gigigigi……
けたたましいアラームの音で目が覚める
今日から自然合宿
3泊4日と少し長めの合宿……
弓を握れない事が残念だが、4日間タダでご飯を食えることを考えるとプラスに考えればいいか
「しかし集合時間が朝の6時って……少し早すぎないか?」
仏壇の前に手を合わせる
「香矢……少し行ってくるよ。4日間会えないのが寂しいな」
テーブルの上に有咲宛ての手紙を置き、キャリーケースを引いて玄関を出る──その瞬間……
べちゃッ!!
鳥の糞が足元に落ちて来た
「幸先悪いな……何も問題が起こらなかったらいいが……」
pipipipi……
スマホを確認すると姉からの電話だった
「朝から何の用だ。相手する暇はないのに……」
スマホの電源を切り、ポケットにしまい学校に向かった
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~花咲川学園 体育館~
集合場所の体育館に着いたが……
「鍵が掛てる。まだ早すぎたか……しかたない待つか……」
スマホの電源を入れ、通知を確認すると10件も姉から着信が入っていた
そして
pipipipi……
また姉から着信がきた
「もしもし……」
『あ! やっとでた!』
「要件はなんだ?」
『……要件ってほどじゃないけど、今週自然合宿でしょう?』
「それがどうした? 姉貴には関係ないだろう」
『関係なくないよ。私は帰ってこれないし、家の方は誰かいるの?』
「家の事は有咲に頼んでいる。それだけか?」
『えっと……お父さん達から連絡とか来てない?』
「親父から? なんの連絡も来てない」
『そっか……お父さん達来週には帰って来るって言ってたよ』
「ふ~ん……あっそ。話はそれだけか? もうすぐ集合時間だから切るぞ」
『あ! まっ……』
何か言いかけていたが、俺は無視して電話を切った
「こっちは声すら聴きたくないのにしつこく電話しやがって! 頭にくる!」
うん? 頭? あ! 髪を切るの忘れてた
「伊丹さん。おはようございます」
振り向くと氷川さんと白金さんがいた。み、見られてしまったかも
「氷川さん、白金さんもおはようございます……お恥ずかしい所を見せてしましました」
「誰と……話していたのですか?」
「えっと……身内と話をしていました」
「なにやら言い争っていましたが……」
「な、なんでもないですから。お気になさらず……」
「伊丹さん。私が先週に髪を切ってくるように言いましたが……」
「えっと、切りに行くの忘れていました」
「はぁー大体あなたは頭髪でいつも注意しているでそろそろ……」
氷川さんの説教が始まってしまった
10分後
「分かりましたか?」
「ふぁい、分かりました」
「あ、待たせちゃったかな?」
氷川さんの説教が終わったタイミングで担任が体育館の鍵を持ってきた
それと同時に校門から同級生たちがぞろぞろと体育館に向かって来た
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~合宿場~
時刻は10時
バスで移動中は特に何も問題はなく目的地に到着した
氷川さんと席は隣だったが、彼女はずっと冊子を読んでいたから話しかけられなかった
それもあるが、途轍もなく眠たくてバスの中でずっと眠っていた
しかし、よりによって合宿先の山が俺がよく籠っている山かよ……
「では、皆さんは各自割り振られた部屋に荷物を置いてきてください」
教師の言葉を後にそれぞれ部屋に向かう
「行こうぜ一矢!」
「あぁ、氷川さん、白金さんまた後程……」
「はい……」
「えぇ、また後で」
氷川さん達と別れ、裕太と部屋に荷物を運ぶ
部屋にたどり着くと、俺たち以外に二人が先に到着していた
その内一人はこの前氷川さんと揉めていた金髪の男子生徒
もう一人は同じ弓道部の男子生徒が一緒に居た
「あ、部長と豊中さんも同じ部屋なんですね!」
弓道部の小柄な男子生徒が俺たちに気が付き詰め寄って来た
「えっと……君、名前なんだったけ?」
「小野です。小野晃一(おの こういち)です! 思えばこうしてしっかり話すのは初めてですね!」
「そうかな? あと、俺はまだ部長じゃないが……」
「いえいえ、あの氷川さんと親しく話せる人は部長と呼ぶに相応しいとボクは思いますよ!」
言われてみれば、タメ口で話せる程度ではないが俺は氷川さんと普通に話せている
「ケッ、お前よくあんな女と話ができるな!」
金髪の男子生徒がそう吐き捨てる。この人は氷川さんをひどく嫌っているみたいだ
「君が氷川さんの事が嫌なら関わらない事が一番じゃないか?」
「俺だって関わりたくないさ! だが向こうがグチグチ言ってきやがるだ」
そういえば千聖がこんな事言っていたな
『私のクラスに質が悪い人がいるのよ』
ピアスなんかつけてもろ不良じゃん。
それに授業態度が悪いって聞くしそのせいで生徒会に目を付けられるだろう
なんだろう……不思議とこいつと関るのはまずい気がする
「そりゃあ! お前の生活態度が悪いから風紀員の氷川が忠告しに行ってんだろう?」
裕太が俺が思っていたことを言った
「なんだと!」
金髪が裕太の胸ぐらを掴み掛る。
「ちょっとまずいですよ! 部長」
「そうだな。俺は関わりたくないから先に行ってるよ。小野くんも早く退散したほうがいい」
「えっ!? ちょ! 部長ー!」
俺は体操服とナイロン袋を持ち出し、部屋を後にした
「おいおい! ケンカか?」
「見に行こうぜ!」
俺の横を野次馬が通り過ぎていく
「なんの騒ぎですか⁉」
騒ぎを聞きつけ、氷川さんがやって来た
「えっと……氷川さん今は行かない方がいいですよ」
「どういう意味ですか? 伊丹さん」
俺は氷川さんに事の顛末を話した
「そうでしたか。私は行かない方がいいかもしれませんね」
「はい。やめておいた方がいいです」
金髪は氷川さんを見つけると何をするか分からない
「しかし、生徒間の問題は鎮めなくては……」
「だからです。貴女が男二人の喧嘩を止めることはできますか?」
「そ、それは……」
「騒動をこれ以上大きくしない為に、巻き込まれない為に先に集合場所に行った方がいいかもしれません」
「そうですね」
氷川さんの横を通り過ぎ着替えるためにトイレに向かう
~数分後~
着替えを終え、集合場所に向かう
「あら? 一矢」
「げ、千聖……」
廊下の角を曲がった先に千聖と遭遇した
「随分な挨拶ね。あなたの事を心配してきたのに」
「心配? ケンカの事か?」
「えぇ、あなたは昔から気が短いからね。また厄介事になっているのかと……」
「心配無用だ。てか俺はトラブルメーカーかよ」
「よくわかっているじゃない」
「そこまで言い切られると流石の俺でもへこむ……」
「千聖ちゃーん!!」
「呼ばれてるぞ」
「えぇ、分かっているわ。とにかく、問題は起こさないように気を付けなさい」
「ヘイヘイ……」
少し時間が経った後、教師たちが部屋の前に集り騒動は終息していたそうだ