僕と姫様の対地球戦争   作:新動良好

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男の浪漫、第一号機。


Invasion_9

 エルクラム王国第七魔術兵団の迎撃作戦は二段階で行われていた。

 

 第一段階、メリル戦隊長率いる第七魔術兵隊、二十四儀による陽動。

 ラーズ連邦の敵侵攻部隊に対して、防衛陣形を取り、ステルス状態で隠れている敵新型機XAF-04ルークの攻撃を誘い、その位置をあぶり出す。

 

 位置特定後は、敵護衛戦闘機を乱戦に持ち込み、出来るだけ引きつける───当然だが、XAF-04ルークの電磁投射砲の誘発。不利な散開状態で戦闘機との戦闘を行う必要性から、少なくない犠牲を加味した作戦だ。

 

 だが、今の僕たちにとれる最善の策であると、メリル戦隊長は判断し実行された。第二段階を任された僕たちは、皆のためにも成功させねばならなかった。

 

「ケンジ、装甲の状態はどうか?まだ行けそうか?」

 

 姫様からの通信に、魔術儀の状態をチェックする。大丈夫、破損はあるけれど、致命的ではない。作戦はうまくいっている。

 

 第二段階、シンファ銀等兵、ケンジ銅等兵の二名によるXAF-04ルーク撃墜。

 地上で潜伏していた僕達は、第一段階が進行し、敵新型機の位置を特定後に直接、敵新型機へと突撃する。

 これを実現するために二人のナグルファルは、基地が研究していたラーズ連邦───つまり、地球由来の鹵獲技術を利用した改修強化が施されている。

 

 連邦の軍事技術を研究している第七魔術兵団基地の光景を思い出し、僕が会議時に確認したのが、作戦を実行出来る装備を用意できるかどうかだった。

 

 まず、必要なのは敵の電磁投射砲を防ぎながら接近する能力を備えた魔術儀。

 

『強硬防戦用改修ナグルファル』

 僕の操るナグルファルは、正面から全身を確認できないほど巨大な多重装甲盾を装備していた。

 この盾は、連邦の戦車の装甲板を何台も剥がし、積層させたもので二組作製された。左右の腕部に持つ、というよりは腕部ごと固定させ、単独では外すことすら出来ない代物だ。

 

 両手の多重装甲盾を合わせ、敵XAF-04ルークに向けて突貫する姿は、空を奔る突撃挺の如く。

 

 しかし、この魔術儀は当然の欠点として、収束砲などの武装を扱えない。

 電磁投射砲を防ぎ、近づく、その目的のために過剰なまでに防御特化したのだから。

 

 僕はナグルファル脚部の浮遊装置を最大稼働。

 重量過多なこの魔術儀を、最速で敵まで近づける!

 

「目標との距離まで後10000を切った!気をつけろ、相手はまだ撃つ気だ!!」

 

 姫様の警告を聞きながら、まだか。と悪態をつく。相手は電磁投射砲が防がれていることに気づいたはず。それなのに───僕の疑問は、敵の攻撃で直ぐに分かった。

 

 これまでの比ではない衝撃が魔術儀を襲う。

 激しい振動に、体が揺さぶられる。制御を失いかけ、体勢が崩れそうになるところを、必死に堪えた。

 

 なんて相手だ───敵は二門の電磁投射砲を同時に僕に向けて放ってきたのだ。

 オーバーキルな火力。想定以上の威力に、左手の多重装甲盾が激しく損傷し、もぎ取られるように一部が脱落する。

 

 だけど、耐えた。

 耐えてやった。これ以上はもう無いだろう?敵のパイロット。

 

 

 

          ◆

 

 

 

「ありえない、同時射撃まで防ぐなんて……」

 

 信じられない状況だった。

 まさか王国がこんな直ぐに、電磁投射砲対策を施した魔術儀を用意してくるとは。敵の新型魔術儀では流石にないだろう。あまりにも極端すぎる機体だ。

 

 悔しいが、電磁投射砲の同時射撃を防がれては……私ではあれを落とせないだろう。かなり距離も縮められ、直に敵の収束砲の射程にも入ってしまう。

 

「ですが、詰めを誤りましたね」

 

 操縦桿を大きく傾ける。

 XAF-04ルークを反転させ、二儀の魔術儀から離れる進路をとる。

 

 相手の新型魔術儀はこちらの攻撃を防ぐために大型の防御装備をしているようだった。ということは、あれだけの装備をするデメリットとして、重量の増加が考えられる。ただでさえ、戦闘機に劣っている飛行速度がさらに遅くなっていたのは明らかだ。

 

 迫る魔術儀から完全に背を向ける形となり、XAF-04ルークは加速し始める。

 

 距離を取り、味方の戦闘機に支援要請。

 直に援護が来るだろう。連携して、あの盾持ちを叩けば問題ないというわけだ。

 

 

 

≪警告!エリー少尉!後方から魔術儀一儀が接近しているぞ!直ぐに回避行動を取れ!!≫

 

 

 

 え?空中管制機からの警告に、動揺したのは一瞬。咄嗟に操縦桿を倒し、機体の進路を急変更した。

 

 閃光。

 機体近くを敵の砲撃魔術が通り過ぎる。冷たい汗が頬を伝う。魔術儀の収束砲による攻撃だ。一体どこから?

 

 慌てて、レーダーを確認すると、後方から凄まじい速度で一儀の魔術儀が迫ってきていた。先程まで私の攻撃を防いでいた盾持ちの片割れ───か?

 

「ありえません!?通常の魔術儀の出せる速度じゃない!」

「追い…ついた…ぞ!黒鳥!!」

 

 

 

 

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