夢魔が生きるオーバーロード   作:アルトリア・ブラック(Main)

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転職先も決まり、これかれ忙しくなるので短編でも良いですか?

今回はマーリンとツアーや法国の話があります。

馬鹿フィリップは他の小説で散々書いたので割愛させて頂きます。

そして、村正の設定を変更させておりますのでお許しください


第13話『夢魔は平穏を好む』

ースレイン法国ー

 

スレイン法国の最奥、この神聖な部屋に入る事を許されている者は少ない。

 

ここに入れる者はスレイン法国最高位に座す者【最高神官長】

 

続いては六つの宗派の最高責任者である六人の神官長。

 

【火の神官長】【水の神官長】【風の神官長】【土の神官長】【光の神官長】【闇の神官長】が揃っていた。

 

「今日もまた人間たら我々の命があった事を神に感謝致します》

 

最高神官長に続き、全員が一糸乱れず声を出す。

 

「感謝いたします」

 

「ではこれより会議を開始します」

 

魔導国の議題に神官長達は頭を悩ませながらも次の議題に移る。

 

「大魔法使いマーリンの行動が近年活発的になっている事について議論したいと思います」

 

大魔法使い・マーリンと呼ばれる夢魔は六大神の一柱である闇の神・スルシャーナとの交流関係があった者であり、スルシャーナ様は『何かあればマーリンを頼るように』と言う最期の言葉を残し、八欲王に殺されてしまった。

 

「…魔導国を牽制する為に夢魔に頼らねばならないのが憂鬱だな」

 

その言葉に全員が苦笑いする

 

マーリンは700年前から存在する神と等しい存在だ

 

しかし、その在り方から見ても神のようには崇める事はできない。

 

「ぷれいやーの血を引く者達が何故、あの夢魔の元に行くのか私は不快でしかないのだが」

 

プレイヤーあるいはNPCの血を覚醒させた者は法国ではなく、マーリンの下に行く事が多い、その理由はスレイン法国よりも良いレベルアップの儀式があるからという理由だった。

 

「しかし、あの結界から出て来た者で神人二人に並ぶ者はいないだろう?」

 

「バハルス帝国に属するケイ・ペンドラゴンは神人二人には及ばないが、伸び代はあるからな」

 

「そのペンドラゴンには腹違いの妹がいると聞いたが、あの娘は神人クラスか?」

 

その質問に一同は無言になる。

 

アルトリア・ペンドラゴン

 

あの騎士王と言われたアーサー・ペンドラゴンの子孫にして、先祖返りの少女

 

「表舞台に立って動いていないからどれくらいの強さかも分からんな、しかし、夢魔のえぬぴーしーは侮ってはいけないだろう」

 

「ふむ…」

 

マーリンのNPCは破壊的な能力を持っている。

 

かつて、八欲王の一王を完殺したように、八欲王をかなり押していたNPCの力は侮れない。

 

「…あの夢魔に協力関係を結ぶにはかの、竜王とも共闘しなければならないでしょう」

 

「魔導王の好きにさせるよりかは致し方ないだろう」

 

 

 

 

 

 

 

ーマーリンー

 

アルトリアと共にツアーがいるアーグランド評議国の最奥に着くとリグリットも何か話しに来ていたのか、部屋から出て来ていた。

 

ツアーと個人的に話した後、アルトリアも交えて話したいと思い、とりあえずリグリットにアルトリアを預けてツアーのいる場所まで歩いていた。

 

転移魔法を使えばあっという間に着くのだが、今回は歩きで周りを見て歩きたかった。

 

「…ただのゲームにあそこまでハマるなんてなぁ、可哀想だと言うのは簡単だけど、あの世界にしてみれば仕方のない事なのかな」

 

マーリンは独り言を呟きながら長い廊下を歩く

 

口に出して言わなければ溜め込みそうでいけない。

 

モモンガはリアルでは貧困層出身であり、自分達富裕層と相容れない存在だった。

 

ウルベルトさんがたっち・みーや空気の読まない発言を連発したマーリンを毛嫌いしたように、自分は到底、モモンガのことを理解出来ないだろう。

 

それでも、唯一最終日まで残ってくれた『マーリン』という存在に縋っていた彼を見て、少しだけ、ほんの少しだけ今なら彼の気持ちも分かる気がした。

 

多くの王を育て、二つの国が建国されたり滅んだり、いろんなものを見て来た。

 

一部の人間が得をした事により、一部の人間がその不平等さに怒り内戦を起こし、滅びた国も見た。

 

「それでもまぁ、私はおかしんだろうけどね」

 

転移する前から自分は『マーリン』であった。

 

恵まれた環境にいたから世界を見渡す余裕があった。

 

ろくでなしと言われるぐらい、個人に関心なんて抱かなかった。

 

『お前、やっぱり人でなしだな』とウルベルトから言われたことを思い出す。

 

「人でなしであっても、700年経てば寂しいという感情は理解出来るんだよ」

 

答えてくれないウルベルトに向けて呟き、ツアーの部屋の前に立つ。

 

(…今の自分にできることは…)

 

何が正解なんだかは分からない。

 

モモンガを止める事が良いのか、殺した方が良いのか

 

それとも封印した方が良いのか、夢見るままに…

 

「…あ、そうか、そうすればいいんだ。その方がハッピーエンドにならないか?」

 

導き出した答えにマーリンは少し笑いながら、ツアーと今後の計画を練る為に室内に入る。

 

 

 

 

 

 

マーリンという夢魔は争いを好まないクセに、戦闘に特化したNPCばかりいたり、彼の好奇心で創り出されたとある妖精の悪意の凄まじさは何とも言えない。

 

(何が平和を好む夢魔、なんだかな…好きなものに変に首を突っ込む厄介な子供じゃないか)

 

それでいて力がある分余計にタチが悪い。

 

しかし、時折見せる彼の【本質】に少しだけ期待した部分もあった。

 

ほんの少し、ほんの数秒程度にしか見せない、彼の本当の人格

 

平和を何よりも求めるクセにそれと性格が釣り合っていない。

 

「マーリンを殺さない理由?君がそんな物騒な話題を持ち出すなんて珍しいね」

 

マーリンが来る数時間前、リグリットとユグドラシルに関連するアイテムがないかの話し合いの時に、ふとリグリットが言った話題に顔を上げる。

 

「あの夢魔は八欲王のような存在であろう?ならば、お前が見逃している理由を知りたくてな、300年前程に彼奴が作った妖精が暴走し、数百の種族が滅んだと聞いたからな、お前が説教しただけで終わるなんて珍しいなと思ってな」

 

「あの夢魔は戦争という単語を出せば面倒事が増えると判断して勝手に引き篭もってくれるから、八欲王のような異常性はなくて安心してるんだよ」

 

マーリンと八欲王の決定的な違いは、己の欲望が他者を巻き込むか否かの違いだろう。

 

マーリンは戦争を好む破綻者ではなく、誰かの為に必死に命を賭ける勇者でもない。

 

ただ、マーリンは自分が幸福であるなら何でも良いのだ。

 

「なるほどのぅ、しかし、100年の揺り返しが起こり、彼奴の仲間が転移して来たのだろう?しかも本質的には八欲王のような者達であろう?あの夢魔がどうするか分からない以上ここに招くのは危険ではないのか?」

 

「…まぁ、その危険性は無くはないだろうが、大丈夫だろうね、あの夢魔は人でなしだからね」

 

人でなしという言葉にそこまで安心できるのも彼だけだろう。

 




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