そうさせてもらいます。」

 

♢

 

急いで医者の所に向かったころにはすっかり夜は明け、人々は働いている。

 

「ここか、住所、合ってるよな。」

 

そう馬鹿でかい屋敷を見上げる。

 

「入っていいよな....。」

 

手を戸に掛けて引こうとする。

 

「あ、あの!!」

 

後ろから声がしたので振り返ると昨日会った女性がそこにいた。

 

「どうしたんですかその傷!!」

 

「いや、そのこれは酔っぱらいと乱闘した後に野犬に襲われてできた怪我です。」

 

「絶対噓です!どう見たって刃物で出来た傷ですよ!!」

 

「あぁ、そうだそうだ。酔っぱらいに刺されたんだった。」

 

「いったいその酔っぱらいに何したんですか!!?」

 

ズキズキ傷んですごく痛い。

 

「とにかく、手当てをするので中に入って下さい。」

 

賢美さんが奥に入っていった。

 

「父さん、怪我人、視てあげて!!」

 

そう言い、奥から懐かしい人が来た。

 

「島 衛生兵長、久しぶりです。」

 

その人は俺やその仲間の命を救った方だった。

 

「ん、あぁ、君は確か継一郎君だったかな?あの時ぶりかな。」

 

「はい、そうです。まさかこんな所に。」

 

その会話の外で賢美さんは不思議がっている。

 

「そんなことより娘さんがいたなんて。」

 

「言ってなかったかね。それにしても君は変わってないなぁ、背丈も無表情なところも。」

 

「そうですかね。だいぶ伸びたと思うんですけどね。」

 

まぁ、誰かのせいでこうなったんだがな。

 

「まぁ、家(うち)の娘も君のようなしっかりした者と結婚してほしいものだ。」

 

「そんな俺なんかが。」

 

「いやいや、君はいい人だよ。後、君のおかげで多くの仲間を死なせず済んだんだ。だが、斎藤君のことは残念だった。」

 

会話をしていたが途中で切り裂かれた。

 

「お父さん、恥ずかしいからやめて。後、何で知り合いなの?」

 

「あぁ、継一郎君はね日露戦争で一緒の壕で居たんだ。」

 

「そんな話どうでもいいから、早く手当てしてあげて。」

 

「分かったよ。後、賢美もそろそろ嫁として嫁ぐ相手を探したらどうだ。」

 

「ッ~。」

 

彼女は赤面させてどこかに行ってしまった。

 

 

 

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