嫌われてしまったとしても   作:アルル・

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伍話

鬼殺隊に入って1年、鱗滝さんから手紙が届いた。義勇と錆兎が十二鬼月を倒して柱になったこと、真菰と千里が最終選別を突破し、義勇達の継子になったこと。それらが書かれていた。

 

(やっぱり突破するよね……)

 

真菰は感情的にならなければ素早さを活かした戦い方で鬼を簡単に倒せる。模擬戦の時も真菰の速さには苦戦したっけ。

 

『真菰早いね‼︎』

『あはは、それを見切って簡単に受け流す結衣の方が凄いよ‼︎』

 

かつての記憶が甦った。もう今後あるはずのない楽しかった思い出。

 

(感傷的になってないで頑張らないと)

 

ちなみに私の階級は己。この一年で雑魚鬼をコツコツ倒しましたよ。

 

******

 

(はあ、まさかあんなことになるとは……)

 

合同任務の帰り私は1人トボトボ帰っていた。というのもさっきの合同任務がヤバかった。鬼が強いわけではないけど共に任務についた隊士との連携が全く取れなかったのだ。

 

『おい、あれが噂の……』

『ああ、冷酷で残忍で合同任務では自分の手柄のために何人も肉壁にしたとかいう……』

『(聞こえてるんですけど……それに今までの合同任務誰も死んでないし……)』

『このままじゃ俺たちもやられるぜ!?』

『あっちが階級は上だが指示なんて聞かないでおこう』

 

そうやって何人もの隊士が指示を聞かずに死んだ。私が何度かカバーして鬼を倒したけど私も負わなくていい怪我をしたし生き残った隊士も軽傷者が少なくないし無傷のものは皆無だった。

 

(噂広まりすぎでしょ……それに今日のことも歪められて広まるんだろうな……)

 

誰がそんな噂を流したのかは見当がついている。十中八九、千里に違いない。しかし証拠もないので追及することもできず、噂も否定しても信じてもらえず今回のことも相まってさらに悪い方の意味が多くの隊士に広まるだろう。人は良い噂より人の悪い面いわゆるゴシップの類が好きだ。

 

『お前のせいで仲間が死んだ‼︎』

『何でお前が生きてるんだ‼︎』

『死んで詫びろ‼︎』

 

鬼を倒した後の隊士達の心ない数々の罵倒が耳にこびりついて離れない。

 

(そもそもちゃんと指示を聞いてくれてたら………言っても無駄だろうなぁ)

 

殺されそうになった仲間を助けても返ってくるのは心ない罵倒だけ。流石の結衣も心を深く傷つけられた。

 

(罵倒にちょっとでも傷ついた顔すればアイツら喜ぶしなぁ…………顔隠そう)

 

思い立った結衣は胸元にしまっていたものを取り出す。それは最終戦別の前に鱗滝からもらった厄徐の面だった。結衣の赤い瞳を参考にして赤い花が彫られた可愛らしい面。お守りとして持っていたものがまさかこんな使い方をされるとは。まあ、お面だから間違ってはいないけど。あの時から顔の大きさはあまり変化してなかったみたいでつけてみるとピッタリと顔を覆い隠した。

 

(もう噂が広まらないといいのになぁ……)

 

そんな結衣の思いを裏切るように結衣の事実無根の悪い噂は鬼殺隊内で急速的に広まっていった。そしてその噂を先日の合同任務で結衣を罵倒した隊士が肯定したことによりその事実も広まり結果、多くの鬼殺隊士が信じてしまった。

 

******

 

(はぁ……今日は新人との合同任務か。気が進まない)

 

あれから噂は沈静化することなくむしろ広まってしまっていた。そのせいですれ違う多くの隊士から軽蔑するような目で見られていた。その中にはかつて合同任務で助けた隊士もいた。助けた時はかなり感謝していたのに手のひらを返すように彼らが蔑むような目で見ていた時結衣の心は深く抉られた。その時悲しみのあまり泣きそうになったがお面をしていたおかげでそんな顔を見られずに済んだのは幸いだと思う。

 

「あんたが任務の同行者か?何だ、ちんちくりんのガキじゃねえか」

 

突然そう言ったのは聞き覚えのある声だった。目の前に見えるのは隊服で声の主はどうやら大柄らしかった。カチンときて上の方を向いて驚いた。

 

(何でエンカウントするのよ……)

 

もし今後仲良くなってその事が知られたらまた私から千里は奪うに違いない。ここは仲良くなるようなフラグはへし折ろう。そう決意して彼に話しかけた。

 

「そう言うけど貴方より階級もそこそこ上よ?貴方癸でしょ?私は己。つまり新人の貴方より強いわよ?」

「そりゃそうだが……」 

 

「今回の任務は山に集まった鬼達の掃討。ちゃんと私の指示に従っ……ちょっとなにするの⁉︎」

 

説明しながら歩いていたらお面を外された。私のお面をジロジロ見て次に私をじっと見た。

 

「面の下がどんなマセたガキかと思ったらなかなか派手でいいじゃねぇか。俺の嫁にならねぇ?4番目だが」

 

なにを思ったのかーー宇髄天元はそう言った。

 

「はあ?なるわけないでしょ!?変なこと言わないで‼︎あとお面返して‼︎」

 

上に上げられたお面をジャンプして無理矢理奪い返す。……よかった、どこも傷付いてない。

 

「勿体無いぜ。そんな美人なら顔を隠さなくてもいいじゃないか」

「私の勝手でしょ……」

「お前その辺地味だな」

「お前じゃなくて天堂。天堂結衣よ。ちゃんと先輩って呼んでね後輩くん」

「おい、宇髄天元だ。後輩くんって呼ぶな」

「あら、そう。じゃあ宇髄、さっさと行くわよ」

「俺の方が年上なのに……」

 

……あれ?強気な口調で話したら気に留められないんじゃないかって思ったんだけどむしろ興味持たれてない?…………あっ、しまった、宇髄さんの奥さんー主にまきをさんー結構強気な性格だった。似た性格なら興味持たれるわな。その後任務で鬼を掃討した後も宇髄はしつこく絡んできた。正直興味持ってほしくなかったがあまりにもしつこいので一度だけ奥さん達と会っておしゃべりをした。けど気に入られてしまって半ば無理矢理文通することになった。会わなければいいかと思い文通だけは奥さん達とだけだが続いていた。

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