夢魔が生きるオーバーロード 作:アルトリア・ブラック(Main)
今回もマーリンが最後の方にしか出てないごめんなさい。
ー帝国・首都ー
バハルス帝国皇帝・ジルクニフは墳墓に送ったワーカー達が帰還せず、その話し合いをしていた場にダークエルフの子供二人がやってきてからアインズ・ウール・ゴウンに会う為の準備を入念に重ねていた。
「まだ見つからないのか?ペンドラゴンは」
ジルクニフの言葉にロウネは慌てて頭を下げ『屋敷におらず、出掛けているようです。どこに行くとも言っていなかったようで…』と謝ってくる。
ペンドラゴンと言っても妹の方ではなく、兄の方であり、兄の名前はケイ・ペンドラゴンという。
本来、皇帝の招集にはすぐに答えなければならないのだが、彼は皇帝の命令を無視するだけの実力がある。
まぁ、基本的に彼は招集に応えて来るのだが、今回は緊急事態故に急ぎで来てもらわなければならなかった。
「全く、普段は真面目な分、こういう時に来ないのは嫌になるな」
ジルクニフの言葉にバジウッドは『まぁ、そこら辺がアイツの性格というか、仕事は仕事、休みは休みって完全に分けてるって言ってましたからね』と言う。
しばらくすると、ケイが到着したのか部下が通して来る。
「失礼します。遅くなりました」
入って来たケイは17歳という若年ながら実力は四騎士を軽く上回っている。
だが、政治関係の仕事に関しては超が付くほどめんどくさがるのだ。
敬語があれ程似合わない男はそうそういないだろう。
「これからアインズ・ウール・ゴウンの墳墓に向かう。その馬車にお前も乗って欲しいのだ」
「はい、分かりました」
淡々と話すケイにアインズ・ウール・ゴウンなる存在とダークエルフの少年二人について何かマーリンから聞いていないかと問うと『知らないですね』と返して来る。
ケイは16歳までマーリンの下で修行し、貴族としての勉強のために帝国に戻って来たようなものだ。
なので、貴族の礼儀に関しては少しだけ疎い部分もあり、たまに素の反応が見える事がある。
「陛下!馬車の準備が出来ました!」
その言葉に従い、ジルクニフが立ち上がるとその後ろにケイも着いてくる。
草原を走る六台の馬車の中の一つ、皇帝の乗っていない馬車にケイは乗っていた。
同じ馬車にはフールーダの高弟達が乗っているため、軽口を叩けないが、これから向かうところに対してケイはよく思ってなかった。
二人のダークエルフが帝都を襲った際にケイは近くにはいなかったが、地面を崩し大半の騎士達を殺した事に関して『絶対にプレイヤー関係だ』と感じていた。
マーリンから数回聞いた御伽噺、そして、アルトリアが家に帰って来た際に聞いた十三英雄の話など統合してみると絶対に『100年の揺り返し』が来たように思えた。
かつて、マーリンの結界の中にいた時にやって来たアーグランド評議国の竜王・ツァインドルクス=ヴァイシオンから聞いたプレイヤーという者達の災厄
(…話し合いが出来るぷれいやーなら良いんだけどな…)
八欲王のようなパターンだと必ずと言って良い程戦争に突入するだろう。
そうなれば、早々に帝国を切り捨ててマーリンの結界でもなんでも逃げれば良いのだが、理由なく逃げるとめんどくさいことにもなり得るので頭が痛い問題だった。
数時間走り、馬車が止まり、騎士の一人が扉を開けて来る。
馬車から降り、皇帝の横に行くと二人のメイドがやって来る。
「お待ちしておりました、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エルニクス皇帝陛下。私は皆さまを歓迎するように任せられましたユリ・アルファと申します。そして、後ろの者は私の補佐として付けられたルプスレギナ・ベータと申します。短い間となりますが、よろしくお願いします」
「これはご丁寧にありがたい」
皇帝の社交辞令に彼らは答えない。
それから彼らが適当に用意した椅子に座ろうとすると…
「さぁ、来なさい」
ユリの命令に従い、ログハウスの扉が開き、巨大な何かが出てくる。
「げぇ!」
一人の叫び声が響いた。
「馬鹿な!あれは!」
「信じられん!!ありえない!」
戦闘態勢に入ろうとする高弟達をフールーダが一喝する。
ログハウスから出てきた者はデスナイトだった。
デスナイトは防御能力に長けた35レベルのアンデッドモンスターである。どんな攻撃でもHP1で耐えるスキルを持っている。
レベル69のケイなら難なく倒せる存在だが、この場にいる四騎士には無理だろう。
「死の騎士?死の騎士とはなんだ!?爺!答えろ!魔法省の奥に言われるアンデッドと同じなのか!」
真偽を問う答えは返って来ない
(……複数召喚か…使い勝手が良いけど、職業的に召喚出来ないとか言ってたなマーリンの奴…)
それから飲み物を持って来たデスナイトにもてなされながら待っていると…
「ケイ。あのデスナイトは倒せるか?」
バジウッドの言葉にケイは横目でデスナイトを見る。
アインズ・ウール・ゴウンの支配下にあるという話だが、その気になれば倒せるだろうが…
「…倒せるが…その後のことが大変だと思うが、転移魔法で逃げるにしても陛下一人を掴んでしか逃げられないし」
アルトリアなら複数人で転移する事は出来るだろうが、ケイはそこまでの力はない。
剣に能力を全振りしているせいでもあるが
「そ、そうか…間違いなく一人なんだな」
その言葉に「魔法はそんな詳しくなくて悪いな」と返す。
しばらくするとメイドに通され、玉座の間に通される事になった。
バハルス帝国の皇帝と会うのはかなり、というか物凄く嫌だったが、これからのためにと覚悟を決め会う事になった。
あれからマーリンさんからの連絡はないが、バハルス帝国はマーリンさんのお気に入りの国だ、マーリンさんに失望されないように彼らとは同盟関係を結ばなければならない。
やって来た一向にデミウルゴスが《支配の呪言》をかけるが、皇帝と金髪の何処となくマーリンさんのNPCであるアーサーに何処となく似ている男性だけは立っている。
(…もしかして、子孫?NPCの子孫なのかな?)
《支配の呪言》はレベル40以下の者に対して作用する。
皇帝は魔法の装飾などをしており《支配の呪言》の範囲外になったのは分かるが、あの騎士だけは何もしていなかった。
それに腰から下げている剣を見て思わず眉を顰める。
「良せ、デミウルゴス」
「はっ」
とりあえず、頭を切り替え帝国との同盟の流れに持って行くために頭の中にあるセリフを頑張って伝える事に専念する。
連絡を行うための話になり、帝国側はロウネ・ヴァミリオンを置く事になったのだが…
「そこの騎士の名前を教えてもらっても構わないか」
アインズの言葉にジルクニフは「は?」と驚いた顔をしていたが、騎士と言われて指を差しているのがケイだと気づいたのか、ジルクニフがケイを前に出し
「ケイ・ペンドラゴンだ。帝国では飛び抜けて強い騎士としてあるが」
(…ペンドラゴン?やっぱり、アーサー・ペンドラゴンの子孫だよなぁ…しかも、その腰の剣って…ワールドアイテムじゃない?何ポンポンと渡してるんだあの人…)
レベルは…と見てみれば69というかなり微妙な所で止まっているが、少なくとも王国戦士長より飛び抜けて強いのは明白だ。
「ふむ、その腰の剣を見せて貰えないか?」
断られると思ったが、ケイは軽い口調で『良いですよ』と言って持って来る。
(…なんか微妙にマーリンさんの雑な所に似てる…)
ケイの前にデミウルゴスが行こうとしたのをケイは少し下がり『申し訳ありません。この剣は悪魔が触ると大怪我をすると思うのでそちらの執事の方の方が良いと思います』と言う。
アルベドとシャルティアが気に食わなさそうな顔をするが、慌てているのはジルクニフ達だけであり、ケイはどこ吹く風である。
「失礼します」
そう言ってセバスが持ってアインズの前に持って来る。
「ふむ…(子孫だから持っててもおかしくないんだろうけど…あの人、そう簡単に渡して…なんかあったらどうしてたんだ…?)返そう」
そう言って剣をケイに返す。
ケイが受け取った後、普通に下がって行く
プレアデスを倒す事が出来る唯一の存在が帝国にいた。
しかも、まだまだ伸び代はありそうだった。
ケイが下がって行ったのを見送り、アインズはジルクニフを見る
「あぁ、では外で待機しているメイドに言うと良い。今日は同盟者の生まれた良き日だ。祝日にしたいほどだ」
「全くだね。本当に全くだ」
会談が終わり、皇帝一向は玉座の間から退出する。
ージルクニフの馬車ー
行きとの構造は何も変わっていないのにも関わらず、馬車が走るたびに伝わる振動が大きく感じられるのは、馬車内の空気が重いためか、それとも乗ってるメンバーが変わったかせいか
フールーダの代わりに高弟の一人、ロウネの代わりにはケイが乗っており、変わっていないのはジルクニフとバジウッドだ。
フールーダがいないのは高弟達と今見たあれこれについて話し合うと言い出したからだ、故にこの馬車の中と真逆の空気感だろう。
(あれば…魔王の城だ。いや、まだだ。決定的な敗北ではない)
ジルクニフは皮肉げな笑みを待っていたかのように部下達の表情が安堵に変わる。
唯一ケイだけは先程から窓の外を眺めながら何か疑問でもあるのか眉間に皺を寄せていた。
「そうチラチラこちらを見るな、まずこの場にいる全員であの地で感じた事に相違がないか、すり合わせを行う」
アインズ・ウール・ゴウンに対しての印象は?とバジウッド達に問う。
「あれに人の身で勝てるとは思えねぇな」
「異論ございません」
バジウッドと高弟の言葉に頷き、問題のケイを見る。
アインズ・ウール・ゴウンにあそこまで近づき、あまり恐怖を抱いていないように見えた
「ケイ、お前の意見は無いのか」
その質問にケイは皇帝の方を向き
「意見も何も、人間じゃ勝てない存在なのには変わりないでしょう。あのメイドでさえかなりの実力だと思いますよ」
「何?メイドでさえか?」
ユリ・アルファとルプスレギナ・ベータの二名でさえ王国戦士長よりも実力はあるとケイは話す。
「メイドは倒せますが、あの玉座の間にいた異業種達は俺じゃ倒せませんね」
「そうか、マーリン卿と連携して倒す事は可能か?それともお前の妹はどうだ?」
そう問いかけるとケイは怪訝な顔をし
「…人間国家は間違いなく滅びますよ?そもそも、マーリンに頼るのは保険にした方が良いですね、アルトリアは…」
ケイは少し無言になり『完殺は無理ですが、打撃は与えられますよ、でも出来るなら最終手段にしたいですね』と返して来る。
「そうか、お前の話は理解した。それで…」
「…陛下、失礼します。あの非人げ…マーリンに会ってきます」
ケイは何か気づいたのか立ち上がり、転移魔法で掻き消えてしまった。
マーリンは幽閉塔の中でのんびりと生活していた。
ナザリックが来たのはわかっていたが、あんまり関わりたくなかった。
八欲王の時のような激戦に関わりたく無いとのんびりとしていると
「マーリン!!!!」
「うわっ!」
塔の下の階からケイの大声が響き渡る。
「なんだ、ケイじゃないか、どうしたんだい?」
「どうしたんだい?じゃねぇ!お前、カッツェ平野近くの墳墓に行ったって言ったよな?」
「へ?言ったけど?」
「あの墳墓の主、アインズ・ウール・ゴウンが帝国と同盟を結ぶって話になったの知ってたか?」
「え?ナニソレ」
完全に知らなかったのか、マーリンがキョトン顔をする。
その表情を見たケイはため息をつき
「…王国を完全に滅ぼすつもりだぞ、奴ら」
「そうなんだ…え、初めて知った」
マーリンがしどろもどろになっているのを見て、何か嫌な予感を感じたケイはマーリンに詰め寄り
「知ってて言わなかったな?」
「………」
「無言は肯定と取るぞ、非人間」
「知ってました、知ってた上で関わりたく無いから静観してました」
テヘペロと言って来るマーリンに苛つくケイ
「…それで、これからどうするんだ?少なくともお前が知ってたって事はプレイヤー関係だろ、このまま放置しておくのか?」
マーリンが視線を逸らすのを見てケイは眉間に皺を寄せ、マーリンの髪を引っ掴み
「ツアーが殺す前に殺してやろうか!」
「分かったわかった!!事情を話すからその手話して〜!!」
叫ぶマーリンに妖精達が「またなんかやってる〜」と呟きながら幽閉塔から離れて行く
ケイ・ペンドラゴン【現地人】
【レベル】69
【種族】人間。
【性別】男
【年齢】17
【所属】帝国貴族。伯爵家次期当主
【好きなもの】遊ぶこと
【嫌いなもの】マーリン
【詳細】
アルトリアの異母兄にしてリ・エスティーゼ王国からは神人扱いされている(スレイン法国の出身ではないので、スレイン法国からはえぬぴーしーの力を発現させた者と呼ばれている)
帝国貴族であり伯爵家の次期当主。本来ならば鮮血帝・ジルクニフによって爵位を剥奪される運命だったが、ケイとアルトリアの誕生により剥奪の運命は逃れた。
【性格】
周囲が言いにくいようなことも容赦なく口に出す性格で相手が皇帝であろうと、違うものは違うと口にする性格。
また、NPCの力を発現させてからはマーリンの元で数年間修行したが、貴族の勉強のために帝国に戻った。
マーリンの事を嫌っており、人間の事を分からない癖に政治に微妙に加担するため『非人間』と呼んで嫌っている。
【使用武器】
・エクスカリバー
ワールドアイテムであり、アーサーの所有武器。マーリンが管理していたがアルトリアが持つようになったものの、剣よりも魔法を学びたいという理由でアルトリアが兄のケイに貸していた。
本来の持ち主ではないものの、かなりの高火力を発揮出来る。