無限ループゴルシがトレーナーに依存する話 作:素直にリボガンに発狂(半ギレ
新しいループに入った。
入学式なんてダルいからさっさと抜け出したけど特にやる事もないからフラフラと学園内をさまよい歩く。
日の光を浴びながらゆったり歩いていると突然に大声で昨夜の事をトレーナーに問い詰められた。
え?
いや…
は?
もしかして、覚えているのか?
いやそうじゃなきゃあの声掛けなんてありえねぇだろ!
まだ始まったばっかりだからトレーナーと会った事もねーんだ、覚えてる以外ありえねぇ!
やっとアタシ以外のやつを見つけた!
そう思って涙しながらブンブン振り回してたがなんか様子がおかしい。
アタシが知ってるトレーナーが前回の記憶を持ってるならまっさきにこのおかしな状況に言及するとか、アタシに前の記憶があるのか確認するとか色々あるはずだ。
でもトレーナーはこのゴルシ様にブンブン振り回されっぱなしでそういう事を話そうって様子は全然ない。
もう直接的に覚えてるのか聞いてみてもゴニョゴニョしてるだけでハッキリしねぇ。
なんだよぉ覚えてねーのかよー…
あーもう!ゴルシ様の事忘れやがってよー!チッキショー!とちょっとガッカリしながら感情に任せてその場を離れた。
一人になってからも期待させて覚えてねーとはどういう事だと怒っていたが時間が経って少し冷静になった頭で考えりゃ違和感だらけなのに気づく。
それにお前あのチューはなんだったんだよ!なんて前回の記憶がなけりゃ絶対出て来ない言葉だ。
どういう事だ?一体何が起きてんだ?
うーんと頭をひねって考えたらひとつの事を思い出した。
ゴルシちゃんが手を出していないのにキングの成績がとあるループの時だけ異常に良かった事だ。
あの時もトレーナーが関わってた。
その後のループで今度はタキオンの面倒を見てまた連勝しまくってた、それもあのトレーナーが関わってたんだよな。
いつもアタシが手を出さないと何も変わらないはずの世界がアイツの周りだけ妙に変化していってる。
ループの度に違う行動をするのはなんでだ?。
これまでの事に今の言動を組み合わせて考える。
多分だがあいつもループしてるけどアタシ程完璧に覚えてらんねーのか?
…なんだよアタシ以外にもいるんじゃねーか、アタシみてぇなヤツ。
他のヤツもループするのだと思ったらなんだか世界に自分だけじゃ無くなったような気がして、本当に何かが変わったわけじゃないのに酷く安心して嬉しさがこみ上げてきた。
アタシだけじゃなく他にもいる、孤独じゃない。
嬉しくて、顔がニヤけちまう。
こんなになってる自分が恥ずかしくて冷静になろうとした、でも結局うまくはいかず顔はずっとニヤけたままだった。
仮説は立ててみたが実際にどうかはトレーナーを観察してみないとわからないからまずは色々話をしてみた。
ゴルシなんでも相談ダイヤル、宇宙の脅威への対策会議、どーなつの真ん中を只管くりぬく仕事の話等の取り留めのない話、全部過去のループで一度した話だ。
話をする度に思う事がひとつ、やっぱこいつ覚えてねーな。
アタシが振ってくネタはほとんど覚えてないみたいだ。
まぁある程度予想はしてた、でも予想外の事もあった。
アタシがちょっと喉かわいたなーと思ってたら何も言わずに水を買ってきた、それも暖かくも冷たくもないやつだ。
基本飲み物はなんでも飲むが強いて言うならできるなら冷たすぎない水が良い、冷たい水は体にあんまり良くないからだ。
でも普通喉乾いたと直接言ってないのに突然飲み物買いに走るか?そんで買ってくるのが温い水って普通ねーよな?
話してるとアタシの事忘れちまったんだなと思って少し寂しくなった。
けどトレーナーが買ってきた水を見てたらアタシとの絆がある事を実感して寂しさを覆い隠す程嬉しくなって顔がカァっと赤くなってくる。
なんだか嬉しい、なんだか恥ずかしい、なんだか照れる。
もっと近くに居たい。
今回もトレーナーになって貰った。
夕暮れ時に今回のループで初めて一緒にラーメンを食べに行った。
この店はおいしいのに立地が悪いせいでいつもガラガラな穴場スポットだ、普通の人はまず知らない。
アタシの定番の店で前回もトレーナーと何回か来た。
食券式のこの店はテーブル席に何故か薬味が置いていない、スパイスを楽しみたいからカウンターに座ろうとトレーナーに伝えようとしたら既にカウンターに着席していた。
いや、普通は二人ならテーブル行くだろ?まぁカウンターのが都合が良かったから良いけど等と思いつつも隣に座る。
食券を渡して少し待ち、ラーメンを受け取った。
楽しみにしていたラーメンだが焦ってはいけない、ここのらーめんは胡椒を3振りするとそれだけでうまさが倍増すんだ。
ずっと前のループからやってるアタシ流の食べ方だ。
トレーナー側に胡椒があるので取ってくれ…という前にアタシのラーメンに黙って3振りされた。
…トレーナーおめー絶対記憶あるよな?
前回のループではトレーナーが毎回入れてたすりごまを黙ってラーメンに投入する。
ありがと、とだけ言って速攻で食べ始めるトレーナーは明らかになんとも思ってない。
普通自分のラーメンに黙って調味料入れられたら怒るよな?アタシおかしくないよな?。
トレーナーが本当は全部覚えててすっとぼけてるだけなんじゃねーの?
本当に記憶を忘れてんのか確かめる為に前回のループで一緒に見たとあるB級映画のチケットを用意した。
実はこの映画トンデモ展開を連発してくるクソ映画だけど、あまりにもトンデモ展開すぎて次の展開が予想できないってぇのが面白いタイトルだ。
サメが台風に乗ってやってきたと思ったら何故かチェーンソーで空飛ぶサメと戦って、最終的にはニューヨークの市長室にある伝説の黄金チェーンソーでサメと台風をぶった切った挙句に何故か人類が滅亡するとかいう展開だ。
この映画先の展開が読める二回目からは本当につまらなく感じるようになってる。
この映画を見た事があるなら隠そうとしたって無駄だ、二回目は誰が見てもつまらないって顔に出る。
そんで見終わっての感想はどうだったトレーナー?
あっれー?面白かったのか?
どう見ても覚えてる様子じゃねーな。
覚えてるのと覚えてない事の差はなんなんだ?
癖になってる事は覚えてて、面白かったとか楽しかったとかの記憶は覚えてないって感じか?
どうもこれが正しいような気がする、いっちょ確かめてみっか。
そんなこんなでトレーナーを拉致って海まで来た。
前回のループじゃ結構一緒に漁をしたから船上での作業は体で覚えてるはずだ。
アタシが思った通りアレやってくれコレやってくれと言うだけで作業内容を説明しないでもテキパキ作業をこなしてる。
こうして作業してると本当に前回ループの中にいるみてーだ、嬉しくって楽しくってついつい本気を出したら二人じゃ到底食いきれない程の大漁に恵まれた。
それを持ちかえって調理してごちそうにありついた。
自然と二人で笑顔になって、お互い馬鹿な事言い合って、なんだかちょっと良い雰囲気になって、それを誤魔化すように罰だと言ってトレーナーに拳骨された。
拳骨されていてーよー!とふざけて騒いでいるとトレーナーもそれに乗って来た。
そうしてちょっと話すとまた自然と笑顔が溢れてきて、楽しくて、嬉しくて、この瞬間が永遠に続けばいいのになんて思った。
そんな事ばっかり一年ずっと繰り返してたら流石に二年目になる頃にはアタシがトレーナーに惚れてる事を自覚した。