弓取りと雨女   作:hirag

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1話

 昨日降っていた雨が上がり、澄んだ空気が爽やかな朝を迎える

 

「ふわぁ~まだ6時か……もう一眠りzzz」

 

「起きろー!!」

 

 大きな声と同時に掛布団を取り上げられる

 

「うぅ……なんだ……有咲、休みの日ぐらいゆっくり……」

 

「もう11時だし! そんなんだと体壊すぞ! ってうわぁぁぁ!」

 

 有咲の言葉で飛び起き、目覚まし時計を確認する

 

「マジかよ……」

 

 時計は6時を指したまま固まっていた

 

「ようやく目が覚めたか?」

 

「あぁ、最悪の目覚めだ」

 

 昨日の矢の回収に弓の点検、それから風速の勉強に……朝からやることがいっぱいあったのに……

 

「あっそ……お昼食べるか?」

 

「あぁ~食べる」

 

 昨日遅くまでゲームなんてするべきじゃなかった

 

 _________________

 

「ごちそうさまでした」

 

 昼食を食べ終え出かける準備をする

 

「何処か出掛けるのか?」

 

「あぁ、ちょっと矢を貰いに……来るか?」

 

「いいのか?」

 

「少し退屈に思うかもしれないが……それでもいいか?」

 

「うん。ちょっと待って……」

 

 有咲が荷物を取りに行こうとした瞬間──

 

 ピーンポーン! 

 

 玄関を開けると……

 

 猫耳? みたいな髪型をした少女が居た

 

「こんにちは! えっと……ここに有咲いますか?」

 

「こんにちは……えっと、いるけど……君は?」

 

「あ! 私、戸山香澄です。貴方の名前は?」

 

 戸山さんに言われて自分が名乗っていないことに気が付いた

 

「あぁ! これは失礼。俺の名前は……」

 

「お~い! 一矢~準備でき……ってお前!」

 

「あ! やっぱりいた!」

 

 そう言うと戸山さんは有咲に抱き着いた

 

「あー! もー! 抱き着くな! 暑苦しい!」

 

 なにこれ? 俺は何を見せられてんだ? 

 

「何の用だよ。香澄……」

 

「おばあちゃんが有咲の事心配してたよ」

 

「よくここが分かったな。てかどうやってここに来たんだよ!」

 

「う~んっと……門の所に星のシールが貼ってあったから」

 

 星のシール? そんなもの俺は付けた覚えは無いのだが……っとなると有咲か……

 

 有咲の方を見てみると彼女は俯いていた

 

「……ご、ごめん」

 

「別に責めるつもりはないさ。さぁ、有咲。お婆さん所に帰りなさい」

 

「あぁ、そうする……お邪魔しました」

 

 二人はトボトボと帰っていった

 

「ねぇ、有咲とあの人ってどういう関係? もしかして恋人?」

 

「はぁ⁉ば、バカ言ってんじゃねぇよ」

 

 はぁ~賑やかな子だったな……有咲は少し変わってきたのはあの子のおかげかな? 

 

「相変わらず女の子にはモテているわね?」

 

 こ、この声は……この演技風の喋り方をするのは……

 

「今度はお前か……ちーちゃん」

 

「あら? 私が来たら何かまずかったかしら? かずくん」

 

 白鷺千聖

 

 母方の姉妹……俺の伯母にあたる人の子で……

 

 簡単に言うと俺の従姉だ

 

「何か用か?」

 

「えぇ、今度録るドラマで弓取りをすることになったのよ」

 

「それで? 俺がちーちゃんに弓を教えればいいのか?」

 

「察しが良くて助かるわ」

 

 いやいや、何で俺なんだよ。専門の人に頼めばいいのに

 

「すまないが、今は……」

 

「今すぐじゃなくていいわ。撮影は来週からだから、また明日改めて伺うわ」

 

 そう言い残し、千聖は去っていった。

 

「はぁ~今日は予定が狂いまくりだ。さてと、矢を取りに行くか」

 

 

 

 ~数十分後~

 

 

「ありがとうございました!」

 

 目的の矢も調達出来た事だし次は……食材の調達か……

 

「はぁーご飯作るのもめんどくさいな……誰か親切に作ってくるれる人いないかな……」

 

 こんなところで嘆いたって解決するわけないか……うん? 

 

 小川を挟んだ向こう側には大きな荷物を背負った氷川さんがいた

 

「氷川さん? 何処に行くんだろう?」

 

 彼女が何処に行くのか気になった俺は彼女の後ろをコッソリ付いて行った

 

 _________________

 

「CiRCLE……ライブハウスか? ここは? それにしてもどうして氷川さんがここに?」

 

 

「伊丹さん?」

 

「──ッ‼」

 

 俺は情けなく声にならない声をあげてしまった

 

「ひ、氷川さん⁉び、ビックリした……」

 

「驚かせてしまい申し訳ございません。ところで、貴方はどうしてここに?」

 

「えっと……」

 

 氷川さんをついて来ましたって言ったら減滅されるだろう……何か言い訳をしないと

 

「こ、この……ろ……Roseliaっていうバンドを見に来ました」

 

 お店の前に置いていたチラシを取り咄嗟の嘘をついた

 

「そうでしたか。チケットは持っていますか?」

 

「え?」

 

「ライブのチケットです。チケットがないとライブを見ることが出来ません」

 

「そ、そうなんですか……自分はこういったところは初めてなので……」

 

「そうでしたか。それならばこちらをどうぞ」

 

 氷川さんは懐から一枚のチケットを差し出された

 

「これは?」

 

「余ったチケットです。どうしたらいいのか分からなかったので伊丹さんが使ってください」

 

「いいのですか? 氷川さんもRoseliaの演奏を聞きに来たのでは?」

 

「私には必要ない物なので、そろそろ時間なので失礼します」

 

 そう言い氷川さんはCiRCLEの中に入っていった。また、目を見て話すことが出来なかった……

 

 俺はチケットに書かれている時間を確認した

 

「17時……あと30分。折角だしここのカフェで時間を潰そう」

 

 

 ~30分後~

 

「A席の8ですね。どうぞお楽しみください」

 

「ど、どうも……」

 

 Aの8……Aの8……最前席⁉

 

 こんなチケット氷川さんは何処で手に入れたんだ? 

 

 取り敢えず、矢筒は背負った方がいいのかな? それとも足元に置いた方がいいかな? ……

 

 背負ってても、後ろの人に迷惑になるかもしれないし、足元に置いておこう

 

 そんなことを考えていると会場が真っ暗になった

 

 それと同時に5人の人影が現れた

 

 ♪♪♪♪ ~

 

 楽器の音が会場に鳴り響く

 

 そして中央の白銀の髪の女性が歌いだしたと同時に会場のライトアップされた

 

 その瞬間、俺は自分の目を疑った。

 

 何故なら彼女が……氷川さんが目の前でギターを弾いているだから

 

 

 

 

 ~1時間後~

 

 まさか、氷川さんがバンドをやっていたとは驚いた。

 

 彼女の事はあまり知らなかったけど、意外な一面があるんだ

 

 あれ? でも何か忘れていたような……

 

「あ!」

 

 背中に手を当ててみると矢筒がないことに気が付いた

 

 俺は踵を返し、急いでCiRCLEに引き返すことにした

 

 

 

 

 罰ゲームまであと1日

 

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