嫌われてしまったとしても   作:アルル・

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肆話

刀を支給されると鎹鴉の(つむぎ)が任務を言い渡してきた。錆兎と義勇にもそれぞれの鎹鴉から任務が言い渡され早速私たちは任務先に赴くことになった。

 

******

 

「あっ……」

「あっ、君は最終戦別の時の……」

任務先に行く途中村田さんに出会った。あれ?なんで私のこと覚えてるの?大して目立ったつもりはなかったんだけど。

「初めまして。最終戦別では一緒でしたよね?天堂結衣です」

「お、俺のこと覚えてくれてたんですか⁉︎」

「?ええ、覚えてますよ」

「あ、俺村田です!いやー嬉しいな。初めての任務が君みたいな可愛い子と一緒だなんて」

「え?合同なんですか?」

 

聞いてないぞ紡。

 

「あ、はい!鴉からはそう聞きましたが……」

「そうですか。では一緒に頑張りましょう」

「はい!あの……同期なんで敬語じゃなくていいです」

「……分かったわ。それなら村田さんも敬語はやめてね」

「ああ、よろしく。天堂」

 

それからたわいのない話をしながら任務先に向かう。着いたのはとある山。そこに子供を狙う鬼がいるらしい。

 

「村田さん、行こっか」

「あ、ああ」

 

ぎこちなく返事をする村田さん。……かなり緊張してるけど大丈夫かな?山を進むと突如鬼の気配が。刀を構える。すると奥から最終選別の時に見たような鬼が出てきた。

 

「オイオイ、今日は最高だなぁ?ガキに加えて稀血の女も喰えるなんてなぁ。……男は不味そうだな、いらねぇ」

 

やっぱり私って稀血だったんだ。あと村田さんに対して酷い。

 

「子供はどうした」

 

抑揚のない声で問いかけると鬼は笑いながら答えた。

 

「アァ?そこに5人いるぜぇ。子どもの絶望した顔を見ながら喰うのが最高なんだぜ、これが」

 

情報をアホのようにペラペラ喋る鬼。……ふむ、5人か。

 

「村田さん、子どもの救出のためにもなるべく早く倒そう」

 

そういうと頷き村田さんは動き出す。村田さんは左、私は右に分かれ斬りかかる。村田さんの攻撃は避けられてしまったが私が素早く回り込み

 

「水の呼吸 壱ノ型 水面斬り」

 

鬼の頸を斬った。分身とかしていない雑魚鬼だったので体が崩れていく。

 

「天堂凄いな。育手は誰なんだ?」

「鱗滝さんって言ってね厳しいけど優しい人だよ」

 

鬼が言っていた場所に行き囚われていた子ども達5人を保護する。幸いどこにも怪我はなかった。親元に返し帰路につく。その後何度か村田さんとは任務が一緒になり次第に仲良くなっていった。

 

******

 

ある日、任務帰りに村田さんに偶然出会い一緒にお茶することになった。

 

「……天堂、聞きたいことがあるんだが」

「何?」

「出会って日が浅い俺が聞くのも間違ってるんだがその……最終戦別でお前と一緒に来た2人、アイツら同門なんだろ?なんかお前避けられてないか?アイツらにお前のこと話すと嫌がられるんだが」

 

……私がこの世界に来た影響だろうか。確か村田さんは義勇と原作では最終決戦まで話す機会が無かったはずだ。なのにこうして村田さんと2人が話したことを教えてもらった。

 

「うーん、ちょっとすれ違いがあってね」

「いや、そういうレベルじゃなかったぞ。その、めちゃくちゃ……」

「嫌われてるって言いたいんでしょ?」

「‼︎お前、わかって……」

「本当に勘違いなの。まあ、何で嫌われてるかは聞かないで欲しいな。あとあの2人と話すときは私のこと話題にしない方がいいよ。村田さんまでよく思われなくなるから」

 

そう、本当に勘違いなだけ。千里に彼らは騙されただけ。話す機会が全く無くなった結果私と2人との仲は修復不可能なまでに拗れていった。鱗滝さんの元にも一度も帰っていない。帰っても千里がいるしあの2人に会ったら親の仇を見るように睨んでくるから。

 

「俺はお前がそこまで嫌われる理由がわからねぇ」

「関わりさえしなければ別に害はないし。気にしてないよ」

 

結衣は気づいていなかったが気にしてないと言った時酷く悲しそうな顔した。

 

「お前そんな顔で言われても説得力ないぞ」

 

それを見た村田は結衣に気づかれない程の声で呟いた。

 

「何か言った?」

「いや、何でもない」

 

村田は口に団子を運びながらそう返事をした。……1年後義勇と錆兎が柱になり、真菰と千里が最終選別を突破し、義勇達の継子になった事を育ての鱗滝経由で知った結衣が村田と距離を置き始めることをこの時の村田は想像もしていなかった。

 

******

 

鱗滝視点

あの子に初めて会ったのは6年前のことだった。道にうずくまっていた幼子に何となく惹かれた儂は話しかけて事情を聞き、捨てられていたその子を連れ山に戻った。その子は白く輝く髪と紅い瞳で大層可愛らしかった。名を結衣といい、苗字は無かったので儂が天堂と名付けた。容姿と幼子らしくない力のせいで村を追われたという。儂はその日から結衣を引き取り我が子のように育てた。過ごすうちに鬼に家族を殺され孤児となった錆兎と真菰、姉を鬼に殺され親戚から逃げ出した義勇も引き取り4人に鬼殺の鍛練をさせながら儂らは笑いの絶えない日々を過ごしていた。

ある日山に戻る途中道端で倒れていた結衣と同い年くらいの少女を見つけた。その子を介抱し話を聞くと行く当てがないという。儂はあの子達のことを思い出した。同じくらいの年なので仲良くできると思い連れ帰った。千里は快活な子だった。すぐに子ども達と仲良くなり共に過ごすようになったらしい。ただ、結衣が居ないことが多いので聞いてみると鍛練を1人自主的にやっていると言う。元から結衣は真面目だったのでその話を信じた。……微かに嘘の匂いを嗅ぎ取りながらも。

結衣と錆兎と義勇が岩を斬ったことで3人は最終選別に行くことになった。結衣が2人が岩を斬ったことを知らないことに疑問を抱いたが、仲良しだったあの子達が大好きな結衣を驚かせるために内緒にしていたのではないかと思い深くは聞かなかった。最終選別の前日4人は談笑していたが結衣の姿はなく、すでに寝入ってしまったと聞いた。それを信じ儂は明日は早いからと4人を寝かせ自身も床についた。最終選別に行く結衣達を見送ったが真菰が何故か結衣に対して冷たく接していた。それ以外は特に変わりなかったので2人が少し喧嘩しただけと思い、大人が口を出すものではないと静観した。

そして最終選別で3人は帰ってきた。儂は3人を抱きしめ労った。そして日輪刀が支給された。錆兎と義勇は深い鮮やかな青色、結衣は黒色だった。結衣が黒色だったことに驚いたが結衣ならきっと黒刀でも柱になれると儂は思っていた。もちろん、義勇や錆兎が柱になれるとも期待していた。鎹鴉から任務が言い渡され3人は隊服に身を包みそれぞれ任務先に行った。残った儂は真菰と千里の鍛練を見つつあの子達の無事を祈っていた。

……儂は知らなかった。いや、匂いでわかっていたはずなのにそれを信じたくなくて見て見ぬ振りをしていたのかもしれない。あの子達の絆がとうの昔に壊れてしまっていたことを。結衣が1人で悩み傷ついていたことを。

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