今回はもう1人の主要キャラの目線で書きました
私は天才らしい
私自身あまり意識していなかった。いつもと変わらず決められた宿題をやってテストを受け、特に努力はしてないけど高得点を取っていた
特に弓に関して中学三年の時、大人の男に引けを取らないと云われた。みんなは喜んでいた
でも、私はあの日以降……弟に恨まれるようになった
□□□□□□□□□□□□
一矢と連絡を取ってから二日経った。私は街に帰ってきた。ついでにあることを目的に
「この街も久しぶりだね。あ! ここのパン屋さんまだあったんだ!」
目についた山吹ベーカリーに足を運んだ
「こんにちはー!」
「いらっしゃ……おぉ! 理矢ちゃん! 久しぶり! 元気してたかい?」
「おじさん! お久しぶりです。ニ年ぶりですね
「もうそんな前だったかな? 見ない間に別嬪さんになって」
「そんなことないですよ~」
「おとうさん? 誰か来たの?」
そこに山吹純が私の前に姿を現した。しかし彼は父の後ろに隠れてしまう
「あ! 純くん久しぶりだねって……会うのは久々だから覚えてないっか。うん?」
彼の右手にある玩具……竹で作られた小さな弓と先に吸盤が付いている矢が目についた
「その弓は?」
「これ? これは弓の兄ちゃんがくれた」
この弓は一矢が昔よく遊んでいた玩具。そんな宝物を誰かに渡すなんてね
「そっか……大切に使ってね」
「うん!」
「おじさん。メロンパンとチョココロネ二個ちょうだい」
「ありがとうございます。400円ね」
財布から500円玉を取り出そうとした瞬間──
「きゃ!」
「ど、泥棒!!」
財布をレジの前に置き玩具の弓を手に店を出た。その瞬間泥棒らしき人物は私の目の前を通り過ぎた
「あの人ね」
泥棒を確認すると矢を構える。ただのおもちゃだと思うけどこの弓は職人が一矢の為に作った特別製 本物より少し劣るが20mは跳躍する
「スー……」
息を整え相手を見据え矢を放つ。矢は男の頭に命中しバランスを崩した男は電柱にぶつかった。
「あちゃー……あれは痛そう……でも悪いのは泥棒さんだから仕方ないよね」
私は男性から鞄を取り上げ、茶髪のギャルっぽい人物に差し出す
「はい。これ貴女のでしょう?」
「ありがとうございます!」
「困ったらお互い様でしょう? 気にしなくていいよ」
軽く会釈をし、山吹ベーカリーに戻ろうとしたが──
「ねぇ! ねぇ! いまのって弓道だよね!」
アイスグリーンの少女が急に詰め寄ってきた
「ちょっと日菜!?」
「あはは……そんなところかな? それより貴女達怪我はしてない? 特にそこのギャルの子」
「大丈夫です」
「良かった……じゃあ私はこれで……」
弓と矢を手に山吹ベーカリーに戻ろうとするがアイスグリーンの髪の子が行く手の前に遮られる
「もう行っちゃうの?」
「せめてお礼をさせてください」
約束までまだ時間がある
「別にいっか! あ、ちょっと待ってね。これ返してくるから」
私は玩具の弓矢を返すために山吹ベーカリーに向かった
「はい。これありがとうね」
「おねぇちゃん。すごいね。ボクもおにいちゃんやおねぇちゃんみたいになりたい!」
「うん! 頑張ってね。あ、でも今の私みたいに人に射たらダメだよ」
「理矢ちゃん。今警察の人呼んだから後は俺たちに任せな」
「ありがとうおじさん!」
私は店を出て空を仰ぐ。軽く曇っていた空はどんよりと曇っていた
「これは一雨きそうだね」
_________________
山吹ベーカリーから家まで近かったから私は二人を家に連れてきた
「改めて先ほどはありがとうございました。アタシは今井リサ こっちは……」
「アタシは氷川日菜! ねぇねぇ! あなたは?」
「私は、伊丹理矢。ここからすこし離れたところに通っていた元大学生」
「元って……中退したのですか?」
リサちゃんが不思議そうに聞き返してきた。
「そうそう。なんだか勉強してても楽しくなくて……どうせなら弟がいるここにいた方が楽しそうだからこっちに帰ってきたの」
「そうだったのですね……」
私の返答にリサちゃんはあっけにとられていた様子……だってやりたくないことをやっても楽しくないじゃん
「それより、君たちは羽丘女子の生徒だよね?」
「え、そうだけど。どうして?」
「実は私も通っていたんだよね。いやぁ~懐かしいなぁ~その制服。あ、このクッキー食べていい?」
「どうぞどうぞ」
綺麗なクッキー……
「あ、美味しい!! ねぇ、これどこに売ってるの?」
「ホントですか! 実はアタシの手作りなんですよ」
「へぇー……実は私ね。羽沢珈琲店に住み込みで働くために帰ってきたんだよね」
「住み込み? ここ、理矢さんの家だよね?」
「確かにここは私の家だけど、ちょっと事情があるからね」
「そういえば理矢さんは高校の時、部活はなにしていたのですか? やっぱり弓道部ですか」
「正解!! 弓道部まだ残っているかな?」
「へぇー……昔の羽丘って弓道部があったんだ~」
「あれ? いまは弓道部ないの?」
「えっと……アタシは見たことないかな? 日菜は?」
「ううん。あたしも知らない」
「じゃ、じゃあ……あの部は変人の集まりって言われてた天文部は……」
「それはあるよ! あたしが所属しているし……それにいまの羽丘は女子高じゃないし」
「そっか……もう三年も前だから色々変わったのね……これも時代の流れかな……」
しかし、どうして弓道部はなくなって天文部は残ってんだろう?
「ねぇねぇ! 三年前の羽丘ってどんなんだったの?」
「アタシも少し興味あるかな……」
「いいよ! どんな事が聞きたい?」
私は彼女達からの質問に坦々と答えていった
そして──
ジジジジ──
固定電話が高らかに音が鳴り響いた
「ごめんね。すぐに戻るから」
「あ、お構いなく」
「もしもし……」
「あ、伊丹さんのお宅で間違いないでしょうか?」
聞いたことのない女性の声だった。一矢さては彼女でも作ったのかな?
「えぇ、そうですが……失礼ですがあなたは……」
「私、伊丹一矢さんの担任の曽我根(そがね)と申します」
「曽我根先生、弟が何かしたのですか?」
「実は、一矢さん。山から滑落しまして……」
一瞬、曽我根先生が何を言っているかわからなかった
「弟は! 一矢は無事なのですか!!」
「落ち着いて下さい。一緒に落ちた女子生徒と共に牧場の方が保護されました」
牧場……千聖ちゃんから聞いた山だと三田さんの所?
「わかりました。もう一人の生徒も無事なのですか?」
「もう一人……氷川さんも無事だと聞いています」
氷川……日菜ちゃんの関係者かな?
「二人は今は病院ですか?」
「いえ、雨脚が強くて下山できないようです。ですが明日の朝一でも病院に向かうそうです」
「……そうですか。連絡ありがとうございます」
電話の受話器を元に戻し、二人が待つリビングに向かう瞬間
ドンッ!
走ってきた日菜ちゃんとぶつかった
「日菜ちゃん待ちなさい!」
咄嗟に彼女の手首を握った
「放してください!! おねぇちゃんが──」
やっぱり関係者のようね。興奮しているみたいだし少し冷静になってもらわないと
「焦る気持ちはわかるよ!! 私も大切な弟が怪我したんだから! でも、今の私たちは何もすることができなのよ」
「…………」
日菜ちゃんの腕から力が抜けるのを感じ、彼女から手を離した
「大丈夫……保護されたところは私が信頼できる人だから。落ち着いて……ね?」
日菜ちゃんは静かに頷いた
「よしよし……今日は家に帰って連絡を待ちなさい」
「うん……」
「日菜。取り合えず帰ろう。理矢さんお邪魔しました」
「また、来てね。これ私の電話番号。何かあったらおねぇさんに任せてね」
「ありがとうございます」
二人が帰ったのを見届け、私はある人に電話をかける
「もしもし……伊丹です。明日の朝一に二人お願いします。はい……急患です。よろしくお願いします」
さてと、私も行こうかな
出掛け直前に壁に掛けている家族写真を見る
「いつか……また笑い合える日は来るのかな?」