嫌われてしまったとしても   作:アルル・

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漆話

 

炎柱の呼び出しから1年が経った頃に炎柱より手紙が届いた。階級が上がったことで給料も上がったので家を借りた。そこで手紙をお茶を飲みながらのんびり読む。瑠火さんが元気になったことを報告する内容でかなり感謝されていた。

 

『君のおかげで妻はかなり元気になった。今では街まで外出できるほどだ。本当に感謝している』

 

神様がくれた医学知識のおかげで瑠火さんが大病を患っているのではなく、健康的な生活をすれば良くなることが分かったのだ。煉獄家の救済が出来たことを転生させてくれた神様に私は感謝した。

 

『ところで君と同じくらいの歳の息子たちがいるのだが友達になってやってくれないか?君が妻を介抱したところを見て憧れてしまったようでな……』

 

ブフッッッ‼︎

 

もう一枚の手紙に書いてあったことを読み、飲んでいたお茶を吹き出した。 

 

(いや、この流れで紹介されるのは別にいいけど……何で主要キャラがことあるごとに寄ってくるの⁉︎)

 

宇髄天元に続いて煉獄杏寿郎ーそして同じくらいの歳の息子たちとあったのでおそらく伊黒小芭内もーが自分に興味を持って関わろうとしてくる。

 

(こっちは千里が絡んでくるからあまり関わりたくないのに……)

 

関わった結果千里にキャラたちが騙されて自分が裏切られる展開なんてもうゴメンだ。実際天然水一門はまだ登場していない炭治郎と育手の鱗滝さん以外は自分を目の敵にしており出会ったら憎しみのこもった目で毎回睨んでくる。そんなこと、慣れるはずもなくずっとお面をつけて辛くても表情を隠していた。

 

(そういえば宇髄さんの奥さん3人からの手紙しばらく来てないな……)

 

手紙をもらってふと思い出した。結構な頻度でやりとりしていたが最近ではパッタリと途絶えていた。

 

(楽しかったんだけどな……)

 

ほんの少し寂しく思う。けれど切り替えて今日も任務に向かう。……私は知らなかった。宇髄さんが柱になったことを。だから気づかなかった。そんな宇髄さんを千里が放っておくわけないと。宇髄さんに私の話を聞いて千里がどんな行動に出るのかということを。

 

******

 

ー大切だった物はある日突然奪われるー

 

その日私は任務帰りに鬼殺隊関係者が住む町を歩いていた。当然、隊士たちも多いので私を見るたびに皆罵声や憎しみを込めた視線をぶつける。

 

(ちょっとだけ慣れたかも……)

 

毎日この視線を向けられるのだ。感覚が麻痺して辛いという気持ちがいつの間にか薄らいでいた。道を歩いていると白い髪の大柄な男ー宇髄天元がいた。挨拶しないのも失礼かと一言だけ声をかけることにした。

 

「宇髄、久しぶり。元気にしてた?」

 

振り返り私を見ると憎しみのこもった目で睨みつけてきた。

 

(えっ?何で?まさか…………)

 

嫌な予感がした。そしてその予感はこの後の予想もしない最悪の展開を告げていたのだ。

 

「よお、久しぶり。盗人さん」

 

低い声で言われ体がビクッと強張った。

 

(盗人って何のこと……)

 

「その面、千里が大切にしてた物らしいな。それを無理矢理盗ったりして恥ずかしくないのか?」

 

思考が停止した。

 

(このお面は私が鱗滝さんにもらった物……何でそんなことになってるの……?)

 

「とにかくこれは千里に返してもらうからな」

 

そういうと宇髄さんは無理矢理面をひったくる。

 

「ああ、あと俺、柱になったから。威張れなくなって残念だな。盗人は嫁とももう関わるな」

 

呆然とする私を置いて去っていった。

 

「……ねえ宇髄さん、そのお面私が鱗滝さんにもらった大切なお面だって初めて会ったとき言ったよね?雛鶴さんたちとの文通だって“嫁の友達が増えて嬉しい”って喜んでくれてたじゃない……」

 

ぽつりと呟く。幸い誰にも聞こえることはなかった。

 

『へー、そんなに大切な面なのか』

『ええ、私の1番の宝物』

『大事にしろよ』

『言われなくても』

・・・・・・

・・・・・・

『ありがとな、雛鶴たちも喜んでた』

『文通なんてしたことないからおかしなところがあるかもしれないけど……』

『そんなことあいつらは気にしねぇよ!仲良くしてやってくれ』

『ええ』

 

ほんの少しのひと時の思い出が思い出される。涙を堪え立ち上がった。

 

「分かってたじゃない。千里にバレたらこうなるって。だから文通に留めたのに…………それすらも許されないのね」

 

誰にも聞こえないくらいの声量で呟いた。炎柱の提案は断ろう。これ以上大切な人を増やしたせいで傷つくのはいやだから。一部始終を見ていた隊士たちが私を嘲笑う。

 

「見ろよ、音柱に制裁されてたぞ」

「盗みまでやってたんだろ?ざまあねえな」

 

私より階級の低い隊士たちも同調する。私はその場を急いで離れた。宇髄さんにお面を盗られたその日。その日は一年前、私と宇髄さんが初めて出会った日でもあった。

 

******

 

『炎柱様へ

御子息のご学友にとの提案、誠に恐縮ですがお断りさせていただきたく存じます。御子息には鬼殺隊の中で不安定な立場にいる私より相応しい方がいると思います。

               天堂結衣』

 

要約するとそんな感じになった手紙を炎柱に届けてもらった。きっと聞き入れてもらえると思う。さっきの事もきっともう広まってるだろうし。

 

(これで煉獄さんたちとの繋がりが切れるといいんだけど)

 

これ以上キャラたちとはもう仲良くならない。だって仲良くならなければあっちが一方的に嫌っていたとしても仲良くしていた時よりは傷付かずに済むのだから。

 

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