夢魔が生きるオーバーロード   作:アルトリア・ブラック(Main)

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第2話『引き篭もりたい夢魔』

バハルス帝国の宮廷魔法詠唱者であるフールーダ・パラダインは二代目皇帝を教育したマーリンから少しでも魔法の知識を得ようと必死で懇願していたのだが、長らく音沙汰が取れなかった。

 

そんな中、やっとマーリンからの使者が帝国を訪れた。

 

近い内に帝国に行くと言う話を皇帝・ジルクニフと共に聞いた際には、ほとんど狂喜乱舞の状態であり、後半の内容が頭に入って来なかった所もあった。

 

「この国は相変わらず潤ってるねぇ〜」

 

軽快な言葉と共にやってきたマーリンを見て平伏したくなる気持ちを堪え、ジルクニフとの会談が終わるのを待っていた。

 

会談を終えたマーリンが早急に帰ろうとするのを慌てて止めようとしたが、次の瞬間には転移魔法で居なくなっていた。

 

 

ジルクニフはマーリンの事を狂人的なほど崇拝しているフールーダを見てドン引きしながらも帝国騎士達と今後の話をしていた。

 

帝国は貴族を大幅に粛清・貴族位剥奪を行ったので、かなりの人員不足だった。

 

そんな中でのマーリンという大魔法使いとの話はかなり身になる。

 

「かつての皇帝陛下がマーリン様の話は聞くようにと仰られましたからな」

 

そう言ってきたのは帝国四騎士の一人・パシウッドであった。

 

「あぁ、正直に言ってあの御仁に相談すれば参考にはなるがな…」

 

ジルクニフは彼・マーリンの事はあまり個人的には好きになれなかった。

 

性格的に合わないというのもあるのだが、何よりもあの自由気ままな性格は味方にも甚大な被害を及ぼしかねないところがある。

 

「…実際、あの御仁は王国の初代王と関わりがあったが、それ以外は放置しているしな…」

 

「あの国に未来がないと判断したのではないですか?」

 

その可能性が最も高いのだが、マーリンは個人という存在よりも人間全体を見て楽しんでいる愉快犯のようなところがある。

 

「その可能性も否めないが…まぁ今後の帝国の為にも、あの御仁とは連携をとって行かないといけないからな…」

 

評議国との仲介役を担ってくれる可能性が高いだけに無下には出来ない。

 

 

 

 

 

 

マーリンは服装をそのまま、一人で帝国の街を歩こうとしていたのだが、フールーダ・パラダインの弟子達が案内するようにと言った為、致し方なく高弟二人を連れて歩いていた。

 

高弟二人を撒くことは容易いのだが、林檎亭という店を見つけ、入ることにした。

 

「君達ってこういう居酒屋にも来るの?」

 

「はい、仕事終わりに二、三回は」

 

「へぇ〜おじ…フールーダもそこら辺は自由にしてるんだねぇ〜」

 

マーリンは亭主に案内され、特別ルームに案内されそうだったが、別に構わないと言って出入り口近くの席に座る。

 

高弟二人が目の前に座り、魔法についての話をしたそうにしていた。

 

高弟二人をなんとかしたいが、下手に撒くとめんどくさくなるのが目に見えている為、なんとか要件を言って立ち上がろうとすると

 

外から入って来る足音に気づき、足を止める。

 

「マーリン様?」

 

高弟の一人がそう声をかけて来る。

 

「わっ」

 

外から入って来た少女が目の前に立っていたマーリンに驚く

 

「ごめんよ〜怪我はないかい?」

 

そう問いかけると、少女は『…ない、です』と言って来る。

 

フールーダ・パラダインの高弟を連れているのを見たのだろうか、少し怪訝な顔をしながら頭を下げて来る。

 

「…失礼します」

 

そう言って少女と後ろにいた男性が室内に入っていく、マーリンは少女から嫌な予感を感じながらも店から出る。

 

店から出たマーリンは入って来た少女がロクな目に遭わない未来が見えてしまったが、高弟達に案内され、高級旅館に向かって歩き出す。

 

 

 

 

アルシェ達は林檎亭に入ると、それと入れ違いになった人物を見てハッとなる。

 

最強の魔法詠唱者であるフールーダ・パラダインの高弟を連れた特徴的な服装をした男性とすれ違ったのだ。

 

「…アルシェ、あの人物は…」

 

ロバーデイクが言おうとしていることは分かっている。

 

「…フールーダ・パラダインの師範。最近は帝国に入り浸る事が多いと聞いた…」

 

「なるほど…王国ではなく帝国に肩入れしているわけですか」

 

ワーカー達にしてみればマーリンという存在は雲のまた上の存在に他ならない。

 

元々フールーダ・パラダインが遠い存在であるのだから、その師範であるマーリンなんて程遠い人間だろう。

 

大魔法使い・マーリンはリ・エスティーゼ王国初代王を育成した者ではあるが、近年、王国の腐敗を見て彼らを見限ったのか、帝国にいることが多いとのことだった。

 

まぁ、それでも、アルシェにしてみればひどくどうでも良い話だった。

 

 

 

 

 

 

 

マーリンは高弟達をフールーダの元に戻したあと、幽閉塔に戻って来ると夢見るままに待ちいたりとツアー達から言われていたNPC・アーサーの元に行く

 

ある戦いから彼は眠っていることが多かったのだが、近年の帝国の動きを見れば彼を起こさないといけなくなるだろう。

 

「はぁ…ボクは悠々自適に引きこもり生活を満喫したいんだけどなぁー」

 

ナザリックを止める術を持っているのも自分だろうが、イマイチ、彼らに会いたいとは思わなかった。

 

それは、近年王国で起こった悪魔騒動を見てそう感じていた。

 

幽閉塔に戻ったあと、アルトリアに魔法を教えるから付いて来て欲しいと言ってリ・エスティーゼ王国に転移する。

 

「…お前は来るなら来るで伝えてくれないか?」

 

イビルアイの元に転移すると、怪訝な目でそう言われる。

 

「それはすまなかったよ、でもさぁ、君がいるから良いかなって思って」

 

「…で?わざわざ彼女を連れて来てまで何の用だ?」

 

彼女・アルトリアはこの世界ではNPCの力を受け継ぎながらレベルが100に至った特殊な立ち位置の人間だ。

 

その気になれば法国の神人をもどうにか出来るだろう。

 

「まぁ、それは良いとして座って話さない?」

 

そう言って椅子と紅茶を出すと『魔法の無駄遣い』と言って来る。

 

「それで、話なんだけど、最近王国でアダマンタイト級冒険者が新しく出たらしいよね?名前は確かモモンとナーベだっけ?」

 

「あぁ、モモン様か、それがどうかしたのか?」

 

「そのモモンってエ・ランテルを拠点に置いてるんだよね?」

 

「あぁ、確かカルネ村周辺に住んでいると言っていたな」

 

「…そうかー、一度会いに行ってみようかな」

 

マーリンの言葉に驚いたのか、イビルアイな「珍しいな…」と言って来る。

 

「そう?」

 

「お前が関心を持つのは数百年振りじゃないか?あの時はリーダーに力を貸してくれてはいたが」

 

「まぁね〜」

 

イビルアイと分かれて街を歩いて、とある屋敷の前を通り過ぎようとすると…

 

「マーリン殿」

 

そう声をかけられて振り向くと、王国戦士長・ガセフと紫色の髪をした男がいた。

 

ガセフは姿勢を直し、戦士長らしく立っていた。

 

「なんだい?王国の戦士長サマ」

 

アルトリアがそそくさとマーリンの少し後ろに移動する。

 

「マーリン殿に一つお聞きしたい事があり、探していた」

 

「聞きたい事?」

 

首を傾げるとガセフは咳払いをし、真剣な顔をし

 

「ゴウン殿が以前、行方不明になった御友人を探されているとの話を聞き、名前を聞いて思い出したのだが、マーリン殿とゴウン殿は旧知の間柄でおられるのか?」

 

その質問にマーリンはため息をつきたくなる気持ちを堪え、頭を掻き

 

「…旧知というか、いや、旧知って言ったほうが良いのか、ボクと彼は友人だよ」

 

「!ならば、ゴウン殿が探されておいででしたので、声をかけた次第です」

 

その言葉と共にガセフからカルネ村の住所が書かれた紙をもらい、その場から離れる

 

「……ハァ〜八方塞がりだぁ」

 

丘の上でアルトリアと話していると、アルトリアが『どうして、そんなに会うのを嫌がるんですか?』と聞いてくる。

 

「…なんというか、スルシャーナの件から考えてみれば、多分厄介な方向にモモンガも傾いていそうなんだよね〜」

 

「……モモンガ?」

 

「あぁ、アインズのホントの名前、うーん、話しては見たいけど、会いたくは無いんだよなぁ…」

 

そう空を仰ぐと…

 

「…そんなに会いたく無いのなら、私が行くか?」

 

そう声をかけて来たのは、マーリンのNPCであるモルガンだった。

 

「んー、良い?ありがとう〜さすがモルガン」

 

素直にお礼を言うとドン引きしながら「そういう礼はいきなり言うな気持ち悪い」と言って来る。

 

「ところでオベロンは?」

 

「…あの虫は幽閉塔内部の庭園でダラけている。当分のところやる気がないんじゃ無いか?」

 

「そっか」

 

オベロン・ヴォーティガーン

 

マーリンが作ったNPCであり、リアルでの仕事のストレスから溜まりに溜まった鬱憤を抱えて作ったらああなってしまったNPCだ。

 

八欲王討伐の際に試しに出してみたら八欲王数名がレベルダウンからの関係ない種族と人間が滅びかけ、ツアーからは『なんてもの放ったんだ』と怒られる始末だった。

 

アーサーによって落ち着いたが、以降はなるべく出さないようにとツアーとリグリットから怒られた記憶も懐かしい。

 

オベロンの方がナザリックでやって行けそうな感じだが、少なくとも手綱を少しでも外すと暴走するのでルベドと同じ領域にポイッとされていただろう。

 

モルガンが転移魔法で居なくなったのを見てマーリンは立ち上がる。

 

「さてと、魔法について教えるから帰ろうかアルトリア」

 

「はい、それとマーリン。一つ良いですか?」

 

「?なんだい?」

 

「少し帝国でやりたい事があるので、寄ってから帰って良いですか?」

 

「あぁ、いいとも!弟子の願いだ!」

 

嬉しそうなマーリンを他所にアルトリアは先行きが悪くなって行っている事を少しだけ感じていた。




モルガン(異聞帯の方)
【レベル】80→100
【役職】魔法詠唱者
【種族】悪魔
【好きなもの】妖精達
【嫌いなもの】ツアー

【詳細】
マーリンと共に八欲王以前の世界に転移し、時を過ごしたが、あまりにも八欲王とのレベル差があった所為でかなり死にかけた。
おかげでレベルアップは出来て100に至ったものの、奔放だったマーリンのことはかなり毛嫌いしていた。
しかし、マーリンが困っていれば仕方ないと言いながら助けようとする関係ではある。
少なくともオベロンと違い、マーリンとは仲良い分類

オベロン・ヴォーティガーン
【レベル】100
【種族】虫竜
【好きなもの】いろいろ(??)
【嫌いなもの】人間

【詳細】
目に映るもの全てに嫌悪感を抱き、転移後の世界を「気持ち悪いから」という理由で滅ぼそうとした。
マーリン曰く『仕事でストレスマックスの時に作ったからろくでもなくなった』
八欲王討伐の時もシレッと人間を殺そうとしたりと敵意剥き出しだったが、アルトリア・キャスターが生まれた時を機に一気にやる気が無くなった。燃え尽き症候群のような感じ。
現在は幽閉塔内部の妖精達のいる所でダラけてる。
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