夢魔が生きるオーバーロード 作:アルトリア・ブラック(Main)
四月一日から再就職したので連続投稿が出来なくなるので今日で一回ストップします。
ーナザリック地下大墳墓・アルトリアー
アルトリアはセバスとユリ・アルファと共にナザリック内を歩いていた。
「…す、凄い」
地下だというのに空があり、広がる青空
生きているような鳥達。
マーリンが作ったアヴァロンもこんな風に綺麗であったが、あそこはこんなに世界は変わらなかった。
「アウラ様、マーレ様、アルトリア様が参りました」
「うん、了解〜」
名前を呼ばれたことにハッとなり、アルトリアは二人の闇妖精を見る。
「へぇ、アンタがマーリン様のお気に入り…ワタシ達と同じレベルなのは素直に凄いじゃない」
「あ、ありがとうございます」
アルトリアは目の前の少年と少女を見て驚く
アルトリアの妖精眼には人間特有の悪意が見えなかった。
素直に、アルトリアを褒める言葉に裏なんて無かった。
「それで?マーリン様はなんて仰られてたの?」
アウラの言葉にセバスが「アルトリア様をご案内するようにとの命がありました」と言う。
「案内?それでここに来たわけね」
「はい、恐怖公の所とルベド様の所には行かないようにと仰られた以外は特にございません」
「それで、マーリン様とアインズ様のお話が終わるまで自由にしてろって言われたわけ?」
「…はい、まぁ…」
「じゃあ、戦闘訓練でもしてみる?マーリン様のお気に入りだから殺しはしないから」
そう言うアウラにマーレが『戦うのー…?』と嫌そうな顔をしていた。
「あまり戦闘をしないで雑談で盛り上がって欲しいってマーリンに言われました」
アルトリアはここで戦いたくはなかった。
彼らが強いのは明白だったし、殺し合いよりも話し合いで仲良くなりたかったこともあった。
「じゃあ、私たちの知らないマーリン様の話でも聞かせてよ」
アウラの言葉に妖精圏内にいた時のマーリンの話話することにした。
ーナザリック地下大墳墓・マーリンー
マーリンはアルトリアと別れた後、アインズの執務室に通される。
マーリンの対面に座ったアインズと、つい先ほど帰還したばかりのデミウルゴスがいた。
「うんうん。美味しいジュースありがとうね〜シクスス」
そうお礼を言うとシクススが嬉しそうに頬を赤くし、「ありがとうございます」と返す。
本当に嬉しそうだった。
「それで、話したいことって何ですか?」
アインズの後ろにいるのがデミウルゴスで少しばかり安心する。
アルベドがいたならば、話しづらくなっていただろう。
「モモンガが魔導国を建国したって話は聞いたよ、リ・エスティーゼ王国の半数を皆殺しにしたんだって?」
18万規模の何の罪もない人間を虐殺した友の顔を見ると、表情はわからないが、少なくとも人の死に対しては何も思っていないのか「はい、まさか、羊達があんなに出るなんて最高記録でした」とむしろ黒い子羊達を出したことに関して喜んでいた。
「魔導国の建国は上手く行きました。それで、マーリンさんもナザリックに帰って来てほしいなと思うんですけど…」
アインズが後半の言葉を少しだけを躊躇いがちに言っていた。
「そのことなんだけとね、僕はなかなか動きづらい身の上でね、私の作った結界が丁度、評議国近くにあってね」
だからこそ、彼らに協力できないという話を遠回しにする。
「評議国…アーグランド評議国ですか」
デミウルゴスは既に情報収集していたのか、答えてくる。
「そう、あの国の一部の竜王とは仲良くやれているんだよ、300年前に戦争になりかけた以来は特に」
マーリンはデミウルゴスを見て『今日、アルベドはいるかい?』
「アルベドは現在王国に出かけております」
デミウルゴスの言葉に安心したようにため息をつくと
「仲間達の捜索にルベドを入れた捜索隊を作ったって?」
「はい、アルベドから最強の軍団を作りたいといわれて、アルベドも珍しいこと言うなぁと思ったんですが」
「ルベドまで入れて?僕としては正直に言って過剰すぎると思うよ?せめて、ルベドは抜いてもらわないと」
「どうしてですか?」
モモンガがキョトンとした顔をしたように見え、マーリンは頭を押さえる。
考えなしというわけではないだろう。
正直に言ってアルベドの事を信頼しきっているからこその答えだろう。
「ルベドがたっち・みーより強いのは知ってるよね?そんなのを隊に入れるなんて、少なくともウルベルトさんだったら警戒して、むしろナザリックから遠ざかると思うよ」
「!!」
ウルベルトという言葉にデミウルゴスは背筋を伸ばし、マーリンの言葉を漏らさず聞こうとしていた。
「…そんな、ルベドはいきなり襲い掛かるなんて事はしませんよ?アルベドが手綱を握ってるので…」
「…モモンガさん。遠回しで伝えるのも時間の無駄だから止めよう。アルベドは至高の四十一人を全て殺すつもりだよ」
「「!!」」
デミウルゴスだけではなく、アインズも驚く
「アルベドを信じていないんですか?」
「信じる・信じないの問題じゃないんだ。デミウルゴスも少しだけ違和感を感じただろう?」
「…はい」
「どう言う事だ、デミウルゴス」
アインズの言葉にデミウルゴスはハッとなる。
「このナザリックをモモンガさんのものだけにし、後の仲間達は排斥するつもりさ、それに700年生きていて答えは出たんだ」
「答え…?」
「この世界に転移して来る条件はユグドラシルにおいて最終日までログインしているということ、つまるところ、ナザリックにもう至高の四十一人は戻って来ない」
「!!」
デミウルゴスが肩をびくつかせて驚き、アインズはわかっていたような落ち着き具合だった。
「……それでも戻って来る可能性がある以上…」
マーリンは微笑む
仲間という呪いに囚われた彼を
ユグドラシルというゲームにのめり込んだのは、そのゲームが好きだったからじゃない。
無論、好きだったからこそ続いたかもしれない。しかし、戻って来る可能性なんてゼロに近い仲間たちのために維持費を稼ぎ続ける彼を当時から見ていたマーリンはあまりにも哀れに見えた。
モモンガ、いや鈴木悟というたった独りの人間を友人という暖かい人々が受け入れたから
「君がナザリックを大切に思っているのも理解しているし、僕としてもそれは十分に理解してる。でもね、ナザリックが現実と化した以上、君一人で全てを背負う必要なんてない」
「………」
「…アインズ様?」
彼を縛り付けているのはナザリックでしかない。
彼一人で転移して来たらそれはそれで変わっていただろう。
「そうだ、僕がこっちに来るばっかりもあれだから、僕の結界に遊びに来るといい。場所は後で教えるとして…」
マーリンはアインズを、モモンガを見つめ
「マーリンさんは…ここに戻って来るつもりはないんですね」
モモンガは何かを察したのか、酷く冷たい声でそう呟く
デミウルゴスは悔しそうな眼差しになり、マーリンに対し「なぜ」と言った顔を見せていた。
「別に僕はナザリックを嫌いになったわけじゃない。でも、僕はこの世界の人間が好きなんだ。彼らを支配下に置くなんて幸せな未来は見えない」
マーリンは立ち上がり、椅子から歩き始める。
部屋から出て歩くと、後ろをモモンガがついて来る。
「モモンガさんも本音は言って良いんだよ」
そう言ってアルトリアの元に行くマーリンの背を、モモンガは無言で見つめていた。
一度殺してレベルダウンさせれば、ナザリックから去る事もないんじゃないかと言う暗い感情が湧き上がるがモモンガはそこから先に手を出せなかった。
マーリンはアルトリアの元に転移して来ると、アルトリアとアウラ・マーレが仲良く話しているのを見て少しだけ嬉しくなる。
アルトリアを連れてきた理由は、この極悪ギルドの中にも人の心を持った者達がいるんだよ、という想いを伝えたかった。
アルトリアが証人になってくれればツアーも少しは動き方を考えてくれるだろうから
「アルトリア、帰るよ」
そう声をかけるとアルトリアがこちらを向いて来る
アウラとマーレも気付き近づいて来る。
「はい、アルトリア、帰ろう」
「え?あ、はい、分かりました」
そう言って転移魔法を発動させようとすると、アウラ達が悲しげな顔をしていた。
しかし、マーリンは彼らの表情を見る事なく、その場から転移する。
一度、ナザリック外に転移し、そこから幽閉塔目指して転移する。
「…マーリン」
何も言わないマーリンに少しだけ不安になるアルトリア。
しかし、アルトリアの声が聞こえていないマーリンは真っ直ぐ空を、見ていた。