僕と姫様の対地球戦争   作:新動良好

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初めての連載小説で緊張しております。切りが良いところまで書き終えたので、そこまでは毎日投稿していく予定。小説家になろうと同時更新していきます。



Prologue

 

 

『この一歩は小さいが、

 二つの星にとっては偉大な一歩である』

 

 

 

 西暦1969年7月20日。

 地球人類は史上初めて、他惑星への有人上陸に成功した。

 

 古くから、地球の近くに存在した翠の二重惑星。その星の名は『天球(テイア)』。文明が発達するにつれ、その星では地球と異なる環境で進化した、天球人がいることを地球人は知ることとなる。

 

 地球と天球。二つの星の人々は、互いの存在を知り交流を持とうとした。

 

 最初に、地球側が科学技術を発展させ船を作り、宇宙空間を渡ることに成功。

 次に、天球側は魔法技術を発展させ道を作り、宇宙空間を行き来できるようにした。

 

 こうして、本格的に二つの星の交流が始まった。別の惑星同士の資源、文化、そして技術を得て、両方の世界は大きく変動していった。

───良い意味でも、悪い意味でも。

 

 西暦2030年12月24日。その日は、地球の暦では聖なる夜となる日だった。

 

 地球国家ラーズ連邦が天球国家エルクラム王国に対して宣戦布告。エルクラム王国内に存在する、宇宙港湾都市アベンエズラに奇襲攻撃を行う。二つの惑星において、歴史上初めてとなる星間戦争が勃発したのだ。

 

 僕は、その時。都市アベンエズラにいた。

 

 この都市は両惑星にとって特別な場所であった。地球人類が初めて降り立った地として、両世界の交流の架け橋となり発展していた。

 

 地球のとある島国から、両親の仕事の関係でアベンエズラへやってきた僕だったが、当時のことはよく覚えている。

 天球の空。地球の空と比べ、魔子の影響により薄い翠色の空を裂く、戦闘機と魔術儀。煙と炎の上がる街を必死に逃げ惑う人々。

 

 父親に抱きかかえられ、普段より高い視点で、その光景を僕は眺めていた。だから、気づいたのも、父と母より私が一番早かった。

 一機の戦闘機が煙を上げて、空から落ちてきていたことに。

 

 強く。父が僕を抱きしめた、続いて母も。

 痛いくらいの包容に抗議の言葉を上げようとした、一瞬の轟音。付近へと落ちた戦闘機の爆発により、周りの人々と共に僕は吹き飛ばされ、意識を失った。

 

 第一次アベンエズラ攻防戦。後の歴史書にそう記される戦争の始まりだった。

 

 開戦理由は、エルクラム王国によるテロリスト集団の支援を停止させるため、と主張したラーズ連邦。だが、エルクラム王国側もこれに反論。ラーズ連邦による魔子資源獲得のための侵略的行為であると、徹底抗戦の構えを取ることとなる。

 

 両世界の友好は破られた。

 二つの星にとって苦難の時代が始まる。

 

 

 

          ◆

 

 

 

───目を覚ましたとき、映ったのは見知らぬ少女の背中だった。私より体が多少大きい。年上だろうか?耳の形は長細く、美しい白銀色の髪の天球人の少女。

 信じられないことに、どうやら僕は彼女に背負われているようだった。

 

 見知らぬ彼女に迷惑をかけてはいけないと、降りようとして、体に走る激痛に思わず声をあげた。

 

「気づいたか、無理をするな。君は骨が折れてはいないが、全身を酷く打っている。だが、それだけで済んだのは幸運であったのだろう」

 

 凛とした声だった。

 振り向かず歩く少女が僕に声をかける。思い出されるのは戦闘機が墜落し、爆発に巻き込まれた記憶。そうだ、家族である父と母は?

 

「………両親は君を抱いていたか?」

 

 彼女の声に戸惑いが見えた。僕は正直に答える。二人に僕は抱かれていた、と。

 

「そう、か。ならば、君の父と母は親としての使命を立派に果たされた。誇りたまえ。君の命を守るため自らの命を犠牲にした、その覚悟を」

 

 両親の死を告げた彼女は、僕に悲しむでもなく、誇れと言う。

 慰めではなく、彼女の本心から口にした誠意ある言葉だと僕は感じた。

 それでも、子供の僕にどうして、家族の死を悲しまないことなど出来るだろうか?

 

 ただ、僅かな男の意地で彼女に見られぬよう、背に顔を付け、噛みしめるように涙をこぼした。

 

「良い。私は王族にしては若いが、君の涙を受け止められぬほど子供でもない」

 

 ふと、視線を感じ顔を上げると、振り向いた彼女の顔を見た。透き通るような蒼い目、柔らかな微笑に僕は泣きながら、見惚れていた。

 頬は煤にまみれ、擦り傷が何箇所も彼女の顔にはあった。戦火から逃れる中で僕と同じように、彼女もまた怪我をしていたのだ。

 

 それでも、攻撃の続くアベンエズラから退避するために郊外へと向けて、僕を背負い彼女は歩いていた。何という気高さ。

 

 僕はありがとう、と感謝を伝える。そして、尋ねたのだ。あなたのお名前は何といいますか?

 

「私はシンファ・ユーク・エルクラムと言う。君の名前は?」

 

 僕の名前はケンジ・ナガイ。

 これが、忘れることの出来ない、僕の人生に大きな影響を与えることになる彼女との初めての出会いであった。




戦場で出会うボーイミーツガールいいよね
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