僕と姫様の対地球戦争   作:新動良好

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第七魔術兵団基地防衛戦、開始。
新キャラ視点で、まずはどうぞ。


Invasion_8

 西暦2042年8月14日。

 エルクラム王国、第7魔術兵団基地への攻撃のため、私は空を飛んでいる。

 

 ラーズ連邦の攻撃部隊は先行する戦闘機AF-25が12機。そして、後方から距離を開けて飛行する黒色の大型戦闘機が1機。

 

 XAF-04ルークのコクピットは狭い。

 通常の戦闘機に比べて、必要機器の増加によりスペースが圧迫されているせいだ。今後の改善余地だが、戦時中の今では後回しにされ、小柄な操縦士が乗り込むことで、一先ずの解決を得ている。

 私のような女性操縦士が操っている理由の一つだ。

 

≪前方に展開する王国の魔術儀部隊を確認、数は24。三つの部隊に分かれて陣形を組んでいる≫

 

 私達の後方、戦闘空域から離れた上空を飛行する航空管制機から通信が入り、部隊に緊張が走る。想定どおりとはいえ、敵の迎撃部隊が現れた。

 

≪これよりXAF-04へ敵機の情報をデータリンクする。エリー少尉、電磁投射砲発射用意。王国の連中に食らわせてやれ≫

 

 私の名前はマクシミリ・エリ―。階級は少尉だ。

 管制機に了解。と返事を返し、攻撃の準備を始める。

 

 ヘルメットに表示された敵の位置情報を確認。

 機体下部の電磁投射砲の固定が外れ、敵三部隊の中央先頭を飛ぶ魔術儀に、電磁投射砲の照準を合わせ始める。

 表示される円形の予測弾道に、操縦桿を動かし───ロック。CPUによる自動照準機能が開始される。

 

(アイバック大尉……仇はとります)

 

 思い返されるのは、三日前の遭遇戦の光景。

 撃墜され生死不明となっているハミル・アイバック大尉。この新型機のテストパイロットとして任命された私を、教え導いてくれた恩師の最後だった。

 

(もし、あのとき私が共に最初から戦っていれば、大尉は落とされなかった!)

 

 操縦桿を握る手に力が入る。

 王国にXAF-04の情報を渡してはならないと、私に撤退を命じたアイバック大尉。その命令に従い、単独で撤退をしようとした。

 

(大尉はアベンエズラ解放戦での英雄。その腕前は本物だ。だからこそ、落とされたとは信じられなかった)

 

 あの時、大尉のAF-25の反応がレーダー上から消えたのは見間違いだと思いたかった。結果、命令を無視し、大尉の安否を確認しようとして戻り、見たものは───大尉を撃ち落としたと思われる二儀の魔術儀。

 

 激情が湧き上がり、気づけば電磁投射砲の引き金を引いていた。

 

(娘さんの結婚式がもうすぐだって、複雑そうに話していた。それなのに……)

 

 アイバック大尉は、いつも地球に暮らす家族について嬉しそうに話していた。愛した家族から離れたこの天球で、それでも兵士として戦う姿。

 尊敬できる素晴らしい人だった。

 

(もう、こんな戦争はたくさんです……だから、私は持てる技術の全てをかけて)

 

 短い電子音が響く。

 照準をあわせた魔術儀が、有効射程へと入ったことを知らせる合図。

 

「この戦いを終わらせます」

 

 撃鉄は落とされ、空に閃光が走る。

 

 電磁投射砲により、凄まじい速度で打ち出された弾丸は、標的の魔術儀へと正確に打ち込まれた。

こちらの攻撃に備えて、敵魔術儀は盾の防御術式を展開していたようだったが、この装備は元々それを貫くために開発されたものだ。

 

 暴力的な貫通力。

 防御術式を容易く破り、盾自体を貫き、魔術儀本体を破壊した。

 

 ただの残骸となった魔術儀が空から落ちていく。戦いの開始を告げる先制の一撃だった。

 

≪一儀撃墜。敵は編隊を解除して接近中。全機、狩りの時間だ!王国のドラゴンもどき共を、散開して各個撃破に移れ。エリー少尉は引き続き攻撃を続行せよ≫

 

 王国の魔術兵たちも、攻撃を受けてこちらの存在に気づいたようだ。

 密集して的になるのを避けるため、分散してこちらに向かってくる。だが、味方のAF-25も散開して、それぞれ交戦に入り、激しい混戦状況となる。

 

 敵は──私が味方を誤射する可能性を考慮して乱戦に持ち込もうとしているようだ。

 

「けれど、この機体を甘く見過ぎです」

 

 電磁投射砲の二射目が放たれる。

 分散した魔術儀の一儀をさらに落とす。高度な味方とのデータリンク、照準システムはこの程度の混戦では狙いを外さない。

 

 戦況はラーズ連邦側が有利な状況。敵は戦闘機相手に不利の機動戦を仕掛けねばならず、頼みの連携を、私に崩されているだから。

 

「あなたたち魔術兵も厳しい訓練を積んできたのに、ここまで一方的とは、これが現実の戦争ということですか………レーダーに新たな反応?これは、地上から?」

 

 レーダーに探知されないように、地上であらかじめ待ち伏せていたのか?

 乱戦から離れた地上、はるか下の森林の中から、新たに二儀の魔術儀が飛翔してきた。

 

 地上から真っ直ぐXAF-04ルークへと向かってくる。

 この機体を狙う別働隊だろうが──無意味だ。高度といい、こちらとの距離がありすぎる。奇襲にすらなりはしない。

 

 電磁投射砲の照準を変更。

 眼下から登ってくる魔術儀に狙いを定める。

 

 敵は前後に並んでいるため、先頭の一儀にロック。既に装填は完了している。私は、即座に引き金を引いた。

 

 轟音。

 そして、着弾を確認。あわよくば、後ろに隠れていたもう一儀も落とせていれば重畳だが、それは欲張り過ぎかもしれない。

 もう一つの電磁投射砲の装填も完了した。XAF-04ルークに接近していたもう一儀へと、照準を向け、

 

「どうして、レーダーから表示が消えてないのですか?」

 

 先程命中したはずの敵魔術儀が、変わらずに飛んでいることに戸惑いを覚える。

 二儀で変わらず、列をなし、こちらへと飛んできていた。

 

 外し、た?いや、そんなはずはない。間違いなく命中したはずだ───気味が、悪い。が、体は訓練どおりに、もう一基の電磁投射砲を再び、ロックし再攻撃を行う。

 

 

 

 

「今度こそ……なぜ!落ちないのです!?」

「二発目も耐えました!このまま行きます!姫様!!」

「距離を詰めるぞ!ケンジ!頼んだ!!」

 

 

 

 リベンジが始まる。

 

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